鳥取・境港市でオートテストを主軸とした「モータースポーツ祭 in 境港」開催! JAF WOMEN IN MOTORSPORTもシーズン3回目のコラボレーション!!

レポート オートテスト

2021年11月29日

昨年オープンした鳥取の新名所「境夢みなとターミナル」にて、JAF WOMEN IN MOTORSPORT共催のオートテストが開催された。JAF鳥取支部が主催する「モータースポーツ祭 in 境港」の一環として行われ、見どころ満載のにぎやかなイベントとなった。

モータースポーツ祭 in 境港/オートテスト in 境夢みなとターミナル with JAF WOMEN IN MOTORSPORT
開催日:2021年11月21日(日)
開催地:境夢みなとターミナル(鳥取県境港市)
主催:カークラブ錦

 11月21日(日)、鳥取県境港市にある境夢みなとターミナルにて「オートテスト in 境夢みなとターミナル with WOMEN IN MOTORSPORT」が開催された。この大会は山口県岩国市に拠点を置くカークラブ錦が主催するクローズド競技会で、JAF鳥取支部が主催する「モータースポーツ祭 in 境港」のメインイベントとして開催された。

 オーガナイザーであるカークラブ錦の原博史代表は、JMRC中国オートテスト部会の部会長でもあり、JMRC中国やテクニックステージタカタ/TSタカタサーキットを運営するタカタグループなどの協力を得ながら、中国地区におけるオートテスト普及に尽力している御仁だ。今シーズンも中国エリアのJAF公認コースや大型商業施設などを舞台としたオートテストの定期開催を計画していて、11月6日の広島県福山市「みろくの里」大会と今大会は、JAF WOMEN IN MOTORSPORT共催イベントとして開催されている。

 また、今大会はJAF鳥取支部が主催する「モータースポーツ祭 in 境港」のメインイベントとして開催された。その内容は、境夢みなとターミナルを中心に、施設正面にある駐車場ではオートテストが行われ、ターミナル内駐車場ではラジコンカーレース、隣接する夢みなとタワーではeスポーツが開催されるという大規模なもの。

 ターミナル入口スペースには境港観光協会・境港市の物販ブースが出展し、鳥取周辺の自動車ディーラーが集結してデモカー展示も実施。JAFによる子ども安全免許証の発行やシートベルト効果の体験、JAFオリジナルミニカー販売もあり、そして、バッテリー式電動自動車の体験コーナーも設けられるなど、盛りだくさんのイベントが付帯していた。

 これまでのオートテストは単独開催されるか、何らかの催しに併催される形での開催が多かったが、今大会はオートテストを中心とした一大モビリティイベントというスタイルが実現されていた。大会の随所で自動車業界全体を盛り上げていこうという機運が感じられ、JMRC中国オートテスト部会の精鋭たちが競技運営に集中し、JAF鳥取支部が付帯イベントでサポートするというスタイルは、全国的にも珍しい意義深いトライアルとなっていた。

 今回のオートテストは参加者が乗り入れたマイカーで走るスタイルで、クルマのタイプと経験値によって11クラスを設定。大きく分けて「C」クラスが初心者、「INT」クラスが経験者、「EXP」クラスが熟練者という3クラスがあり、CクラスとINTクラスについては、車型によって「Kei」と「Compact」、「Middle」、「Sports」、「Large」と細分化されていた。

 このクラス区分はJMRC中国オートテスト部会が関与するオートテストでは統一されていて、どうしても軽自動車やコンパクトカーが有利になりがちなオートテストの弱点を、公平性という観点においてクリアする施策を採用している。また、今大会はJAF WOMEN IN MOTORSPORT共催イベントとして開催され、JAFウィメン・イン・モータースポーツ作業部会の原島由美子委員と村里早織委員が来場したが、女性を対象としたクラスは特に設定しておらず、性別問わず、車型と経験値によるクラス区分に組み込まれていた。

 JMRC中国オートテスト部会が関与するオートテストでは、競技走行は2本ではあるが、第1ヒートの前に練習走行が1本用意され、合計3回の走行ができるようになっていることが多い。また、走行前のドライバーズミーティングは簡素化して、マーシャルカーが実際のコースを走行して「良い例」と「悪い例」を参加者に示す形式が採用している。信号旗の説明なども組み込まれているため、必要な情報を実践的に習得できるようになっている。

 今回のコースは、スタート直後に1本パイロンを左旋回するターンから始まり、3本パイロンによる右旋回の島回りが連続する。続いて右方向に立ち上がりながら直進でガレージに入庫して、右後方に後退で入庫するダブルガレージを設定。その後はガレージセクションを大きく左旋回してやや下り勾配を進み、左右のどちらに旋回しても良いフリー旋回エリアに入る。続いて上り勾配で戻りながら90度右旋回でフィニッシュする構成となった。

