シーズン開幕! 横井、藤野、中村の三つ巴は今年も熱い!

レポート ドリフト

2026年5月25日

26年目を迎えたD1グランプリシリーズがシーズンインした。舞台は初の試みとなる中部国際空港セントレアに直結した愛知県国際展示場「スカイエキスポ」の駐車場に造られた特設コース。初開催となったスカイエキスポ特設コースは、見た目以上に難易度は高く、単走(予選)は2戦とも中村直樹選手、第1戦は横井昌志選手、第2戦は藤野秀之選手が制した。

2026年 JAF日本ドリフト選手権 D1グランプリシリーズ Rd1/Rd2 愛知大会
開催日:2026年5月8~10日
開催地:スカイエキスポ(愛知県常滑市)
主催:株式会社サンプロス

 コースレイアウトは例年最終戦で使用されるお台場特設コースと似た雰囲気ではあったが、総面積はお台場の1.5倍ほど。ゆえに全域において車速が高く、スタート直後のストレートで最高速度は120km/h以上におよぶ。

 コーナーのRも大きくアクセル全開時間が長くなる傾向で水温や油温、タイヤマネジメントなどマシンへの負担も大きいラウンドとなった。想定外だったのはコースを横切る2本の排水溝で、溝の周囲はそれ以外の部分よりも低いために路面が一律フラットとは言い難く、マシンの挙動をいかにコントロールするかが勝負のキモとなった。

26年目を迎えたD1グランプリシリーズ開幕戦の舞台は、初開催となる愛知スカイエキスポ。中部国際空港に隣接するロケーションで、アスファルト舗装の屋外イベントスペースである多目的利用地が使用された。
会場は交通アクセスがよく、予選日からの3日間で約1万4000人を集客。入場無料の物販エリアや関連メーカー&ショップのブース出展には多くのドリフトファンで賑わった。また、指定席購入者は単走終了後の昼休みにピットエリアを見学でき、マシンを間近に見られるばかりか選手との写真撮影やサインがもらえたりするなど、走り以外にもD1グランプリを楽しんだ。
コース上には排水溝があり、集水のため溝に向かって路面にわずかな勾配がついている。選手からは「アスファルトの質はお台場よりいいけど、うねりがキツイ。難易度はお台場以上」との声が多かった。コーナリング中や振り返しS字で乱れやすくなる挙動をいかにコントロールするかが問われ、路面追従性を稼ぐ足まわりのセットアップは高度なレベルが要求された。
コースはセクター2のアウト側、セクター3のイン側、セクター4のアウト側、そしてセクター5のアウト側の計4箇所にゾーンが設けられた。
トークショーではゲストとして土屋圭市氏が来場。D1GP創設者が久しぶりにマイクの前に帰り、「カッコよければいいんだ」との言葉に選手も奮い立った。解説は昨年に引き続き熊久保信重氏が務め、審判員は神本寿氏、古口美範氏、春山隆氏の3人体制で行われた。

第1戦

単走部門

 今回、初めての試みで単走予選の通過台数が増加された。通常のD1GPでは単走予選の上位16人が追走決勝のラダーに入るが、単走上位24人が追走に進出できる方式となった。単走上位8人はシードとしてベスト16ラダーへ進み、9位から24位が争って上の枠に進出する。これまでよりも多くの選手に追走進出の可能性があるだけでなく、観客もドリフトの真髄たる追走を多く楽しめるラウンドとなった。

 第1戦単走結果での特筆すべき点は、まだフル参戦3年目以下の顔ぶれがベスト16圏内に入ったことだ。1年目の栁和孝選手(15位)、2年目の稲岡拓也選手(6位)、石井亮選手(5位)、玉城詩菜選手(4位)の走りは堂々たるもので、若いドライバーによる世代交代を想像するのに十分な存在感を見せつけた。

 そして、前日の練習からマシントラブルに陥る選手も多いなか、単走で突出したのは98.46ポイントをマークした目桑宏次郎選手。横井選手の昨年のマシンを引き継ぎナックルのみを自身作に変更したようで好調な走りを見せた。しかし、その上を行く選手がいた。AグループからCグループが終わるまでは目桑選手が唯一の98ポイント台だったが、中村直樹選手が、誰の目にもそれを上回る圧巻の走りで99.1ポイントをマークし単走優勝となった。なお、目桑選手は2位、3位は97.82ポイントの松山北斗選手だった。

新たな4選手が参戦

 D1ライツからのステップアップで栁和孝選手(SIM supportSPARK×GarageHANGOUT)(左上)、FDJのトップドライバーから金田義健選手(CUSCO Racing)(右上)、同じく玉川艶哉選手(CARGUY Team G-meister VALINO B)(左下)、海外勢は台湾から参戦した徐壘選手(D1TAIWAN DTMRS)(右下)。

単走部門優勝の中村直樹選手(Team VALINO WORKS)。
「昨年最終戦のお台場対策として開発されたDG-5車高調が、アンジュレーションの大きい路面にしっかり対応してくれました。アクセルを踏める時間が増え、トラクション性能も非常に良かったです」と攻略のポイントを語った中村直樹選手。

