全日本ラリー選手権第4戦は新井大輝/立久井大輝組が僅差の勝負を制し連勝!
2025年6月13日

全日本ラリー選手権の第4戦「FIAインターナショナル・ラリー・加勢裕二杯モントレー2025」が、6月6~8日に開催された。開幕戦から続くターマック4連戦の締めくくりとなるこのラリーは、昨年に引き続き群馬県安中市の「安中しんくみスポーツセンター」が拠点となった。
2025年JAF全日本ラリー選手権 第4戦「FIA International Rally 加勢裕二杯MONTRE 2025」
開催日:2025年6月6~8日
開催地:群馬県、長野県
主催:TMSC、J.A.C、M.O.S.C.O
今大会のスペシャルステージ(SS)は、ラリー初日に大会最長SSとなるSS1/4「Yokura Touge」(14.04km)と、昨年大きな話題となった碓氷峠旧道を下るSS2/3「Old Ususi Touge」(9.1km)を設定。ラリー最終日となる8日(日)にはSS5/7「Shionosawa Touge」(8.36km)とSS6/8「Nostalgic Dojo」(7.09km)の計8SS(SS総距離77.18km)が設定されていたが、SS5/7「Shionosawa Touge」の一部が崩落したためにスタート位置を変更。SSの距離は8.36kmから4.05kmに短縮され、SS総距離は68.56kmで争われることとなった。
例年、開催が梅雨に入る直前の時期ということに加え、雨が降ったり止んだりと天候が変わりやすい山間部を舞台するモントレーだが、今年は土曜日が晴れ、日曜日は曇りという安定したドライコンディションの中で競われることとなった。
JN-1クラス
JN-1クラスは、前戦の飛鳥で今季初優勝を挙げたディフェンディングチャンピオンの新井大輝/立久井大輝組(シュコダ・ファビアR5)が、SS1でヘイキ・コバライネン/北川紗衣組(トヨタ・GRヤリスラリー2)に8.8秒差を、今季2勝を挙げシリーズランキングトップに立つ勝田範彦/保井隆宏組(トヨタ・GRヤリスラリー2)に8.9秒差をつける会心のベストタイムをたたき出し、トップに立つ。
だが、SS2とSS3でコバライネン/北川組が逆襲。SS2で新井/立久井組とのタイム差を2.1秒詰めたコバライネン/北川組は、SS1のリピートステージとなるSS3で「まだセットアップが完璧な状態とは言えない状況の中で、このタイムは自分自身でも驚いている」という連続ベストタイムをマークし、新井/立久井組とのタイム差を一気に逆転、2.1秒差のトップに立った。
一方の新井/立久井組は、「午後はこれまでと異なるセットアップを試してみたら、SS3で想定以上のタイム差をつけられたので、すぐに元に戻しました」と、SS4でベストを奪い返し、コバライネン/北川組との差を0.8秒差に詰め、初日を終えた。
ラリー2日目は、新井/立久井組がSS5でベストをマークしてコバライネン/北川組を逆転。そこからSS6、7と3連続ベストをマークし、コバライネン/北川組とのタイム差を4.9秒に拡大した。
最終SSはコバライネン/北川組が「タイムを削るには無理をしなければならない」と猛プッシュをみせベストを奪うが、新井/立久井組には3.1秒届かず。新井/立久井組が昨年に続きモントレー2連覇を飾るとともに、チャンピオン争いでもシリーズランキングトップの勝田/保井組に並ぶ今季2勝目を獲得した。
コバライネン/北川組は2位。最終SSまで熾烈な戦いが続いた3位争いは、SS7を終えた時点で鎌田卓麻/松本優一組(シュコダ・ファビアR5)が2.7秒差で勝田/保井組を抑えていたが、最終SSで勝田/保井組が鎌田/松本組を1.2秒逆転し、表彰台の一角に滑り込んだ。



JN-2クラス
JN-2クラスは、初日の4SSすべてを制した山田啓介/藤井俊樹組(トヨタ・GRヤリス)が、ラリー2日目も2本のSSでベストタイムを刻む安定した走りをみせ、今季3勝目を獲得。
2位には、初日をクラス2番手で折り返した小泉敏志/村山朋香組を、ラリー2日目のSS7で捕らえた貝原聖也/西﨑佳代子組(トヨタ・GRヤリス)が入賞。初日のSS1でエンジン不調に見舞われながらも2番手の座を死守していた小泉/村山組が、「ラリー2日目はエンジントラブルは出なかったものの、気合いが入りすぎてしまい、逆にタイムが伸びませんでした」と、悔しい3位となった。



TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup

JN-3クラス
JN-3クラスは、開幕戦から3連勝を挙げている山本悠太/立久井和子組(トヨタ・GR86)が、このラリーもSS2を終えてトップを快走するが、SS3で突然エンジントラブルに見舞われストップ。ここでリタイアとなってしまった。
山本/立久井組の脱落により、ここまでベストは出していないもののコンスタントに好タイムを重ねる渡部弘樹/横山慎太郎組(トヨタ・86)がトップに立つ。2番手には、渡部/横山組と同じく2Lエンジン搭載のスバル・BRZを駆る鈴木尚/島津雅彦組がつけ、SS3を終えた時点でその差はわずか5.9秒。その後方には、2.4Lエンジンを搭載する山口清司/澤田耕一組(トヨタ・GR86)と、同じく2.4Lエンジンの現行型スバル・BRZを駆る上原淳/漆戸あゆみ組が追いかけるという展開になった。
SS4は上原/漆戸組、SS5は鈴木/島津組、SS6は再び上原/漆戸組がベストを奪って渡部/横山組に迫るが、SS6を終えてなお渡部/横山組がトップを死守。だが、SS7でセカンドベストをマークした鈴木/島津組がついに渡部/横山組を0.8秒逆転し、トップに浮上する。
迎えた最終ステージのSS8では、渡部/横山組がこの日初めてのベストタイムを獲得。一方の鈴木/島津組は0.8秒差の2番手タイムに留まり、オーバーオールタイムでは両者とも同タイムとなった。その結果、スペシャルステージラリー開催規定・第14条により、SS1のタイムが上位だった渡部/横山組が、全日本初優勝を獲得することになった。同タイムの鈴木/島津組は2位、3本のSSでベストを奪った上原/漆戸組が3位となった。




JN-4クラス
JN-4クラスは、前戦で全日本初優勝を飾った藤原友貴/宮本大輝組(スズキ・スイフトスポーツ)が、SS1で2番時計の高橋悟志/箕作裕子組(スズキ・スイフトスポーツ)を13.3秒引き離すベストタイムをマーク。高橋/箕作組はSS2、SS3、SS4で3連続ベストを奪い藤原/宮本組を追いかけるが、藤原/宮本組も3連続2番手タイムをマークしたため、藤原/宮本組が6.8秒リードで初日を折り返す。
ラリー2日目は、藤原/宮本組と高橋/箕作組が2本ずつベストを分け合い、両者の差は大きく変わらず。結局、SS1のマージンを最後まで活かした藤原/宮本組が、第3戦に続いて2連勝を飾った。「新しい走らせ方にトライしているけど、なかなかしっくりこないんです」という高橋/箕作組が2位、ターボ系のトラブルにより初日前半のタイムが伸びなかった筒井克彦/本橋貴司組(スズキ・スイフトスポーツ)が3位に入った。



JN-5クラス
JN-5クラスは、SS3を終えてSS2とSS3で連続ベストを奪った中溝悠太/佐々木裕一組(トヨタ・ヤリス)が、2番手の松倉拓郎/山田真記子組(トヨタ・ヤリス)に15.9秒の大差をつけてトップに立ったものの、初日最終ステージとなるSS4でコースオフ。ここでレグ離脱となってしまった。
中溝/佐々木組の離脱により、「まろやかにトップに立ちました」という松倉/山田組は、ラリー2日目も4SS中3SSでベストタイムを奪う力走でトップの座を堅守。前戦リタイアのリベンジとなる今季初優勝を飾った。
「初日の前半でセッティングとドライビングが合わなかったのですが、その後セッティングを変えたところ、いい感じの走りができるようになりました」という河本拓哉/有川大輔組(マツダ・デミオ)が2位。「ラリー2日目に、コ・ドライバーが限られた時間でペースノートを修正してくれたことで、順位を守り切れたと思います」という阪口知洋/野口智恵美組(ニッサン・マーチNISMO)が、島根剛/粕川凌組(トヨタ・ヤリス)に0.8秒差の僅差で3位となった。



JN-Xクラス
JN-Xクラスは、「クルマが重たいので、下りのSSはタイヤもブレーキも厳しくてかなりヒヤヒヤしました」としながらも、初日だけで2番手以降に1分以上のマージンを築いた天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・RAV4 PHEV)が、ラリー2日目は4SSすべてでベストタイムをマークし、今季負け知らずの4連勝を飾った。
2位には、SS3でベストタイムを奪った清水和夫/山本磨美組(トヨタ・ヤリスHEV)が入賞。3位には「リピートステージでタイムアップするつもりが逆にタイムダウンしてしまい、まだまだクルマとうまくシンクロできていません。次のカムイで頑張ります」という海老原孝敬/蔭山恵組(ホンダ・CR-Z)が入賞した。







PHOTO/CINQ、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、小竹充[Mitsuru KOTAKE]、中島正義[Tadayoshi NAKAJIMA]、山口貴利[Takatoshi YAMAGUCHI] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]