 そして、各セクションには開催地にちなんだ愛称が付けられ、最初のターンは隣接施設の「境港さかなセンター」、続く島回りは「夢みなとタワー」、ダブルガレージのエリアは「境夢みなとターミナル」と命名されていた。そして、フリー旋回エリアに至る区間には、仮想の鳥取県と島根県の県境を柵で表現しつつ、その場所にある僅かな勾配に対して「ベタ踏み坂」と命名。これは実際の県境に架かる江島大橋の愛称としておなじみだ。

 ゴール地点は「妖怪神社」と名付けられていたが、鳥居があるわけではなく「鬼太郎」のコスプレをしたコースマーシャルがチェッカーフラッグを振ってお出迎えとなっていた。この試みはオーガナイザーの遊び心の体現とも言えるが、ネーミングライツ的に展開することも可能であり、参加者にとっても、コースレイアウトを覚える際のアイコンにできるというメリットもあるので、単なる“楽しい趣向”に留まっていないところがポイントだ。

 出走台数は55台で、初心者クラスから経験者クラス、熟練者クラスが出走する構成。後半ゼッケンになるほど、走りが洗練されて獲得ポイントも減っていくため、観客も気持ちを盛り上げながら見続けられる、観る側の目線も大切にする配慮もなされていた。そして、練習走行を経てから決勝走行に挑めることと、視覚的にも捉えやすいコース設定を採用したため、第1ヒートはペナルティも少なく、第2ヒートでは成績を更新する展開となった。

 C-Keiクラスは、長谷川潤選手が第1ヒートで35.2ポイントを獲得して首位に立ち、第2ヒートではさらにポイントを削って34.3ポイント獲得で優勝した。C-Compactクラスは、原聡美選手が第1ヒートと第2ヒートの両方で大差の最小ポイントを獲得して優勝。C-Middleクラスは、藤吉晃士朗選手が2番手の吉岡浩選手を僅かにかわして最小得点を獲得。第2ヒートは不出走となったものの第1ヒートの結果が更新されず、優勝者不在の表彰式となった。C-Sportsクラスは、稲村拓弥選手がブッちぎりの走りで首位に立ち、第2ヒートは更新できなかったものの第1ヒートの結果で優勝を飾った。1台出走のC-Largeクラスは、野津清美選手が優勝した。

 INT-Keiクラスは、亀川法昭選手が2番手の坪倉直之選手を僅差でかわしてトップに立つ。第2ヒートは亀川選手の獲得ポイントを誰も更新できず、亀川選手の逃げ切り優勝となった。INT-Compactクラスは、車両変更によりクラス変更となった白砂高志選手が、これまでのポイントを大きく下回る32.5を獲得して首位に立つ。第2ヒートはさらに得点を更新して、オーバーオール3番手のポイントで優勝した。INT-Sportsクラスは、寺岡健選手がトップに立つも、第2ヒートでは7番手の宮下裕康選手がポイントを大きく減らして大逆転勝利を飾った。1台出走のINT-Largeクラスは、大柄な車両を巧みに操った苗山広幸選手がオーバーオール12位の得点で優勝した。

 EXP-Keiクラスは、第1ヒートに31.3ポイントという驚異的な最小限点を獲得した篠原賢爾選手がクラスそして総合トップに立つ。第2ヒートはさらなる好走を見せて30.6ポイントに短縮。オーバーオールトップでクラス優勝を果たした。最終出走クラスとなるEXPクラスは、大橋弘誉選手が32.1ポイントで首位に立ったが、第2ヒートでは、第1ヒートはペナルティで下位に沈んでいた桝田努選手が好走。31.4ポイントを獲得して逆転優勝した。

 感染拡大防止のためにソーシャルディスタンスを確保できるよう、広島のタカタグループの協力により大型サイズの仮設表彰台が持ち込まれ、表彰式は華やかな雰囲気で行われた。参加者には一人ひとりに今回の走行風景を捉えた写真パネルが贈呈される嬉しいおみやげもあった。そして、大会の最後には来場者全員を対象としたじゃんけん大会も行われ、JAF中国本部の神吉靖視事務局長より、特賞の「カニ」が幸運な2名に贈呈されていた。

