FS-125部門/FP-3部門の開幕戦は初優勝ラッシュ!

レポート カート

2026年4月9日

全日本カート選手権の2026シーズンはFS-125部門/FP-3部門から開幕。3月28~29日に千葉県市原市の新東京サーキットでその第1戦/第2戦が行われた。FP-3部門の第1戦では小美野凜太朗選手がレース中盤からの独走で初優勝。第2戦では最終ラップの劇的な逆転で橋口輝明選手がやはり初優勝を飾った。

2026年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 第1戦/第2戦
2026年JAFジュニア選手権 ジュニア部門/ジュニアカデット部門 第1戦/第2戦(ラウンドシリーズ2)

開催日:2026年3月28~29日
開催地:新東京サーキット(千葉県市原市)
主催:NTC

 2026年の全日本カート選手権は2025年と同様、OK部門/FS-125部門/FP-3部門/EV部門の4部門で行われる。その先陣を切って開幕戦が行われたのは、2部門同時開催となるFS-125部門とFP-3部門だ。同シリーズは各大会2レース制を継続採用し、5大会/全10戦で実施される。

 ニューシーズンのキックオフの舞台となった新東京サーキットは快晴。前日の土曜は曇天だったが、日曜は力強い日差しがコースに降り注ぎ、まだ3月だというのに昼間には初夏を思わせるような暖かさで、日中は汗ばむ陽気となった。

FP-3部門は新東京サーキットをホームとする地元勢やスポット参戦などエントリー26台で賑わいを見せた。

全日本カート選手権 FP-3部門 第1戦/第2戦

 FP-3部門には今大会最多となる26台が参加。そのうち12名が同部門初参戦と、顔ぶれは2025年から大きく入れ替わっている。首都圏屈指の人気を誇るカートコースとあって、この大会に焦点を当てて参加してきたスポット参戦の地元勢も手ぐすねを引いて殊勲を狙っていた。また、ジュニアカート選手権からのステップアップ組が目立つのも、全日本のファーストステップとして機能しているこの部門ならではのことと言えよう。

 参加台数が多かったため、タイムトライアルは規定によりA/Bの2グループで行われた。そこで47秒046の総合トップタイムをマークしたのは、2025年に同部門シリーズ2位の國岡光貴選手。國岡選手は今季、OK部門をレース活動の主軸に予定しており、今回はスポット参戦だ。

 0.003秒差の2番手は、全日本初参戦の高橋佳音選手。3番手の小美野凜太朗選手もトップから0.009秒差。0.1秒の間に上位9台がひしめく実力伯仲状態だ。なお、気持ちがはやるシリーズ初戦とあってか、このセッションで6台が走路外走行によって上位タイム抹消のペナルティを受けている。

 14周の第1戦予選ヒートでは、オープニングラップで先頭に立った小美野選手が、5番グリッドから浮上してきた伊東士龍選手を数車身後方に引き連れたまま走り切り、決勝のポールを手に入れた。伊東士龍選手からやや離れた位置では3台による接近戦が繰り広げられ、ここを制した橋口輝明選手が3番手でゴール。國岡選手は集団戦の中でペースが上がらずスタート直後から順位を下げ、さらにフロントフェアリングのペナルティを受けて15番手に終わった。

 第1戦の決勝は20周。トップをキープしたままレースを始めた小美野選手の真後ろに伊東士龍選手、橋口選手、高橋選手がピタリと続き、さらに7周目には伊東諒真選手もこの集団に追いついて、5台一列のトップグループが形成された。

 8周目、トップ小美野選手がじわりと後続を引き離す。それを追うべく10周目に橋口選手が伊東士龍選手をパスして2番手へ。この背後でのバトルを利して、小美野選手は一気に先頭集団を抜け出した。2番手の橋口選手も一旦は単独走行になったのだが、3番手に上がってきた伊藤諒真選手に追いつかれて、前を追うことばかりに注力できずにいる。

