全日本ダートラ第2戦で若手が躍動、PN2張間健太選手とSA1渡邊知成選手が初優勝!

レポート ダートトライアル

2025年4月11日

全日本ダートトライアル選手権 第2戦「KYUSYU SPRING TRIAL IN TAKATA」が、4月5~6日にテクニックステージタカタで開催された。例年、シリーズの最終戦として開催されることが多いタカタラウンドだが、今回は九州地区が主催。同地区主催の全日本ダートトライアル選手権は、2022年末に福岡県のスピードパーク恋の浦が閉鎖されて以来開催されていなかったが、今回は3年ぶりの全日本開催となる。

2025年JAF全日本ダートトライアル選手権 第2戦「KYUSYU SPRING TRIAL IN TAKATA」
開催日:2025年4月5~6日
開催地:テクニックステージ タカタ(広島県安芸高田市)
主催:CRMC、FMSC、MSH

 全国的に桜満開のニュースが報じられた4月6日、第2戦の舞台となるテクニックステージタカタは、全クラス合わせて160台がエントリー。コースは、タカタらしい中高速コーナーを主体としたダイナミックなレイアウトに加え、後半には360度の島周りを加えた2分を超えるハイスピード&テクニカルレイアウトが設定された。路面コンディションは、午前中の前半クラスは前夜に降った雨の影響が残ったものの、両ヒートともドライコンディション。各クラスとも路面の砂利が掃けた第2ヒートのタイムが、勝敗に大きく影響した。

160台がエントリーと多数のエントラントを集めたタカタラウンド。完熟歩行では、前日の雨の影響が残ったものの、競技時の路面は比較的ドライなコンディションだった。
ホコリ防止のための撒水は、PNE1クラスが走行する前とPN3クラス走行後、SA2クラス走行後に行われ、2ヒート分で計6回撒かれた。
中高速コーナーに加えて後半の島回りもあり、ハイスピードかつテクニカルなレイアウトが設定された。

PNE1クラス

 今シーズン初めてクラス成立したPNE1クラスは、第1ヒートで地元のハンター大谷ヒロシ選手(スズキ・スイフトスポーツ)がベストタイムを刻むが、第2ヒートで第1戦はPN2クラスで出走していた内藤聡選手(スズキ・スイフトスポーツ)が逆転。仕事の都合で2015年からモータースポーツ活動を休止し、今シーズンの全日本ダートトライアル選手権 第1戦から本格的に全日本復帰を果たした内藤選手にとっては、約10年ぶりの全日本優勝となった。2位にハンター大谷ヒロシ選手、3位には駆動系にトラブルを抱えながらも両ヒートをしっかりと走り切ったいりえもん選手(三菱・コルト)が入賞した。

PNE1クラス優勝は内藤聡選手(アオイATSカヤバDLスイフト)。
2014年全日本ダートトライアルPN1クラスチャンピオンの内藤選手。およそ10年ぶりに復帰して久々の優勝となった。
2位はハンター大谷ヒロシ選手(DLワコーズWMスイフトAWK)、3位はいりえもん選手(FLYSAFEエボリスタコルト)。
PNE1クラスの表彰式。左から4位の田口和久選手、2位のハンター大谷ヒロシ選手、1位の内藤選手、3位のいりえもん選手、5位の太田智喜選手。

PN1クラス

 PN1クラスは、第1ヒートで工藤清美選手(ホンダ・フィット)がクラス唯一となる2分19秒台のタイムでトップに立つが、第2ヒートに入ると地元の山谷隆義選手(ホンダ・フィット)が、ベストタイムを一気に2分15秒台に引き上げてくる。その後、第1ヒートトップの工藤選手も山谷選手のタイムを0.165秒更新して再びトップに立つが、第1ヒート2番手の飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)が「いつものタカタよりも砂利が多く残っているように感じたので、過去のデータは使わずに自分のフィーリングで走ったことが結果的に良かったと思います」と工藤選手のタイムを0.362秒逆転。開幕戦に続き、2連勝を達成した。2位に工藤選手、3位に山谷選手がそれぞれ入賞した。

PN1クラス優勝は飯島千尋選手(Moty‘s☆DLスイフト神速)。
ディフェンディングチャンピオンの飯島選手が絶好調の開幕2連勝を飾った。
2位は工藤清美選手(工藤ホンダDLワコーズフィット)、3位は山谷隆義選手(DLベックワークスフィット)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の深谷文彦選手、2位の工藤選手、1位の飯島選手、3位の山谷選手、5位の南優希選手、6位の竹花豪起選手。