オートテスト会場は、鳥取県境港市にある「境夢みなとターミナル」の駐車場。広大なスペースを贅沢に活用したコースが設定された。
会場にはマスク着用やディスタンス確保といった注意喚起がなされ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策を徹底して行われた。
当日の参加確認受け付けはドライブスルー方式。PPE着用のJAF職員が検温や本人確認を行い、必要書類を配布してパドックに誘導した。
パドックにクルマを停めてゼッケンを貼り付けたら順次慣熟歩行を開始する。スタート前には競技役員が運転するコースカーが「良い例」と「悪い例」を示すデモ走行を実施。信号旗の解説も併せて行う実践的なスタイルだ。
走行コースは、大小二つのターンとダブルガレージ、フリーターンがキモ。各セクションには、地元にちなんだ愛称が付けられていた。
最初のターンは「境港さかなセンター」、続く島回りの中央には、同所のランドマーク「夢みなとタワー」を模したオブジェが登場。ダブルガレージは船の停泊をイメージしたダブルレーンを設け、フィニッシュの「妖怪神社」ではコースマーシャルがコスプレでお出迎え。
今回の勝負処は、後退で入庫する連続ガレージ。フリー旋回エリアも、しっかりと速度を落とさないと回れない設定となっていた。
場内実況の担当は全日本ダートトライアル選手権でおなじみの西元直行さん。出走ごとにBGMを変えるお家芸で大会を盛り上げた。
リザルトの公式掲示は、パドックに設置した大型モニターで実施。また、参加者の賞典には金銀銅のJAFメダルも用意されていた。
10台出走のC-Keiクラス表彰台。優勝はカプチーノを駆る長谷川潤選手。2位はワゴンRの知念良樹選手、3位はi-MiEVの柏木秀和選手。
3台出走のC-Compactクラス表彰台。優勝はノートを駆る原聡美選手。2位はフィットの矢倉豊選手、3位はアクアの日野秀一選手。
10台出走のC-Middleクラス表彰台。優勝はインプレッサを駆る藤吉晃士朗選手(都合により表彰式は欠席)。2位はインプレッサの吉岡浩選手、3位はWRX S4の塩田凛選手。
6台出走のC-Sportsクラス表彰台。優勝はインテグラを駆る稲村拓弥選手。2位はMR-Sの桑谷雄一郎選手、3位は86の多田良輔選手。
1台出走のC-Largeクラス表彰台。優勝はセドリックを駆る野津清美選手。
3台出走のINT-Keiクラス表彰台。優勝はワゴンRを駆る亀川法昭選手。2位はアルトワークスの坪倉直之選手、3位はS660の谷口義人選手。
5台出走のINT-Compactクラス表彰台。優勝はデミオを駆る白砂高志選手。2位はヤリスクロスの野津剛選手、3位はスイフトスポーツの秋山諒生選手。
7台出走のINT-Sportsクラス表彰台。優勝はロードスターを駆る宮下裕康選手。2位はロードスターの恩田暢彦選手、3位はS2000の坂井洋介選手。
1台出走のINT-Largeクラス表彰台。優勝はアウトランダーPHEVを駆る苗山広幸選手。
2台出走のEXP-Keiクラス表彰台。優勝はS660を駆る篠原賢爾選手。2位はムーヴの山田昌延選手。
7台出走のEXPクラス表彰台。優勝はGRヤリスを駆る桝田努選手。2位はRX-8の大橋弘誉選手、3位はスイフトスポーツの池村常正選手。
表彰式の後には全員参加のじゃんけん大会が行われ、特賞は「カニ」。幸運な2名にJAF中国本部の神吉靖視事務局長から贈呈された。
境夢みなとターミナル前ではラジコン大会が行われ、地元自動車ディーラーによるデモカー展示やJAF子ども安全免許証、発行境港観光協会や境港市による物販ブースも展開。お昼には各社デモカー総出演のデモランが行われ、隣接する夢みなとタワーではeスポーツ大会も併催されるなど、オートテストを中心とした「祭」に相応しい賑わいが演出された。

オートテスト参加者インタビュー

愛機のシビックタイプRをいつかサーキットで……!!

希少なRAYSのホイールを装着したフィットで丁寧な走りを披露していた矢倉豊選手。「JAFの会員は来年で50年になります。もともとクルマが好きで、このクルマは普段乗りで、もう一台タイプRを持っています。シビックタイプRの最終型を購入しましたが、家族の都合で遠出ができず、あんまり乗れていないんですよ。オートテストは前から知っていましたが、ようやく近くで開催されたので初めて出られました。以前も旧型のタイプRに10年乗っていて、最終型はターボが付いて速くなりましたが、重たくなって小回りも利かないから、まだ自分に馴染んでないんですよね。岡山辺りで走りたいと思っていますが、なかなか実現できないので、近場でオートテストがあったらまた参加したいですね」。

運転がうまくなりたいから、何回やっても面白い!

大柄なアウトランダーPHEVでも、うまくノーズを入れて小回りさせていた苗山広幸選手。「モータースポーツは、ジムカーナやダートラとかの観戦には行ったことがありますが、走る方はやったことがありません。これまでずっと競技をやりたいと思っていたので、何かの拍子でオートテストの存在を知って、やってみることにしました。今回で6回目の参加で、広島県を中心にTSタカタや岡山国際での大会にも参加しました。岡山国際は本コースを走れるのがいいですよね。今年のみろくの里には出られなかったので、遠かったですが、奥様に許可をもらって鳥取まで来ました。自分はまだまだ”切り返し”が遅いんです。今回もスタート直後に切り返しが連続していて、2回目を小さく回りたかったのに大回りになってしまったのが悔しいですね。進入でブレーキングして頭を入れることを念頭に置いていますが、アンダーステアが出ないのは電子制御頼みです。オフにしていたらもっとアンダーが出ていますよ(笑)。オートテストは自分の運転が点数に出るので、自分がどれだけなのかが分かるし、他の人の成績を見て、ああしようこうしようとか参考になります。運転がうまくなりたいと思っていますので、オートテストは何回出ても後悔の連続ですよ」。

フォト/谷内寿隆、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部

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