第3回「ドリフトテスト」は徳島カートランドが舞台! クラス分けと新たなポイントテーブルも導入されて、話題のJAF新種目はますます充実!

レポート ドリフトテスト オートテスト

2024年11月29日

11月4日の第2回幸田大会に続いて、ドリフトテストの第3回大会が徳島県吉野川市にある徳島カートランドで11月23日に開催された。会場にはあらゆる駆動方式を持つマシンで26名の参加者が駆けつけ、ウェット路面のドリフト走行と”ドリフト駐車”に臨んだ。

JAFドリフトテスト in 美郷
開催日:2024年11月23日(土)
開催地:徳島カートランド(徳島県吉野川市美郷村)
主催:プレジャープロジェクト(P2)

11月4日の幸田サーキットYRP桐山大会に続くドリフトテスト第3回大会は、徳島県のJAF公認スピード競技コース「徳島カートランド」で開催された。
晴天に恵まれた第3回大会の参加車両は合計26台。今大会では初の試みとして参加者の自己申告での経験値による2クラス構成での大会となった。
実況MCは、鈴木学氏と同様にD1グランプリの実況でおなじみの勝又智也氏が登場。主催はプレジャープロジェクトで審査委員長は貞井隆司氏が務めた。
講師そして審査員は、ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ!レーシング所属のおなじみ山中真生選手と、広島のRepair Create✕Result Japan 村上満選手という豪華な顔ぶれ。

 秋も深まり木々が色づいた11月23日、徳島県吉野川市にあるJAF公認スピード競技コース「徳島カートランド」で「JAFドリフトテスト in 美郷」が行われた。

 2024年から施行された新種目ドリフトテストも、6月の栃木県那須塩原市のドライビングパレット那須大会、11月初旬の愛知県幸田町の幸田サーキットYRP桐山大会に次いで第3回大会の開催が徳島県で実現。今回は26名の参加者が徳島カートランドに集まったことから、オートテスト以来、約10年ぶりとなる新種目への高い期待を感じさせた。

 徳島カートランドを占用した今大会。本コースに置かれたパドックを見渡すと、参加車両は86/BRZやロードスターら後輪駆動車と、スイフトスポーツや前輪駆動の軽自動車などの二輪駆動が多勢を占め、ほかにGRヤリスなどスポーツ4WDの参加もあった。

 特別規則書によると今大会の参加車両の条件は、ハイルーフ・キャブオーバー・バン車型を除く、保安基準に適合したナンバー付き車両で、機械式パーキングブレーキを装備した車両であることが明記された。参加者の身体安全装備については、長袖・長ズボン・スニーカー等の着用を必須とし、耳が隠れる形状を持つヘルメットの着用も義務とされた。

 また、ドリフトテストでは初の試みとなる「クラス分け」が今大会で導入されている。クラスは「モータースポーツやミニサーキットをはじめ走行会の経験のない方」を対象とした「初心者クラス」と「モータースポーツ経験やミニサーキットをはじめ走行会の経験のある方」を対象とした「経験者クラス」の2つを設定。審査員が当日の走行を判断して参加者のクラスを変更する可能性があることも特別規則書に明記されていた。

 徳島でのドリフトテストはJAF公認クローズド競技として行われ、JAF徳島支部とJMRC四国の協力により実現に至っている。このたび新種目が徳島で開催された経緯を、JMRC四国運営委員長であり今回の組織委員長・競技長を務める金井宣夫氏に伺った。金井氏は「オートテスト・ドリフト振興活性化分科会」の委員として新種目の開発に携わっている。

「自分としては年内に四国で開催したい思いがありまして、徳島カートランドさんに聞いたら、ちょうど今日だけ空いているということで、何とか開催にこぎつけました。ドリフトテストは名阪スポーツランドのパイロットイベントを視察したり、ほかの大会の様子も聞いていましたが、自分の地元ならどう開催するかについて試行錯誤がありました。参加者からは『上級者が勝つイベントなんでしょ?』という声も聞こえていたので、今回は独自の試みとしてクラス分けを導入してみました。ドリフトテストは生まれたてなので、試験的に実践テストを重ねて、細かい部分を修正していく必要があると思っています」。

