職業体験イベント「JAFウィメン・オン・トラック in 鈴鹿」が今年も開催! 鈴鹿サーキットのスーパーGT第5戦で、モータースポーツを支える運営現場をたっぷり体感!!
2026年8月31日
モータースポーツ界の仕事に関心を持つ女性を対象に、あらゆる職種や業務を実際の運営現場で見学・体感できるイベント「JAFウィメン・オン・トラック」が鈴鹿サーキットに帰ってきた。今回はスーパーGT第5戦を舞台に、2日間の濃密かつ貴重なプログラムが用意され、約20名の若き女性たちがリアルレースの現場に触れた。
JAFウィメン・オン・トラック in 鈴鹿
(FIAインターナショナルシリーズスーパーGT第5戦「SUZUKA GT 300km RACE」内)
開催日:2026年8月22日(土)~23日(日)
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:JAF 協力:ホンダモビリティランド株式会社、株式会社GTアソシエイション
「JAFウィメン・オン・トラック in 鈴鹿」は、昨年11月に鈴鹿サーキットのFIAインターナショナルシリーズJAF全日本スーパーフォーミュラ選手権最終大会「第24回JAF鈴鹿グランプリ」で初めて開催されたJAF主催のイベントで、JAFウィメン・イン・モータースポーツ分科会(福島佳苗座長)が中心となりホンダモビリティランドの全面協力を得て実現した「モータースポーツ業界の仕事に関心を持つ女性を対象に、実際のレース運営現場におけるさまざまな職種や業務内容を見学できる機会を提供する」プログラムとなっている。
2回目となる今回はGTアソシエイションの協力を得て、FIAインターナショナルシリーズ スーパーGT第5戦「SUZUKA GT 300km RACE」に舞台を移して、8月22日(土)と23日(日)の2日間に渡って開催された。参加にあたっては16歳から29歳の女性を対象とし、モータースポーツに詳しい必要はなく「モータースポーツが好き」、「職業の選択肢として現場を知りたい、現場を見てみたい」といった気持ちがあればOKとされていた。今回は抽選により20名が選出され、当日は1名欠席したため、選ばれた19名の参加者が鈴鹿サーキットに集結した。
交通教育センターを拠点とした今回のイベントでは、まず土曜の午前に、鈴鹿サーキット内にある各施設(放送室・事務局・レースコントロール・計時室・メディアセンター)を巡ってそれぞれの業務を見学する「お仕事見学ツアー」が行われ、ドライバーや関係者しか登壇できないポディウム登壇も体験することができた。そして、ピットウォークの時間には、JAFモータースポーツ振興委員会の鈴木亜久里委員長が監督を務めるARTA MUGENの多大な協力を得たGT500クラスのピット見学も行われた。
ピットから交通教育センターに戻った参加者はランチブレイクとなり、JAFウィメン・イン・モータースポーツ分科会メンバーやゲストスピーカーらによるキャリアトークが実施された。冒頭にはGTアソシエイション執行役員・レース事業部事業部長の沢目拓さんによる同社の就業状況や女性活躍の現状説明などがあり、「皆さんにはぜひ”自分らしさ”を全面に打ち出していただき、業界で一緒に働くことができたらうれしいです」と歓迎の言葉で締めくくった。続いて、GTアソシエイションのレース事業部マネージャーでエントラント管理を担当する安藤恵美さんと、ホンダモビリティランド経営企画部広報課の佐々木楓さんから、自身のキャリアパスとともに現職の業務解説がなされた。
旅行会社や派遣会社からの転身でこの業界に入った安藤さんは「右も左もわからない状況で苦労しましたが、もう本当にお優しい方々ばかりで、皆様のおかげで一つ一つ成長できました」という初期の苦労話に加え、「レース前の準備は地味な作業ばかりですが、いざレースがスタートすると、そのエンジン音に鳥肌が立ちますし、チームの皆様の熱量を感じて今までの苦労も吹き飛びます。感動の瞬間に立ち会うことも多いですから、一年間ともに戦ってきた一員として涙が流れることが何度もありました」と現職のやりがいについても言及した。
また、ホンダモビリティランド経営企画部でデジタルマーケティングを担当する佐々木さんは、「レジャー業界への就職活動から会社を知り、モビリティを通じてお子様の成長を拡大できる事業形態にワクワクするような可能性を感じて入社しました」という入社のきっかけや、同社で実施している16歳から23歳までの若年層を対象とした「16-23 ZERO円パス」を例に挙げて「皆さんのような若い方々に興味をもっていただき、ファンになっていただけるような、新たなファンを創出する施策に強い思い入れを持っています」といった現職にかける矜持も語ってくれた。
キャリアトークの最後には質疑応答も行われ、参加者からは、モータースポーツ業界のキャリアスライドの可能性や、結婚や子育てなどライフイベントに対する許容の度合いといった現実的な質問をはじめ、各委員やゲストスピーカーが考えるモータースポーツ振興のあるべき姿といった大きなテーマについての議論もあった。