PN2クラス

 PN2クラスは、第1ヒートで濱口雅昭選手(スズキ・スイフトスポーツ)がトップに立つが、第2ヒートは20代ドライバーの張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が逆転。2022年に全日本デビューを果たし、昨年から本格的にシリーズを転戦するようになった張間選手が、全日本初優勝を飾った。2位は張間選手と同い年の奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が0.088秒差で獲得。3位には、開幕戦を制した昨シーズンチャンピオンの佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。

PN2クラス優勝は張間健太選手(DLクスコWM・ラブカスイフト)。
「テクニックステージタカタを初めて走るので、他の選手のインカー映像を参考にして勉強してきました」という張間選手が初勝利。
2位は奈良勇希選手(ブリッドDLレプソルスイフト)、3位は佐藤卓也選手(DLΩKYBオクヤマ・スイフト)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の山田将崇選手、2位の奈良選手、1位の張間選手、3位の佐藤選手、5位の川島秀樹選手、6位の濱口雅昭選手。

PN3クラス

 開幕戦を制した竹本幸広選手(トヨタ・GR86)が第1ヒートのトップを奪ったPN3クラスは、第2ヒートに入ると「第1ヒートで超硬質路面用タイヤを装着したのですがあまりにも結果が良くなかったので、第2ヒートは硬質路面用タイヤに切り替えました」という徳山優斗選手(トヨタ・GR86)が、第1ヒート10番手から一気に順位を上げトップに浮上。クラス最終走者の竹本選手は、逆に第2ヒートで超硬質路面用タイヤを装着してタイムを上げてくるが、「全体的に自分の走りが甘かった」と0.072秒届かず。第2ヒートの逆転劇で徳山選手が今季初優勝を飾った。2位に竹本選手、3位にはベテランの寺田伸選手(トヨタ・GR86)が入賞した。

PN3クラス優勝は徳山優斗選手(ADVANオクヤマFTGR86)。
第2ヒートでのタイヤ変更が奏功して大幅タイムアップとなったことで、昨シーズン覇者の竹本選手を振り切り勝利した徳山選手。
2位は竹本幸広選手(YH・KYB・スラパ・GR86)、3位は寺田伸選手(TベルテックスDLセラGR86)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の畑窪琢巳選手、2位の竹本選手、1位の徳山選手、3位の寺田選手、5位の和泉泰至選手、6位の小関高幸選手。

Nクラス

 Nクラスは、第2ヒートで「撒水の量が予想よりも多くてドキドキしましたが、第1ヒートの撒水後よりは滑りにくかったと思います」という岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)が逆転優勝。2位には、第1ヒートでトップタイムをマークするものの、「第2ヒートは慎重になりすぎて自分のリズムをつかめず攻め切れなかった」という細木智矢選手(三菱・ランサーエボリューション)が入賞。3位は、開幕戦を制した宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)が獲得した。

Nクラス優勝は岸山信之選手(BRIDE★DL★GRFヤリス)。
昨シーズン覇者の細木智矢選手を0.206秒引き離して勝利した岸山選手。Nクラスは今年もこの二人を中心に群雄割拠となるか。
2位は細木選手(MJTDLSWKレイルランサー)、3位は宝田ケンシロー選手(YHオクヤマFT小松GRヤリス)。
Nクラスの表彰式。左から4位の山崎利博選手、2位の細木選手、1位の岸山選手、3位の宝田選手、5位の馬場一裕選手、6位の河田富美男選手。

SA1クラス

 SA1クラスは、第1ヒートで昨シーズンチャンピオンの河石潤選手(スズキ・スイフトスポーツ)がトップに立つが、第2ヒートは第1ヒートで河石選手に0.764秒差の2番手につけていた若手の渡邉知成選手(ホンダ・シビック)がベストタイムを更新。全日本出場4戦目で、全日本初優勝を飾った。2位には、第1ヒートで12番手に沈んだ北淳選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、「第2ヒートもミスはありましたが、久々の表彰台はうれしいですね」と入賞。3位は第1ヒートトップの河石選手が獲得した。

SA1クラス優勝は渡邉知成選手(BFA☆DLクスコWMシビック)。
「クルマをリフレッシュしてきたので、今回は自信ありました」と渡邉選手。
2位は北淳選手(ADVANガレクロ今庄スイフト)、3位は河石潤選手(モンスタースポーツDLスイフト)。
SA1クラスの表彰式。左から4位の葛西キャサリン伸彦選手、2位の北選手、1位の渡邉選手、3位の河石選手、5位の福島賢大郎選手、6位の荒牧健太選手。

