関東ジムカーナ開幕戦はPN6金粕雅史選手が転向初戦を制す!
2026年3月11日
3月初日の日曜日、“ICC”こと茨城中央サーキットにて2026年JAF関東ジムカーナ選手権が第1戦で開幕した。翌週に筑波サーキット コース1000で、2026年JAF全日本ジムカーナ選手権の開幕を控えてエントリーは78選手だったが、初戦から各クラスでホットバトルを展開。TW280タイヤ規制のクラスはPNタイヤ規制のクラスからの転向組が多く、混沌とした白熱の王座争いが期待できそうだ。
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2026年 JMRC全国オールスター選抜 第1戦
ICCスパークリングジムカーナ
開催日:2026年3月1日
開催地:茨城中央サーキット(茨城県石岡市)
主催:ICC.S
全国屈指の参戦台数を誇る関東地区戦のクラス区分は2025シーズン同様、基本的には全日本を踏襲。そこにPN車両のクラスに限り、全日本ジムカーナ選手権規定に定められたタイヤが使用できる通称“PNタイヤクラス”と、地区戦独自のトレッドウェア280を基準に定められた指定タイヤに絞られた“TW280クラス”に分かれている。
やはり昨季と変わらず全10戦で争われ、今回のICCを皮切りに本庄サーキット、モビリティリゾートもてぎ南コース、宝台樹スキー場駐車場、浅間台スポーツランド、スピードパーク新潟、筑波サーキット ジムカーナ場、さるくらモータースポーツランド、つくるまサーキット那須と各コースを転戦。ミニサーキットから3速全開区間を擁する高速パイロンコース、極めて狭い超テクニカルなパイロンコースまで、全国屈指のバラエティを誇るシリーズとなっている。
開幕戦を担ったICCは古参のコースでつい先日、開業40周年を祝う記念の一戦が開催されたばかり。ICCを攻略する上で熟知しなくてはならないのは、極めて目が粗い舗装だろう。まことしやかに伝えられる「ICCは新品タイヤじゃないと勝てない!」という“口伝”は、今なおスラローマーの間でささやかれている。それにも増して重要なのはスタートを切る下段と上段、そしてフィニッシュ前の中段をつなぐ急勾配な坂の処理だ。ここのラインを間違えると一気にコントロールを失い、大きなタイムロスを招きかねないのだ。
そして、今回の一戦を主催するのはICCのオーナーでもある神生恭利氏が代表を務める茨城県のJAF加盟クラブ、アイ.シー.シー.スポーツ(ICC.S)。レイアウトを設定した組織委員と事務局長を兼務した赤羽英喜氏は、「ジムカーナですからターンや色んなセクションがあって成立するものだと思いますが、今日はボトムスピードを落とさないようなハイスピードのコース、一都九県の猛者が集まる地区戦だからこそのコースで、パイロン配置は(コース委員長の)川口健選手が担当しました。あまり小さいクルマが有利になり過ぎないようにはなっていると思います」と、開幕戦の設定のポイントを語った。
また、往年のスラローマーにとっては懐かしさもあるアナウンスは、元祖“走るアナウンサー”島村茂氏が担当。各スラローマーの走りをよく観察した的確なアナウンスは今も健在で、今回の一戦も大いに盛りあげた。
PN/AE1クラス
開幕戦の口火を切ったのはPN/AE1クラス。電気式駐車ブレーキが装着された2WDのP・PN・AE車両で競われるPNタイヤクラスだ。1ヒートでターゲットタイムを樹立したのは、BMWミニ・ジョン・クーパーワークス(JCW)を駆る大川裕選手。昨季は各地の地区戦に赴いて武者修行を重ねた大川選手は、メリハリある我慢が効いた走りで修行の成果を披露。無理なラインをとらず、非常にスムーズな進入で立ち上がる。その走りは2ヒートでもライバルを寄せつけなかった。
ホンダ・シビック タイプRで追いかける大橋政人選手は、1ヒートでパイロンペナルティを犯したこともあり、2ヒートでシビアなラインをとれず。手負いの状態でのタイムは大川選手に遠く及ばず、大川選手が大差をつけて優勝を果たした。
