D1第7戦は蕎麦切広大選手が勝利、第8戦は史上初の親子対決が実現

レポート ドリフト

2025年10月31日

最終戦のお台場ラウンドに出場するにはポイントを獲得する必要があるため、シリーズランキング争いという意味だけではなく多くの選手にとって正念場となったオートポリス連戦。例年通りにストレートを逆走し、最終コーナーが1コーナーとなるレイアウトだが、スタート地点がやや前進しゾーンの位置も変更され、去年までのコース慣れが通用しにくい状況に。ランキング首位の蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM)が第7戦を勝利してポイントリーダーの座を守った翌日、なんと第8戦の決勝戦はD1グランプリ史上初の親子対決となり、ヤングジェネレーションによる世代交代の勢いはますます激しくなってきた。

2025年 日本ドリフト選手権
2025 D1グランプリシリーズ 第7戦 第8戦
オートポリス大会

開催日:2025年10月24~26日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:株式会社サンプロス

昨年同様に審査員団はコントロールタワーのモニター室で審査。コースが広くタイヤスモークでゾーンのトレースが確実にチェックできないためだ。なお、筑波サーキットでもこういった審査スタイルとなっている。

第7戦

単走部門

 シリーズランキング2位でオートポリスラウンドを迎えた藤野秀之選手(Team TOYO TIRES DRIFT 1)は、チャンピオン獲得への一歩として単走をまず制した(今季初)。これで単走ランキングも4位とランクアップ。ちなみにこの時の進入速度は時速148kmで、予選通過者の中では齋藤太吾選手(FAT FIVE RACING)の時速166kmがダントツだった。

第7戦単走部門優勝は藤野秀之選手(TEAM TOYO TIRES DRIFT 1)。
チャンピオン争いが佳境を迎えようする中、単走勝利によってより戦いやすい状況になった藤野選手。

追走部門

 今季のシバタイヤユーザーの勢いは目覚ましく、ランキング2位の藤野選手(トーヨー)と5位の中村直樹選手(TEAM VALINO × N-STYLE:ヴァリノ)を田中省己選手(SEIMI STYLE SHIBATIRE DRIFT:シバタイヤ)が破り、ランキング4位の目桑宏次郎選手(VALINO TEAM G-Meister:ヴァリノ)を日比野哲也選手(SHIBATA RACING TEAM:シバタイヤ)が破ったことで、ランキングトップの蕎麦切選手(シバタイヤ)を援護射撃。田中選手はオートポリスで3年連続の決勝戦進出となり、今度こそはと初優勝を期待されたが、自身のミスによる接触でまたも優勝を逃してしまった。

第7戦追走部門優勝は蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM)。
チームメイトらの援護射撃もあって勝利を収めた蕎麦切選手。
2位となった田中省己選手(SEIMI STYLE SHIBATIRE DRIFT)はベスト8で藤野選手を撃破し、ベスト4では宿敵と言える中村直樹選手(TEAM VALINO × N-STYLE)に勝利。チームシバタイヤのエース蕎麦切選手のランキング死守をフォローした形となった。これで4度目の決勝戦進出となったが、2本目の後追い時に先行車の白煙でラインが見えず衝突&コースアウト。またしても頂点に手が届かなかった。
第7戦の優勝は蕎麦切選手、2位は田中選手、3位は中村直樹選手、4位は日比野哲也選手、5位は藤野選手、6位は目桑宏次郎選手、7位は畑中夢斗選手、8位は多田康治選手、9位は横井昌志選手、10位は村上満選手、11位は川畑真人選手、12位は石井亮選手、13位は森孝弘選手、14位は齋藤太吾選手、15位は稲岡拓也選手、16位は山中真生選手。

第8戦

単走部門

 翌日の第8戦もコースレイアウトは同じ。しかし朝から濃霧&ウェット路面で予選はグループ選抜方式となった。これはD1グランプリ特有の予選方法で、天候不良による場合の走行順の有利不利を緩和するために採用されている。しかしすぐに路面はドライになり出走順(クジ引き)が予選の通過を左右する状況に。