その後の参加者はスーパーGT第5戦の予選セッションを観戦できる自由時間となり、予選終了後には熱き戦いを終えたばかりのピットに再び集合することとなった。土曜最後のプログラムは、再びARTA MUGENの協力によりM-TECでチームマネージャー職に就く谷口美宇さん、そして、HELM MOTORSPORTSの協力を得て、トラックエンジニアを務める浦野夢希さんらによる、それぞれのピットにおけるキャリアトークが行われた。
土曜に実施されたプログラムは昨年のスーパーフォーミュラで行われた初回イベントと同様の流れだったが、今回は希望者に対して”デイ2”が用意され、2日目の日曜午前には、よりディープなエリアでの見学が許された。
再びコントロールタワーに赴いた参加者は、土曜はガラス越しだったレースコントロールと計時室の、何と執務エリアへの立ち入りが許可された。しかも、併催レースのFIA-F4地方選手権チャンピオンクラス決勝が行われる最中ということで、あらゆる情報がひしめき緊張感あふれる管制・計時業務を間近に触れることができた。
その後はメディカルセンターの見学に続き、車検場内におけるFIA-F4チャンピオンクラスの車両検査の様子、終わったばかりのFIA-F4第8戦・表彰式をピットレーンから見学する機会が用意され、GTアソシエイションやホンダモビリティランドが所有するマーシャルカーを前にした、それぞれの役割解説なども行われた。
土曜も含めて、メディアでも立ち入れないエリアを惜しげもなく公開してくれる両社の協力体制には目を見張るばかりで、取材でツアーに同行した我々にとっても新たな発見や大きな学びがあるプログラムとなっていた。
そして、2日目のハイライトは、貸し切りのサーキットバスによる鈴鹿サーキットの走行体験だった。これは決勝のグリッドウォークの時間を利用して、FIA-F4決勝レース終了直後、スーパーGT決勝レース開始前の鈴鹿フルコースを一周できるという垂涎の体験プログラム。ホームストレートからサーキットバスに乗り込んだ参加者には、なんとデグナーカーブとシケインで降車できる時間も確保され、観客という立場ではなかなか味わえないコース側からの景色を十分に堪能し、かつレース本番のコースコンディションに直接触れることができた。
サーキットバスがピットに戻ると、委員や参加者が集合した閉会式が行われて今回のイベントは終了となった。
今回の参加者はみな真摯な姿勢で各プログラムに臨んでいて、委員や各業務に従事する”先輩”たちに対して積極的に質問をぶつけて、モータースポーツ業界で働くことをかなり現実的にイメージしているようだった。
スーパーGTのピットウォークの最中にイベントは終了したが、参加者はその後にスタートするスーパーGT第5戦決勝を見学できるようになっていて、モータースポーツの醍醐味や本当の興奮を味わうのはこれからだ。晴天に恵まれて炎天下における長時間の濃厚なプログラムだったにも関わらず、参加者たちはレースファンという素顔に戻り、これから始まるメインレースを堪能するために思い思いの観戦場所へと駆けていった。
今回のイベントでは、モータースポーツ運営ということが競技役員や公認審判員(オフィシャル)をはじめ、参加チームのエンジニアやメカニック、マネジメントなど多様な役割を持つ人々に支えられていることを知り、それらの業務がどのように行われているのかを見知り、実際にレース現場で働く人々から直接聞くことができた。
JAFウィメン・オン・トラック in 鈴鹿は、11月のスーパーフォーミュラ最終大会・第25回JAF鈴鹿グランプリでも開催が計画されている。募集はJAFモータースポーツサイト「公示・お知らせ」やJAFモータースポーツ公式X、公式Facebookなどで告知されるので、この業界に深く触れたい人々は、次こそはぜひ実体験してほしい。
ENTRANT VOICE
趣味の世界で”本当にやりたい職業”を見つけるために
「現在、大学3年で就職活動が始まったのですが、趣味の領域であるモータースポーツの世界でも、自分が本当にやってみたい職業っていうのがあるのかなということを知りたい、そして見つけたいという思いで参加しました」と語る山本琉月夏さん。このイベントに参加するためにはるばる沖縄から駆け付けており、「沖縄ではレーシングシミュレーターをやっている場所を探したりしたこともありましたが、走るというよりは観る方で、モータースポーツを観ることで、その面白さを吸収したいなと思っています」とも語る。スーパーフォーミュラは今シーズン2回ほど観戦しており、富士スピードウェイで行われた別のキャリアイベントにも参加したという。