大川選手は「大橋選手にPN/AE1クラスを成立させよう、と誘われてミニを選びました。阿部モータースさんに協力してもらって一世代前のガソリンエンジン搭載車を探してもらいました。電動パーキング(ブレーキ)なんですが、エンジン類は新型と一緒なのに60kg軽いんですよ。パイロンもスイフトに比べて見切りがいいので気にいってます。なんていったって見た目がいいし(笑)」と、クルマ選びを語った。
幸先良い勝利を収めた開幕戦での走りについては、「360°(ターン)二連発ではそんなに差がつかないと思ったので、上段からギャラリー前(中段)に降りてくるところがポイントだったと思います。少しリアが出るセッティングなんで、振り過ぎないで弱オーバーでイケたのが良かったですね。今年は全日本を中心に戦います。なんとか1勝したいですね。関東はこのクラスを成立させたいので、3戦は出場したいと思っています」とのことで、次戦以降の活躍にも期待したい。
PNATクラス
PNATクラスはオートマチックやCVTなど、自動変速機を搭載する2WDのPN車両が対象となるPNタイヤクラスで、昨季のPN/AE2クラスからクラス名が変わった。昨季は僅か2ポイント差でGR86を駆る篠崎祥選手が、スバルBRZを操る中村誠司選手を退けてチャンピオンに輝いた。
今季も後輪駆動使い二人の争いが激しくなりそうだが、新たに割って入るスラローマーが現れた。アバルト124スパイダーからJCWに乗り換えた林幸照選手と、スイフトをドライブする大沼秀一選手、前輪駆動勢の二人だ。
1ヒートの走りがカギとなるICCで先手をとったのは、ディフェンディングチャンピオンの篠崎選手。林選手、大沼選手の順で約0.7秒追いかけて折り返した。しかし、圧倒的に1ヒートがベストタイムになる確率が高いICCで、この差は致命的と思われた。
だが、この常識を覆す走りを見せたのは林選手だった。標準装備のマフラーとは思えない、JCWならではの轟音を轟かせながら、林選手は加速する。終盤の二連続360°ターンでは車両を前へ前へと運び、ブレーキングもしっかり突っ込んでくる。1分46秒261をマークし、一気に0.804秒トップタイムを塗り替えた。このタイムに迫れるのはクラス最終ゼッケンの篠崎選手のみだったが、まさかのリタイア……。圧倒的な速さを見せた林選手がJCWでの地区戦初勝利を手にした。
「GPはホモロゲ取れてないんで、このミニにしました。スイフトにしようとも思ったんですが、人と同じクルマに乗るの嫌なんで(笑)。凄くフィーリングいいですね! 1本目は寒かったんで、グリップしなかったように感じました。2本目は気温も上がったので、内圧を2.5から2.2に下げたのも良かったですね。360°ターンも、チームのみんなからアドバイスをもらったのが良かったです」と、林選手は勝因を分析した。
続けて、「僕も大川選手と同じ67歳なんで、今年は全日本と地区戦を全戦追いかけようと思っています。目標はJAF表彰式です!」と、今年の目標をアツく掲げるベテランの挑戦にも注目だ。
PN1クラス
排気量1500cc未満の前輪駆動で、FIA/JAF公認発行年またはJAF登録年が2018年1月1日以降のPN車両で争うPNタイヤクラスのPN1クラス。ディフェンディングチャンピオンの田尾光規選手が全日本にステップアップし、王者不在の開幕戦となった。昨季はシーズン後半にリズムを崩してしまった元全日本スラローマー、片山誠司選手がチャンピオン最有力候補だ。
片山選手は周囲からの期待に潰されることなく、1ヒートからキチンとタイムを残してくる。360°ターンでライバルとタイム差をつけ、最終スラロームのスムーズさも一枚上手! 格の違いを見せつけ、2番手以下に1秒以上の差をつけた。
このタイムは2ヒートで誰にも抜かれることなく、最終ゼッケンの片山選手がウィニングラン。自身との闘いとなったが、僅か0.055秒差で届かず。それでも断トツの速さで両ヒートを制し、開幕戦を勝利で飾った。
「今年は無理なく参戦しつつ走りとおすことを第一に、チャンピオンを目指していきたいと思います。もうすぐ地区戦30勝を迎える節目の年になりそうなんです。少ない台数なんですが、親父たちの集まりの中で頑張ります」と、片山選手は今季の目標を明かした。
