新潟シリーズと甲信越シリーズの交流戦! 少数精鋭のエントラントがR-spec柿崎で上越決戦!!

レポート ジムカーナ

2022年7月12日

毎年のように併催されているJMRC新潟とJMRC甲信のWジムカーナシリーズが今年も開催され、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。

2022 JMRC甲信ジムカーナシリーズ 第2戦
2022 JMRC新潟ジムカーナシリーズ 第3戦
SCOTTハイスピードジムカーナ令和 IN R-spec柿崎

開催日:2022年7月3日
開催地:R-spec柿崎(新潟県上越市)
主催:SCOTT、JMRC新潟

 関東甲信越、通称C地区では各県シリーズが健在している。その中でも、少数精鋭ながら幾人もの選手を全日本ジムカーナ選手権に送り出しているのが、このJMRC新潟ジムカーナシリーズだ。

 そんなJMRC新潟シリーズでは各クラスの参加台数をより多くし、クラスを盛り上げるために独自のクラス区分を採用している。B車両は駆動方式により排気量制限を設けたNT1クラス、そして排気量制限のないNT2クラスに分類され、PN車両は全てPNクラスに集約される。非常にシンプルかつ大胆なクラス設定。このクラス分けは、ひとつのクラスの台数が増えることで、コンペティション性が向上するとエントラントからも好評だ。

 そしてもうひとつ、JMRC新潟ジムカーナ部会では独自のタイヤ規則を導入している。通称セミレーシングタイヤに対して、性能の劣るスポーツタイヤにハンディキャップを導入。例えば、今大会まではシバタイヤ装着車にはゴールタイムから1秒を減算してリザルトに反映しているのだ。

 非常に個性的な独自ルールの下、開催されているJMRC新潟ジムカーナシリーズ。そこに、近年交流戦を開催しているJMRC甲信シリーズが併催された今大会。会場は海風が心地良いR-spec柿崎で、全長600mのミニサーキットは緩やかな傾斜の中に逆バンクコーナーなどがあり、ドライバーの出鼻を挫くサーキットだ。

 緩やかな1コーナーは奥に行くほど回り込むので、勢いよく進入してしまうと曲がり切れず、見通しの良いインフィールドは早くアクセルを踏みたくなるが、傾斜がそれを邪魔する。見た目以上に非常にテクニカルなサーキットは、腕を磨くには打ってつけである。

 今大会のコース製作は元全日本ドライバーで、コース委員長の青山誠志氏。テクニカルなコースをC車両のGA2シティ乗りらしく、さらにテクニカルに磨き上げた。初心者が多い県シリーズには不向きのようにも思えた入り組んだコースだが、そこは手練手管に長けた猛者たちが集まる新潟シリーズと甲信シリーズ。前日練習のコースと錯覚を起こしたマシンが1台だけミスコースしたのみで、激しい戦いが繰り広げられた。

日本海に面したシーサイドサーキットのR-spec柿崎。全長約600mで高低差約1.7mのコースは、テクニカルかつ走り応えのあるレイアウトとして磨き上げられた。

 まず口火を切ったのはPNクラス。観測史上初の連続した猛暑日と早い梅雨明けとなり、1本勝負が予想された。そんな勝負の1本目、トップに立ったのはTASKサカモトBRZの間光正選手。2番手のロードスターRFの山賀達也選手に1秒以上の差をつけた。

 慣熟歩行を挟んで午前中に行われた2本目では、1本目で「暑さにやられて朦朧としてしまいました……」とミスコースに泣いたサカモトBRZ2022の保坂久慶選手が、間選手の中間タイムをコンマ4秒更新。しかし、最終ターンセクションでやや失速してしまう。それでも見事トップタイムを更新する。

 最終ゼッケンの間選手はそんな保坂選手の中間タイムに100分の5秒まで迫るタイムを叩き出し追いかける。しかし、インフィールドセクションで無念のパイロンタッチ。結果、間選手はトップタイムを更新するが、パイロンタッチに泣いた。

 優勝した保坂選手は「1本目は昨日の練習走行に近いコースだったんで、暑さもあって錯覚しちゃいました。2本目は最終セクションまでは自分でも納得の走りだったんですが、最終のターンでサイドブレーキレバーが引っかかってしまい失速してしまいました。今日のコースはとにかく難しかったですね。ここはどんなコース設定にしても難しいんですが、とくに難しかったです」とコメント。

 一方、トップタイムを出しながらパイロンタッチに泣き、2位となった間選手は「慣熟走行があると思ってタイヤの皮むきをしないで来てしまったので焦ってしまいました。2本目は1本目で探っていったところをしっかり攻めようといい走りができました。パイロンタッチだけが残念でした。2本目の走りには納得しています」と本大会を振り返った。

PNクラス優勝は保坂久慶選手(サカモトBRZ2022)。
2位は間光正選手、3位は山賀達也選手。
PNクラスの表彰式。左から2位の間選手、1位の保坂選手、3位の山賀選手、4位の小林道子選手。

 NT1クラスは8台の車両で争われ、甲信シリーズと新潟シリーズのバトルに注目が集まった。ニッシン雪椿DIXCELデミオの幸内利成選手が1分22秒台をマークする。このタイムはラスト3までトップタイムとして守り続けられた。

