速さを見せたティモフェイ・デグチャリョブ選手がEV部門3連勝で首位に

レポート カート

2026年10月5日

東京都江東区のシティサーキット東京ベイ(CCTB)で9月23日、全日本カート選手権 EV部門の2026シリーズ第5戦/第6戦が開催。ウェットコンディションのコースでティモフェイ・デグチャリョブ選手が圧倒的な速さを見せつけ、まず第5戦を独走で制して第4戦に続く2連勝を達成。そのスピードはナイトレースとして行われた第6戦でも変わらず、再びの独走で3連勝を飾って、ポイントランキングの首位に躍り出た。

2026年JAF全日本カート選手権 EV部門 第5戦/第6戦
開催日:2026年9月23日
開催地:シティサーキット東京ベイ(東京都江東区)
主催:RTA、TOM’S

 全日本EV部門は全8戦で行われる2026シリーズの第5戦/第6戦を迎え、チャンピオンシップの後半戦に突入した。CCTBには8時ごろから細かい雨が降り始め、それはやがてしっかりとした降りになってコースを濡らした。チャンピオン争いの大詰めを迎えた2戦は、ウェットコンディションでの戦いだ。雨の影響もあってか、この日の気温は25度を超えることはなく、上着が欲しくなる涼しい一日になった。

 この大会にはいつもと大きく違うところがあった。それは2レース目の第6戦の決勝がナイトレースとして行われることだ。大会は11時50分と遅めの時間に開会式が始まり、18時10分に最後のヒートである第6戦の決勝を迎える。ナイトレースの開催は2025年の第6戦に続く2度目のこと。本来は夏場の暑さ対策として企画されたもので、今回は暑さの心配のない一日だったが、それでも普段のレースとはひと味違った雰囲気に、サーキットには特別な高揚感が漂っていた。

 この日はシルバーウィークの最終日。人気観光地のお台場に位置するCCTBには祝日とあって雨天にもかかわらず多くのギャラリーが観戦に訪れていた。それを見越して、会場にはレースの他にも多彩なコンテンツが用意されていた。

 屋内施設には、富士急ハイランドのジェットコースターFUJIYAMAの迫力を再現した『ほぼほぼジェットコースターV』と、熱気球での絶景鑑賞を疑似体験できる『COSMO BALLOON』のVRアトラクション2機種を設置。屋外スペースでは電動バイクの展示と体験走行を実施。恒例のキッズEVカート無料体験は、開場直後から長い順番待ちの列ができる大盛況ぶり。

 さらに、会場では住友ゴム工業株式会社による『DUNLOP×お台場EVカート ピンクリボンイベント』が同時開催されて、大会は最後まで華やかな賑わいを見せていた。

第3大会は第5戦決勝が15時20分、第6戦決勝が18時10分で、環境がガラリと変わる難しいレースとなった。
第6戦ではナイトレースに備えて視界を確保するため、ヘルメットのシールドをスモークからクリアへと変更する選手も見られた。
VRコンテンツが期間限定でシティサーキット東京ベイ内にオープンし、2つのアトラクションが楽しめた。
キッズEVカートが無料で体験乗車できるということもあって、屋内コースは朝から親子連れで大賑わい。
あいにくの雨天での開催となってしまったが、子供向け電動バイクKaro16の体験走行も注目を集めた。
大会プログラムにはサイン帳のページがあり、ドライバーと交流を深めるきっかけを提供。
DUNLOP×お台場EVカート ピンクリボンイベントも開催。人気ドライバーをゲストに迎え、さまざまな催しが行われた。
日本自動車会議所モータースポーツ部会を通じて被災した熊本を応援する、熊本復興支援募金を実施。

タイムトライアル

 ウェットレースの戦況は、最初の走行セッションである公式練習で明らかになった。1周28秒弱のコースで、デグチャリョブ選手がライバルたちに0.3秒以上もの差をつける圧巻の最速タイムを記録したのだ。単独走行で2周のアタックを行うタイムトライアルでもデグチャリョブ選手の優位は揺るがず、2周目に27秒477のトップタイムをマークして第5戦予選のポールを獲得する。

