清水涼矢選手が野沢での関東ダートラ第3戦でPN3初優勝!
2026年7月9日
2026年JAF関東ダートトライアル選手権の第3戦が6月14日、長野県野沢温泉村に建つモーターランド野沢で開催された。今季の関東地区戦は、2025シーズンより1戦増えた全8戦のカレンダーが組まれた。丸和オートランド那須と野沢、スポーツランド信州、そしてオートランド千葉ダートトライアル第1コースと、4コースを転戦して王座を争う。
2026年 JAF関東ダートトライアル選手権 第3戦
2026年 JMRC関東ダートトライアルシリーズ第3戦
ロードナイト ダートトライアル
開催日:2026年6月14日
開催地:モーターランド野沢(長野県野沢温泉村)
主催:ROAD-KNIGHT
第3戦は、第2戦に続いて野沢が戦いの舞台。今季は次の第4戦も野沢での開催となり、野沢三連戦の真ん中を担う今回の一戦は長野県のJAF加盟クラブ、ラリーチームロードナイト(ROAD-KNIGHT)が主催した。野沢はバックストレートも使ったハイスピードから島を活用したテクニカルまで、多彩なレイアウトが可能。だが今回は多くのダートトライアラ―が島周りに置かれた2本のパイロンを含めて、全体的にテクニカルな印象を持ったようだ。
JAF全日本ダートトライアル選手権にも参戦する、宮入友秀コース委員長は「1コーナーが毎回掘れてしまうので、規制のパイロンを置いてみたんだ。それで、今までとは違うラインができて面白いかなぁ」と、2本の規制パイロンの意図を明かした。
続けて「それ以外は、自分自身がちょこまかとしたコースが好きではないので、テクニカルにしたつもりはないのですが……(笑)」と、宮入コース委員長は語ったのだが、その狙いとは裏腹に「いつもの野沢とリズムが違う」、「今回は攻めきれなかった」、「良い意味で、意地悪なコースでした(笑)」と苦戦しながらも、トライアラーからは好評だったようだ。
当日は朝から快晴。午後は局地的な雨の予報も出ていたが持ちこたえ、両ヒートともにドライ路面での争いとなり、第2ヒート勝負の白熱したバトルが繰り広げられた。
2026年JAF関東ダートトライアル選手権 第3戦
2026年JMRC関東ダートトライアルシリーズ第3戦
N1500&PN1クラス
N1500&PN1クラスは排気量1500cc以下の2WDで平成12年以降の排気ガス規制に適合したN車両および、1600cc以下で2WDのPN車両が対象で、更にAE車両を含む。今回の一戦には21選手が参戦し、最激戦クラスとなった。
2025年JAF中部ダートトライアル選手権のPN1・S1500クラスを制し、今季の全日本ダートラPN1クラスでは開幕第1戦で2位を獲得した若手トライアラー、西畑蒼選手はクラスファーストゼッケンでスタートして1分53秒547をマーク。その実力を垣間見せたタイムは一向に更新されることなく進行した。
ようやくトップタイムを動かしたのが、終盤シードゼッケン勢の一角、Sam Iijima選手。1分52秒815をマークして西畑選手を上まわると、ラスト前ゼッケンの飯島千尋選手がSam Iijima選手から0.12秒差で2番手タイム、ラストゼッケンでディフェンディングチャンピオンの佐藤聖選手が、飯島千尋選手から0.01秒差の3番手と、ZC32S型スズキ・スイフトスポーツ勢がトップ3を占めて第1ヒートを折り返した。
第2ヒートでやはり、西畑選手が1分48秒905でトップタイムを更新し、完全な仕切り直しとなった。状況は第1ヒートと同じく、西畑選手がトップを保持したまま進行。そして、均衡を破ったのもやはりSam Iijima選手。1分48秒121でトップを奪い、シード勢の戦いに突入した。
続くトヨタ・ヤリスを駆る柿澤廣幸選手は0.593秒差で2番手を奪取。ラスト3の布施浩之選手は1分49秒台に終わるも、一気にトップタイムを押し上げたのが飯島千尋選手。1分47秒282を叩き出してラスト佐藤選手のタイムを待った。佐藤選手は開幕戦からトップ3を逃し続けており、ここで一勝が欲しいところ。しかし、1分49秒台で10位に沈み、飯島千尋選手が逆転で優勝を飾った。
「ギアが3速に入らないトラブルが出てるので、2本目はきっちり3速に入れるよう慎重に走りました。全体の出来としては、ほぼ100点です」と語る快走で野沢二連勝を達成した飯島千尋選手。
続けて、「最近は、AIのアドバイスを受けて戦略を立ててます。当日のコース図を見せると、ZC32Sのギア比や路面状況などを考慮して、色々と提案してくるので面白いですよ(笑)。もちろん、全てAIに従うということはないのですが、『なるほど』といったヒントをたくさん出してくれるので、すごく参考になります」と、飯島選手は最新兵器(?)の投入も明かした。百戦錬磨の地元勢を脅かして4位に入った西畑選手は、ゲームのシュミレーターを活用しているとのこと。ダートラ攻略も新時代到来の兆しを感じる一戦となった。
N1&PN2クラス
