SA1一宮悠人選手とD1大谷皇就選手が開幕デビューウィン!
2026年4月1日
全日本ダートトライアル選手権「トライアル関西 in いなべ」が、三重県いなべ市のいなべモータースポーツランドで開催された。昨年の全日本初開催から2シーズン目を迎える同コースは、今シーズンに向けて路面やコースレイアウトの改修が行われ、開幕戦に相応しい舞台が整えられた。
2026年JAF全日本ダートトライアル選手権 第1戦「トライアル関西 in いなべ」
開催日:2026年3月21~22日
開催地:いなべモータースポーツランド(三重県いなべ市)
主催:TEAM FLEET
開幕戦が行われたいなべモータースポーツランドは、コース改修により粘度質の土が多かった路面に大量の砂利が投入され、路面の安定化が図られた。さらにギャラリーエリアが拡大されることに伴って、ギャラリー前のセクションが大幅にコース改修され、多彩なコースレイアウトが可能となっている。
決勝コースは、外周のハイスピードセクションとギャラリーエリア前のテクニカルセクションを組み合わせたレイアウトを採用。路面に大量の砂利が撒かれて路面全体が引き締まったものの、うねりやギャップも多く、さらに第2ヒートは深い轍や大きな穴が空くなど路面が荒れ、一瞬も気が抜けない難易度の高いコースとなった。
また、各ヒート前とSA1クラス走行後、SCクラス走行後には舞い上がるホコリを防止するための撒水が行われ、撒水直後に走行するSA2やD1クラスは路面がやや湿ったハーフウエット路面での走行となった。
PNE1クラス
2024年PNE1クラスチャンピオンの小山健一選手(スズキ・スイフトスポーツ)が2年ぶりにカムバックしたPNE1クラスは、その小山選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り開幕戦優勝。
「PNE1クラスに戻ってきたら、周りはシードゼッケンだらけで結局先頭ゼッケン(笑)。誰も走っていない撒水直後の路面はタイヤの溝に泥が詰まってしまって大変だったけど、とりあえず勝つことができて良かったです」と小山選手。
2位には、「小山選手をやっつけられるよう頑張ります」と言ういりえもん選手(三菱・コルト)が入賞、3位は「まだLSDが入っていない状態ですが、頑張りました」という田口和久選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得した。
PN1クラス
昨年のチャンピオン・南優希選手がPN3クラスへと移ったPN1クラス。チャンピオン不在となり、誰が主導権を握るかが注目された中、第1ヒートは東北のベテラン・工藤清美選手(ホンダ・フィット)がクラス唯一となる1分21秒台のタイムでトップに立つ。
第2ヒートに入ると、前日の公開練習でも好タイムをマークしていた昨年の中部PN1クラスチャンピオンの西畑蒼選手(スズキ・スイフトスポーツ)がベストタイムを1分20秒台に引き上げてくるが、第1ヒートトップの工藤選手が西畑選手のタイムを0.35秒更新。「自分自身のダイエットと、サスペンションの仕様変更が効果バツグンでした」という工藤選手が、結果的には両ヒートを制する速さで開幕戦優勝を果たした。
そして「今年は全日本2年目なんですが、全戦に出場する予定です」という西畑選手が自己最上位の2位を獲得し、3位には「最後の最後にサイドターンで失敗しました。悔しいですね」と第1ヒートは2番手と健闘した北原栄一選手(日産・ノート)が入賞した。
PN2クラス
PN2クラスは、昨年のチャンピオン・張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第1ヒートでクラス唯一の1分19秒台、第2ヒートでもクラス唯一の1分18秒台と、両ヒートとも2位以下を1秒ほど引き離す速さで開幕戦を制し、連覇に向けて好スタートを切った。
2位には、谷尚樹選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、2024年の最終戦以来となる表彰台を獲得。「2022年にチャンピオンを獲って以来、なかなか結果を残すことができないシーズンを過ごしてきたんですけど、最近はまた自分の練習やクルマのメンテナンスを行う環境が整ってきました」と谷選手。復活の狼煙を上げる入賞となった。
3位には、「西日本のコースは全般的に苦手。3位表彰台は上出来です」という2024年チャンピオンの佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
PN3クラス
