カート
ゴーカートに端を発するカート競技
運転免許証がなくてもレースの醍醐味を存分に味わえるモータースポーツ、それがレーシングカートです。その起源は、北米でおこなわれていた「ソープボックスレース」をヒントにして、1950年代にはその原型ができていたと言われています。やがて、芝刈り機用のエンジンをパイプフレームに搭載したものが「ゴーカート」と名付けられ、それらで競い合うスポーツが発展して、現在のレーシングカートの世界を構築することになりました。
ちなみに「カート」は「CART」ではなく「KART」と綴ります。その理由には「GO CART」という商品名が誤って「GO KART」として広められ、定着したという説があります。
レーシングカートは、子供から大人まで長く楽しめるモータースポーツである一方で、F1を始めとしたフォーミュラレースの登竜門としても確固たる地位を確立しています。
モータースポーツの入門用カテゴリー
日本にカートが入ってきたのは1950年代とされ、1960年代になるとカート競技を取り仕切る団体も誕生してスポーツルールが整備されていきました。欧州では1960年代から世界選手権がおこなわれていますが、レーシングカートを世界的に統轄する国際カート委員会(CIK)が組織され、現在に至っています。また、日本では、JAFが1972(昭和47)年から統轄するようになり、1973(昭和48)年には全日本選手権が始まりました。
カート競技は、アマチュアからプロフェッショナルまで幅広い年齢層の選手を擁しています。四輪レースと同様に世界に通じるステップアップのラダーも形成されていて、F1や日本のトップフォーミュラで活躍するドライバーのほとんどは、幼少期からレーシングカートに親しんできました。カート競技の裾野はどんどん広がっていて、現在では、四輪を含めたモータースポーツ全体の入門カテゴリーとして、欠かせない存在となっています。
マシンとカラダが一体になれるカート
遊園地のゴーカートに端を発するレーシングカートですが、競技車両としてのレーシングカートは、現在では本格的なスポーツマシンへの進化を遂げています。パイプフレームとエンジンとシートとタイヤが付いた乗り物はすべて同じモノに見えると思いますが、自動車にもタイプや車型があるように、レーシングカートにも用途によって種類があります。
カート競技で使われる車体は、ゴーカートと区別するため「レーシングカート」と呼ばれています。競技用の車体については、最も一般的な「スプリントカート」を始め、変速機を備えた「ミッションカート」、そして四輪用サーキットを走るための「サーキットカート」といった3種類に分けられています。このサーキットカートについては「スーパーカート」とも呼ばれ、現在でも、一部のサーキットでシリーズ戦がおこなわれています。
速く走ることだけを純粋に追求したレーシングカートは軽量かつコンパクトです。ドライバーの操作には素早く反応しますし、100cc程度のエンジンでも四輪にも匹敵する速度を体感できるため、人間と最も一体になれる四輪車だと表現しても過言ではないでしょう。