ドリフトテストはオートテストとは異なりグローブ着用など肌が露出しない服装が必須。ヘルメットも耳が隠れるタイプの着用が推奨され、今大会では装着必須となっていた。
JMRC四国運営委員長であり今大会の組織委員長・競技長を務める金井宣夫氏。金井氏は、JAFが招聘する「オートテスト・ドリフト振興活性化分科会」の委員も務めている。
JAF規定によれば、ドリフト走行する路面には車両への負担軽減のために散水などを行う由が書かれており、今大会でも散水車を導入してウェット路面を構築していた。

 四国初のドリフトテストを受け入れた徳島カートランドは、ジムカーナなどのJAF公認競技をはじめ、レンタルカートや四輪のドリフト走行、模擬レースなどが行われてきたミニサーキットだ。全長850mの走路を持つコースが今大会のために占用され、パドックもコース上に設置されたことで、スペース的にも時間的にも余裕を持った運営が実現した。

 今回は朝8時のゲートオープンから始まり、参加確認受け付けや車両検査、開会式からのブリーフィングや座学を経て9時50分には練習走行がスタート。お昼をはさんで13時からは、競技走行2本のコンテストが行われ、14時30分には表彰式を迎える日程だった。

 コースレイアウトは順走コースの前半部が使用された。コントロールライン付近からスタートしてコース1コーナーの島を右折。コース2コーナーとの間にある広場には2本のパイロンで右旋回&左旋回のS字セクションが設けられ、左旋回から右旋回に振り返してガレージに車体を入れるという設定。ガレージへの進入が右旋回であるため、競技区間の1コーナーと2コーナーについては右旋回のターンを採用して、ガレージインの事前練習ができるようになっていた。もちろん、ドリフトテスト名物の散水もしっかり行われた。

 コンテストの審査員は、ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ!レーシングの山中真生選手に加え、広島のD1ドライバーであるRepair Create×Result Japanの村上満選手が担当。大会の実況MCは、これまでの鈴木学氏に代わって、こちらもD1グランプリの実況だけでなく、富士スピードウェイにおける各種催事でもおなじみの勝又智也氏が担当した。そして、JAFオートテスト・ドリフト振興活性化分科会の委員を務める時田雅義氏が今回も特別講師兼アドバイザーを務め、参加者との積極的なコミュニケーションを図っていた。

 現状のドリフトテストでは、「練習走行」の存在が一つの大きな特徴となっている。いわゆる”講師付き練習会”といった体裁で、これまでの大会では、2~3本の練習走行の合い間に参加者全員を集めた座学を行いながら、参加者一人ずつに講師が丁寧なアドバイスを行ってきた。今大会でも、ゴール後のパドックに戻る間に山中選手と村上選手が陣取り、練習走行終了後の参加者に対して、1名ずつ、しっかりとした個別指導を行っていた。

 この取り組みは、講師の指導をすぐ次の走行に活かせるため、多くの参加者にとって好評を博している。今大会では、他の選手の走りを観察するときの参考になったとの声も聞こえている。また、この機会は参加者のレベル判定の材料としても用いられ、練習走行を終えた時点で3名の参加者が、初心者クラスから経験者クラスへと昇格することになった。

 お昼をはさんで13時から、ドリフトテストの競技要素となるコンテストがスタートする。そして今大会では、前回の課題を踏まえた、新たなポイントテーブルが採用された。このポイントは「スピード競技開催規定細則:ドリフトテスト開催要項」によれば、タイヤの本数は1本20点で最大80点、主観審査によるドリフトポイントは最大20点(合計100点のイメージ)と定められている。それを今回は、タイヤの本数を1本10点(最大40点)とし、ドリフトポイントは最大60点という配点を新たに試すこととなった。

