JD1クラス改めDクラスは、新体制でランエボⅩを駆る田口勝彦選手が開幕戦勝利!
2023年3月24日

2023年全日本ダートトライアル選手権の開幕戦となる「2023 FLEET Dirt in KYOTO」が、3月18~19日に京都府京都市郊外の京都コスモスパークで開催された。
2023年JAF全日本ダートトライアル選手権 第1戦「2023 FLEET Dirt in KYOTO」
開催日:2023年3月18~19日
開催地:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:TEAM FREET
2021年から2022年までの全日本ダートトライアル選手権はJD1~11のクラス名称となったが、今シーズンは2020年まで使われていたPN、N、SA、SC、Dなど、競技車両の分類に基づくクラス名に戻ることとなった。なお2021年に新設されたAT車両のJD11クラスは、PNE1クラスとなる。
前日の公開練習は最高気温が6度、さらに午前中に降った雨の影響によりヘビーウェットコンディションの中で行われた。だが決勝当日は朝から晴れ渡り、最高気温も16度まで上昇。前日に降った雨と散水の影響により、午前中の第1ヒートはウェットコンディション。第2ヒートはヒート前とSA1クラス終了後の2回、散水が行われたものの、全クラスともほぼドライコンディションとなった。
刻々と変化する路面コンディションに対し、ウェット路面用タイヤ、硬質路面用タイヤ、超硬質路面用タイヤの中から、どのタイヤを選択するかが勝負に大きく影響することとなる。ドライ路面となった第2ヒートのタイムでベストタイムを刻むクラスが続出した。
エントリーは150台。ハイスピードに設定されたコースは念入りな整備が施され、Dクラスの最終走者が走り終えるまでギャップや深い轍が刻まれることなく、フラットで良質な路面コンディションのままで熱戦が繰り広げられた。


Dクラス
4年連続チャンピオンの炭山裕矢選手が、第1ヒートでクラス唯一となる1分23秒台のタイムでトップに立ったDクラス。第2ヒートに入っても炭山選手が第1ヒートでマークしたベストタイムが更新されない状況が続いたが、今シーズンからHKSワークスカラーのランサーエボリューションⅩで走る田口勝彦選手が、炭山選手の第1ヒートのタイムを0.891秒塗り替えてトップを奪う。
谷田川敏幸選手は自己タイムを更新するものの、第1ヒートの炭山選手のタイムに届かず。第1ヒートでドライブシャフトを折損した鎌田卓麻選手は、第2ヒートは逆側のドライブシャフトが折損するトラブルで下位に転落してしまう。第1ヒートトップの炭山選手もタイムアップは果たすものの、田口選手の第2ヒートのタイムには0.445秒届かず。今シーズンから新体制で挑む田口選手が、開幕戦優勝を果たした。



PNE1クラス
2輪駆動のAT車両で争われるPNE1クラスには、SA1クラス上位ランカーの葛西キャサリン伸彦選手が参戦。第1ヒートはその葛西選手が、昨年のチャンピオン・ノワールシゲオ選手に対して約1.6秒差のベストタイムを刻み、トップで折り返す。
第2ヒートは、葛西選手がベストタイムを約0.7秒更新。そのまま葛西選手が逃げ切るかと思われたが、「今シーズンはLSDを装着して戦闘力が上がりました」というクラス最終走者のノワールシゲオ選手が、葛西選手のタイムを約0.8秒上回るベストタイムをマーク。第2ヒートの逆転劇でノワールシゲオ選手が第1戦を制した。



PN1クラス
若手の徳山優斗選手がクラス唯一となる1分38秒台のベストタイムを奪った第1ヒート。ドライ路面となった第2ヒートは一気にタイムが上がり、1分33秒台に4台が並ぶ激戦となった。口火を切ったのは、第1ヒートを1分40秒台で終えた北原栄一選手。後半セクションで一気にタイムを伸ばし、1分33秒677のタイムでトップに立つ。だが、第1ヒート2番手の奈良勇希選手が0.346秒更新。このタイムを後続選手はなかなか抜くことができなかった。
昨年の第6戦で全日本デビュー以来、JAFカップを含めて3戦連続2位の奈良選手が全日本初優勝を手にするかと思われたが、「第2ヒートの慣熟歩行で、僕(が得意)の路面になったと思いました」という川島靖史選手が、PN1クラスでは唯一となる超硬質路面用タイヤでアタック。その戦略が見事に的中し、奈良選手のタイムを0.08秒上回るタイムでフィニッシュし、開幕戦優勝をもぎ取った。



