復活の十勝Jr.で由田兼三選手が北海道ジムカーナ初優勝!

レポート ジムカーナ

2026年6月16日

北海道ジムカーナ選手権 第3戦が5月31日、北海道更別村の十勝インターナショナルスピードウェイのジュニアコースで開催された。第1~2戦を新千歳モーターランド アクティブ・セーフティ・パークで戦い、第3戦は十勝Jr.に舞台を移した。4つのコースレイアウトを持つ十勝の中でも、今回は近年使用されてきたジムカーナコースではなく、全長1700mの十勝Jr.。このコースでの開催は2015年を最後におよそ11年ぶりとなった。

2026年JAF北海道ジムカーナ選手権 第3戦
2026年JMRC北海道WinmaXジムカーナシリーズ第3戦
2026年JMRCオールスター選抜 第3戦
2026 TOKACHIショートトラックジムカーナ[Jr]

開催日:2026年5月31日
開催地:十勝インターナショナルスピードウェイ ジュニアコース(北海道更別村)
主催:TOSC

 2015年8月以来、約11年ぶりに復活した十勝Jr.での地区戦開催。その実現に尽力したのが小野寺俊選手だ。

「クルマ好きにとって、やはりスピードが乗るコースは魅力的なんです。10数年前、この十勝Jr.コースではタイムアタックやジムカーナが盛んに行われていて、私自身もよく走っていました。しかし、次第にジムカーナ人気が落ち込み、開催数や参加台数が減少傾向になる中で、サーキット内に新たに専用のコースができて、ジムカーナはそちらで行われるようになりました。ただ、そのショートトラック(ジムカーナコース)では速度域が低く、パイロン区間も少ないため、迫力や面白さという点では物足りなさがあったんです」と、これまでの経緯を話してくれた。

 そうした思いが十勝Jr.復活開催への原動力となり、3年ほど前から主催者へ働きかけを続けてきた。近年は若手ドライバーの参戦も増えており、彼らにハイスピードコース開催について意見を聞いたところ、多くの賛同を得られたことも後押しとなった。そして今年、ついに念願だった十勝Jr.での地区戦が実現した。

 まさに雲外蒼天のごとく、空は快晴の絶好のジムカーナ日和。会場では各クラスで白熱したバトルが繰り広げられ、久々のハイスピードコース復活を大いに盛り上げた。

地区戦と併催のJMRCミドル部門を合わせ58台がエントリー。10年以上も前の十勝Jr.でジムカーナを経験しているのはわずか10名足らず。多くのドライバーにとって未知のスピードレンジでの戦いとなった。また、前日の練習走行から全日本スラローマーの河本晃一選手が駆けつけ、ドライバーに攻略法をアドバイスした。
開催に尽力した小野寺俊選手は札幌市でショップ「ガレージシンシア」を営む。北海道のジムカーナ界を牽引するスラローマーであるほか、スポットで全日本ジムカーナにも挑む。今回もH-BC2クラスに参戦した。
最大の難所となったのは、最終コーナーを全開で立ち上がった直後に待ち受けるパイロンセクション。高速域から一気にテクニカル区間へ切り替わるため、急減速から8の字への体勢に素早く対応できるかが勝負の分かれ目となった。ドライバーズブリーフィングでは、脱輪判定などについても詳細な説明が行われた。

2026年JAF北海道ジムカーナ選手権 第3戦
2026年JMRC北海道WinmaXジムカーナシリーズ第3戦チャンピオン部門

H-PN1クラス

 H-PN1クラスは排気量制限なし、AT搭載を含むFFかFRのPN車両および全てのP・AE車両が対象。その中でも、PN車両を中心に競われている。

 開幕から2戦を終えた時点で、ディフェンディングチャンピオンの米澤匠選手がポイントリーダー。7ポイント差で2025年シリーズ2位の由田兼三選手が追う展開となっている。

 迎えた第3戦、第1ヒートで1分11秒596のトップタイムをマークしたのはZD8型スバルBRZを駆る由田選手。2番手には1分13秒507でGR86を操る河原浩幸選手、そして「このコースは(マツダ・)ロードスターには厳しいですね」と語る米澤選手が1分14秒台で3番手につけた。