続けて「サイドブレーキの不安もなく走れるようになったんですが、軽量フライホイールでスタートに苦労しています。今日は去年の残りの4分山のタイヤで走ったので、上手くやりくりしながら走って勝てたのでホッとしています」と、安堵した表情も見せた。今季は全日本で勝利も挙げている猛者が参戦する噂もあり、PN1も面白くなりそうだ。
PN2クラス
PN2クラスは1500cc未満の後輪駆動のPN車両、更にFIA/JAF公認発行年またはJAF登録年が2010年1月1日以降の車両が対象となり、PNタイヤを履くマツダ・ロードスターのワンメイク状態となった。
三連覇中の橋本恵太選手の昨季は、タイヤメーカーを変更して序盤はセットに悩んだが、熟成が進むにつれて勝利を重ねて終わってみれば10戦中5勝で王座防衛。毎シーズン自身に課題を与える橋本選手の今季は、「自分の走り方を根底から見つめ直してみたいと思っています。今年は“コーナーリングをしない!”を課題にしています。コーナリングマシンのロードスターで変なんですが、藤井(裕斗)選手のように硬いバネで、タテにタテにタイヤを使う走りをしたいと思います」と明かした。
歴戦の猛者が名を連ねる中、1ヒートでは前半ゼッケンの上野山肇選手が1分41秒台に突入。川島一朗選手、杉谷伸夫選手も1分41秒台でコンマ数秒差のトップ争いをする中、最終ゼッケンの橋本選手が1分41秒台の壁を突破して1分40秒006を記録。他を圧倒するタイムで勝負あったかに思われた。
2ヒートでは曽我部隆志選手が2番手に入るタイムを記録して8番手からジャンプアップを果たすと、続く杉谷選手が中間トップタイムを更新する。しかし、後半の360°ターンでまさかのギア抜けを犯して失速。「1本目は新品タイヤの感覚がまだ掴み切れなかったんですが、2本目は路面温度が上がって秒で上がると思ったんですけどね……。いつもなら(ギアが)入っている感触だったんですが、弾かれてしまいました」と、トップタイム更新は幻となってしまう。
開幕戦優勝が決まった橋本選手はウィニングラップでもタイムアップに挑むも、そこはICC。ベストを更新することはできなかったが、「今日は1本目勝負だと思っています。全体的にまとめられたのが勝因ですね」と語った。
続けて、杉谷選手も投入した新型タイヤについて「(ブリヂストン・ポテンザRE-71)RZは正直“硬い”という感覚です。表面で引っかかって曲がる感じ……。昔のSタイヤでウェットを走ったときの“フィールが硬いのに、めちゃくちゃ曲がる”って感覚に近い感じですね。2本目は右360°ターンで失敗しちゃいました。今年は自分に大きな課題もあるので、過去3年より一番モチベーションが高くなっています。今年も後半戦に花開かせるように頑張ります」と、意気込んだ。
PN4クラス
2000cc以上の2WDで、FIA/JAF公認発行年またはJAF登録年が2010年1月1日以降のPN車両が対象となる、PNタイヤクラスのPN4クラス。ディフェンディングチャンピオンの岡野博史選手がPN7クラスに転向したため、混沌さが更に増すことが予想される。開幕戦は昨季のシリーズトップ6がこぞって欠場し、シリーズ4位の大坪伸貴選手が唯一参戦した。
大坪選手はしっかり勝たなくてはいけない、というプレッシャーがかかる中、1ヒートからきっちりタイムを刻んできた。2番手の徳冨太一選手を0.317秒上回る、1分41秒121をマークしてトップで折り返す。
2ヒートでの逆転が厳しいといわれるICC。しかし、今回の一戦では朝の路面温度と2ヒートの路面温度が20℃近い差があり、ここまでのクラスを分析するとタイヤの状況によってはタイムアップの可能性が多分にあるようだ。
しかし、大坪選手のタイムはPN4のスラローマーの前に、かなり高い壁となり立ちはだかった。島田直樹選手が1分42秒台にタイムを上げてくるが、それでも遠く及ばない。後半ゼッケンに入り、1ヒートで1分41秒台を記録した徳冨選手はタイムダウン。逆転に期待のかかるクラスラスト前ゼッケン、大塚健二選手も1分42秒台に留まり4番手。1ヒートのタイムで優勝が決まった大坪選手はタイムダウンしたものの、再び1分41秒台をマークして、圧倒的な強さで勝利を手にした。