PN2クラス
関東チャンピオンの鶴岡義広選手が1分37秒881のタイムで第1ヒートを制したPN2クラス。第2ヒートは、全日本初出場となるクラス先頭ゼッケンの増田拓己選手がベストタイムを一気に1分31秒783まで引き上げてくる。このあと、後続の選手が次々とベストタイムを塗り替える展開が予想された。
増田選手がマークした1分31秒台になかなか届かない状況が続く。シードゼッケン組に入って、ベテランの鳥居晴彦選手が1分31秒台にタイムを乗せてくるが、増田選手のタイムには0.168秒届かず。地元のコスモスで育った増田選手が、全日本デビューウィンを飾った。



PN3クラス
3年連続チャンピオンの山崎利博選手がSA2クラスに移ったPN3クラスは、今シーズンGR86に乗り換えて、第1ヒートを制した浦上真選手が、第2ヒートでもベストタイムを更新。そのまま逃げ切るかと思われたが、クラス最終走者の竹本幸広選手がベストタイムを0.911秒塗り替え、逆転優勝を飾った。2位に浦上選手、そして3位には両ヒートで好タイムをマークしたAT仕様のBRZを駆る小関高幸選手が入賞した。



Nクラス
Nクラスは、5年連続チャンピオンの北條倫史選手が、第1ヒートでクラス唯一となる1分29秒台のタイムをマークし、トップに立つ。第2ヒートに入ると、宝田ケンシロー選手、矢本裕之選手が1分25秒台にタイムを上げてくる中、北條選手も暫定トップだった矢本選手に0.174秒差をつけるベストタイムをマーク。両ヒートを制する走りで、北條選手がNクラスを制した。



SA1クラス
SA1クラスは、第2ヒートに入ると志村雅紀選手がトップに立ち、全日本ジムカーナと全日本ダートトライアルのW優勝が期待されたが、クラス最終走者の細木智矢選手が、「第1ヒートも第2ヒートも路面とタイヤのコンタクトが悪くて苦戦しましたが、とにかく外(アウト側)に飛び出したら負けると思い、ハンドルを思いっきり切りこんで走りました」と、インを外さない走りに徹し、クラス唯一となる1分28秒台のタイムをマーク。志村選手に0.531秒差をつけ、開幕戦を制した。



SA2クラス
北村和浩選手と黒木陽介選手が1分27秒台の攻防戦を展開したSA2クラス。ドライ路面となった第2ヒートはリザルト上位が大きく入れ替わる展開となった。第2ヒート、まずは九州の若手・岡本泰成選手が1分24秒518のベストタイムをマークし、第1ヒート7番手からトップに立つ。この岡本選手のタイムを、「タイヤがしっかりと路面に食いつき、僕が追い付かないくらい(笑)」という浜孝佳選手が0.296秒更新。第1ヒートトップの北村選手は、「タイヤと路面のマッチングはそれほど悪くはなかったけど、走りに迷いが出て後手後手になってしまった」と5位にポジションを下げてしまう。第2ヒートの逆転劇で、浜選手が2021年の第8戦以来となる全日本優勝を飾った。



SC1クラス
SC1クラスは、第1ヒートのゴール前でサスペンショントラブルによりリタイアに終わった深田賢一選手が、第2ヒートでトップに浮上。さらに、前日の公開練習でエンジントラブルを抱えた山崎迅人選手が、第2ヒートでは深田選手のタイムを約2秒近く引き離す走りを披露し、優勝。それぞれトラブルを抱えた2台が、決勝第2ヒートでは表彰台の上位に並んだ。



SC2クラス
SC2クラスは、ホームコースの京都コスモスパークで開幕戦を迎えた上村智也選手が、両ヒートを制する走りで優勝。昨年のJAFカップを制した亀田幸広選手が、第2ヒートで大西康弘選手を0.41秒上回り、2位に食い込んだ。第1ヒート2番手の大西選手が3位、新たにGRヤリスを投入した昨年の覇者・目黒亮選手が4位となった。



フォト/CINQ、遠藤樹弥、山口貴利 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部