怒涛の4戦全勝のBSC2飯野哲平選手をはじめ、各クラスで王座争いがヒートアップ!

レポート ジムカーナ

2023年8月7日

全10戦で争われている2023年JAF関東ジムカーナ選手権も第8戦を迎えた。成立した競技会の70%が対象になる有効ポイントの関係で、ここからの3戦は獲得ポイントが複雑になる。そんな王座争いが佳境にさしかかる一戦は、今季2度目の開催となる長野県飯田市に建つ、さるくらモータースポーツランドが舞台となった。

2023年JAF関東ジムカーナ選手権 第8戦
JMRC関東オールスターシリーズ第8戦
JMRC全国オールスター選抜 第8戦
HORMSエキサイティングジムカーナ

開催日:2023年7月30日
開催地:さるくらモータースポーツランド(長野県飯田市)
主催:HORMS、Force

 ミニバイクも走る超テクニカルコースのさるくらは、基本1速と2速のみで走りきる。直線が来たと思えばすぐにコーナーが現れるミニサーキットだが、高い縁石と荒れた路面もあって、ライン選びが非常に難しいことでも知られている。

 地元でこのコースをよく知るPN3クラスの岩田ユウジ選手は「さるくらは島が多いことですね。縁石は高いんですが、その縁石にどう乗せて、どう降りるかがタイムを出すポイントですね。特に最初の乗せ方が重要で、フロントタイヤでは縁石をかすめるように、リアタイヤが出口あたりで乗るように走るのがいいですね」と、さるくらの特徴について語った。

 さらに、「あとは路面が荒れているので雨の時はポイント、ポイントで特性が異なります。そこらへんを読み切るのも重要ですね」と雨中での攻略ポイントも教えてくれた。

日本アルプスの山々もそびえ、自然豊かな長野県飯田市。さるくらモータースポーツランドも渓谷の中腹に造られている(左)。さるくらは、第3戦で手練手管に長けたベテラン勢が勝利したように、走行機会の差が出る傾向がある。慣熟歩行でも、早めに縁石に近づく選手もいれば、大外からアプローチする選手もいたりと、様々だった(右)。

 第8戦のコースを制作したのは、主催したホソカワレーシングオブモータースポーツ(HORMS)の細川昇代表。「今日のコースはマシンに頼らず、運転が上手な人がタイムを出しやすい設定にしました。このコースでパワー勝負はできないので、タイヤなりに走っている人は(罠に)ハマりやすいと思います。このコースはいけるかな、と思って突っ込みすぎるとダメだし、タイヤに頼らない積極的な姿勢変化が求められるはずです」と、コースの制作意図を語った。

 また「車速をきちんとコントロールする技術も重要だと思っています。入口は狭いけど、しっかり車速を乗せて入っていけるセクションもあります。前日練習を走っている選手には、ちょっとパイロンの位置を変えたことで罠になっている部分もあるかもしれません」とも付け足してくれた。

「罠出没注意」の警告(!)が示すように、さるくらの島を上手く使って複雑に入り組み、規制パイロンも要所に待ち受けるレイアウト。関東地区らしい、攻め応えある超テクニカルコースが選手たちを迎えた。

PN2クラス

 PN2クラスは、第5戦からタイヤメーカーを変更すると怒涛の三連勝を挙げ、ランキングトップの杉谷伸夫選手を猛追する、橋本恵太選手の走りに注目が集まった。さるくらでの第3戦は橋本選手が欠場、2022シーズンはランキング2位だった上野山肇選手が今季初優勝を挙げている。

 梅雨明けから続く連続猛暑日は高地に建つさるくらでも同じこと。多くの選手が1本目勝負、と意気込んでファーストアタックへ飛び出していく。いきなり1番ゼッケンの二木達也選手が1分11秒台を記録したものの、パイロンタッチ2本で沈む。

 この1分11秒台が目標タイムとなったが、杉谷選手が1分12秒台前半を記録するものの、1分11秒台をマークする選手は現れず、最終ゼッケンの橋本選手がスタート。ターンセクションでも絶妙な寄せを見せる橋本選手が二木選手の生タイムを上回る、1分11秒558でトップを奪い「タイヤの山も低かったので、後半セクションは良かったですね」と振り返った。