昨年のPN1クラスチャンピオンの南優希選手が、全日本ダートトライアルでは初登場となるマツダ・ロードスターRFで参戦し、決勝前日の公開練習ではいきなりトップタイムをたたき出し話題を集めたPN3クラス。
迎えた決勝第1ヒートでは、2025年チャンピオンの竹本幸広選手(トヨタ・GR86)がトップタイムを奪うが、「昨日の南選手のタイムで完全に心を折られました。今シーズンはけっこうしっかり準備して開幕戦に挑みましたが、全然自分の思いと走りがリンクしなくて大変でした」と、心穏やかではない。その南選手は、トップの竹本選手に0.763秒差の4番手。第2ヒートで逆転を狙う。
その第2ヒートは、第1ヒートの自己タイムを一気に4秒近く縮めてきた櫻井貴章選手(トヨタ・GR86)がベストタイムを更新し、トップに立つ。一方、第1ヒート4番手の南選手は「路面変化にドライバーが対応しきれず、路面が荒れた分、走りも荒れてしまいました」とタイムダウン。一気に順位を下げてしまった。
櫻井選手のタイムを上回る選手が現れない中、残すは第1ヒートトップの竹本選手のみ。その竹本選手は、「冷静に走れたことがタイムアップにつながったと思います」と1分19秒台を出してベストタイムを更新。2位の櫻井選手を約1秒引き離すタイムで、開幕戦優勝を果たした。
2位には、「シーズンオフにサスペンションのセッティングを見直したことが結果につながりました」という櫻井選手が入賞、3位は昨年のJAFカップを制し、全日本参戦は今回2戦目の名倉陽太選手(トヨタ・86)が獲得した。
Nクラス
Nクラスは、今シーズンの開幕戦に向けてトヨタ・GRヤリスのエアロパフォーマンスパッケージを投入した昨年のチャンピオン・岸山信之選手が、第1ヒートのタイムで逃げ切り開幕戦を制した。「タイム差はギリギリだったんですけど、逃げ切れて良かったです(笑)」と岸山選手。
0.762秒差の2位には、「テストでエンジンが壊れ、昨日の公開練習ではターボパイプが抜け、今日がぶっつけ本番みたいな感じでした。昨年よりも岸山選手とのタイム差が縮まり、第2ヒートはトップタイムだったので、今シーズンに向けて良いスタートを切れたと思います」という宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞。今シーズンは三菱・ランサーエボリューションXからトヨタ・GRヤリスに乗り換えた細木智矢選手が、「急ピッチでセッティングを仕上げていきます」と3位表彰台をゲット。
SA1クラス
昨年のチャンピオン・渡辺知成選手がラリーに転向し、チャンピオン不在となったSA1 クラス。若手とベテランが入り交じり、誰が主導権を握るか注目の中、第1ヒートはベテランの福山重義選手(スズキ・スイフトスポーツ)が1分19秒986のベストタイムを奪うが、2番手のキャサリン選手(スズキ・スイフトスポーツ)から10番手の倉持陣之介選手(三菱・ミラージュ)までが1分20秒台にひしめき合うという大混戦に。
第2ヒートは、第1ヒートで6番手タイムをマークしたクラス前半ゼッケンの一宮悠人選手(スズキ・スイフトスポーツ)が1分18秒台に飛び込み、ベストタイムを更新してくる。この一宮選手のタイムがターゲットタイムとなったが、シードゼッケン組に入ってもなかなか更新されない。第1ヒートトップの福山選手、2番手のキャサリン選手たちベテラン勢もタイムは振るわず、今回が全日本でデビュー戦となる21歳の一宮選手が全日本デビューウィンを飾った。
2位は、「前日の公開練習でコケそうになって、ちょっとビビりモードのままでしたね。次戦は頑張ります」という花見誠選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得。3位には、「やっとドライバーが思ったようにクルマが動いてくれるようになりました」という三菱・コルトからスズキ・スイフトスポーツに乗り換えて3シーズン目となる松岡修司選手が入賞した。
SA2クラス
昨年のチャンピオン・岡本泰成選手と、長年このクラスを牽引してきたベテランの北村和浩選手がともにSCクラスへと移ったSA2クラス。SA1クラス同様、誰が今シーズンの主導権を握るか分からない状況で、第1ヒートは黒木陽介選手(トヨタ・GRヤリス)、松原実選手(三菱・ランサーエボリューションIX)、荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)、古谷哲也選手(三菱・ランサーエボリューションX)のベテラン勢が1分15秒台のタイムでトップ3を奪う。
第2ヒートに入ると、第1ヒート2番手の松原選手が1分13秒台に突入。さらに第1ヒートは1分16秒台のタイムだった三枝光博選手(トヨタ・GRヤリス)が1分13秒台のタイムで2番手につける。