 ルーキーの多田康治選手(CUSCO Racing)が連続通過し、玉城詩菜選手(Team TOYO TIRES DRIFT 3)が初通過。前戦は不通過だった星涼樹選手(CUSCO Racing)と中村龍選手(TEAM MORI)も通過したが、前戦2位の田中選手、同じく4位の日比野選手が予選不通過、村上満選手(Repair Create × Result Japan)はウェット路面に苦戦し、松山北斗選手(Team TOYO TIRES DRIFT 2)はチーム入りして初の2戦連続予選不通過となってしまった。

ストレートから最終コーナー(D1グランプリでは1コーナー)を望む。朝から濃霧でウェット。雨は降っておらずAグループ後半で路面は乾き始めた。
第8戦単走部門優勝は蕎麦切選手。前日の3位から1ポイントアップで唯一の99点台をマークし、今季2度目の単走優勝を獲得。これで単走ランキングは2位の横井選手に1ポイント差をつけて首位となった。前日の決勝中に99点台をマークしたチームメイトの日比野選手のアドバイスもありこの好結果につながったそうだ。

追走部門

 第8戦の追走は、ベスト4の時点で第7戦をワンツースリーで独占したシバタイヤユーザーが全員敗退。代わって台頭してきたのがヴァリノユーザー。最若手の中村龍選手は予選を15位で通過して目桑選手、横井選手(エンジントラブル)、藤野選手に勝利。この時点で筑波での4位を上回る自身最上位でかつ決勝進出の最年少記録となる。

 そして決勝戦の相手は、ここまで山中真生選手(ウエインズトヨタ神奈川 × 俺だっ! レーシング)、蕎麦切選手、そして川畑真人選手(Team TOYO TIRES DRIFT 1)を後追いでフルマークに追い込んで撃破して勢いに乗るヴァリノのエース、中村直樹選手。ついにD1グランプリ史上初の親子対決が実現した。勝ったのは中村直樹選手だった。

第8戦追走部門優勝は中村直樹選手。
中村直樹選手は、蕎麦切選手との対戦で14.7点、川畑選手(Team TOYO TIRES DRIFT 1)との対戦では後追い点12.7点を取られた後のフルマーク15点(すべてのセクターで満点)を取り、自他共に認める「後追いの天才」を発揮。これでランキング5位をキープし、昨年のシリーズチャンピオンはお台場に向けて連覇の可能性をわずかに残した。
第8戦の優勝は中村直樹選手、2位は中村龍選手、3位は川畑選手、4位は藤野選手、5位は蕎麦切選手、6位は齋藤選手、7位は粂哲也選手、8位は横井選手、9位は目桑選手、10位は山中選手、11位は松井有紀夫選手、12位は石川隼也選手、13位は玉城詩菜選手、14位は星涼樹選手、15位は上野高広選手、16位は多田康治選手。

今大会活躍のルーキー

19歳の中村龍選手は、ベスト16で目桑選手に勝利し、ベスト8では横井選手のエンジントラブルにより今年2度目のベスト4進出。藤野選手に後追い点13をつけてD1グランプリ史上最年少の決勝進出を果たした。「もっとも緊張する対戦相手」と勝負前のインタビューでコメントした通り、父親中村直樹選手との決勝戦では先行時にこの日もっともラインを外してしまった。今年のD1グランプリには親が元選手の2世ドライバーが3名いるが、中村家は親子で同時に参戦していること、そして2世が決勝戦まで進出したことで他を一歩リードしている。
多田康治選手(CUSCO Racing)は初走行のオートポリスで2戦連続予選通過し、これで追走進出率は5割。第7戦の追走で横井選手に勝利したのは大金星であるし、続くベスト8でも中村選手と対決し負けはしたが遜色ない追走を見せた。翌第8戦では蕎麦切選手と対決し実力差を痛感したが、この2戦でランキングトップと対戦した経験は大きいだろう。
今年デビューのルーキーで紅一点の玉城詩菜選手(Team TOYO TIRES DRIFT 3)は第8戦で初の追走進出。ベスト16で粂哲也選手(TEAM BUZZBREAK DRIFT)に敗退したが、チームトーヨーの一角として存在感をアピールした。彼女はD1地方戦を経てD1ライツに参戦。2024年で着実にポイントを稼いですぐにD1グランプリに昇格。チームメイトの藤野選手が経営する会社に勤務している。

PHOTO/SKILLD、小竹充[Mitsuru KOTAKE] REPORT/SKILLD、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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