「今日の勝負どころは、直線前のコーナリングだったと思います。特に下段から上段に上がっていくところは、タイム差がつくポイントだったと思います。クリッピング(ポイント)ではもうアクセルを踏んでる状態にしないとダメですよね。あと、他の人よりブレーキ踏んでる時間が長かったと思います。このサーキットの路面ですから、とにかく進入速度を抑えて抑えて走りました。2本目になってタイヤが路面に合わなくなってしまって、アンダー出したりしちゃってタイムを伸ばせませんでしたね」と、大坪選手はレイアウトの攻略と勝因について明かした。
更に「今年はなんかこのクラス寂しくなっちゃいましたし、PN7クラスと一緒にしてもいいんじゃなかろうかと思いますよね。今シーズンは全勝を目指して、満点チャンピオンを目指しますよ。何年もチャンピオン獲ってないんで、皆に忘れられないようにね!」と、笑顔で話す大坪選手。混戦となりそうなPN4を宣言どおり制することができるか、注目だ。
PN5クラス
PNタイヤを履く、PN1からPN4に該当しないPN車両が対象となるPN5クラスは、ICCを得意とする山口栄一選手の参戦でザワつき、ディフェンディングチャンピオンの大脇理選手が迎え撃った。
二人は1ヒートからコンマ数秒差の争いを展開する。下段で速さを見せる大脇選手に対し、上段での速さでその差をひっくり返そうとする山口栄一選手。全く正反対の二人の走りではあるが、上回ったのは山口栄一選手だった。下段でフロントをやや逃がしてしまう、コーナーやターンへの突っ込み重視の走りだが、上段に入ってGをのせる大きな旋回と360°ターンで、失ったタイムを取り戻す。しかし、二人の差は0.228秒だ。
2ヒートに入り、山口栄一選手は1分37秒254と更にベストを上げ、まさに規格外の走りを披露して大脇選手を突き放す。しかし、負けじと大脇選手もベストを0.446秒上げたが、0.158秒届かず2位は変わらず。2ヒートはタイムが上がらないと言われる中、互いに無駄を削ぎ落し切ってタイムを絞り出す、まさに白熱の戦いとなった。
優勝した山口栄一選手は、「頑張りました! 全力全開です!! 突っ込みと脱出の速さを重要視しているんですが、そこを注意して走った結果ですね。とにかく気合と根性! 誰よりも我慢して突っ込んでいくのが自分のスタイルです(笑)。今年は地区戦は参戦しない予定だったんですが、開幕戦だけ誘われて参戦しました。今年は筑波ビギナーズ(ビギナーズジムカーナin筑波)や桶川(OSL 4輪ジムか〜な!?)、Bay Side(ジムカーナシリーズ)を中心に走っていきたいと思います」と自分の走りをまとめた。
一方、悔し涙を飲んだ大脇選手は「頑張ったんですけどねぇ…… 届きませんでした。大きなミスはしていないんですが、1本目小さなミスをしていた部分を2本目で修正したんですが、それをタイヤの状態がいい1本目でできないとダメでしたね。確かにユーズドだったんですが、次から仕切り直して一戦一戦反省しながら戦っていきたいと思います」と悔しさを滲ませていた。
PN6クラス
TW280クラスであるPN6~8クラスは前述のとおり、今季はPNタイヤクラスの上位ランカーが続々と転向し、勢力図が大きく変わりそうな気配。独自の進化を遂げてきたTW280クラスで、転向組がそのウデを如何に発揮して競うか、注目される。
2000cc以下の2WDが対象となるPN6クラスの1ヒートで早速、転向組が速さを示した。トップで折り返したのは、昨季の第4戦はPN3で3位を獲得している山崎輝男選手。ロードスターRFの特徴を生かした走りで、スルリとパイロンを抜けるように駆け抜けた山崎選手は、1分42秒台に留まるスラロ-マーが多い中、1分40秒657で頭一つ抜け出した。