 この新たなポイントテーブルの採用について、JAFオートテスト・ドリフト振興活性化分科会委員の時田委員は「タイヤの本数の点数が高すぎて、ガレージに入れただけで80点がとれてしまうんです。これはドリフトテスト趣旨と離れてしまうので、今回はタイヤの本数を1本あたり10点、ガレージまでの走行を審査するドリフトポイントについては、審査員1名につき各30点というポイントテーブルを試してみました。現場では、まだまだ手探りな要素もあるので、一つ一つ課題を改善しながらやらせてもらっています」と経緯を語る。この点数配分で、どんなコンテストになるのかも気になるところだった。

今大会は朝8時にゲートオープン、8時30分から参加受付・車検というスケジュール。書類を受付に提出してゼッケンなどをもらい、車検に備えつつ出走準備をする流れ。
車検員がパドックの各車を巡る方式の車検。検査項目は、ドリフトテストの場合は、運転に支障が出る車内装備の除去や身体装備の適正確認が主な内容となる。
全員を集めたブリーフィングが行われる。JAFオートテスト・ドリフト振興活性化分科会の時田雅義委員がドリフトテストの趣旨やコンテストまでの流れを説明した。
コース委員長の坂東慎太郎氏らによる信号旗の説明も行われた。信号旗はコースクリアを示す緑旗やパイロン移動などを示す黄旗、ゴールを示すチェッカーフラッグなどがある。
徳島カートランドを占用した今大会。スタート後、島を利用した右ターンから、2本のパイロンで構成されたS字セクションを経て、ガレージには右旋回で入庫するレイアウト。
出走前には参加者全員を対象とした慣熟歩行が行われ、山中選手や村上選手が先導してコースを歩き、要所要所でコース攻略のポイントをレクチャーする形式が採用された。
ドリフト初体験の参加者にとってはファーストコンタクトとなる練習走行。路面の感触やパイロン間隔を確認しつつ、愛車がどんな挙動を示すのかを積極的に試していた。
ドリフトテストの一つの大きな特徴ともいえる、練習走行時に行われる講師たちによるマンツーマンレクチャー。走りを観察して、参加者のスキルに合わせた指導が行われた。

 コンテストは初心者クラスからスタートした。賞典は、初心者クラスと経験者クラスがそれぞれ1位~3位までに正賞と副賞が授与され、初心者クラスについては、4位~10位までの選手に副賞が贈られる。初心者クラス・経験者クラスの順に1本目の走行を終えると、そのまま2本目のコンテスト走行に入り、最後に表彰式を迎える流れだ。

 初心者クラスは、1本目から高得点をマークしたスイフトスポーツに乗る岡田寛選手が優勝した。岡田選手の1本目は、29点のドリフトポイント獲得と4輪入庫を果たして、いきなり69点を獲得したものの、2本目にはパイロンペナルティを喫して、かつドリフトポイントも加点ならず、1本目の成績で初心者クラスを制した。ちなみに岡田選手のベストスコアは、オーバーオールで9番手に入る好走であった。

 初心者クラス2位はインプレッサ2.0GTを駆る田中千智選手。田中選手の1本目は2本入庫でドリフトポイントも20点だったが、2本目には気を吐き、S字でのステアリング戻し遅れで姿勢を乱しながらも、残りのセクションではドリフト走行に成功し、ガレージには3本入庫を果たした。田中選手のめげないメンタルには審査員も高評価となり、ドリフトポイントは23点を獲得し、3輪入庫の30点を加算した53点で2位となった。

 初心者クラスの3位には「ストレス発散で参加しました(笑)」と語るスイフトスポーツの落合政雄選手と、同じ40点だったラパンの坂東陽子選手が入った。坂東選手は、スタート前も練習中も競技中も笑顔で、いつも朗らかな姿勢がとても印象的だった。