 2本目に入ると気温も上がる中、橋本選手のタイムを上回る選手は現れず、橋本選手もダブルパイロンタッチを喫して更新ならず。上野山選手に逆転を喫したものの、3位で辛うじてランキングトップを守った杉谷選手は「ロードスターの場合、車重が軽いのでラバーに依存する部分が大きいので、やはりダンロップ勢が強いですね。僕はブリヂストンのRE71RSですが、ダンロップ勢が曲げられているところ、アクセルを踏めているところで少しずつ後れをとっています。ちょっと無双状態で手を付けられない感じですね……」と、結果に落胆した様子だった。

 一方、この一戦も制して杉谷選手に5ポイント差まで迫った橋本選手は「タイヤを替えたおかげで4連勝できたので、シーズン終盤もこのままいきたいですね。あと1勝すれば(チャンピオンが)ほぼ確定なので、残り2戦頑張ります」と、意気込みを語ってくれた。

PN2クラスの橋本恵太選手(DLコサリックμロードスターG)は「さるくらは昨日初めて走ったんですが、本番ならではなのかアタマの入りも悪く、タイヤもズルズルとしてしまった感じですね」と反省した1本目だが、クラス唯一の1分11秒台をマーク。見事、4連勝を果たして王手をかけた。
PN2の上位3選手。左から2位の上野山肇選手(FWGコサリ犬DLロードスター)、4連勝を達成した橋本選手、3位の杉谷伸夫選手(itzz☆EXMロードスター)。

PN3クラス

 関東地区戦で最も激戦区となっているのが、PN3。西にそびえる山々を越えたら中部地区、というさるくらにあっても、シリーズを追いかける17台の精鋭が集結した。ランキングトップを走る奥井優介選手は、翌週に控えるJAF全日本ジムカーナ選手権 第6戦の調整のため欠場。注目が集まったのは、第3戦を制した“パイロンの魔術師”岡野博史選手と、全日本にも参戦する地元の徳武銀河選手の対決だ。

 FR勢が多勢を占めるこのクラスで、まずは少数派のFF のスズキ・スイフトスポーツをドライブする梅澤高志選手が、「タイヤの感じがあやふやだったんで、様子を見ながら走りました」と言いながらもターゲットタイムをマークする。すると、すぐさま小回りが利くマツダ・ロードスターRFを駆る徳武選手が更新。ラストゼッケンのスバルBRZを操る岡野選手は、スライドを抑えきれず3番手で折り返すことに。1本目は、2番手から4番手の3台が0.038秒以内にひしめく超激戦となった。

 タイムアップが難しいと思われた2本目だが、ターボ車の特性を活かして、コーナー出口の手前からしっかり踏んでタイムを削る梅澤選手が、いきなり1本目の徳武選手のタイムを塗り替える1分10秒594を記録。リアタイヤがプアになるように、摩耗したタイヤに交換して回頭性を上げた、という効果が発揮された。

 一方、「梅澤さんのタイムを聞いて、俄然やる気にスイッチが入りました」と語った徳武選手は、1本目よりも勢いを増して飛び出す。突っ込みながらも、しっかり車両を止める走りを見せる徳武選手。さらにトップタイムを0.341秒塗り替え、再逆転に成功する。そしてラストゼッケンの岡野選手。パイロンセクションでは誰よりも前に車両を進めるものの、手狭なさるくらで大柄なBRZは圧倒的に不利。1本目のタイムを更新できず3位に終わった。

 この結果、優勝を果たした徳武選手は「Aシード獲れるようになんとかシリーズ3番手に入りたいですが、ベテランの岡野選手や大坪選手もいるので、まだまだ厳しい戦いが続きますが頑張ります」とコメントを残した。

PN3クラスは「止めないで進入できるところでしっかり車速を乗せていったのが良かったですね」と1本目トップのタイムを更新した2本目の走りを振り返った、徳武銀河選手(水芭蕉BSテックロードスター犬)が優勝。2021シーズンのJG6クラス以来となるチャンピオンも射程圏内だ。
PN3クラスの上位5選手。左から2位の梅澤高志選手(大磯油工房iOsoYHスイフト)、今季2勝目を挙げた徳武選手、3位の岡野博史選手(ADVANリジットBRZ)、4位の下村渉選手(STPαYH☆ACW芝浦BRZ)、5位の岩田ユウジ選手(青点・T2ロードスターDL)

PN4クラス

 既に大脇理選手がチャンピオンを確定させているPN4クラスでは、その大脇選手が欠場。ランキング2番手をかけて、小野田了選手が気合を入れて参戦だ。しかし、1本目でまさかのパイロンタッチ。気温が上がる中、2本目勝負となってしまう。背水の陣を迎えても、大ベテランらしい走りでトップタイムを更新し、見事逆転に成功。20ポイントを手にし、この一戦は不在の新井範正選手をかわし、ランキング2番手を奪取した。