 結局、小美野選手は約1秒のリードを保ったまま後半戦を走り抜き、右拳を振り回しながら最後の最終コーナーを立ち上がって勝利のチェッカーをくぐった。16歳の小美野選手は2025年の2大会・4戦にスポット参戦して、6位が最上位。そして心機一転、フル参戦初年度の初レースを、堂々の初勝利で飾ってみせた。そしてウィナーの後方では3台一列の接近戦が最後まで続き、橋口選手が2位、伊東諒真選手が3位、伊東士龍選手が4位となった。

FP-3部門 第1戦優勝は小美野凜太朗選手(ガレージC)。
「めちゃくちゃうれしいです」とうれしい声を上げた小美野選手。「1週間前の練習ではあまり速くなかったんですが、最終的にうまく合わせられて、全日本という舞台で優勝できて良かったです。メカニックがピットレーンから後ろと差が広がっていることを教えてくれて、ずっと落ち着いて走ることができました」と語った。
2位は橋口輝明選手(RF AOYAMA)、3位は伊東諒真選手(RF AOYAMA)。
FP-3部門 第1戦表彰の各選手。

 18周で行われた第2戦の予選ヒートは一転、混戦となった。先頭のままレースをスタートした國岡選手に後続がずらりと連なり、序盤のトップ争いは6台の大集団に。國岡選手から小美野選手、國岡選手、橋口選手とたびたび先頭が入れ替わる中、やがてトップ争いは3台に絞られ、ラスト5周で先頭に出た小美野選手が2戦続けての決勝ポールを獲得した。2番手は國岡選手、3番手は橋口選手だ。

 22周の第2戦決勝にはドラマチックな決着が待っていた。まずオープニングラップで橋口選手がトップを奪うと、3周目に小美野選手が先頭に復帰。7周目に再び橋口選手がラップリーダーに立つと、8周目には小美野選手がまたも首位を奪還。國岡選手も前の隙を突いてはトップに顔をのぞかせる。熱気をはらんだ優勝争いにライバルたちも後れず続き、一時はトップから10番手までがほぼ一列に連なる事態となった。

 レースが中盤戦に入ると熱かった順位交代劇はやや沈静化して、小美野選手が先頭を走り続ける状況に。すると、長いトップグループの列から徐々に3台が抜け出し、小美野選手、橋口選手、伊東諒真選手の先頭集団が形成された。優勝争いに生き残った3台は、ヒリヒリとした緊迫感を漂わせながらラップを重ねていく。21周目、橋口選手がラインを変えて小美野選手にプレッシャーをかけるが、ポジションチェンジには至らない。

 そして迎えた最終ラップ、2連勝を目前にした小美野選手はストレートエンドから後続を抑えにかかる。だが、これでかえって小美野選手のベストラインが崩れた。その隙を見逃さず、橋口選手が2コーナーで小美野選手のインへ。順位が代わった。必ずチャンスが来ると信じて小美野選手の後ろを走り続けてきた橋口選手は、ついに目の前の視界が開けた最終ラップを懸命に駆け抜け、渾身のガッツポーズを披露した。

 橋口選手は、全日本4戦目での初優勝。加えて、先に第2戦の決勝が行われたFS-125部門とともにRF AOYAMAの2クラス制覇という二重の喜びだった。2025年には第1戦/第2戦のスポット参戦で同部門にデビューして、2戦とも3位を獲得。そして17歳になった橋口選手は今季、いよいよフル参戦開始だ。

 目の前の2連勝を獲り逃して2位の小美野選手は落胆の様子を見せていたが、それでも橋口選手と同ポイントでポイントリーダーに立って2026シリーズを発進した。伊東諒真選手はこのヒートのファステストラップを記録して、2戦連続の3位入賞。先頭集団の後方で2台がゴール目前まで繰り広げたバトルは、伊東士龍選手が4位、國岡選手が5位で決着した。

FP-3部門 第2戦優勝は橋口選手(RF AOYAMA)。
勝因は最後まで冷静にいけたことだという橋口選手。「最後にアタックしてトップでゴールすることを狙っていて、最終ラップにトップの選手の心が揺らいだ瞬間のチャンスをものにできましたね。RF AOYAMAの2クラス制覇のプレッシャーもすごかったですが、ゴールに帰ってきたときは本当に最高の気持ちでした」
2位は小美野選手(ガレージC)、3位は伊東諒真選手(RF AOYAMA)。
FP-3部門 第2戦表彰の各選手。

