島津舞央選手と梶尾義朝選手、2連勝でジュニアカート選手権コースシリーズチャンピオンへ王手!

レポート カート JAFWIM

2023年7月12日

ジュニアカート選手権の琵琶湖・石野・神戸シリーズ KT CHAMP Regional 第2戦が7月9日、石野サーキット(愛知県豊田市)で開催。ジュニアカデット部門では11歳の女性ドライバー、島津舞央選手(ERS)が優勝を飾った。またジュニア部門では梶尾義朝選手(Ash)もシリーズ2連勝を遂げた。

2023 ジュニアカート選手権 琵琶湖・石野・神戸シリーズ KT CHAMP Regional 第2戦
2023 SLカートミーティング石野シリーズ 第4戦

開催日:2023年7月8~9日
開催地:石野サーキット(愛知県豊田市)
主催:BSL

 ジュニアカート選手権は今季、全日本カート選手権に併催される従来のシリーズ戦に加えて、ひとつまたは複数のカートコースにおいてひとつのシリーズを構成する“コースシリーズ”が実現。日本各地で5つのシリーズ戦がスケジューリングされた。琵琶湖・石野・神戸シリーズはそのひとつで、今季のコースシリーズにおいて複数のコースを転戦する唯一のものだ。

 今季のジュニアカート選手権ではジュニア部門・ジュニアカデット部門とも、ワンメイクエンジンの機種を各シリーズのオーガナイザーが指定することになった。つまり、シリーズによって使用するエンジンが異なるわけだ。琵琶湖・石野・神戸シリーズでワンメイクエンジンに指定されたのは、両部門とも空冷100ccのヤマハKT100SECだ。

 シリーズ第2戦の舞台は愛知県豊田市の石野サーキット。ここでJAF選手権のレースが行われるのは初めてのことだ。比較的タイトなコーナーの連続を2本のストレートでつないだ全長780mのコースは、最終コーナーから1コーナーに向けて下りの傾斜がついており、上りのコーナーではとりわけロスのないドライビングやバトルが重要となる。

 決勝当日のサーキットは、雨が断続的に降り続く不安定な天候になった。朝の降雨で路面がびしょ濡れになったかと思うと、やがてそれが乾き、再び強い雨でまたコースが水に覆われ……といった状態で、ドライバーとメカニックは刻々と変化するコンディションへの対応に慌ただしい時間を過ごしていた。

 この日のジュニアカート選手権はSLカートミーティング石野シリーズ 第4戦というローカルレースとの同時開催で行われたのだが、ジュニアカート選手権のレースが他のクラスと大きく違ったのが周回数だ。例えば決勝では、SLシリーズで周回数の多いクラスが15周なのに対して、ジュニアカート選手権ではジュニアカデット部門22周、ジュニア部門25周と段違いに周回数が多い。ジュニアカート選手権は体力面でも精神面でもタフな戦いなのだ。

梅雨時期の不安定な天候下で開催されたジュニアカート選手権 琵琶湖・石野・神戸シリーズ KT CHAMP Regional 第2戦およびSLカートミーティング石野シリーズ 第4戦。ドライからフルウェットまで路面コンディションが激しく変化する難しいレースとなった。

ジュニアカート選手権 琵琶湖・石野・神戸シリーズ KT CHAMP Regional ジュニアカデット部門

 当該年8歳以上13歳未満のドライバーが対象のジュニアカデット部門には8台が出走した。第1戦のウィナー島津選手は今回も好調をキープし、まずタイムトライアルをトップで終える。そのタイム44秒731は、2番手の北村紳選手(KC NAGAHARA)に0.4秒近くもの差をつける速さだった。

 17周の予選は、一時止んでいた雨がまた降り始めた中で始まった。路面が半分ほど乾いた状態の中、全車ウェットタイヤを装着してのレースだ。そのスタートでは北村選手が好ダッシュを決め、先頭に立って1コーナーを抜けた。

 だが、島津選手は最終セクションで北村選手を抜き返してオープニングラップをトップで走り抜けると、わずかな降りだった雨が大粒の雨に変わった3周目からリードを広げ、後続をぐいぐいと引き離していった。結局、島津選手は独走でこのヒートをゴールし、決勝のポールを手に入れる。