 小野田選手は走行後「1本目、いきなりテールが流れてしまい、ゲートのところでパイロンタッチしてしまいました。2本目は、ちゃんと帰ってくることを意識して走りました。無事勝たなくちゃいけないところで勝てて良かったです」と胸をなでおろしていた。

PN4クラスの小野田了選手(STPαYHクスコGRヤリス)の1本目はパイロンタッチで失敗。「走りはじめたら暑さのせいか、過給がかからなくて焦りました」という2本目だったが、逆境を乗り越えて逆転勝利を果たした。
PN4クラスを競った3選手。左から2位の石黒義弘選手(R-SPECLubテックヤリス)、今季初勝利を挙げた小野田選手、3位の森勇気選手(DLサンテック犬μランサー)。

PN5クラス

 JMRC関東ジムカーナ部会がトレッドウェアで規定する、使用タイヤ制限があるPN5クラスはシバタイヤ勢が主力。中でもNR-Aグレードのロードスターを操る大江光輝選手とFD2型ホンダ・シビック タイプRを駆る川島一朗選手がともに3勝ずつ挙げ、王座争いをリードしている。

 先に4勝目を挙げた方がチャンピオンに大きく近づくこの一戦、1本目に1分13秒001のトップタイムをマークしたのは川島選手だった。ラストゼッケンの大江選手も見事な走りを披露するが、0.07秒届かず2番手タイム。

 2本目はこのまま川島選手で決まりかと思われたが、ラスト3になってスピードパーク新潟での第6戦でこのふたりに唯一土を付けている男、ロードスターRFを駆る山崎輝男選手が1分12秒959でターゲットタイムを更新する。続く川島選手も見事な走り。島と島をすり抜けるように走る区間では、FFの安定性を活かし、踏みっきりで勇猛果敢なアタックを披露する。フィニッシュタイムは山崎選手を0.634秒上回るものの、まさかのパイロンタッチで撃沈。

 これを見て勝負をかけた大江選手は、コンパクトなロードスターの利点を駆使して、見事なコーナーワークで山崎選手を捕らえることに成功し、0.4秒トップタイム更新!! 優勝を納めた大江選手は「もうなんもないっす! 全部出し切りました……。チャンピオン争いは最終戦までもつれると思いますが、やれることをやって最後まで戦いたいと思います」とコメント。

 一方、ペナルティで3位に終わった川島選手は「1本目バタバタしてしまった部分を直していったんですが、リアの動きが分かってなかったですね。いけるかなぁっと思ったんですが……。シーズン的には随分追い込まれてしまいました。でも、やっとこの大会から修理から戻ってきた自分のクルマで走れるので、このクルマで戦える限りは戦いたいですね」と、次戦に向けて顔を上げた。

PN5クラスで今季4勝目を挙げた大江光輝選手(ロードスター)は、「とにかく暑かったので、タイヤを無駄に使わないように、とにかく外にいかないようにと意識しました」と語った2本目の走りで逆転優勝、ランキングトップを守った。
PN5の上位3選手。左から2戦連続2位の山崎輝男選手(nrd♂ロードスターRF)、二連勝を果たした大江選手、3位の川島一朗選手(ALEXiOシビック)。

PN6クラス

 チャンピオンに王手をかける中村光範選手の走りに、注目が集まったPN6クラス。1本目から異次元の走りで他を寄せ付けない中村選手が、2位に1秒以上の大差を付けたそのタイムで優勝を果たした。

 これで中村選手は今季6勝目となったことでチャンピオンが確定し、嬉しい表彰台となった。そんな中村選手は「2本目は暑さのせいでミスコースしちゃいました。でも、1本目に満足できる走りができたので良かったです」と今日の走りを振り返った。

王手をかけてプレッシャーのかかる一戦に臨んだ、PN5クラスの中村光範選手(六輪舎スイフト)だったがほぼ思い通りに走れた、という1本目でマークしたタイムで逃げ切り、二連覇を確定させた。
PN5クラスの上位3選手。左から、2位の沼上洋司選手(G天竜BPSスバルBRZ(青))、第5戦以来の勝利を挙げた中村選手、3位の吉澤のりゆき選手(エリアSセラメタALノアBRZ)。