 5位はNDロードスターの若山香選手、6位はFD2シビック・タイプRの清板育子選手とオートテストでもおなじみのレディスドライバー勢が続き、7位は86前期の土居本剛史選手、8位はフィットの高橋保行選手、9位はS13シルビアの笠井優香選手、10位はアバルト124スパイダーの大崎俊之選手という入賞の顔ぶれとなった。

ドリフトテストの競技要素となる「コンテスト」では、実況MCと審査員がガレージ周辺に陣取って参加者の走りを観察。ガレージ入庫本数はコースマーシャルが判定する。
初心者クラス1位は、1本目に69点を叩き出したスイフトスポーツの岡田寛選手。
初心者クラス2位は、インプレッサ2.0GTで激しい走りを披露した田中千智選手。
3位にはスイフトスポーツの落合政雄選手とラパンの坂東陽子選手が同点で並んだ。
5位はNDロードスターの若山香選手、6位はFD2シビック・タイプRの清板育子選手。
7位は前期86を駆る土居本剛史選手、8位はフィットで果敢に挑む高橋保行選手。
9位は希少なS13シルビアを駆る笠井優香選手、10位は124スパイダーの大崎俊之選手。
初心者クラスは上位3名にメダルと副賞、4位から10位までの選手に副賞が贈られた。

 続いて行われた経験者クラスは、後輪駆動勢による高得点を巡る戦いとなった。

 1本目は前半から盛り上がり、R33スカイラインで挑戦した藤井裕介選手が57点ものドリフトポイントを稼ぎつつ4輪入庫も果たし、92点という暫定ベストスコアを叩き出した。藤井選手は大柄なマシンを巧みに操り、S字セクションのドリフト走行をしっかり維持してガレージ入庫も決めた。しかし、ゴール後の徐行を怠り5点の減点となってしまったにも関わらず、ぶっちぎりの暫定ベストスコアで後続を待った。

 経験者クラス1本目は、NBロードスターを駆る添木祐介選手が2番手につける。添木選手は普段は軽自動車で耐久レースに参戦しているそうで、ガレージでは3本入庫に留まったものの、ドリフトポイントは藤井選手に次ぐ55点をマークした。

 そして、伏兵とも言える活躍を見せたのが清水俊貴選手。なんと前輪駆動のエッセを持ち込み、1本目には4輪入庫と41点のドリフトポイントで合計81点を獲得したのだ。清水選手は、左手を常にパーキングブレーキレバーに置く、いわゆる”Fドリ”の流儀を知る走りを披露。振り出しからしっかりスライドさせる、まるで後輪駆動車のような走りには会場全体が盛り上がり、審査員からも高評価を受けて暫定3番手スコアの獲得に成功した。

 経験者クラスの2本目がスタートした。暫定トップの藤井選手は、S字セクションでハーフスピン。コース復帰の際にパイロン転倒があり、スコアは77点と伸び悩んでしまう。続くエッセの清水選手はドリフトポイントを45点に高めて85点を獲得。そして、NBロードスターの添木選手は4輪入庫を果たし、ドリフトポイントは1本目と同じ55点をマーク。これにより添木選手が95点の暫定ベストで藤井選手を上回り、暫定トップに立った。

 2本目の経験者クラス後輪駆動勢で最終出走となったBRZの森信彦選手は、1本目こそ43点で下位に沈んでいたが、2本目にはドリフトポイント46点で4輪入庫に成功したため、エッセの清水選手のベストスコアをわずかに上回って3位に浮上することになった。

 四輪駆動勢では、桝田努選手と余吾泰衡選手というオートテストでおなじみのGRヤリス使いたちが気を吐き、昨年12月の名阪パイロットイベントのウィナーでもある余吾選手は46点、桝田選手は45点のドリフトポイントを獲得して上位進出に成功した。