全日本カート選手権 FS-125部門 第1戦/第2戦

 FS-125部門はエントリー18台と、まずまずな賑わいになった。こちらでも前年度から顔ぶれが一新。2025ランキングのトップ10からチャンピオンを含む9名がこの部門を離れ、18名のうち11名が初参戦というフレッシュな面々が集まっている。

 タイムトライアルでは、2025年ジュニアカート選手権ジュニア部門(ラウンドシリーズ2)チャンピオンの織田大和選手が41秒423のトップタイムをマーク。2番手に松居寿來選手が、3番手に中野貴介選手が続いた。

 その第1戦予選ヒートでは、4周目に1台が転倒するアクシデントが発生。ここでレースは赤旗中断となり、予選ヒートの実施順を後らせて再レースが行われる事態となった。再開された14周のヒートでは、織田選手が松居選手を0.5秒ほど後ろに引き連れたまま走り切って決勝のポールを獲得。松居選手が2番手、中野選手が3番手でゴールした。

 20周の第1戦決勝は開始直後から波乱含みの展開に。スタートで中野選手が2番手に上がると、3番手争いに巻き込まれた松居選手は大混戦の中で痛手を負い、2周目の終わりに車検場へマシンを入れて戦線離脱。4番グリッドの飯野暁介選手は順位を下げ、5番グリッドの本間詠吉選手はスタート直後のスピンでリタイアに。9番グリッドからのスタートで3番手に躍進した栗原暁選手も4周目の終わりにレースを終え、3番手には7番グリッドの関口瞬選手が上がってきた。

 そんな中、トップの織田選手が衝撃的な速さを見せつける。毎周約0.3秒ずつライバルたちを引き離し、そのリードを4周で1秒以上に、7周で2秒以上に拡大したのだ。圧倒的な独走態勢になってからも、織田選手はペースを緩めることなくゴールまで走り続け、7秒以上のリードを築いてチェッカーをくぐった。文句なしのデビューウィンだ。

 ジュニア部門での2年間を経て全日本に上がってきた中野選手は、単独走行を続けてデビュー戦を2位でフィニッシュ。10周目に関口瞬選手をパスした金子壮太選手が、やはり全日本デビュー戦で3ポジションアップの3位表彰台を手に入れた。

FS-125部門 第1戦優勝は織田大和選手(KM Tech with AOYAMA)。
「前日からタイムがすごく速かったので、結構自信を持ってレースができました」と織田選手。「独走になってからは、ひたすらコンスタントにタイムを出すことを考えながら走っていました」と言い、優勝については「めちゃくちゃうれしいです」とコメント。FS-125部門でのレースは体力的にも問題はなかったようだ。
2位は中野貴介選手(YAMAHA MOTOR Formula Blue)、3位は金子壮太選手(チームエッフェガーラ)。
FS-125部門 第1戦表彰の各選手。

 織田選手のスピードは18周の第2戦予選ヒートに入っても衰えを見せず、背後に食い下がる松居選手をじわじわと引き離してトップのままゴールし、またも決勝のポールを獲得した。松居選手は織田選手から1秒強の差の2番手でゴール。松居選手の後ろには本間選手が着けていたのだが、これを終盤に逆転した中野選手が決勝の3番グリッドを得た。

 22周の第2戦決勝では、松居選手が奮起を見せる。スタートこそ中野選手の先行を許したものの、これをオープニングラップのうちに抜き返すと、トップを行く織田選手を0.5秒前後の差で追いかけ、折り返し点を過ぎた辺りには織田選手のテールを捕らえるまでに迫ったのだ。

 しかし、このヒートでも織田選手は破綻を見せなかった。追いついてきた松居選手に再び0.4秒ほどの差をつけると、相手に一度も逆襲のチャンスを与えることなく22周を走り切った。会心の2連勝だ。織田選手はジュニア部門に参戦していた2025年にも、ホームコースである新東京での第1戦/第2戦を連覇しており、2年続けての新東京大会2連勝を飾った。次回、未体験のスピードパーク新潟でもこの速さを維持することができるのか、期待を込めて注目したい。