 第2ヒートでは、三輪紀仁選手が1分13秒329で2番手に浮上。さらに北村拓也選手がそのタイムを0.017秒更新し、2番手争いは激しさを増す。しかしトップの由田選手は、第2ヒートも自己ベストを約0.4秒更新する1分11秒173をマーク。盤石の走りで優位を築いた。

 一方、クラスラストゼッケンの米澤選手はサーキット区間で4輪脱輪の判定を受けノータイム。第1ヒートのタイムが採用され6位に沈み、由田選手が圧倒的な速さで優勝を飾った。

「前日の練習会で河本(晃一)選手のレッスンを受け、いつも以上に落ち着いて走ることができました」と語る由田選手は「焦らず、一歩引いた状態で確実に決めることの大切さを改めて感じ、それを実戦で生かせたと思います」と勝因を分析した。

 昨年関東から移転してきた由田選手にとって、地区戦優勝は関東時代を含めても初めて。この初勝利でポイントリーダーに浮上し、タイトル確定へ向け大きな1勝となった。

H-PN1クラス優勝は由田兼三選手(シンシアMotysBRZコサ犬)。
H-PN1の2位は北村拓也選手(シンシアDLBRZ)、3位は三輪紀仁選手(GRG☆BS☆ZN8)。
H-PN1表彰は左から4位の河原浩幸選手、2位の北村選手、1位の由田選手、3位の三輪選手、5位の山口武人選手。

H-BC1クラス

 H-BC1クラスは、AT搭載を含む2WDのN・SA・B・SAX・SC車両が集う。H-PN1より改造範囲が広く、更に尖ったジムカーナ車両がしのぎを削る。

 開幕2連勝中だったディフェンディングチャンピオンの成瀬悠人選手が、前日の練習でミッショントラブルに見舞われ、急きょホンダ・シビックから築山拓也選手のZC33S型スズキ・スイフトスポーツへ乗り換えてダブルエントリーとなった。

 第1ヒートでトップタイムとなる1分14秒658を記録したのは、レディスドライバーのナツキ選手。2番手にはシリーズでも2番手につける宮田祐次選手、3番手には浅野晴海選手が続いた。一方、1台の車両をシェアすることになった成瀬選手と築山選手はそろって4輪脱輪でノータイムとなり、波乱の展開となった。

 第2ヒートでは1番走者の浅野選手が1分14秒068でトップタイムを更新。ナツキ選手はタイムダウンで逆転ならず。築山選手もタイムを残したが約0.5秒届かず2番手止まり。その中、一気にトップに躍り出たのが宮田選手だった。サーキット区間で浅野選手を約0.3秒上まわり、パイロン区間でも差を広げ、1分13秒246をマーク。ラストの成瀬選手は借用の慣れない車両に苦しみ、6位に終わった。

 逆転優勝の宮田選手は「1本目はパイロン区間でステアリングを滑らせて失敗しましたが、2本目はパイロン区間の手前でサーキット区間の感覚からリズムをしっかり切り替え、スピードコントロールできたのが良かったと思います」と振り返り、さらに「今回は他の選手のトラブルに助けられた部分はありますが、そのチャンスを逃さず優勝できたのは非常に嬉しいです。地区戦優勝は32スイフト時代以来なので、もう10年以上前になります」と、久々の勝利に笑顔を見せた。

H-BC1クラス優勝は宮田祐次選手(SCENEマダオYHスイフト)。
H-BC1の2位は浅野晴海選手(CENE☆YH☆MR2)、3位は築山拓也選手(SCENEエリアSスイフトYH)。
H-BC1表彰のトップ3選手。

H-BC2クラス

 H-BC2クラスは、AT搭載を含む4WDのN・SA・B・SAX・SC車両が対象となる。GRヤリスを中心に、四駆ターボ勢が競っている。

 十勝Jr.復活の仕掛け人でディフェンディングチャンピオン、開幕2連勝中の小野寺選手が第1ヒートから1分13秒431のトップタイムをマーク。木村司選手が0.09秒差で続いた。

「サーキット区間は、あえてコース幅をフルに使わず走りました。2本目はもっとタイムを詰められると思います」と語った小野寺選手は、第2ヒートでその言葉どおりの走りを見せた。サーキット区間で約0.45秒、パイロン区間でも大幅なタイムアップを果たし、トップタイムを2秒以上更新する1分11秒086を記録した。