「そのときにレースを生で観戦して、やはりモータースポーツって楽しいなということを再確認しました。それで、F1とかで有名な鈴鹿サーキットには絶対に一度は行きたいと思っていたこともあって、今回はそれが実現しました。もちろんキャリアイベント参加が目的なんですけど(笑)、サーキット全体を体験させてもらえるのはホントにうれしいですよ」と語っている。ちなみに山本さんは法学部で法律を学ぶ学生で「企業さんの法務部などに興味があって、もともと高校生の頃から公務員志望だったこともあり、公務員になるなら法律を知らないということで法学部に進みました。でも、自分の趣味であるモータースポーツでの可能性もずっと気になっていました。富士のキャリアイベントを含めて感じているのは、モータースポーツを広める広報という職種ですね。SNSを使って活動されている方々から、さまざまな層にどうやって情報を届けるかという難しいテーマに課題をもって取り組んでいるというお話を聞いたので、企画を立ち上げて、年齢層ごとにターゲットを突き詰めていくような仕事に興味が湧いています。なので、広報という職種は自分のなかでけっこうチャレンジしてみたい仕事になっています」と語る山本さん。この世界で「本当にやってみたい職業」が見つかることを願うばかりだ。
今しかできない、自分のやりたいことに挑戦したい
昨年行われたJAFウィメン・オン・トラックin鈴鹿にも参加した長島里沙さん。「スーパーGTは参加台数も多くて雰囲気が違うし、スーパーフォーミュラとはお仕事が違ってくるのかと思って参加しました」と、今回参加した動機を語る。長島さんは「前回はNAKAJIMA RACINGさんのピットでマネージャーさんから直接お話を聞かせていただきましたが、それがすごく印象に残っていて。自分はマネージャーという職種が気になっていたので、スーパーGTでもまた違ったお話が聞けるといいなと思っていました。自分は社会人ですが、まったく違う業界で、この仕事は年齢が行ってからでも活躍できる場でもあるので、今しかできない、いろいろと動きやすい年齢のうちに自分のやってみたいことに挑戦したいと考えているんです」と、現実的にモータースポーツ業界への転身を検討しているようだ。
「モータースポーツはお母さんが好きで、高校生ぐらいのときに連れられて来ました。私も親の影響でモータースポーツが好きになって、非日常のすごい臨場感がホント刺激的で、今では親より自分が虜になって、すごく魅力いっぱいなモータースポーツに引き込まれています。今の仕事もなりたいと思ってやっていますが、モータースポーツに出会ったことで、こちらに関わる思いが強くなっています。気になるのはマネージャーさんとカメラマンさん。マシンを撮るカメラマンさんってすごくカッコいいなと。自分もカメラを買って、小さいカメラでは物足りなくて望遠とかも買って(笑)、コースを巡っていろいろな角度で撮るのがすごく楽しいなと実感しているところです。カメラマンさんもすごくいい職業だなと感じていて、現在、その二択で迷っています」。
「前回に比べて、委員の皆さんが声をかけてくださる機会がすごく増えていて、質問や疑問のフォローアップもしっかりしていて、つなげてくれたり、橋渡ししてくれたりしたので、とても助かります。一般企業に勤めている人からすればあり得ないほど恵まれた対応なので、今回のイベントは自分が動き出すきっかけになるなとも感じました」。
ソーラーカーレースのメカニック経験を活かしたい
「モータースポーツ業界で活躍したいと考えていて、そのためにはまず業界を知ることが大事だと思っていたので今回応募しました」と語る江上愛瑚さん。一方で、在籍する大学ではソーラーカーレース活動を経験しており「車体の設計や製作、メカニックをしていました」という”ガチ勢”でもある。オーストラリアの大会にも参加して長期間に渡るエントラント側の現場経験があることから、ARTA MUGENの小笹智之メカと接した際には「それいい質問だね」と指摘される鋭い視点を持っていた。江上さんは「電気自動車のエコランではドライバー経験もありますが、メカニックは地味な仕事で、オイルまみれになるし、やはり体力勝負だと感じていました。でも初めて観戦したスーパーフォーミュラでは、ピット作業の際にプロのメカニックの仕事を目の当たりにして『メカニックってカッコいい仕事だったんだな』と気づいて、客観的に、憧れの仕事になりました。大学の経験を活かせる部分もあるので、まずはメカニックという職業を見すえて将来につなげられたらいいなと思いました」と語る。
そして、「バイクやクルマが好きな父の影響で、 小さい頃からモノづくりの素晴らしさを体感するところが多かったので、車両の設計職に就きたいなと思っていました。それで、設計をやるために入った大学のチームでメカニックという役割に出会い、車両のコンディションを整えることは、性能もさることながらドライバーの安全も左右するということを知りました。一方で、自分の手を加えたものが高速で走って、みんなを喜ばせられることにも強い魅力を感じていて、モノづくりって最高だなと魅了されています。この業界について自分で調べていましたが、やはりご本人に聞くことでしかわからないことがありましたし、皆さんがモータースポーツに愛をもっていろいろ改善していこうと考えていることもわかりました。自分がこの世界を目指して頑張ることで、ほかの女性や子どもたちがこの業界に興味をもってもらえたり、活動の精神になったりすることもあると思うので、そういったカタチで業界に貢献できたらいいなとも感じました」とも語る江上さん。将来について見えるものがあったようだ。
PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