 さらに驚くのは、デグチャリョブ選手はタイヤの温まっていない1周目の27秒627というタイムでも、他の全選手のベストタイムより速かったことだ。当然、セカンドタイムの優劣で決まる第6戦予選のグリッドも、デグチャリョブ選手がポールポジションからスタートとなった。

 ベストタイムの2番手は横山優之介選手。大会前日、ドライコンディションでのテスト走行で頭ひとつ抜け出た速さを見せていた徳岡大凱選手は3番手に。4番手に松尾柊磨選手が続き、ポイントリーダーの中井悠斗選手は5番手にとどまった。これが第5戦予選のグリッド順となる。

ティモフェイ・デグチャリョブ選手(KNC EV Kart Racing Team)が圧巻の走りでベストおよびセカンドベストを獲得。

第5戦予選

 第5戦、第6戦とも予選は15周、決勝は20周で行われる。第5戦の予選がスタートすると、デグチャリョブ選手は1周目から背後に大きなギャップを築いて独走を開始。それに横山選手と徳岡選手が続く。松尾選手は最後尾まで順位を下げ、KYOJO CUPにも参戦する松井沙麗選手が7番グリッドからのジャンプアップで4番手に浮上してきた。

 レース中盤、横山選手と徳岡選手の間隔が縮まって2番手争いが開戦。その後方では松井選手と中井選手が4番手争いを展開している。背後で巻き起こる熱戦を尻目にデグチャリョブ選手は周回ごとにリードを広げ、最終的に4秒以上のアドバンテージを持ってゴール、決勝のポールを手に入れた。横山選手は徳岡選手のチャージを退けて2番手のまま15周を終了。松井選手も最後まで4番手の位置を守り切った。

圧倒的な速さで第5戦のポールポジションとなったデグチャリョブ選手(KNC EV Kart Racing Team)。

第5戦決勝

 第5戦の決勝は、雨がほぼ止んだ中で幕を開けた。とはいえコースはびしょ濡れのままだ。スタート直後、横山選手と徳岡選手が3コーナーでハードな先陣争いを展開。4番手には中井選手が上がってきた。2周目、安定した走りが持ち味の中井選手が、1コーナーでまさかのスピン。これで松井選手が4番手に戻り、セカンドグループは横山選手、徳岡選手、松井選手が一列に連なる展開になった。

 その後方でもアクセル・ノコム選手、佐藤琉葵選手、松尾選手が接近戦を繰り広げている。一方、危なげなくスタートを切ったデグチャリョブ選手は5周で背後に2秒以上のギャップを築いてトップを悠々と走り、自分の走りに集中しつつリードを広げていった。

 レースが残り5周を切ると徳岡選手が横山選手追撃の勢いを強め、残り4周でついに逆転を果たして2番手に浮上。この時、デグチャリョブ選手は7秒以上も先に逃げ去っていた。独り舞台のまま20周を走り切ったデグチャリョブ選手は、「見たか!」と言わんばかりに左腕を右手でぽんぽんと叩いてチェッカーをくぐった。これでデグチャリョブ選手は、前大会の第4戦に続く2連勝だ。

 2位の徳岡選手から1秒ほど離れて、横山選手が初表彰台となる3位でフィニッシュ。それに松井選手、ノコム選手、佐藤選手が僅差で続いて4~6位でゴールした。

第5戦優勝はデグチャリョブ選手(KNC EV Kart Racing Team)。
レインコンディションは得意だというデグチャリョブ選手。「今日の朝から速さはありましたね。優勝につなげることができて良かったです」と言い、後ろの間隔を見てペースを落とすほどの余裕があったそうだ。
2位は徳岡大凱選手(PONOS NAKAJIMA RACING EV Kart Team)、3位は横山優之介選手(TOM'S EV Kart Racing Team)。
第5戦表彰の各選手。

第6戦予選

 第6戦予選のグリッドは、フロントローにデグチャリョブ選手と横山選手、2列目に徳岡選手と中井選手、3列目に松井選手と佐藤選手が並んだ。レースがスタートすると、またも肉弾戦を繰り広げる徳岡選手と横山選手の隙を突いて、中井選手が一気に2台をかわして2番手に浮上。これに松井選手も続いて3番手に上がった。徳岡選手は4番手に、横山選手は5番手に後退した。