 後続勢も追い上げを見せたが、逸見将吾選手は1分12秒台、木村選手もわずかな更新にとどまり、小野寺選手が圧倒的な速さで優勝した。

「周囲の方々から『パイロン区間も速かった』と言っていただけたので、自信になりました。実は今回が初のオーバーオールタイムでの優勝なので、非常に嬉しいです」と笑顔で語った小野寺選手は、昨年から続く連勝を5に伸ばした。

H-BC2クラス優勝は小野寺俊選手(シンシア★ワコーズDL★ヤリス)。
H-BC2の2位は逸見将吾選手(DL☆タクモ☆蒼インプ)、3位は木村司選手(T箱シンシアRSK・DLヤリス)。
H-BC2表彰の上位2選手。

2026年JMRC北海道WinmaXジムカーナシリーズ第3戦ミドル部門

R-ATクラス

 R-ATクラスは、いわゆる“オートマ免許”で運転できるP・PN・N・SA・SAX・AE車両が対象で、駆動方式や排気量制限はない。ATやCVTを搭載する、ツーペダル車両限定のクラスだ。

 このクラスは三つ巴の戦いとなり、トヨタ・プログレを駆る猿川仁選手が第1ヒートで1分22秒208のトップタイムをマーク。三菱・ギャランフォルティスをドライブする數野康博選手が2.49秒差で続いた。第2ヒートでは猿川選手がタイムダウンしたものの、數野選手もパイロン区間で後れを取り、逆転には到らず。今では希少となったレア車同士の争いは猿川選手に軍配があがった。

R-ATクラス優勝は猿川仁選手(プログレ☆ツインカム24)。

R-Ecoクラス

 R-Ecoクラスの対象は、排気量1586cc以下で「平成10年アイドリング規制」以降の適合認定を受けたP・PN・N・SA・AE車両。ただし、同一車両型式内に「E-」がつく車両がある場合、および全てのロータリーエンジン車両は除外される。なお、当該車両の車検証の型式指定番号欄に型式指定番号の記載がなくても参戦できる。

 第1ヒートは、野坂壮平選手がダイハツ・ミラを操り1分25秒044を記録しトップに立つ。2番手にはホンダ・S660をドライブする田中立行選手が続き、軽自動車勢が上位を占めた。

 しかし第2ヒートでは、松嶋颯汰選手がトヨタ・ヤリスを駆ってトップタイムを更新し、さらに逸見柊選手がホンダ・フィットを武器に1分23秒394をマークして首位を奪取。田中選手はタイムアップを果たしたが4番手止まりとなり、野坂選手はタイムダウン。逸見柊選手が逆転優勝を果たした。

「ジムカーナは今年から始めて、今回が2回目です」とルーキーの逸見柊選手は「ダートトライアルとジムカーナのどちらを始めるか迷っていましたが、巡り合ったクルマがジムカーナ車だったので、この競技を始めました。今回はサーキット区間でタイムを稼げたのが良かったと思います」と振り返った。

R-Ecoクラス優勝は逸見柊選手(室工大DLフィット)。
R-Eco2位は松嶋颯汰選手(ヤリス)、3位は野坂壮平選手(プロμ DL GRG音更 ミラ)。
R-Eco表彰は左から2位の松嶋選手、1位の逸見選手、3位の野坂選手、4位の田中立行選手。

R-1クラス

 R-1クラスの対象は、AT・CVT搭載を含む、2WDと2700cc以下で4WDのP・PN・N・SA・SAX・B・AE。新旧スイフトを中心にトヨタ・スプリンタートレノやアバルト・595など、2WDの幅広い車種が参戦している。

 第1ヒートでは梶靖博選手が1分19秒94のトップタイムをマークしたが、第2ヒートでは大幅なタイムダウンを犯す。一方、第1ヒートは2番手の小畑涼介選手が、第2ヒートで5秒近くタイムを縮める1分16秒264を記録し、逆転優勝を果たした。

「初めて走るコースだったので、なかなかリズムを掴めませんでした。第2ヒートでも1コーナーで姿勢を乱したり、高速区間からのパイロンセクションでブレーキングのタイミングを把握し切れなかったりと、完全には攻略できませんでしたが、過給器の力にも助けられてなんとか優勝できました」と小畑選手は語った。R-1クラス参戦は2年目。昨年はシリーズ3位で、今年は開幕3連勝となった。