2番手以下を1.5秒以上引き離す、圧倒的なタイムで勝負あったかに思われたが、まだ勝負は決まっていなかった。2ヒートに入るとPN2からロードスターとともに転向してきた金粕雅史選手が、見事に要所を抑えた我慢の走りでタイムを削りとり、トップタイムを0.134秒更新! ロードスターRFに乗り換えたPN2から転向組の山口晃一選手は1分41秒台に突入して3番手をキープ。TW280タイヤには、ICCの掟が当てはまらないのでは……? とまで思うようなタイムアップ合戦が始まった。
山崎選手は気合が入りすぎたのかタイムダウンに終わるも、ベストを上げるスラローマーが続出。しかし、トップ3を脅かすタイムには至らず、金粕選手が久しぶりの地区戦優勝を果たした。「結構テクニカル多めだったんですが直線が長かったんで、そのポイントに気をつけて走りました。特に2本目はタイヤを使い切ることに集中して走りました」と、金粕選手は勝因を分析した。
続けて「今年、PN2から気分を変えるためにもクラス変更していい結果が出せたので、とても嬉しいです! 今年は自分と向き合って、走りを突き詰めていきたいですね。クルマの性能を使い切ることを意識していきたいと思います」と金粕選手は喜びを露わにした。彼ら転向組の活躍で、今季のPN6も白熱の王座争いになりそうだ。
PN7クラス
TW280クラスの一つ、PN7は2000ccを超える2WDで競われる。PN3からチャンピオンの岡野選手と松川文昭選手が転向してきたことでザワついた。「移籍した理由は、このクラスに以前から興味があったんです。昨年も考えてはいたんですが、新しいことにチャレンジする意味もあり移籍を決めました。今はまだTW280のタイヤにセットアップを合わせるのに苦労している感じですね」と、岡野選手は語る。“パイロンの魔術師”がシバタイヤでどう戦うのかに注目が集まった。
1ヒートは松川選手が1分41秒362でトップに立つと、シバタイヤ育ちの沼上洋司選手が0.332秒更新して逆転。続く蔵増將智選手は松川選手に0.303秒及ばずも3番手につける。そして、注目の岡野選手がスタート。多くのシバタイヤユーザーが新パターンのR31をチョイスする中、岡野選手はスライドしてからのコントロール性と切り足しが効くことからR23を選択。それが祟ったのか、下段でフロントのグリップの低さに苦労して落としたタイムが最後まで響き、沼上選手と0.272秒差の2番手で1ヒートを折り返す。
ここは、1本目のタイムを上回ることは容易ではないICC。車重が重いPN7では2ヒートの魔物がスラローマーに牙を剥き、上位陣は軒並みタイムダウン。岡野選手もタイムアップは叶わず、沼上選手が優勝を手にした。
「ロングコースだったこともあり、ミスがないようにミスがないように、と。しかし、後半の360°ターン2発でミスしてしまったんですが、周りもミスしていると思い走りました。やっぱり1本目はタイヤがしっかり食ってくれたんですが、2本目はダメでしたね」と、沼上選手は久しぶりの勝利を得た走りを振り返った。
BSC1クラス
排気量区分なしのB・SC車両が競う二つのB・SCクラスは、前輪駆動の車両が対象のBSC1クラスのみ成立となった。翌週に筑波1000での全日本を控えることが影響したか、8選手のエントリーで始まった。
昨季は表彰台常連の一角を担った中島裕選手と齋藤寿選手は、どちらもパイロンペナルティで1ヒートは遅れをとってしまう。ここでしっかりトップタイムを残したのは、昨季シリーズ2位の服部義野選手だった。
前述のとおり、ICCは1ヒートで勝負を決する割合が非常に高いコースで、2ヒートでの逆転は厳しいことが予想される。特に車重が重く、グリップ力が高いタイヤを履くクラスではその傾向が顕著に表れる。1ヒートでペナルティに沈んだスラローマーにとっては非常に厳しい状況だ。
しかし、クラス一番ゼッケンで1ヒートはミスコースを犯した島貫輝選手が、いきなりトップタイムを塗り替える。更に、やはりミスコースから挽回を狙った藤井孝法選手も2番手を奪取した。 ICCの定説が打ち崩され、中島選手が1分40秒547でトップを奪うと、齋藤選手は更に0.441秒トップタイムを更新! 最終ゼッケンの服部選手に注目が集まるが、フロントタイヤのグリップに悩まされたか、ベスト更新すら叶わずタイムダウン……。ベテランの齋藤選手が久しぶりの勝利を挙げて今季をスタートした。