追走部門

 ベスト8は半数が参戦1~2年目となるフレッシュな顔ぶれとなった。参戦1年目の栁選手は目桑選手に、2年目の稲岡選手は下田紗弥加選手に、石井選手は畑中夢斗選手に、玉城選手は岩井照宣選手にそれぞれ勝利した。

 この中で唯一ベスト4に進出した玉城選手はこの時点で自身最上位、しかし大ベテラン横井選手の壁は厚く敗退。だが、もう片方の準決勝、松山選手と蕎麦切広大選手の追走で、もしも松山選手が勝利すれば単走順位の関係で自身が3位となる可能性があった。しかし松山選手は蕎麦切選手に破れ3位表彰台には届かなかった。とはいえ玉城選手はD1グランプリ史上で女性最上位の4位を獲得した。

 決勝戦に残った横井選手、蕎麦切選手の二人はともにシバタイヤ装着で本拠地は愛知県。地元を代表する選手が最終バトルのスタートラインに着き会場は盛り上がったが、勝敗はあっけなく決着した。

 1本目、横井選手の先行時に後追いの蕎麦切選手が1コーナーでスピン。そのままマシンはピットへ戻ったがタイロッドが破損していた。修復を試みるも時間切れとなり、2本目を待たずして横井選手が新チーム体制で3年ぶりの優勝を果たした。

第1戦追走部門優勝の横井昌志選手(Mind Control Racing SHIBATIRE)。
今年は心機一転プライベートチームからの参戦となった横井選手。D1GP参戦時代からの相棒S14シルビアで3年ぶりの勝利を飾り”横井復活”の狼煙をあげた。
第1戦追走部門の2位は蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM)、3位は松山北斗選手(Team TOYOTIRES DRIFT 2)。
第1戦追走部門表彰の各選手。

第2戦

単走部門

 第2戦の単走は第1戦と同じレイアウトで行われた。コースにも慣れたせいか98ポイント台が9人、99ポイント台が2人と得点を伸ばす選手が多かった。だが、結果的には第1戦と同様、中村直樹選手の独壇場だった。1本目に前日を超える99.4ポイントを出すと2本目でなんと100ポイントを超える100.6ポイントをたたき出す。速度、角度、ゾーンに対するラインメイクのすべてが完璧だった。なお、2位は99.47ポイントの村上満選手、3位は99.02ポイントの畑中選手だった。

 第1戦に続きルーキーも活躍した。今ラウンドがデビュー戦のルーキーでは、栁選手が第1戦の15位を上回る10位で2戦連続追走に進出。第1戦で惜しくも予選落ちとなったルーキーでは、西山大貴選手、金田義健選手、玉川艶哉選手がそれぞれ16位、20位、24位で予選を初通過し、下田選手や手塚強選手、粂哲也選手らも合わせると追走進出は1/3に迫るフレッシュな顔ぶれとなった。

第2戦の単走部門優勝は中村直樹選手が2連勝。
前日の第1戦では追走時の先行DOSS得点も99ポイント台を連発していた中村直樹選手は、第2戦も完璧なコース攻略で100ポイントを超えた。

追走部門

 単走のベスト24人で戦う追走決勝に駒を進めたのは藤野選手。前戦の追走初戦で敗れたPOP選手を下し、2025年最終戦で敗れた中村直樹選手にリベンジを許すことなく勝ち上がった。一方、決勝相手となる蕎麦切選手は手塚選手、多田康治選手、横井選手といった中部勢を次々に破り”中部代表戦”を制した勢いそのままに決勝へ進出した。

 一方、単走ばかりか追走でもDOSS得点99ポイント台を連発した中村直樹選手だが、藤野選手との準決勝先行スタートでパイロンタッチを喫し痛恨の減点。しかしそのあとの後追いでフルマーク15ポイントの神技でまさか逆転かと思わせた。だが、藤野選手のDOSS得点も99ポイント台と高く、その差1ポイントで惜しくも3位となった。

 決勝の1本目は、蕎麦切選手が後追いで接近ポイント14ポイントを取るが、藤野選手はゾーン1のコースアウトで減点。しかし、藤野選手はDOSS得点で99対96.3と蕎麦切選手を上回る。この時点では14ポイント差で蕎麦切選手がリードの2本目、藤野選手の後追いは蕎麦切選手よりも接近度が高く、先行の蕎麦切選手も随所でコントロールミスが見られた。だが、この差はわずかに思われ勝者が判断しづらく、サドンデスになってもおかしくない内容だった。

 審査の結果、藤野選手の後追いポイントは14.3ポイント。先行時のDOSS得点は蕎麦切選手が2.2ポイント高かったがそれでも97.8ポイント。さらに減点が4ポイント入ったことで最終的に藤野選手が1.8ポイント差で逆転し、D1GPシリーズ通算7回目の勝利を手にした。

第2戦追走部門優勝は藤野秀之選手(Team TOYOTIRES DRIFT 1)。
「第1戦で負けたPOP選手と再勝負になったことがややプレッシャーにもなった」という藤野選手だが、逆にその接戦を制したことで勝ちに行く気持ちが高まったという。
2位の蕎麦切選手と、3位の中村直樹選手。
第1戦追走部門表彰の各選手。

PHOTO/SKILLD川﨑隆介、小竹充[Mitsuru KOTAKE]、今村壮希[Souki IMAMURA] REPORT/SKILLD川﨑隆介、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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