N1&PN2クラスは2WDおよび1600cc以下で4WDのN車両、あるいは1601cc以上で前輪駆動のPN車両で競う。第1ヒートは開幕二連勝中のディフェンディングチャンピオン小山健一選手が、2番手を1.5秒近く引き離すトップで折り返した。
第2ヒートではクラス前半の川島靖史選手が1分49秒台に入れると、第1ヒートはアクシデントでタイムを残せなかった向井冬樹選手が、一気に1分46秒477まで押し上げてトップに立つ。続く松坂元樹選手は、0.487秒向井選手には及ばなかったものの2番手に割って入り、1分46秒台の戦いとなると思われた。しかし、勝負を決めたラストの小山選手は1分45秒504を叩き出し、2位以下に1秒近い差をつけて優勝を果たした。
「スイフトは前後バランスが良過ぎて、フロント荷重になりにくいんだよね。それに悩んで色々とセッティングを調整してきたんだけど、最近結構いい感じになったんだよ」と、小山選手は愛車ZC33S型スイフトの熟成が進んだことを勝因に挙げた。
今回の一戦の走りについては、「いい感じだったよ。概ね思いどおりに走れたね。ただ、タイヤは(ウェット向けのダンロップ・ディレッツァ)74(R)は結構限界だった。(ドライ向けの)88の選択肢もアリの路面だったけど砂利も多かったし、コワくて履けなかったね」と振り返った小山選手は、怒濤の三連勝を決めた。
PN3クラス
1601cc以上で後輪駆動のPN車両で競うPN3クラスでは、1分53秒台の争いを展開しているシード勢を尻目に、ノーシード勢の清水涼矢選手が1分51秒844をマークして第1ヒートをトップで折り返す。
第2ヒートに入ると、ファーストゼッケンの平井泰選手が1分51秒208で早々にトップタイムを更新! 昨季シリーズ3位のシード勢だが、ダブルエントリーの関係でトップバッターとなり好走を見せ、PN3も第2ヒート勝負となった。続く2023シーズン王者、森戸亮生選手がすぐさま1分50秒686でトップタイムを塗り替えた。休戦した昨季を経て復帰初戦となった今回の一戦、第1ヒートは6番手と出遅れていたが、好タイムをマークしてトップに躍り出た。
更に清水選手が1分50秒台の壁を破る1分49秒941を叩き出し、トップに返り咲く。そして、このタイムを追うシード勢の登場となるが、ラスト3の豊嶋裕太選手は1分50秒918で3番手。ラス前の飯田太郎選手は豊嶋選手を0.194秒上まわるも、2番手の森戸選手には0.038秒届かず。ラストのディフェンディングチャンピオン、湯本敬選手は1分51秒台で5位に終わり、清水選手が両ヒートを制して勝利を挙げた。
「2本目はドライ(タイヤ)の路面になるだろうと思ってたので、1本目からドライを履きました。その1本目から気持ち良く走れたので、2本目もそのリズムで行こうと思っていたのですが、荒れているところを上手くいなしきれませんでした……」と、勝利にも反省を語った清水選手。昨季マツダ・デミオからスバルBRZに乗り換えてこのクラスに転向し、地区戦は今季初出場だった。
続けて「PN3クラスはN1500&PN1クラスと同じくらいのタイムを出さないといけない、という風潮があるのでタイム的にはもう少し上げたかったですね」と、まだまだ課題が残る内容だったようだが、シード勢を抑えてPN3初優勝を果たした。
また“育休明け”からの復帰戦を終えた森戸選手は、「久しぶりの競技で、スピード感に圧されてしまいました。やはり、練習しないとダメですね(笑)」と反省しながらも、2位で元チャンピオンの実力の片鱗を見せた。
N2クラス
1601cc以上で4WDのN車両がしのぎを削るN2クラスは昨季シリーズ4位の堀川雅基選手が開幕第1戦3位、そして第2戦で優勝してシリーズ首位に立つ。堀川選手は第1ヒートも好調、2番手以降に2秒近い差をつける1分40秒184のトップタイムで折り返す。
タイムアップ路面となった第2ヒートで多くのトライアラーがベストタイムを更新するが、トップタイムは更新できず進行。後半のシード勢が登場すると、増田徹選手と安藤輝明選手が1分40秒台まで詰めたが、堀川選手には及ばず。膠着状態を堀川選手が自ら打破、3秒以上更新する1分37秒09を叩き出し、トップの座を盤石にする。
ラス前、昨季シリーズ3位の神保俊宏選手は第1ヒートでのミスコースの影響か、1分43秒台と振るわず10番手。ラストでディフェンディングチャンピオンの影山浩一郎選手は、1分39秒604までタイムを上げるが2位となり、堀川選手が圧勝した。
「2本目は、1本目のウェットタイヤからドライタイヤに変えたのが、良かったのではないかと思います」と、堀川選手はタイムアップのポイントを語った。続けて「エボXは3シーズン目なのですが、セッティングなどは全く変わりなく、ようやく乗り馴れてきたという感じです(笑)」と、“人車一体”が進んできた三菱・ランサーエボリューションXを武器に二連勝を達成した。
S1クラス
