群馬ラリーあさま隠は今年も60台超えの大盛況!4クラスで熱戦が展開

レポート ラリー

2022年8月10日

関東中から多くのエントラントが集う人気の群馬ラリーシリーズが、7月23~24日、シリーズを折り返す第3戦が開催された。

2022年JMRC群馬ラリーシリーズ第3戦
あさま隠山岳ラリー2022
開催日:2022年7月23~24日
開催場所:群馬県東吾妻町・長野原町・中之条町
主催:ASCA

 今年のJMRC群馬ラリーシリーズは全5戦の開催が予定されている。開幕戦は4月に行われたJAF東日本ラリー選手権ネコステ山岳ラリーに併催される形で行われたが、第2戦は中止を余儀なくされたため、今回の第3戦は約3か月のインターバルを置いての開催となった。

 今回の一戦が終われば、9月第1週に第4戦が、10月第2週に最終戦がいずれもターマックで行われる予定だ。昨年はシリーズ前半の3戦が成立した後に、後半の2戦が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止となっただけに、今年は残る2戦も無事に開催されることを期待したいところだ。

 あさま隠山岳ラリーは、コロナ禍が完全には収束しない中、行われた昨年も、60台超えのエントリーを集め、相変わらぬ人気ぶりを示したが、今年も昨年を1台上回る62台がエントリー。4クラスに分かれて、覇を競った。

 今回の一戦では23日土曜にレッキを行った後に、24日の日曜9時に東吾妻町町民体育館をスタート。SSはこのラリーではお馴染みとなっているSakakura9.35kmとKazumayama5.87kmの2本を、リフューエル、パッセージコントロールを挟んで1回ずつ走行する計4本、30.45kmが用意された。なおサービスは、新型コロナウイルス感染拡大防止対策のひとつとして、今回は設定されていない。

ラリーの拠点となった東吾妻町町民体育館には、今年も60台を超えるエントラントが集まり、“ラリー銀座”、群馬らしい賑やかな光景が展開された。
今年はラリーの開催前は雨が多かったが、当日は降雨はなし。走り甲斐のある2本のステージが用意された。

 昨年はGRヤリスでスポット参戦したAki HATANO選手が優勝をさらった1クラスは、13台がエントリーした。ただし今回はHATANO選手は不参加。GRヤリスの参加は1台のみで、ランサー、インプレッサを駆る地元群馬のラリースト達が中心となったバトルが展開された。

 SS1 Sakakuraでベストを奪取したのは開幕戦ネコステで2位に入った原澤潤平/磯田卓組のGRBインプレッサ。ネコステではJAF東日本選手権へエントリーし、同じく2位に入った嶋村徳之/和氣嵩暁組を0.7秒差で下して幸先の良いスタートを切った。

 しかしSS2 Kazumayamaでは嶋村組が、2番手に入った宇野学/宇野平組を6.5秒突き離す圧巻のベストをマーク。このSS、4番手だった原澤組を大きく逆転してトップに立つと、SS1の再走となったSS3も、原澤組を3.3秒差で下す連続ベスト。最終のSS4は原澤組が巻き返して2度目のベストを奪うも及ばず、嶋村組が9.8秒のマージンで逃げ切った。

「SS1はペースコントロールできる範囲で走りましたが、思ったよりタイヤが喰ってくれたので、SS2からは攻めました」と嶋村選手。群馬シリーズは、昨年まではラリータイヤに限定されていたタイヤに関する規制が緩和され、タイヤの選択肢が広がった。

「今年履いているタイヤはもう今回で3戦目なので、特性が掴めてきたこともタイムに繋がったと思います」と嶋村選手。原澤組は2戦続けて悔しい2位にとどまり、昨年のチャンピオンの宇野組が3位に入った。開幕戦を制した濱井義郎/本橋貴司組は今回、リタイヤに終わったため、このクラスは最終戦まで接戦が展開されそうだ。

