Nクラス宮地雅弘選手、齢71にして全日本初優勝!
2026年7月10日
全日本ダートトライアル選手権 第5戦「ALL JAPAN SUPER DT in EBISU」が、6月27~28日に福島県二本松市郊外のエビスサーキット新南コース(スライドパーク)で開催された。Nクラスでは、ダートトライアル歴40年以上の実績を持つ、71歳の宮地雅弘選手が全日本初優勝を遂げた。
2026年JAF全日本ダートトライアル選手権 第5戦「ALL JAPAN SUPER DT in EBISU」
開催日:2026年6月27~28日
開催地:エビスサーキット新南コース(スライドパーク)(福島県二本松市)
主催:Team-F、SiF
全8戦で争われる今シーズンも、この第5戦から後半戦へ突入。有効戦数は6戦のため、ここからいかに得点を積み重ねるかがシリーズタイトル争いの大きなポイントとなる。各クラスのランキング上位陣が顔をそろえ、総勢149名が参戦した。
2024年から全日本ダートトライアル選手権の開催コースに加わったエビスサーキット新南コースは、アスファルト路面に舗装材の砕石や砂利を敷き詰めた独特の路面が特徴だ。これらのバラス類が路面を覆っている間は積雪路のような低μ路面となる一方、それらが掃けると一転してアスファルト路面となり、グリップが大幅に向上する。また、散水による路面μの変化も大きく、刻々と変化するコンディションを見極めたタイヤ選択が勝敗を左右する。
ダブル台風接近の影響で公開練習日と決勝日はともに雨予報だったものの、実際には両日とも雨は降らず、高めの気温で推移した。今回は第2ヒート前の散水量が少なかったため、各クラスとも第2ヒートには砕石や砂利が掃き出され、ほぼドライコンディションとなり、タイムアップに好条件となる第2ヒートのタイムが勝負の決め手となった。
PNE1クラス
6台が出走したPNE1クラスは、第1ヒートで山部恭裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)がトップタイムを記録。しかし第1ヒート2番手だった小山健一選手(スズキ・スイフトスポーツ)が第2ヒートで逆転。今季4勝目を飾り、シリーズランキングでも首位に浮上した。
小山選手は「第1ヒートは全体的に抑え過ぎてしまいました。路面が良くなった第2ヒートは、攻めるところはしっかり攻め、抑えるところは抑えることを心掛けました」とコメント。
2位は「公開練習ではトップタイムでしたが、肝心である第2ヒートの最後の360度ターンでアウト側の砂利へ飛び込んでしまいました」と話した山部選手が入り、3位にはいりえもん選手(三菱・コルト)が続き「CVTの空転制御を避けるため、外径の大きいウェットタイヤを選びましたが、結果的に制御が介入し、自分のミスも重なりました。今回は何をやっても勝てなかったと思います」と振り返った。
PN1クラス
若手とベテランが激突したPN1クラスは、第1ヒートで若手の西畑蒼選手(スズキ・スイフトスポーツ)がトップタイム。ベテラン勢の工藤清美選手(ホンダ・フィット)が0.049秒差の2番手、同じくベテランの飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)が3番手、そして若手の坂本勇樹選手(ホンダ・フィット)が4番手につける。
第2ヒートでは坂本選手がトップタイムを更新すると、第1ヒートで5番手だった北原栄一選手(日産・ノートニスモS)が1秒以上タイムを縮めて首位へ浮上。しかし工藤選手がそのタイムを更新して逆転優勝。飯島選手も好走したが工藤選手には届かず、工藤選手が今季3勝目を挙げ、北原選手が2位、飯島選手が3位となり、ベテラン勢が表彰台上位を占めた。
PN2クラス
PN2クラスは、奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が第1ヒートに続いて第2ヒートもトップタイムを記録し、今季3勝目を挙げ、シリーズランキング首位を守った。
2位には「いつものエビスとはブレーキの感覚が大きく違い、前半の180度ターンで2か所とも突っ込み過ぎてしまいました」と語る佐藤卓也選手、3位には「エビスは少し苦手意識があります。前半の低速区間でタイヤのグリップを超えてしまい、その遅れがそのままタイム差になりました」と振り返る張間健太選手が入賞した。
PN3クラス
PN3クラスは、第1ヒートで竹本幸広選手(トヨタ・GR86)が2位に3秒以上の差をつけて首位に立つ。第2ヒートはタイム更新が続く中、第1ヒートで360度ターンを逆回りしてミスコースとなった小関高幸選手(スバル・BRZ)がトップタイムを記録し、最終走者の竹本選手を待つ。
このコースの管理者でありながらも、全日本選手権のエビス大会では優勝経験がなかった竹本選手。だが今回は小関選手を0.734秒上回ってフィニッシュ。「コースを知っているだけにプレッシャーはないと思っていましたが、第2ヒートはいろいろ考え過ぎてしまいました」と話し、今季3勝目とともに、待望だったエビスでの初優勝を手にした。
2位の小関選手は「第1ヒートのミスコースがすべてでした。第2ヒートもミスコースを意識し過ぎて攻め切れませんでした」と悔しさをにじませた。3位の佐藤秀昭選手(スバル・BRZ)は「テスト走行では竹本選手と『グリップ走行とドリフト走行はどちらが速いのだろう』と話しながら一緒にグリップ走行を練習しました。そのたびに竹本選手のタイムが上がっていったので、今思うと余計なことをしてしまいましたね(笑)」と苦笑しながら振り返った。