R-1クラス優勝は小畑涼介選手(SCENEシルバースイフトDL)。
R-1の2位は梶靖博選手(プロμ☆DL☆浅野自工スイフト)、3位は沓澤大祐選手(セルオート通勤車輌DLスイフト)。
R-1表彰のトップ3選手。

86/BRZクラス

 86/BRZクラスはその名の通りトヨタ・86とGR86、新旧スバルBRZのP・PN・N・SA・SAX・B⾞両で競う。

 王座争いを牽引している尾崎光歩実選手と清水武流選手が注目を集める中、第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、シリーズ4番手の倉岡克行選手。尾崎選手が2番手につけた一方、清水選手は脱輪ペナルティで大きく出遅れた。

 第2ヒートでは倉岡選手がベストを更新できずにいる中、尾崎選手が1分15秒428をマークしてトップを奪う。逆転を狙うラストの清水選手は中間タイムで遅れをとり、さらにパイロン区間でミスコースとなり順位を落とした。

 優勝を果たした尾崎選手は「サーキット区間で有利になると思い、タイヤサイズを225から235へ変更しました。ただ、その影響でサイドターンが難しくなり、2本目はグリップで回りました。結果的にはそれで良かったと思います」と振り返る。

 一方、調子を出せなかった清水選手は「1本目も2本目もサイドターンで失敗してしまいました。空気圧などいろいろ試したのですが、うまく合わせられませんでした」と悔しさをにじませた。この結果、尾崎選手がシリーズ単独首位に浮上した。

86/BRZクラス優勝は尾崎光歩実選手(BooBooDLBRZ)。
86/BRZの2位は倉岡克行選手(シンシア★ビーアールZ)、3位は吉原友貴選手(かけだし?BRZ)。
86/BRZ表彰は左から2位の倉岡選手、1位の尾崎選手、3位の吉原選手、4位の金内洋子選手(DLシンシアBRZ)。

R-2クラス

 R-2クラスはAT・CVT搭載も含む、2700ccを超える4WDのP・PN・N・SA・SAX・B・AE車両が対象。H-BC2と同じく、四駆ターボ勢がしのぎを削る。

 今回の一戦はトヨタ・GRヤリスと三菱・GTOによる一騎打ちとなった。第1ヒートはGTOを駆る浅野凌央選手がトップタイムを記録したが、第2ヒートで大岩根吏司選手がGRヤリスを操り大幅なタイムアップを果たして逆転勝利を収めた。

 ジムカーナ初参戦の大岩根選手は「将来的にラリーをやりたくて、今回は場数を踏む目的でジムカーナへ参加しました」と明かすと、「1本目はインにつき過ぎてバックギヤで2回切り返しましたが(笑)、2本目は立ち上がり重視のラインを意識できたのでタイムアップにつながりました」と勝因を語った。

R-2クラス優勝は大岩根吏司選手(GRヤリスDL)。

オープンクラス、チャレンジクラス

 JAF、JMRC北海道両シリーズ外でJAFモータスポーツライセンスがなくても参加でき、一般市販ラジアルタイヤのみ履けるクローズド部門にはオープンクラスとチャレンジクラスが設けられた。オープンは排気量や駆動方式の制限や車両区分がなく、今回は5選手により競われた。第1ヒートから1分17秒台を記録した川浪広大選手が、第2ヒートでさらに1分16秒台にタイムアップし1位を獲得。2位は中田野允選手、3位には渡辺康太郎選手が入った。

 チャレンジは競技会初参加者、一度ジムカーナを体験してみたいドライバーなどが対象となる。ダイハツ・ミラジーノを操る田澤隼人選手とトヨタ・フィットを駆る澤田寛仁選手の一騎打ちで争われ、澤田選手が両ヒートともにトップタイムを記録し勝利した。

オープンクラス1位は川浪広大選手(INNOVEXロードスター)。
オープン2位は中田野允選手(通勤86)、3位は渡辺康太郎選手(シンシア☆シビック)。
オープン表彰の上位2選手。
チャレンジクラス1位の澤田寛仁選手(フィット)。
「約11年ぶりの開催ということで不安もありましたが、前日の練習会から多くの方に走っていただき、まずは成功だったと思います。来年以降も皆さまのご意見を伺いながら、継続していければと思います」と今回の一戦を主催したJAF加盟クラブ、十勝スピードウェイクラブ(TOSC)の柴田誠代表は前向きなコメントを残した。

PHOTO/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] REPORT/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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