 バトルとはひとり無縁のデグチャリョブ選手は、またも1周目から大きくリードを広げてトップをひた走る。だが、このヒートでは中井選手がデグチャリョブ選手とイーブンのスピードを見せ、1秒強の差でデグチャリョブ選手に食い下がっていった。そんな2台は11周目、周回遅れを処理するところで間隔が開き、結局デグチャリョブ選手は安泰のままトップで走り切った。

 2番手以下はやや間隔を空けて中井選手、松井選手、徳岡選手、横山選手、佐藤選手の順でゴール。ところが中井選手と徳岡選手にはプッシングで3秒加算のペナルティが下り、第6戦決勝のグリッドは予選のゴール順とはやや異なるものになった。

トップを守り切ってデグチャリョブ選手(KNC EV Kart Racing Team)が再びポールポジションを獲得する。

第6戦決勝

 18時を過ぎ、強弱を繰り返した雨はほぼ止んだ。雲に覆われた9月末の空はすっかり暗くなり、水に覆われたコースは照明を浴びて美しく光っている。いよいよ第6戦決勝、ナイトレースの始まりだ。デグチャリョブ選手とともにフロントローに並ぶのは松井選手。グリッド2列目には中井選手と横山選手が、3列目には佐藤選手と徳岡選手がつけた。

 ストレートエンドのレッドライトが消灯し、スタンディングスタートで12台が一斉に発進。ここで中井選手がイン側の列から1コーナーへ突進し、松井選手をパスして2番手に上がった。徳岡選手もオープニングラップでひとつ順位を上げ、さらに2周目には横山選手を攻略して4番手に上がる。デグチャリョブ選手はこの日4度のスタンディングスタートをすべて綺麗に決め、1周で約0.7秒のアドバンテージを構築。その後もぐいぐいとリードを広げ、このヒートでもあっという間に独走態勢を確立した。

 一方、中井選手と松井選手の2番手争いは、松井選手が何度かオーバーテイクにあと一歩の距離まで接近するものの、そのたびに中井選手が突き離す、先の読めない展開に。そんな2台に徳岡選手が好調なペースでじわじわと接近してくる。レース終盤、セカンドグループはとうとう中井選手、松井選手、徳岡選手の3台が連なる展開になった。

 デグチャリョブ選手は、背後で戦いを過熱させる3台との距離を時折チェックしながら、デリケートな路面を自分のペースで走り抜き、両手で小さくナンバー1サインを掲げてフィニッシュ、堂々の3連勝を果たした。

 白熱の接近戦を続けたセカンドグループでは、結局ポジションチェンジは起こらず、中井選手が2位の座を守り切ってゴール。松井選手は2位を獲り逃したものの、全日本カート選手権では初めての表彰台となる3位に入賞した。4位となった徳岡選手は、追い上げがあと数周早ければ、と思わせる展開だった。

第6戦優勝はデグチャリョブ選手(KNC EV Kart Racing Team)。
デグチャリョブ選手が第4戦から3連勝を達成。「めっちゃうれしいです。レインコンディションの中で速さがあって、完璧な一日になりました。次の大会もこの調子を維持して連勝できるように頑張ります」と抱負を語った。
2位は中井悠斗選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)、3位は松井沙麗選手(KONDO EV Kart Racing Team)。
第6戦表彰の各選手。

EV部門2回目のナイトレース開催

「もともとは夏の暑さ対策でやることにしたナイトレースだったんですが、今回はそういう気候ではなく、違う趣旨のナイター開催になりました。それでも一般の観覧者が雨の中で非常に多く残ってレースを観てくれましたし、ナイトレースの楽しさはお伝えできたんじゃないかなと思います。次回もふらっと立ち寄った方も楽しんでいただけるようなコンテンツを用意する予定です」と株式会社トムスの谷本勲代表取締役社長。

 今季、残るは11月23日にCCTBで開催される第7戦/第8戦のみ。ポイントランキングはデグチャリョブ選手が133点で首位に立ち、124点の中井選手と122点の徳岡選手がそれに続いている。2026年のチャンピオン候補は、この3人に絞られた。

タイトル争いはデグチャリョブ選手、中井選手、徳岡選手の三つ巴戦。

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU]、JAPANKART、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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