 2025年の地方選手権もてぎシリーズ(FS-125部門)で優勝も果たして上り調子の松居選手は、全日本初レースでも高いポテンシャルを披露して2位を獲得。中野選手が本間選手との長い接近戦を制して3位となった。

FS-125部門 第2戦優勝は織田選手(KM Tech with AOYAMA)。
「本当にめちゃくちゃうれしいです。メカニックさんのセットアップもよくてマシンに助けられた部分もあったんですが、自分も最後まで集中して走れました」と喜びをあらわにする織田選手。後続との接戦について「自分にペースがあると分かっていたので、自信もあったし、そんなに焦ることはありませんでした」と振り返った。
2位は松居寿來選手(K.SPEED WIN)、3位は中野選手(YAMAHA MOTOR Formula Blue)。
FS-125部門 第2戦表彰の各選手。

ジュニアカート選手権 ジュニア部門 第1戦/第2戦(ラウンドシリーズ2)

 この大会ではジュニアカート選手権・ラウンドシリーズ2の第1戦/第2戦が同時開催された。そのうちジュニアカデット部門は不成立となり、ジュニア部門のレースが6台の参加で行われた。ジュニア選手権は全日本と異なり、予選ヒートは1大会で一度のみ。第1戦も第2戦も、この予選ヒートの順位がスターティンググリッドとなる。

 予選ヒートでは粂川輝空斗選手、阿部瑠緯選手、稻田慧選手がトップ争いを繰り広げ、粂川輝空斗選手が真っ先にゴールしてふたつの決勝のポールを獲得することとなった。阿部選手は2番手、稻田選手は3番手だ。

 16周の第1戦決勝でもホットな戦いは続き、粂川輝空斗選手、阿部選手、稻田選手の先頭集団に粂川輝陽斗選手も加わって、序盤戦は4台のバトルとなった。この集団からやがて阿部選手が抜け出すと、1秒以上のリードを構築。終盤には粂川輝空斗選手に接近された阿部選手だったが、危なげなくトップの座を守り切って勝利を遂げた。0.5秒弱後れての2位フィニッシュは粂川輝空斗選手。稻田選手が3位となった。

ジュニア部門 第1戦優勝は阿部瑠緯選手(ミツサダ PWG RACING)。
「公式練習で事故ってしまって、タイトラも悪くて、予選は2番手で……。自分的にはタイトラも予選も(トップを)獲れたら良かったんですけどね」とジュニア部門のマシンには手を焼いていたという阿部選手。「終盤に2番手が近づいてきた時は『どうしよう』と思ったけれど、失敗しないでちゃんといけて良かったです」
2位は粂川輝空斗選手(チームエッフェガーラ)、3位は稻田慧選手(SPS川口)。
ジュニア部門 第1戦表彰の各選手。

 18周の第2戦決勝でも粂川輝空斗選手、阿部選手、稻田選手が一丸となってトップ争いを繰り広げたのだが、折り返し点を過ぎたところからまたも阿部選手が独走状態へと持ち込み勝利を遂げた。2025年のジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ1)チャンピオンの阿部選手は、フルサイズのシャシーに乗り換えてのジュニア部門デビューで堂々の2連勝だ。2位は粂川輝空斗選手。3位は稻田選手と、第1戦と同じ顔触れが同じ順位の表彰台に立ってこの大会を締めくくった。

ジュニア部門 第2戦優勝は阿部選手(ミツサダ PWG RACING)。
「前半のバトルはキツかったけれど、落ち着いて走れば速いんだと(チームに)聞かされていたことを思い出してからは、焦らずに走ることができました」と阿部選手。「2回連続で勝てたことは大きかったですね。全勝することが一番の目標なので、この先もずっと勝ち続けて、気持ちよくこのシリーズを終わりたいです」
2位は粂川輝空斗選手(チームエッフェガーラ)、3位は稻田選手(SPS川口)。
ジュニア部門 第2戦表彰の各選手。

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、長谷川拓司[Takuji HASEGAWA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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