秋田県シリーズ最終戦で、オートテスト出身の熊谷香ランサーが2連勝!

レポート ジムカーナ

2021年11月5日

秋田県内のふたつのコースを舞台とする、秋田県ジムカーナシリーズの今シーズンを締め括る最終戦が10月上旬に開催された。

2021年秋田県ジムカーナシリーズ第6戦
Opasエキサイティングジムカーナ2021秋

開催日:2021年10月10日
開催場所:Opas第1駐車場(秋田県秋田市)
主催:JMRC秋田

 今年の秋田県シリーズは4月25日に、新協和カートランドで第1戦と第2戦が同日開催されるダブルヘッダーで開幕した。9月19日に開催予定だった第5戦は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を鑑み、中止となったが、10月にOpas(オーパス)で予定されていた今回の最終戦は無事、開催の運びとなり、新協和3戦、Opas 2戦による計5戦のシリーズが成立した。

 新協和カートランドはJAF東北ジムカーナ選手権も開催される秋田県内でも有数のモータースポーツコースだが、Opasは秋田市郊外に位置するスキー場で、その駐車場を使用してのジムカーナがオフシーズンに行われている。長方形のスペースはフラットで、レイアウト次第では中高速のコーナーの設定も可能だ。駐車場とスキー場を繋ぐ部分がパドックとなっており、駐車場のスペースを競技コースとしてフルに使えるようになっている。

Opasはスキー場の駐車場を利用したコース。秋田市内からも30分程の距離にあり、アクセスにも優れる。
パドックも十分なスペースが確保されている。
当日のコース図。スペースを隈なく使い切った、全体的にアベレージの高い設定となった。

 コペン、ミラ・バン、ミラ・ジーノ、キャリー、アルト・ワークスと参加した5車種がすべて異なるという、バラエティに富んだ顔触れとなったKクラス。昨年、30年ぶりにジムカーナに復活した近江谷亮一選手が、2ヒートともベストを奪って前戦に続いて優勝を決め、シリーズチャンピオンも獲得した。「まったくのノーマル状態で走りましたが、今日はコースとコペンの相性がちょうど合っていたのが良かったですね」と近江谷選手。「今年はライバル不在もあって、ラッキーにもチャンピオンが獲れました。来シーズン以降は、タイヤと足回りを少し考えたいと思いますが、今までと同じように楽しみながら活動を続けたいですね」と第2のジムカーナライフに向けた抱負を語ってくれた。

Kクラスは近江谷亮一選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
Kクラス表彰の各選手。

 続く決勝は今回新たに設定された「お試しクラス」。僅か2台の参戦だったが、タイム差は0.32秒差と、今大会一番の接戦クラスとなった。勝ったのは17年前に一度だけジムカーナに参戦したことがあるという石川恭裕選手。奥サンが街乗りに使っているインテグラで優勝をさらった。「今年から本格的にジムカーナに挑戦したくて参加しました」という石川選手だが、「オートテストは何度か走ったのですが、ジムカーナはやはり難しいですね」とひとこと。「 1本目はミスコースしないように走るだけで精一杯でしたが、2本目はタイムを出せて良かったです。来年はタイヤだけでもジムカーナ用に替えて走ってみたいです」と、こちらもジムカーナ活動継続を宣言した。

大接戦となったお試しクラスは石川恭裕選手が優勝した。
お試しクラス表彰の各選手。

 続くATクラスは第1ヒートから上位5台が1秒の間にひしめく大接戦となったが、第2ヒートでこの混戦から抜け出した藤原雄司選手が、今季初優勝を決めて逆転チャンピオンもさらうことに。藤原選手はJAF東北ジムカーナ選手権をBRZで戦っているトップランカーの一人。今年も新協和の一戦で優勝を飾っているが、地区戦の参戦は控え、秋田県シリーズを追った。車両も街乗りのBMW118iでの参戦だ。

「このクルマではMTモードは使わずに、ATのモードをスポーツモードにして、トルコンのタイムラグを見越してクリッピングの少し手前でアクセルを踏んでシフトダウンさせたりして、ATに合わせた乗り方に変えて走っています」という藤原選手。「東北の地区戦チャンピオンは何度も獲っていますが、やはり地区戦はガチガチの勝負という感じになりますよね。でも秋田県シリーズはリラックスして楽しく走れますし、さらに今年は最終戦で勝ってチャンピオンまで決められたんですから、本当に良かったです」。しかし地区戦チャンプでさえ容易には勝てないこのクラス。2ペダルモータースポーツの時代を先取りする、なかなかのハイレベルなクラスと言えそうだ。

外国車勢がトップ3を占めたATクラスは藤原雄司選手が優勝。
ATクラス表彰の各選手。

 2WDクラスはRX-8を駆る熊谷修選手が、ノートで地区戦に参戦し、前回のこの大会でも優勝を飾った藤澤満選手を僅差で抑えて優勝。第2戦に続く2勝目を飾った。「ここは新協和とはまた違った難しさがあるのですが、好きなコースのひとつです。これまで何度も走ってきているので、今日もここの路面特性に合わせたドライビングができたのが勝因ですね」という熊谷選手は、ダブルエントリーしている息子の駿選手も今回、3位に入賞した。「若い世代がもっと入ってきてほしいというのもあって私が誘ったのですが、どんどんタイムを出せるようになってきたので、経験値が上がるとすぐに追い抜かれてしまいそうです(笑)。今年はチャンピオンを獲れましたが、今後は若い選手達に超えて行ってほしいですね」と次世代の選手達にエールを贈った。

2クラスは親子でダブルエントリーした熊谷修選手のRX-8が制した。
2クラス表彰の各選手。

 B(ビキナー)クラスでは前回、シリーズ初優勝を飾ったレディスドライバーの熊谷香選手が2連勝を決めて、シリーズも2番手で締め括った。第1ヒートのパイロンタッチを帳消しにする走りで見事な逆転を飾った熊谷選手は、「2本目にキチンとタイムを残せて良かったです」とまずは安堵の表情。「オートテストの参加をきっかけに昨年からジムカーナを始めたばかりの、まったくのモータースポーツ初心者です。ただ、今年になって、やっと色々分かって来たかなという感じがあるので、それが成績に繋がるようになったんだと思います」と好調の理由を振り返った。「 元々ランサーが大好きで、今まで4台、街乗りで乗り継いで来たのですが、このクルマにはデフや強化クラッチを入れて競技専用にしています。今後はJMRC戦などにも挑戦していきたいと思っています」と、本気度も十分の熊谷選手。さらなる活躍を期待したいところだ。

Bクラスは熊谷香選手が前戦に続いて優勝を決めた。
Bクラス表彰の各選手。

 地区戦経験者等、熟達のスラローマーが集ったOP(オープン)クラスは11台による戦いとなったが、旧車のランサー・エボリューションⅢをドライブした三浦豊選手が53秒940までタイムを詰めてオーバーオールウィンを飾った。また60歳以上のベテランが対象のM(マスターズ)クラスでは、GRヤリスを持ち込んだ豊下勝彦選手が優勝をさらった。

OPクラスは今大会最速のタイムを叩き出した三浦豊選手が優勝した。
OPクラス 表彰の各選手。
4台による戦いとなったMクラスでは豊下勝彦選手が快勝した。
Mクラス 表彰の各選手。
フォト/滝井宏之 レポート/JAFスポーツ編集部
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