1クラスは、地元群馬の嶋村徳之/和氣嵩暁組が優勝。2位に終わった昨年のリベンジを達成した。
1クラス優勝の嶋村/和氣組。
原澤潤平/磯田卓組は2本のSSでベストを奪ったが、2位にとどまった。
昨年の群馬チャンピオン、宇野学/宇野平組は3位でラリーを終えた。
1クラス1~3位表彰の各選手。
1クラス4~6位表彰の各選手。

 一方、2クラスは開幕戦を制した踏みッパ/もそ組がSS1、SS2と連続ベストを奪う走りを見せて絶好調。特にSS2では総合2位に入る圧倒的なスピードを見せつけ、2番手の岡戸俊樹/和田日向組に12秒の大差をつけて折り返す。

 セクション2では岡戸組が反撃を開始。2本とも踏みッパ組を凌ぐタイムでゴールしたが、3.5秒届かず。昨年はこのラリー、3位に終わった踏みッパ組が、リベンジを達成するとともに、開幕2連勝でライバルとの差を大きく広げた。開幕戦で接戦を展開した新潟の山田一雄/水野卓哉組は後半追い上げたが、3位。今回は踏みッパ組の背後を脅かすことはできなかった。

2クラスは、昨年の東日本地区戦チャンピオンでもある踏みッパ/もそ組が、前半で築いたマージンを守って優勝。
2クラス優勝の踏みッパ/もそ組。
コンスタントに上位タイムを叩き出した岡戸俊樹/和田日向組が2位に入賞。
後半、巻き返した山田一雄/水野卓哉組が3位を獲得した。
2クラス1~3位表彰の各選手。
2クラス4~6位表彰の各選手。

 3クラスは参加24台と今回一番の激戦区となった。参加車種も12車種が揃ってバラエティに富んだが、昨年のこのラリーを制してチャンピオンも獲得したヴィッツマイスター、細谷裕一選手は不参加。本命なきバトルが展開された。

 SS1を制したのは昨年、細谷ヴィッツに唯一、土を付けた田辺紘一/八巻慎太郎組のEP82スターレット。後続をキロ1秒、引き離す圧倒的なベストタイムを叩き出すと、SS2でも同様にライバルを大差で下すベストをマーク。SS2で2番手に上がった細谷選手のチームメイト、藤田勝正/阿部琢哉組に15秒の大差を築いて折り返す。

 SS3では藤田組が反撃に転じてベストを奪うも、最終のSS4は田辺組が1.6秒差で藤田組を下して、3度目のベスト。最後まで隙を与えなかった田辺組が、こちらも開幕戦に続いての優勝を飾り、悲願のチャンピオン獲得に向けて一歩前進した。

 昨年のこのラリーは細谷、藤田両選手に敗れて3位に終わった田辺選手は、「去年はSS1で抑え過ぎて離されたので、今年も苔があったりと油断できない道でしたが、多少のリスクを冒してでも踏んで行ったことが報われました。SS2は下りがきつくて、EPには不利な道ではなかったので、ミスなく走れば離されないだろうと思って攻めました」とホッとした表情。

「第2戦が中止になって間が空いたので、ネコステの後にじっくりとクルマを煮詰めて、いい動きを見つけられたのも大きいですね。去年のこのラリーを走ったクルマとはかなり違う仕様になっています。ただ、今年もライバルの人達も、高いレベルでまとまっているという印象は変わらないので、残り2戦もしっかり戦っていきたいと思います」と、来たる後半戦をしっかり見据えていた。

24台がエントリーした3クラスは、田辺紘一/八巻慎太郎組が3SSでベストを奪う速さを見せて優勝。
3クラスを制した田辺/八巻組。
藤田勝正/阿部琢哉組はSS3でベストを奪うも、2位にとどまった。
マーチで孤軍奮闘する阪口知洋/宮川裕之組が3位を獲得した。
3クラス1~3位表彰の各選手。
3クラス4~6位表彰の各選手。
CHクラスは全SSベストの快走を見せた後藤芳生/橋本敏久組が優勝した。
髙萩風馬/竹澤義則組は2位入賞(左)。原口静枝/萩原泰則組は3位でゴールした(右)。
CHクラス1~3位表彰の各選手。

フォト/佐久間健、滝井宏之、ASCA レポート/JAFスポーツ編集部

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