第1ヒート3番手の荒井選手と古谷選手はともにタイムダウンで順位を落とす中、「ずっと北村さんのサポートで全日本に帯同していたんですけど、昨年あたりからまた全日本を走るようになって、最初は打倒・北村さんとか荒井さんと思っていたんだけど、いざ走ってみたら若手の三浦陸選手に負けてしまって。今年は打倒・三浦陸! で走ったので、勝てて良かったです(笑)」という松原選手が、全日本では2002年以来実に24年ぶりとなる優勝を果たした。
2位の三枝選手は「松原選手に負けたのであれば仕方ない。松原選手、速いしうまいですから。今年は準備不足の中で開幕戦に挑まなければならなかったので、2位は最高です」と喜びのコメント。3位には、第1ヒートはタイヤのリム落ちで大幅にタイムを落としながらも、第2ヒートでしっかりリカバリーした三浦陸選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞した。
SCクラス
昨年のチャンピオン・目黒亮選手が欠場したSCクラスは、第1ヒートで昨年のSA2クラスを制した岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)がベストタイムを奪うものの、第2ヒートで第1ヒート3番手の坂田一也選手(三菱・ランサーエボリューションX)が逆転。昨年の第3戦丸和以来、1年ぶりの優勝を奪った。「昨年はプレッシャーから自滅ばかりしていたので、今回も第2ヒートを走るまで精神的に辛かったです」と坂田選手。1年ぶりの優勝をかみしめた。
2位には、「アンチラグにもマスターバックレスのブレーキにもまだ慣れていませんが、なんとか結果を残せたと思います」という岡本選手が入賞。3位は、「新しい強敵が現れて、何とかしたいと思っていろいろやってきたんですけど、まだ詰めるところがありますね」という上村智也選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が獲得した。
D1クラス
D1クラスは、昨年の覇者・パッション崎山選手(トヨタ・MR-S)が、第1ヒートではクラス唯一となる1分19秒ジャストのタイムでトップに立つ。だが、第2ヒートに入るとパッション崎山選手と同様にエンジンをミッドシップに搭載したトヨタ・86を駆る大谷皇就選手がベストタイムを更新。第1ヒート2番手の山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が大谷選手のタイムに迫るものの、0.003秒届かず。ミッドシップ&センターシートのトヨタ・86を自作し、昨年は全日本の実績不足から不受理続きだった26歳の大谷選手が、全日本デビューウィンを飾った。
2位は、「撒水が影響したかもしれない。ちょっとの差だったので、残念ですね」という山崎選手が獲得。3位には、第2ヒートの途中からエンジンが失火するトラブルに見舞われたパッション崎山選手が、第1ヒートのタイムで入賞した。
D2クラス
第1ヒートは炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)がベストタイムを奪ったD2クラスは、第2ヒートで昨年の覇者・田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、「公開練習で負け、第1ヒートはタイヤのリム落ちでボロくそに負け、第2ヒートは完全に目が覚めました」と第2ヒートでベストタイムを一気に更新。
他のクラスも含めて多くの選手が「今回のコースレイアウトは、確かにタイム的には少し短い気もするけど、スリリングなコースなので十分楽しめました」という声が多い中、「少し走り足りない。もう少し長い方が……」という1分10秒150のオーバーオールタイムで田口選手が開幕戦を制した。
2位は、「普通に走っていたらHKS(田口選手)には勝てないのは分かっているけど、限界を超えるとミスしてしまうのが今の課題。でも、勝てるチャンスはあると思います」という鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)が獲得。3位には、「ダンパーを変えてきたんだけど、セットアップの煮詰め方が足りなかった。次のタカタまでにはしっかり走れるようにしてきたい」という谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が入賞した。
PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