齋藤選手は「タイヤが良かったです! フロントに新品を投入したんですが、リアが負けているくらいでした。1本目の方が確かにグリップしたんですが、リアのコントロールに対応できず、パイロンに触っちゃいました。セッティングさえ決まれば、このクラスでも戦えるんじゃないかと思っています。シリーズ2位が4回なんで、今年こそはチャンピオン獲りたいですね! 頑張ります!!」と意気込んだ。
一方、勝利に僅か届かなかった中島選手は、「フロントタイヤに対する習熟度が足りなかったですね。2本目、フロントが食い過ぎてしまってリアとのバランスが崩れてしまいました。フロントはサイズ違いを使ったんですが……。もったいない大会になってしまいました。リアのアシは新しくして戦える体制を用意できたので、昨年よりもいい成績を残したいですね」と悔しさを滲ませた。
Dクラス
排気量と駆動方式の区分がないDクラスはフォーミュラカーからハイパワーAWD、そしてスーパーライトウェイト車両まで揃う異種格闘戦が繰り広げられている。今季は名手・千葉真一選手が復帰を果たし、更に面白味を増している。
開幕戦は帰ってきた千葉選手と、ディフェンディングチャンピオン大澤勝紀選手による一騎討ちとなった。ICCのルールに従い12時から13時は走行禁止となり、13時から開始されたDの1ヒートで先手をとったのは千葉選手。復帰戦とは思えない鋭いターンと流れるようなスラロームを披露して、ひとり1分39秒台を記録した。
そして勝負の2ヒートで、ファーストゼッケンの藤間駿選手が大きくジャンプアップ、1分40秒台をマークする。トップタイム更新の期待が漂う中、千葉選手が登場。しかし、まさかのダブルパイロンペナルティ……。1ヒートの1分39秒265で、最終ゼッケン大澤選手の出走を待つことになってしまう。
誰も千葉選手のトップタイムを更新できないまま、最終ゼッケンの大澤選手がスタートを切る。フロントタイヤのグリップは落ちている様子だが、進入スピードを限界まで我慢して中間タイムはトップで折り返す。更に連続360°ターン一つ目もギリギリの距離でクリアしたが、二つ目でまさかの失敗……。
大澤選手はトップに0.409秒届かず2位、千葉選手が復帰戦を優勝で飾った。「不安ばかりだったんですが前日練習で気持ちよく走れたんで、今日は楽しめればいい、と思っていたのがよかったのかもしれません。下の段でリズム崩してしまうので、キチンと最初にタイヤを温めて上の段に行けたのがよかったですね。2本目はグリップの低下を感じながら走っていた感じです」と、千葉選手は復帰初戦の走りを振り返った。
続けて「仕様変更したこともあって、車両もすごくよくなって戻ってきていい感じです。今年も仕事の都合で参加できる限りになると思いますが、できる限り都合をつけて参戦していきたいと思います」と、語る千葉選手の復帰によって、今季のD王座争いが白熱することに期待できそうだ。
開幕戦を終え、神生代表は「来週に全日本を控えてる中で、80台近いエントラントが集まってくれたことには感謝しています。地区戦ドライバーはさすがの走りでした。オフィシャルもフレッシュマンから地区戦まで経験豊富なメンバーなので、つつがなく大会を終えることができました。感謝しかないですね」と、参戦したスラローマーや今回の一戦を支えたオフィシャルに感謝を表した。
更に「茨城中央サーキットも40周年を迎え、次は50周年を目指してやっていきたいですね。モータースポーツ発展のためにも、微力ながら頑張っていきたいと思います。でも、それには色々な条件があってのこと。みなさんのお力添えがあってのことだと思っています。これからも頑張っていきますよ」と笑顔で語った。
PHOTO/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI] REPORT/鈴木あつし[Atsushi SUZUKI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