 その後方で繰り広げられた北村選手、本田羽選手(Ash)、高橋聖央選手(ERS)の3台による戦いは、残り3周の激しいポジションチェンジを経て北村選手、本田選手、高橋選手の順でゴールしたのだが、北村選手にはトラックリミット違反のペナルティが。この結果、本田選手が2番手、高橋選手が3番手となり、北村選手は5番手に沈んだ。

 雨は予選の最中にほぼ止んだのだが、その後に強い雨が再びコースを濡らし、決勝はフルウェットのコンディションで始まった。ポールの島津選手はトップのままレースをスタートすると、1周目から後続を引き離し、3周でリードを1秒以上に広げた。その背後では北村選手が挽回を演じ、4周目に2番手へ浮上したのだが、8周目にコースアウトして7番手まで後退してしまう。これで2番手は高橋選手、3番手はスタートでポジションを下げた本田選手の単独走行となった。

 一方、「雨は好きなので楽しいレースになりそうだと思った」という島津選手は快調に2番手以下を引き離していき、折り返し点となる11周目には4秒以上のリードを築いた。その後も島津選手は圧巻の独走を続けて、バンザイ・フィニッシュで2連勝のチェッカーをくぐった。

 タイムトライアル6番手から挽回した高橋選手は、第1戦と同じポジションの2位を獲得。本シリーズ初参戦の本田選手が地元のコースで3位表彰台に立った。

「後ろを離すことができてうれしかったです」と圧倒的な走りを見せた島津舞央選手(ERS)が、シリーズ第1戦に続き優勝を飾った。「決勝はめっちゃ長くて、早く終わらないかなと思いながら走っていました。体力は問題ありませんでした。(次戦の)神戸はローカルレースに参加して2位になったことのあるサーキットなので、最終戦も今回と同じようにみんなを引き離してチャンピオンを決めたいです」とシリーズ完全制覇の抱負を語った。
2位は高橋聖央選手(ERS)、3位は本田羽選手(Ash)。
ジュニアカデット部門表彰の各選手。

ジュニアカート選手権 琵琶湖・石野・神戸シリーズ KT CHAMP Regional ジュニア部門

 ジュニア部門は当該年11歳以上15歳未満が対象のレースだ。タイムトライアルでは第1戦のウィナー梶尾選手と、このシリーズ初参戦の村田鉄麿選手(Ash)が、1000分の12秒差という僅差で1番手と2番手を分け合う。半乾きのコースで全車ウェットタイヤを履いて始まった予選では、その状況が大きく変わり、村田選手が1周目にトップに立つと圧倒的なスピードで独走し、トップゴールで決勝のポールを獲得した。

 それに対して梶尾選手はペースが上がらず、次々とポジションを下げて、このヒート4番手に終わった。単独走行の2番手ゴールは片岡陽選手(Vifonte with Ash)。本田宙選手(Ash)がふたつ順位を上げて3番手でゴールした。

 決勝の開始前に雨は止み、コース全面がしっとり濡れたコンディションの下、全車ウェットタイヤを履いて25周の戦いがスタートを切った。村田選手はここでも速さを見せつけ、1周でライバルたちをほぼ1秒も後方に追いやる。ところが2周目、その村田選手が雨に足元をすくわれてコースを飛び出し、スポンジバリアに当たってストップ。レース復帰は果たしたものの、最後尾に沈んでしまった。

 代わってトップに立ったのが片岡選手。そこに本田選手をパスした梶尾選手が接近してくる。4周目、梶尾選手が片岡選手のテールをキャッチ、そして次の周に逆転を成功させてトップに躍り出た。予選ではセッティングが外れて失速した梶尾選手だったが、決勝ではそのセッティングが路面コンディションにマッチしてスピードを取り戻し、後続より0.2~0.3速いタイムを連発してアドバンテージを拡大していく。

 梶尾選手のリードは、チェッカーを迎えるときには6秒以上に達しており、堂々たる2連勝だ。それに続いて片岡選手が2位で、橋本佳晟選手(KC NAGAHARA)が3位でフィニッシュ。このふたりも第1戦で同じ結果を得ており、表彰台には第1戦と同じ顔触れが、同じポジションに立つこととなった。

 残るシリーズ最終戦は10月29日、兵庫県神戸市の神戸スポーツサーキットで行われる。ジュニアカデット部門のチャンピオン争いは、50点の島津選手と44点の高橋選手の一騎討ちに。ジュニア部門では50点の梶尾選手、44点の片岡選手、40点の橋本選手の3名がタイトル獲得の可能性を有している。秋の神戸で栄冠に輝くのは、果たして誰だろうか。