 この結果、ノーペナルティで95点を獲得したNBロードスターの添木選手が経験者クラスを制し、スカイラインの藤井選手が、今大会のドリフトポイント最高点を獲得しながらもペナルティに泣いて1本目の92点で2位となった。3位はBRZの森選手、4位はエッセの清水選手、5位は余吾選手、6位は桝田選手というリザルトとなった。

 優勝した添木選手は、1本目は3輪入庫に留まったが「車庫入れは失敗ではなかったと思いますが、1輪だけ出てるって判定になっちゃいました。2本目は正直なところ、自分としては若干怪しい車庫入れでしたが(笑)、なんとか入ってるという判定をいただいたのでラッキーでした」と笑顔で語る。「普段からドリフトみたいなことをしているんですが、ドリフト駐車をする機会ってなかなかないので、面白そうだなと思って参加しました。いや、もうめちゃくちゃ楽しかったです。実況と講師の喋りも面白いし、参加者の皆さんもワイワイした賑やかな感じで。今後もあるならぜひ出たいと思うような、雰囲気のいいイベントでした」ということで、今度は参加者のサポートができるように自分の動画チャンネルやSNSで情報発信していきたいとのことだった。

 逆転されて2位に終わった藤井選手は「ドリフトテスト、すごく面白いです! 雰囲気もいいですし、普段あまりできない、サイドブレーキを引いてスライドコントロールをするっていうドライビングを学べると思うので、ぜひ皆さん参加してください」とコメント。「”競技”ってものに出るのが初めてで、練習の時から緊張しまくってました(笑)。何とか無事に、綺麗にドリフトできて、評価もしてもらえたので良かったと思ってます。ありがとうございます! ドリフトテスト、楽しかったです。僕も初めてでしたが、初めてでも楽しめると思うので、ぜひ皆さんも参加してください」。知り合いのショップで、レースなどの競技にも興味を持つようになったという藤井選手。これからも様々な競技に挑戦していってくれるだろう。

 3位は、普段はオートテストに出場している森選手で「オートテストは滑らせると怒られますが(苦笑)、今日は逆に滑らせていいよというイベントなので、最初はどう滑らせていいのか非常に苦しみました……。練習走行もコンテスト1本目も全部ミスしたんですが、最後の1本でうまいことできたんで、滑り込みできました。ドリフトテスト、むっちゃ楽しかったです!」と言葉を弾ませる。「滑らせるタイミングや目線の置き方についてアドバイスをもらい、それを素直に実行した結果です」と講師に感謝しきりだった。

コンテストでは、審査員がガレージ手前のセクションでのドリフト走行の有無や飛距離と角度、スタイルなどをつぶさに観察。その結果をドリフトポイントに反映する。
経験者クラス1位はNBロードスターの添木祐介選手。2本目の快走で逆転勝利を挙げた。
経験者クラス2位はR33スカイラインを駆る藤井裕介選手。大柄な車体を巧みに操った。
経験者クラス3はBRZの森信彦選手。2本目で4輪入庫を果たし3位にジャンプアップ。
経験者クラスの表彰式。1位の添木選手、2位の藤井選手、3位の森選手。
4位はダイハツ・エッセで1コーナーから華麗な”Fドリ”を披露した清水俊貴選手。
5位は、名阪パイロットイベントのウィナーでもあるGRヤリスの余吾泰衡選手。
余吾選手と僅差の6位は各地のオートテストでも活躍するGRヤリスの桝田努選手。

 選手たちの笑顔が一杯だった表彰式が終わり、参加者と講師たちが笑いながらスマホで記念写真を撮って盛り上がっている。練習走行の個別指導で参加者と講師の距離感が縮まり、講師のアドバイスの正確さもあって、両者には信頼関係が生まれていたようだ。

