カート観戦ガイド
認識を覆されるレーシングカートの世界
カートコースでは、マシンが独特のサウンドを響かせながら、クイックな動きでコーナーをクリアするシーンを随所で観ることができます。レーシングカートは、走るために必要なアイテムを最低限に絞ることで、極限まで動力性能を高めています。車体はフレームと僅かなカウルで構成され、クラッチもなくブレーキは後輪にしかありません。そのおかげで、マシンの動きは俊敏でドライビングもダイレクトな反応が得られます。
レーシングカートは、ゴーカートに比べると異次元のスピードを繰り出し、四輪レースに比べると異次元の俊敏な挙動を示します。カートレースでは、そんなマシンたちが接戦を繰り広げています。初めて観る人は多くが想像を絶する世界だと感じることでしょう。
ジュニア選手権と地方選手権と全日本選手権
JAF公認カート競技会は、年齢や実績、車両の改造範囲や排気量などで部門やクラスが分けられています。全国で開催されている競技会の中で、一定の条件を満たしてJAFが認定した競技会には、ジュニア選手権や地方選手権、全日本選手権といったタイトルがかけられています。全日本選手権にはOK部門とFS-125部門、FP-3部門が設定され、ジュニア選手権にはFP-Jr部門とFP-Jr Cadets部門があります。全日本OK部門は1大会につき2戦が行われ、FS-125部門やFP-3部門、ジュニア選手権が併催されることがあります。また2022年からは、電気を動力とするカート(EV)による選手権の開催が認められるようになりました。
この全日本FS-125部門と全日本FP-3部門、ジュニア選手権については、東西の2シリーズに分かれています。それぞれの成績上位者が年末に開催される東西統一競技会に出場してシリーズチャンピオンを決める戦いに挑みます。また、地方選手権については、年間を通して同じJAF公認カートコースで開催されるサーキットシリーズとなっています。
カートレースにはいろいろなドライバーが
国内最高峰のカートレースとして開催されている全日本カート選手権には、ジュニア選手権からステップアップして、さらに上位のフォーミュラを目指す選手や、部門によっては趣味としてサンデーレースを楽しむアマチュアなど様々な選手が出場しています。
選手の年齢や立場も幅広く、ジュニア選手権が併催される競技会には小・中学生からベテランまでが共存し、著名なレーシングドライバーがスポット参戦することもあります。他のカテゴリーに比べると、女性ドライバーが多いことも特徴です。全日本選手権の優勝争いやシリーズチャンピオン争いに、女性選手が名を連ねることも少なくありません。
そういった、あらゆる層の選手が集結するカート競技会では、若いドライバーは今後どんな世界に羽ばたいていくのか、そして、そんな勢いのあるドライバーたちにベテラン勢はどう立ち向かっていくのかなど、様々な観点で楽しめる要素が含まれています。
コース各所で接近したバトルが同時多発!
たいていのJAF公認カートコースは、コース全体を見回せるようになっています。そのため、四輪レースに比べれば、レース展開を目視でも把握しやすいカテゴリーだと言えます。ですが、上位レースの決勝レースともなると、スタート直後からコースの各所で激しいバトルが始まります。それは先頭集団だけではなく最後尾の選手に至るまであらゆる場所で起きるため、見どころがコースのあちこちに同時多発的に生まれることになります。
また、カートコースはコース全長が短いため、周回を重ねるにつれて先頭集団が後続を周回遅れにしていきます。そのため、先頭集団はどこを走っていて、誰がトップで、目の前のバトルは何位を争っているのか、といった状況把握がしにくくなっていきます。
カートレースでは初心者がいきなりレース展開をすべて把握することは難しいものです。規模の大きな競技会では、場内の実況アナウンスで注目選手のバトルを逐一解説してくれることもあります。自分の注目&イチオシ選手を決めて、場内実況から得られる情報を元に、双眼鏡を片手にレースを追いかけてみるのは如何でしょうか。