梶尾義朝選手(Ash)が優勝。「予選はおそらくタイヤのエア圧が高すぎてペースが上がらなかったみたいですが、決勝は予選よりもっと雨が降ってくれたおかげでちょうどいいコンディションになって、いいペースで走れました」と振り返る。「次の神戸では地元の選手たちが参加してくるかもしれないので、それに対抗できるようにバトルの強さをもっと磨いて、全勝でチャンピオンを獲れるように頑張ります」とコメント。
2位は片岡陽選手(Vifonte with Ash)、3位は橋本佳晟選手(KC NAGAHARA)。
ジュニア部門表彰の各選手。

 同時開催のSLカートミーティング石野シリーズ 第4戦では、5つのクラスのレースが行われた。

SLカートミーティング石野シリーズ MZ-Senior

 4ストロークの汎用エンジンをベースとするヤマハMZ200-RKCを使用するMZシニアの決勝では、タイムトライアル9番手から順位を上げてきた大井偉史選手(Vifonte with Ash)が2番グリッドからの逆転でトップに立ち、3台一列の先頭集団をリードして優勝を飾った。2位はポールスタートの平野佑真選手(Vifonte with Ash)。土橋ファラオ選手(MF CORSE - Let Wing)がグリッド最後列からの追い上げで3位に入賞した。

MZシニア優勝は大井偉史選手(Vifonte with Ash)。
2位は平野佑真選手(Vifonte with Ash)、3位は土橋ファラオ選手(MF CORSE - Let Wing)。
MZシニア表彰の各選手。

SLカートミーティング石野シリーズ MZ-Challenge

 MZシニアと混走でレースが行われたMZチャレンジでは、ポールの紀平嘉衣都選手(ATEAM Buzz Racing)が優勝。RINZOH選手(ATEAM Buzz Racing)が2位、宮地まい選手(Ash mayu レーシングチーム)が3位となった。

MZチャレンジ優勝は紀平嘉衣都選手(ATEAM Buzz Racing)。
2位はRINZOH選手(ATEAM Buzz Racing)、3位は宮地まい選手(Ash mayu レーシングチーム)。
MZチャレンジ表彰の各選手。

SLカートミーティング石野シリーズ YAMAHA-SUPER SS

 30歳以上対象のYAMAHAスーパーSSでは、67歳の澤部朝男選手(TACC.HIGUCHI.RT)が4番グリッドから3台をパスして優勝。ポールの民部田大祐選手(T.WEST.RS)が2位、最後尾スタートの中嶋康貴選手(T.WEST.RS)が3位に入賞した。

YAMAHAスーパーSS優勝は澤部朝男選手(TACC.HIGUCHI.RT)。
2位は民部田大祐選手(T.WEST.RS)、3位は中嶋康貴選手(T.WEST.RS)。
YAMAHAスーパーSS表彰の各選手。

SLカートミーティング石野シリーズ YAMAHA TIA-JUNIOR

 小学4年生~中学生対象のYAMAHA-TIAジュニアではダブルエントリーの村田鉄麿選手(Ash)が6番グリッドからの追い上げで優勝。終盤の逆転で2番手ゴールを果たした藤岡優輔選手(Ash)がバンパー脱落で無念の失格となり、2位は福田隼選手(TEAMぶるーと)の、3位は松井柚華選手(TEAMぶるーと)のものとなった。

YAMAHA TIAジュニア優勝は村田鉄麿選手(Ash)。
2位は福田隼選手(TEAMぶるーと)、3位は松井柚華選手(TEAMぶるーと)。
YAMAHA TIAジュニア表彰の各選手。

SLカートミーティング石野シリーズ YAMAHA-SS

 この日最多の17台が参加したYAMAHA-SSでは、中原蓮人選手(シロキヤKC)がポール・トゥ・ウィン。谷飛鳥選手(NUOVA KART Racing)が中原選手を目の前に捕らえて2位でフィニッシュし、森赴人選手(TEAMぶるーと)が3位になった。

YAMAHA-SS優勝は中原蓮人選手(シロキヤKC)。
2位は谷飛鳥選手(NUOVA KART Racing)、3位は森赴人選手(TEAMぶるーと)。
YAMAHA-SS表彰の各選手。

フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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