D1エビス第5戦で藤野秀之選手が、第6戦は蕎麦切広大選手が他を圧倒!

レポート ドリフト

2025年10月3日

前戦の筑波ラウンドから3か月、後半戦のD1グランプリは昨年同様にエビスラウンドを舞台に開催された。4戦中3勝でランキングトップの目桑宏次郎選手(VALINO TEAM G-Meister)が第5戦を欠場したことで、シリーズ争いに波乱が起きるかもしれないといった憶測が飛ぶ中、コースのゾーン配置が昨年から変わり選手を悩ませ、金曜日の練習走行からクラッシュの多い波乱含みのラウンド開始となった。また、絶対王者として名高い齋藤太吾選手(FAT FIVE RACING)が今季初参戦し、昨年のチャンピオン中村直樹選手(TEAM VALINO × N-STYLE)が今ラウンドからGR86にマシンチェンジしたことも大きな話題となっていた。

2025年 日本ドリフト選手権
2025 D1グランプリシリーズ 第5戦 第6戦
エビス大会
開催日:2025年9月26~28日

開催地:エビスサーキット 西コース(福島県二本松市)
主催:株式会社サンプロス

エビスサーキットの西コースを使用したレイアウトは、ストレートから1コーナーの進入ラインをあえてS字になるように制限。さらにゾーン2は去年のアウトに対しインに設定。そこまでのコース幅も狭く制限され、難易度は今まで以上となった。左足ブレーキのうまさも成績を左右する要因だったと思われる。

第5戦

単走部門

 予選を兼ねた単走には全33台が出走した。審査区間は先月当地で開催されたD1ライツとほぼ同じで、逆振り進入が強制となる1セクター。そしてアウト側に配置されたゾーン1から2セクターのゾーン2に繋げるラインが去年とは異なりイン側に配置された。このため、時速145~150km近傍での速度からS字の振り返しを伴って一気に減速するブレーキ&ラインメイクの技術を問う審査区間となった。

 ここで圧倒的な走りを見せたのは去年当地で2連勝を挙げた蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM)で、唯一の98点台後半をマーク。ルーキーも3名が通過した中、成長株の中村龍選手(TEAM MORI)は父親の中村直樹選手を超える得点で2位に食い込み周囲を驚かせた。

第5戦単走部門優勝は蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM)。
蕎麦切選手は去年に続きエビス西では他を圧倒することになった。
前線筑波ラウンドでプロペラシャフトが折れるトラブルに見舞われた田中省己選手(SEIMI STYLE SHIBATIRE DRIFT)のシルビアは、ボディへのダメージも大きく乗り換えることになった。第5戦の朝にギリギリで完成したにもかかわらず予選では進入速度最速(時速152.83km)で通過した。

追走部門

 準決勝に進んだのは蕎麦切選手、中村直樹選手、藤野秀之選手(Team TOYO TIRES DRIFT 1)、中村龍選手。 D1グランプリ史上初の親子対決かと期待が高まる中、中村直樹選手は駆動系トラブルで蕎麦切選手に敗北。中村龍選手は名手藤野選手に対してサドンデスまで持ち込む健闘を見せたが、最後は接触して決勝進出ならず。

 結果、決勝戦は蕎麦切選手と藤野選手の対戦となった。1本目は蕎麦切選手が先行。藤野選手が後追い点14.7の今戦最高得点をマーク。入れ替えて蕎麦切選手も高いレベルの後追いを見せたが、これには及ばなかった。