Nクラス
Nクラスは、第1ヒートで宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)がトップ、岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)が0.045秒差で続いた。しかし、第2ヒートでは両者とも順位を落とし、今季2勝を挙げている細木智矢選手(トヨタ・GRヤリス)も10位と苦戦。
その中で勝利をつかんだのは、ダートトライアル歴40年以上、御年71歳を迎えた宮地雅弘選手(三菱・ランサーエボリューションIX)だった。
宮地選手は「私もミスはありましたが、ほかの選手はさらに難しかったのでしょう。年の功ですね(笑)」と笑顔。これまで何度も表彰台に立ちながらも届かずにいた全日本初優勝を手にした。
2位には「クルマの動きが良くなり、ようやく戦える状態になりました。ここから巻き返していきたいです」と語る山崎利博選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が入り、3位には全日本で初表彰台を獲得した堀隆成選手(三菱・ランサーエボリューションX)が続いた。
SA1クラス
SA1クラスは、第1ヒートこそ和田悟選手や三島真太郎選手ら若手が上位につけたが、第2ヒートは路面の変化によって勢力図が一変する。
昨年SC1クラスから転向した坂井秀年選手(スズキ・スイフトスポーツ)がトップタイムを記録したものの、「今シーズンはホームコースの丸和よりエビスで多く練習しています」という平川慶一選手がこれを更新。しかし最後にキャサリン選手(スズキ・スイフトスポーツ)がさらに0.579秒上回り、今季初優勝を飾った。
今シーズンは最上位が5位と成績が思わしくないキャサリン選手だが「公開練習と第1ヒートはタイヤとのマッチングが合いませんでしたが、第2ヒートは求めていた路面になってくれました」と勝因を語った。2位の平川選手はランキング2番手へ浮上し、3位の坂井秀年選手はSA1転向後の初表彰台となった。
SA2クラス
SA2クラスは、第1ヒートで首位だった荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)が第2ヒートでもさらにタイムを縮めてトップに立つ。しかし第2ヒートで最終走者の浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が0.02秒上回り逆転優勝。
浜選手は「公開練習と第1ヒートはフィーリングが合いませんでしたが、第2ヒートはぴったりでした」と語り、今季2勝目。2位の荒井選手は「最後の360度ターンが少し大回りになりました」とコメント。3位の三浦陸選手は「得意なエビスでしたが、気合いが入り過ぎて最後のターンをオーバースピードで進入してしまいました」と反省の弁を述べた。
SCクラス
SCクラスは、第1ヒート首位の岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)を、第1ヒート2番手の亀田幸弘選手が第2ヒートで0.026秒逆転し、今季2勝目を挙げた。
亀田選手は「第1ヒートは中間までトップでしたので、第2ヒートでは後半も集中して攻めました」と明かした。岡本選手は「最後の360度ターンでうまくインに寄せられませんでした」と2位。3位の上村智也選手(三菱・ランサーエボリューションX)も「最後の360度ターンをきれいに回れませんでした」と、明暗を分けた最終ターンを振り返った。
D1クラス
D1クラスは、シリーズ首位の大谷皇就選手が欠場。その中で第1ヒートを制した山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が第2ヒートもトップタイムを記録し、待望の今季初優勝を飾る。
山崎選手は「今回はD1車両に合わせて軽量化した部分や足回りをSC車両仕様へ戻しました。パワー感は落ちましたが、バランスはこちらの方が良かったようです」と対策をして臨んだ。2位の志村雅紀選手は「最後に何とか帳尻を合わせることができました」と感想を語る。3位のパッション崎山選手は「リアのトラクションが強く、終始プッシュアンダーとの戦いでした」と振り返った。
D2クラス
D2クラスは、第1ヒートで田辺剛選手(三菱・ミラージュ)が唯一の1分21秒台を記録し、続く5台が1分22秒台にひしめく大接戦となる。
第2ヒートでは谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が1分19秒台にのせてトップタイムを更新したものの、第1ヒートから18インチのターマックタイヤを装着していた炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)がさらに上回って優勝。鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)が2位、谷田川選手が3位となった。
炭山選手は「以前から、路面が掃けたエビスではターマックタイヤが使えないかと考えていました」とコメント。鎌田選手は「第2ヒートはほぼ100%、ノーミスで走れたと思います」と完敗の様子。谷田川選手は「細かなミスが多く、最後までリズムが合いませんでした」と悔しさをにじませていた。
PHOTO/CINQ、成田颯一[Souichi NARITA] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