BSC1クラス

 第1戦から堀井紳一郎選手、清水翔太選手、そして齋藤寿選手という順番で、毎戦ウィナーが変わる“法則”でここまでシリーズが進んでいるBSC1クラス。この法則が適応されるならこの一戦の勝者は清水選手になるが、誰が法則を破るかに期待がかかった。

 圧倒的に有利とされていたのは、さるくらでの第3戦で勝利を掴んでいる齋藤選手。しかし、その齋藤選手はまさかのWパイロンタッチで下位に沈んでしまう。そんな中、トップタイムをマークしたのは法則どおりに清水選手だった。ひとり1分9秒台をマークして他の追撃を振り切った。

 こうなると、清水選手の勝利に注目が集まるが、2本目でトップタイムを更新してきたのは伏兵、中島裕選手だった。「今年全然ダメだったんで、思いっきり走ったのが良かったんですかね。でも、ちょっとやりすぎましたね。後半で体力が足りないのもあって、リズム崩れてしまいました」と語るように、進入時に強烈なブレーキングでテールを振り回して、清水選手に傾いた流れを崩そうとする。

 しかし、清水選手は180度ターンを2度回すセクションで、絶妙なコーナーワークを見せるなど勢いは止まらず、トップタイム更新で再逆転に成功! 続く最終ゼッケンの堀井選手は、車両にトラブルが発生してしまいタイムを残せず。

 法則どおりに勝利を手にした清水選手は「予定通りの勝利でした! サーキット系は3人の中で一番得意だと思っているので、次のつくるま(サーキット那須)でこの法則を打ち破って、タイトルを手にしたいと思います」と、次戦で三つ巴の王座争いに決着をつける決意を語ってくれた。

BSC1クラスを制した清水翔太選手(ローリングYHインテグラ)は今季3勝目。「中島さんのタイムを聞いて、“このタイムならかわせる”と信じていったのが良かったですね」と、逆転を果たした2本目の走りの要因を語ってくれた。
BSC1の上位3選手。左から2位の中島裕選手(WAKO’S植村インテグラYH)、優勝でランキングトップに立った清水選手、チャンピオンを争う堀井紳一郎選手(ICCブルガレ揉羊! インテグラ)が3位に入った。

BSC2クラス

 BSC2クラスでは、ランキングトップの坂庭正浩選手を第5戦から参戦してきた、昨季のJAF東北ジムカーナ選手権SAC-2クラス王者の飯野哲平選手が三連勝で猛追している。この一戦では関東屈指のFR使いで、“埼群の雄”こと山本秀夫選手が参戦、飯野選手の連勝にストップをかけにきた。

 これだけ狭いテクニカルなミニサーキットを、飯野選手がどう攻略するかが勝負の行方を左右する。しかも飯野選手は大柄なマツダRX-7。パワーでは劣るトヨタ86だが、テクニシャンでも知られる山本選手に分があると思われた。

 しかし、そんな予想を跳ね返すような走りを1本目から披露する飯野選手。「久々に新品タイヤを投入して、セッティング変更をしたのが良かったですね」との言葉どおり、ターンセクションでも島回りでも抜群の寄せを見せてトップタイム。一方、山本選手は精彩さに欠けてパイロンペナルティで下位に沈んだ。

 ここまで2本目でも逆転劇が繰り広げられていることから、このクラスでも最後まで分からないと思われたが、山本選手は飯野選手には及ばず2番手タイム。飯野選手も攻めすぎてしまい、タイヤをロックさせてタイムアップならず。ラストゼッケンのTAKENOKO選手も飯野選手の1本目のタイムには遠く及ばず、飯野選手が逃げ切って優勝を果たした。

「途中からの参戦でギリギリの戦いが続いていますが、なんとかここまで持ってこれました。この1勝で大きくチャンピオンに近づいたと思います。残り2戦もしっかり戦って、成績を残したいと思います」と飯野選手。残り2戦もこのクラスから目が離せそうにない。

第5戦から3戦全勝で王座争いに急浮上したBSC2クラスの飯野哲平選手(DLアルボ―犬ブレイブRX-7)。第1ヒートでクラス唯一となる1分9秒台のタイムを叩き出して4連勝を達成、この一戦を欠場したランキングトップの坂庭正浩選手に、6ポイント差まで迫った。
BSC2の上位3選手。左から、2位は優勝した第2戦以来の参戦となった山本秀夫選手(コサリック86)、優勝した飯野選手、3位はホンダS2000を駆る藤田幸児選手(EBRドリームS2000犬)が獲得した。