2WDのSA・SAX・B・SC・D車両が対象のS1クラスには昨季、N1&PN2で小山選手と王座を争い、僅差でシリーズ2位を獲得した三島真太郎選手が転向してきた。新天地での2戦目となる今回の一戦、三島選手は1分46秒281で第1ヒートのトップタイムをマーク。2番手には昨季シリーズ3位、今季もシリーズ3番手につけている和田悟選手が約0.4秒差で続いた。
第2ヒートではクラス後半にさしかかると、第1ヒート3番手の第2戦ウィナー國政九磨選手が0.236秒トップタイムを更新。ここから第2ヒート勝負へ突入となるがすぐさま、三島選手が0.081秒更新して1分45秒台に突入でトップに立ち、シード勢のタイムを待つ。
ラスト4、野沢スペシャリストの飯田清明選手は、第1ヒートでの車両トラブルによって走行できず。ラスト3、樋口晴渡選手は1分48秒台に終わり、三島選手のS1初優勝が近づいてきた。それを阻止したのはラス前の和田選手。1秒018上回る1分44秒946をマークし、トップが入れ替わった。そして注目のラスト、昨季シリーズ2位の塚本優之介選手がスタート。今季は開幕戦を制して第2戦も2位、好調の滑り出しでシリーズ首位に立っているが、今回は4位に伸び悩んだ。この結果、和田選手が逆転で勝利を収めた。
「今回はドライタイヤを選択したのが良かったと思います。1本目は2番手でしたが、タイムも悪くなかったですし」と、和田選手は第1ヒートから手応えを感じていたそうだ。続けて「セッティングについては、昨年からバネを色々と試して良くなってきましたが、今回勝てたのは全て小山選手のおかげです」と、東京都八王子市のショップ『BODY FACTORY ACTION』を率いる小山選手に感謝した和田選手はシリーズ2番手に上げ、王座が見えてきた。
S2クラス
4WDのSA・SAX・B・SC車両で競うS2クラスで開幕戦2位、第2戦優勝でシリーズ首位に立っているのは、ディフェンディングチャンピオン宮地雅弘選手。その宮地選手は、第1ヒートからクラス唯一となる1分39秒台をマークしてトップで折り返す。
第2ヒートに入ると、第1ヒートで3番手につけた中盤ゼッケンの岩崎直也選手が1分38秒977でトップタイムを更新。このタイムがターゲットタイムとなり進行していくが、シード勢も1分38秒台に突入できず。このまま岩崎選手が逃げ切るかと思われたが、やはり勝負を決めたのは、ラストの宮地選手だった。岩崎選手を0.866秒上まわり、トップを奪い返して優勝を決めた。
「2本目はNクラスの堀川選手のタイムを目標に走ったのですが、1秒以上も負けちゃいました」と、語った宮地選手。続けて「今回のコースは、自分にとって非常に難しかったですね。走っていて『ヤバいな』という感じでした。いつもよりもテクニカルで、更に路面にも対応できず、技量がついていけませんでした」と反省しきり。優勝こそしたものの今回のレイアウトを攻め切れなかったようだ。
Dクラス
排気量と駆動方式の区分ないD車両が対象のDクラスでは、今季も森正選手と星野伸治選手の2強による王座争いが繰り広げられている。星野選手が開幕戦を、第2戦は森選手と優勝を分け合い、互いに勝利を得なかった一戦では2位に入り、今回の一戦を同ポイントで迎えた。
第1ヒートで1分37秒226のトップタイムをマークしたのは、三連覇中の森選手。2022シーズンまで三連覇していた星野選手は0.907秒差で2番手につけ、第3戦も一騎討ちの気配が漂う。第2ヒートで星野選手は1分36秒464をマークして逆転、森選手のタイムを待つ。その森選手は痛恨のタイムダウン、星野選手がシリーズ単独首位に立つ今季2勝目を挙げた。
2位に終わった森選手は「もっと(クルマを)前に出さなければいけないところを、気持ちよく滑らせてしまったのがいけなかったと思うけど、それでもタイムダウンしているとは思わなかった……」と第2ヒートのタイムダウンは想定外だったようだ。
対する星野選手は、「2本目はコース前半が全くリズムにのれませんでした。『このままではタイムダウンだ!』と思い、中盤の島周りから走りを切り替えて、上手く修正できたのが良かった思います」と、勝負を決めた走りを振り返った。昨季はエンジンの不調もあり、森選手に6戦中3勝を許した星野選手だが、王座奪回に向けてシリーズ前半で昨季に並ぶ貴重な今季2勝目を挙げた。
2026年JMRC関東ダートトライアルシリーズ第3戦
CHA1クラス
JMRC関東ダートトライアルシリーズではダートラビギナーを対象とした、CHA1クラスとCHA2クラスも設けている。今回の一戦では2WDのAE・PN・N・B・SA・SAX・SC・D車両で競うCHA1が成立。ZC33S型スイフトによる一騎討ちとなり、武善優選手がN1&PN2でも4位に入る、1分48秒223の好タイムをマークして勝利を収めた。
フォト/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] レポート/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