 第1回から講師を務めてくれている山中真生選手に、今回のポイントテーブル変更の効果について聞いてみた。「今までは、ガレージ手前の走りでドリフトができていなくても、4輪入ると80点を貰えるという配点だったので、今回の変更で、得点がイコールに近づくような審査ができたんじゃないかと思います。実は、いきなりドリフト駐車するのってなかなか難しいんですよ。それでも一発でたまたま入っちゃう人もいたりするので、個人的には、ほかのコーナーでドリフトできている人の方が、技術としては上なんじゃないかと思ってます。なので、今回はその部分でしっかり点数を付けられたので、良かったのかなと思います」。今回初めて講師と審査員を務めた村上選手は、「すべて言われてしまったので、右に同じです(笑)。いい配点方法だと思います」と笑わせてくれた。

 今回初めてドリフトテストの実況MCを務め、会場を盛り上げてくれた勝又智也さんも、「本当に楽しかったです。皆さんは、クルマのテールスライドからドリフト状態に持っていくってことは、あまりやったことがないと思います。そんな中でアクセルを踏む楽しさですとか、ほかの競技とは違った部分がとても楽しめたんじゃないかなと思ってます。皆さんの笑顔で実況席メンバーのテンションも高くなりましたし、そこで生まれた一体感みたいなものが、実況や審査にも繋がったんじゃないかと思います。楽しかったです!」と笑顔で振り返ってくれた。

 ドリフトテスト施行の年に栃木、愛知、徳島で3つの大会が終了した。最後に、JAFオートテスト・ドリフト振興活性化分科会の時田委員に話を聞いた。

「ドリフト初体験の場となるイベントで、クルマで遊びながらモータースポーツの取っかかりになるという枠組みとしては、一つのカタチになってきたと思います。ただ、競技であることを前面に押し出しすぎると、また難しいことになりそうなので、あまりハードルを上げたくはないんですよね。ですが、車庫入れを競技でやるイベントも今まであまりなかったので、競技として突き詰めるとこの先どうなっていくのかを見てみたいという思いもあります。そういう意味で、その辺りの線引きがなかなか難しいと感じています」。

「これまで毎回、講師に来ていただいているので、テールスライドの経験がまるでない初心者でも、講師にアドバイスしてもらいながら、走ってもらっています。その部分で言うと、朝イチには全然走れなかった人が、練習走行を経て、コンテストになるとドリフトできるようになったり、ドリフトに近いテールスライドができるようになったりしています。そこがこちらとしても嬉しいですし、お客さんも笑顔で帰ってくれているのを毎回実感していますので、現状のドリフトテストは、そこがすごくいいと感じています」。

「課題としては、ポイントの配分とコース設定ですね。今回はその辺りを試してみて、一定の成功を得たんじゃないかと思います。あとはコストの問題でしょうか。参加台数をこれ以上に増やしてしまうと、1日に収まらない可能性があります。今回ぐらいの参加台数が良さそうですが、現状の内容でうまく時間内に終わらせるようにすることも含めて検証が必要です。時間を延長すると開催コストにも影響しますし、それを参加費をまかなうには限界もあるので、来年や再来年に向けて、検証してみなければいけないですね」。

 取材を終えて、オーガナイザーの皆さんの元へ挨拶に行くと、⾦井競技長とコース委員長の板東慎太郎さんが声をそろえて「今日は楽しかったですわ」と笑顔で応えてくれた。今どきのモータースポーツ新種目には、参加者をはじめ、講師も実況MCも観客も、そしてオーガナイザーも、皆が笑顔で会場を後にするような終わり方がふさわしいだろう。

各クラス上位選手のほかにも、今大会ではレディース賞と審査員特別賞が贈られた。
村上選手のD1マシンが所狭しと駆け回る、迫力のデモ走行・同乗走行が行われた。
会場内には協賛各社のブース出展もあり、大会の最後にはじゃんけん大会も行われた。
新たな方向性も見えてきたドリフトテスト。徳島で開催された第3回大会が無事閉幕した。

PHOTO/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、加藤卓哉[Takuya KATOU] REPORT/加藤卓哉[Takuya KATOU]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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