 ラスト3はS15シルビアとNB8Cロードスター2台。S15シルビアを駆る小海崇史選手はシバタイヤを装着しているため、マイナス1秒のアドバンテージがある。しかし、コーナリングは小回りに勝るNB8Cロードスターに分があり、小海選手のタイムは伸びない。そんな中、トップタイムを更新したのは最終ゼッケンのサカモトコサ犬ロードスターの樋口紀雄選手だった。

「ちょっといろいろ修正点はありますが、とりあえずトップタイムが出せて良かったです。今日はとくに難しいコースなので、2本目勝負かもしれませんね」とコメント。

 路面温度はぐんぐん上昇する中、勝負の2本目。ラスト3まで1本目に樋口選手がマークしたタイムを更新できないままNT1クラスは佳境を迎える。期待のかかった小海選手はパイロンタッチで撃沈。続くラス前のYH銀ロードスターの波田野伸樹選手がスタート。

「1本目のラインを修正して、距離を稼ぐように走ったのは良かったんですが、ターンをもっと攻めに行って失敗してしまいました。悔やむべきはターンでしたね。100%決まるターンがないと樋口選手には届かなかったですね……」と語ったとおり、ターンセクションでミスを犯してしまい、樋口選手のトップタイムを更新するとこはできなかった。

「1本目に対して、2本目は攻めていったんですが、全て行き過ぎてしまいタイムダウンしてしまいました。でも、優勝できてうれしいです」と樋口選手が2連勝を決めて、シリーズでもひとつ抜け出した。新潟シリーズと甲信シリーズの戦いは地元新潟に軍配が上がった!!

NT1クラス優勝は樋口紀雄選手(サカモトコサ犬ロードスター)。
2位は波田野伸樹選手、3位は小海崇史選手。
NT1クラスの表彰式。左から2位の波田野選手、1位の樋口選手、3位の小海選手、4位の幸内利成選手、5位の町井隆男選手、6位の神田豪選手、7位の秋山義忠選手、8位の渡邊光夫選手。

 本大会最多の9台が集まったNT2クラスは、現役全日本ドライバーの徳武銀河選手と、新潟の主こと小林純選手に、これまた全日本選手権にも参戦する石黒義弘選手の三つ巴の様相に。まずターゲットタイムをマークしたのは、スポット参戦のR-spec Lubテックヤリスの石黒選手。19秒台前半で後続2台の出走を待つ。

 この石黒選手のタイムを破ってきたのは、全日本ドライバーとしてハンディキャップ2秒を背負った水芭蕉BSテックロードスター犬の徳武選手だった。石黒選手をわずか1000分の4秒差で上回る記録でトップタイムを更新。ハンディキャップをものともせぬ圧巻の走りを披露する。

 しかし、このタイムをさらに更新してきたのは、シバタイヤを装着するチームマコネン☆コサ犬RX-7の小林選手で、「この会場でシバタイヤを使うのが初めてだったので、様子見で行ったのが良かったですね。輸入タイヤ独特のフィールはありますが、それを加味すればしっかりグリップするので、タイムもしっかり残せました」とコメント。ハンディキャップを加算してさらに徳武選手を突き放す17秒台をマークした。

 2本目になって各選手タイム更新が難しい中、石黒選手も徳武選手もタイムダウン。小林選手もミスコースをしそうになり、自身のタイムは更新できなかったものの、1本目のタイムで優勝を決めた。

「2本目は全体的に良く走れたんですが、ミスコースをしそうになってしまい、焦ってしまってタイムダウンしてしまいましたね。タイヤのタイムラグも分かってきたので走り的には悪くなかったんですが……」と振り返る小林選手。

 一方、2位の徳武選手は「1本目はちょっと攻め切れない感があったんですが、そっちの方がタイヤの状態が良かったんでタイム更新はできませんでしたね。小林選手には小さなところを全部詰めてってやっと同じようなタイムが出せるかな……って感じですね。ここは自宅から一番近いホームコースなので、もうちょっと勝負できると思っていたんですけどね」と振り返り、次週のチャンピオンシリーズに向けて英気を養った。

NT2クラス優勝は小林純選手(チームマコネン☆コサ犬RX-7)。
2位は徳武銀河選手、3位は石黒義弘選手。
NT2クラスの表彰式。左から2位の徳武選手、1位の小林選手、3位の石黒選手、4位の土佐和哉選手、5位の笹川雄矢選手、6位の伊藤貴雄選手、7位の植竹富雄選手、8位の鈴木聡太朗選手、9位の高橋弘選手。
クローズドのチャレンジクラスは初めての大会参加の相沢健太選手(ロードスターS)が無事完走して1位を獲得した。

 本大会を通じて主催の金田勇一氏は「この暑い中ですけれども、昨年に比べて7台も多い台数の皆さんに来ていただいて、盛り上がったのは良かったと思います。本当は甲信シリーズだけでもできればいいんですが、やっぱり台数が少ないということで併催させてもらっています。もう少し底辺から盛り上げていきたいと思いますので、甲信地区でもオートテストを開催していきますのでよろしくお願いいたします」と大会をまとめてくれた。

大会参加の皆さん。

フォト/鈴木あつし レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部

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