BSC3クラス

 互いに3勝ずつ勝利を挙げている大澤勝紀選手と千葉真一選手の一騎討ちとなっているBSC3クラスは、どちらが今季4勝目を挙げるのかが注目ポイントだ。1本目でトップタイムを記録したのは筑波サーキットのジムカーナコースでの前戦で、3勝目を掴んだ千葉選手。激しくステアリングを操作し、的確な位置にタイヤを向けてアクセルを踏み込み、0.179秒差で大澤選手をかわした。

 2本目に逆転をかけた大澤選手だったが、気温上昇もあってタイム更新ならず。この結果、1本目のタイムで千葉選手が先に4勝目を掴んだ。そんな千葉選手は走行後、「今日、勝てて本当に良かったです。次のつくるまは苦手なコースなので、最終戦の茨城中央サーキットで勝負をかけれたら、と思っています」とコメント。このクラスも最後の第10戦まで熾烈な王座争いが繰り広げられそうだ。

BSC3クラスを制したのは、三菱・ランサーエボリューションIXを駆る千葉真一選手(CI犬BGブレイブDLランサー)。N車両ということもあり、ストレートやゼロ加速ではライバルたちに劣る部分をステアリング操作で補う走りを見せて叩き出した、第1ヒートのタイムで逃げ切った。
BSC3の上位3選手。左から千葉選手と王座を争い、2戦連続で2位となった大澤勝紀選手(フォースDLコルトスピードランサー)、二連勝を果たした千葉選手、3位は優勝した第4戦以来のトップ3に入った、佐藤林選手(DLサンテックSPMランサー)。

Dクラス

 ベテラン関谷光弘選手がDクラスのチャンピオンに王手をかけて臨む、この一戦。そこに、昨季のJAF中部ジムカーナ選手権Dクラス王者の佐藤宗嗣選手が参戦してきた。目線が路面とほどなく近いDのフォーミュラ車両にとって、何度も同じターンを複雑に回るレイアウトは、コースをトレースするのも非常に困難だ。

 1本目はパイロンペナルティが続出して2本目勝負となったが、佐藤選手が圧倒的なタイムを記録する。関谷選手も食らいつくも、佐藤選手には届かず2番手に終わった。それでも、シリーズチャンピオンを決めた関谷選手は「今シーズンは確実にポイントを獲ろうと走ったのが良かったですね。でも、今日の走りはまだまだですね」とコメント。

 一方、優勝を果たした佐藤選手は「自宅が愛知県なんでとても近いサーキットなんです。今日はターンセクションをしっかり走れたのが良かったですね。1本目のミスをしっかり補正できたのが勝てた理由ですね」と自身の走りを振り返った。

今季もJAF中部ジムカーナ選手権のDクラスでランキングトップに立つ佐藤宗嗣選手(丸久クジメモータース☆TG47)。「このマシンの動作確認をするときにいつもこのサーキットで試させてもらっていることもあり、中部地区と重なっていないときは出場するようにしています」とスポット参戦した“ホームコース”の一戦で、Dクラス優勝を飾った。
Dの関谷光弘選手(丸久WMコサリックワンMS02)は、“ホームコースアドバンテージ”を持つ佐藤選手の参戦で優勝こそ飾れなかったものの、3位以下を4秒以上離すタイムを出して2位を獲得。2021シーズン以来のチャンピオンを確定させた。
Dの上位3選手。左から2位でチャンピオンを確定させた関谷選手、優勝した佐藤選手、今季3度目の3位に入った、本田泰章選手(本田設備+ゼロイーシバタイヤ隼)。

 第8戦を終えてHORMSの細川代表は「やっぱり地区戦ドライバーは速いですね! みんな上手いですね!! そしてこの暑い中、しっかりと動いてくれたオフィシャルの皆に感謝です。来年もまた主催させてもらえるなら、パイロンの林みたいになっちゃいますが、いやらしいコースを用意したいと思います」とこの一戦を振るとともに、来季の開催への期待を語ってくれた。

 関東地区戦は栃木県のつくるまでの第9戦と、茨城県に建つ茨城中央での第10戦の2戦を残すのみ。この一戦では2クラスでチャンピオンが確定したが、まだ王座を争うクラスでの熾烈なタイムアップ合戦に期待したい。

夏本番の天候となったこの一戦、厳しい暑さの中でも最後まで競技会を盛り上げた、主催したホソカワレーシングオブモータースポーツ(HORMS)とトライアラーズ・チーム・フォース(Force)をはじめ、オフィシャルを務めたみなさん。

フォト/鈴木あつし レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部

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