第5戦追走部門優勝は藤野秀之選手(Team TOYO TIRES DRIFT 1)。
藤野選手が最後まで集中力を切らさず勝利。勝因として、チームメンバーは「藤野選手はぶつけられるとスイッチが入る」と笑うが、その状況下で闘志を燃やすしつつ冷静さを欠かないところが藤野選手の強み。また、藤野選手が2023年にチャンピオンを獲得したときのスポッターを今年また起用しているのも勝因のひとつだと思われる。
今年デビューの中村龍選手はディフェンディングチャンピオン中村直樹選手の長男で19歳。今回予選、総合成績ともに中村直樹選手を超えた。中村直樹選手と同じチームではなく、チームMORIのドライバーとして参戦。監督の森氏はカスタム界ではトップチューナーとしても有名で、自身もD1ライツに参戦するドリフトドライバーでもある。S13シルビアは中村龍選手が乗り慣れた車種で、搭載エンジンは2JZ3.4Lだ。
第5戦の優勝は藤野選手、2位は蕎麦切選手、3位は中村龍選手、4位は中村直樹選手、5位は齋藤太吾選手、6位は粂哲也選手、7位は田中選手、8位は和田賢志郎選手、9位は横井昌志選手、10位は山中真生選手、11位は多田康治選手、12位は日比野哲也選手、13位は田野結希選手、14位は松山北斗選手、15位は畑中夢斗選手、16位は川畑真人選手。

第6戦

単走部門

 第5戦と同じレイアウトで開催された翌日の第6戦。横井昌志選手(TEAM D-MAX RACING)が唯一の98点台をマークして、小数派となったシルビア系エントラントの中で意地を見せたが、その後走った松山北斗選手(Team TOYO TIRES DRIFT 2)が唯一となる99点台を叩き出して単走優勝を遂げた。

第6戦単走部門優勝は松山北斗選手(Team TOYO TIRES DRIFT 2)。
進入速度に誰よりもこだわり参戦し続けている松山選手は、アプローチで審判員が推奨する荷重移動強めのやや深い振り返しではなく、クイックモーションで直線的に1ゾーンを通過した。DOSS(D1オリジナルスコアリングシステム)が求める高得点を狙うだけでなく「個性」も重要視している数少ないトップドライバーだ。

追走部門

 97点台を2本出して単走3位となった蕎麦切選手は、ベスト8で前日の決勝戦で敗れた藤野選手にリベンジを果たし、ベスト4ではチームメイトの日比野哲也選手(SHIBATA RACING TEAM)に勝利する快進撃。決勝戦の相手は前日の準決勝で対戦した中村直樹選手だ。

 この対戦は、昨年の第6戦の決勝戦と同じカードで、昨日も合わせると連続で蕎麦切選手に破れている中村直樹選手の闘志は並々ならぬものがあっただろう。しかし、1本目の中村直樹選手先行で約9ポイント蕎麦切選手がアドバンテージを取り、2本目で中村直樹選手が後追いで完全に捉えられず8点。しかもDOSS得点で蕎麦切選手の98.3に対し92.7と落とし、勝敗は決まった。

第6戦追走部門優勝は蕎麦切選手。
第5戦では単走優勝からの総合準優勝、第6戦でも総合優勝と着々とポイントを稼いでランキングトップに浮上した蕎麦切選手。参戦6年目で4勝目。3勝はここエビス西コースで挙げている。昨年のランキングは4位。チャンピオン獲得に向けて大きく前進した。
エビスラウンド2戦のベスト16の中で2JZエンジン搭載ではないマシンは蕎麦切選手のGR86のみ。VR38改4.1Lのトルクは圧倒的有利だということも証明された形だ。本人はスタートに苦手意識があるようだが、それも圧倒的なトルクをどうコントロールするかにかかっているということだろう。
第6戦の優勝は蕎麦切選手、2位は中村直樹選手、3位は山中選手、4位は日比野選手、5位は川畑選手、6位は藤野選手、7位は粂選手、8位は田野選手、9位は松山選手、10位は横井選手、11位は石川隼也選手、12位は和田選手、13位は中村龍選手、14位は上野高広選手、15位は齋藤選手、16位は星涼樹選手。
金曜日の練習走行はクラッシュ連発。中でも松川和也選手(広島トヨタ team DROO-P)のAE86(ベースはAE85)は横転&炎上しエンジンにも被害が及んで廃車にするほどのダメージ。2GRエンジン搭載の個性的マシンがまた復活するのか、大いに気になるところだ。

PHOTO/SKILLD、小竹充[Mitsuru KOTAKE] REPORT/SKILLD、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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