SA2クラス

 SA2クラスは、第1ヒートを1番手で快走を見せた岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、第2ヒートでもクラス唯一2分を切るタイムをたたき出し、今季初優勝を飾った。2位には、今シーズン初登場の浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、「負けたのは悔しいですが、練習する機会が少ない中ではまずまずの結果でホッとしています」と第2ヒートで順位をひとつ上げ入賞。3位には、「昨日の公開練習でミス、今日の第1ヒートでもミスとうまく走れなかったんですけど、第2ヒートはミスをしないよう着実に走りました」という林軍市選手が、約1年ぶりとなる表彰台をつかんだ。

SA2クラス優勝は岡本泰成選手(DLアルテックおかつねランサー)。
ディフェンディングチャンピオンの岡本選手が2位以下を1.5秒以上引き離して勝利。
2位は浜孝佳選手(XPL・ADVANランサー)、3位は林軍市選手(YHクスコS+トラストランサー)。
SA2クラスの表彰式。左から4位の鈴木信地郎選手、2位の浜選手、1位の岡本選手、3位の林選手、5位の三浦陸選手、6位のマイケルティー選手。

SCクラス

 SCクラスは、第1ヒート2番手の上村智也選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、「(第1戦の)いなべの優勝は正直まぐれっぽかったので、第2戦はちゃんと速いんだぞっていうのを見せつけたかった(笑)」と開幕戦に続き2連勝を挙げた。第1ヒートトップの目黒亮選手(トヨタ・GRヤリス)は、「第2ヒートは撒水が少なかったので硬質路面用タイヤで走ったんですけど、思ったよりも走りにくかった」と順位をひとつ落として2位獲得。第1ヒート2番手の坂田一也選手(三菱・ランサーエボリューションX)は、「第2ヒートはセッティングを変えたんだけど、結果的にそれが裏目に出ました」と、3位に入賞した。

SCクラス優勝は上村智也選手(JURANitzzYHランサ)。
第1ヒートで2番手につけ、第2ヒートで逆転して優勝を飾った上村選手。
2位は目黒亮選手(CUSCO DL GRヤリス)、3位は坂田一也選手(DLグローバルランサー)。
SCクラスの表彰式。左から4位の吉村修選手、2位の目黒選手、1位の上村選手、3位の坂田選手、5位の亀田幸弘選手、6位の岩下幸広選手。

D1クラス

 D1クラスは、開幕戦を制した山下貴史選手(三菱・FTO)が、ホームコースのタカタで第1ヒートを制するが、第2ヒートは毎年タカタラウンドにスポット参戦する地元の一柳豊選手(ホンダ・シビック)が「島周りのターンがポイントだと思いました」と島周りをしっかりと攻め逆転、優勝した。2位には、昨シーズンチャンピオンの山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が手堅く入賞。3位は、「第2ヒートはタイヤ選択で悩んでしまいました」という第1ヒートトップの山下選手が獲得した。

D1クラス優勝は一柳豊選手(DLテクノBSTシビック505)。
2016年のタカタラウンド以来、9年ぶりに全日本2勝目を挙げた一柳選手。
2位は山崎迅人選手(YHマックスゲンシンミラージュ)、3位は山下貴史選手(YHセラメタμnagi FTO)。
D1クラスの表彰式。左から4位の鶴岡義広選手、2位の山崎選手、1位の一柳選手、3位の山下選手、5位の鈴鹿浩昭選手、6位の志村雅紀選手。

D2クラス

 D2クラスは、第1ヒートで2番手以降に2秒以上の差をつけた昨シーズンのチャンピオン田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、第1ヒートのタイムで逃げ切り今シーズン初優勝。2位は、第2ヒートでタイムを1.669秒上げてくるものの、「後半の島周りで少し失敗してしまいました」と、田口選手には0.606秒届かなかった炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が獲得、3位には、「タカタは毎年毎年路面が違うというのが面白さでもあり難しさでもあるんだけど、今回は手応えを感じる走りができたと思います」というベテランの谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が入賞した。

D2クラス優勝は田口勝彦選手(HKSランサーエボリューション)。
昨シーズンチャンピオンの田口選手が第1ヒートのタイムで逃げ切って優勝。
2位は炭山裕矢選手(ZEALbyTSDLミラージュ)、3位は谷田川敏幸選手(トラストADVANクスコBRZ)。
D2クラスの表彰式。左から4位の田辺剛選手、2位の炭山選手、1位の田口選手、3位の谷田川選手、5位の鎌田卓麻選手、6位の須藤正人選手。

フォト/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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