リア駆動専用・新設"PN3"は早くも混戦に!道産子・和泉泰至が2ヒート奪取の完全勝利!!
2019年5月13日

晴天の京都コスモスパークで開催された全日本ダートトライアル選手権第3戦で、後輪駆動クラス「PN3」に3人目のウィナーが誕生。今年から登場した話題の新設クラスは、早くも混戦模様を呈してきた。
2019年JAF全日本ダートトライアル選手権第3戦「2019' Trial Kyoto」
開催日:2019年5月4~5日
開催地:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:THUNDERS
5月のゴールデンウィーク10連休の最終日、全日本ダートトライアル選手権第3戦が京都府の京都コスモスパークで開催された。今シーズンは開幕戦からドライコンディションが続いており、今大会のレースウィークも昨年とは打って変わって晴天に恵まれた。
コスモスパークは、複数の島回りによるテクニカルセクションと、長めのストレートを含んだハイスピード区間を組み合わせたダイナミックなレイアウトを持ち、主催者による行き届いたコース整備の甲斐もあり、2ヒートとも良好なドライ路面での戦いとなった。
決勝コースレイアウトは、ギャラリー観戦エリアであるスタート直後の島回りセクションを多めに回る構成。後半は高速セクションを豪快に駆け抜ける設定となったため、訪れた観客にとって、見どころ盛りだくさんのコース設定となっていた。
今大会では新設のPN3を始めた10クラスが成立となり、合計129台がエントリー。最多のSA1は22台を集めたが、後輪駆動専用クラスとして新設されたPN3には、16台がエントリーした新生D部門に続く台数の、14台のリア駆動マシンが集結していた。
このPN3には、元D1GPドライバー熊久保信重氏の声がけにより、このクラスだけのネーミングライツが行われ、独自にシリーズ賞典を付加する試みが実施されている。これまでの全日本選手権を争奪する戦いに、独自の賞典獲得を目指す新たな争いが追加されたことにより、ダートラPN3は、今シーズン大きく注目されているクラスとなっている。
PN3には、これまでPN2を後輪駆動で戦ってきた矢野淳一郎(Moty's BSTテクノDL86)や和泉泰至(DL itzzクスコGR86)らが参戦しており、山崎利博(itzz☆DL鳥居TAC86)や櫻井貴章(チームブリッドDLオクヤマ86)らベテラン勢も、それぞれFFマシンから乗り換えて後輪駆動マシンに初挑戦してきている。
そして、今シーズンの本命と目されている後輪駆動使い・竹本幸広(YHユークスオレンジ86)や、N1から移行してきた後輪駆動ルーキーの岡翔太(itzzオクヤマDL BRZ)などなど、実力派の若手ドライバーも参戦して、大きな存在感を示している。
そんな今年のPN3は、開幕戦丸和で熊久保信重(YHユークスオレンジ86)、第2戦恋の浦ではベテラン河田富美男(DLクスコITZZジール86)が全日本初優勝を挙げている。迎えた第3戦コスモスでは、高速コーナーが連続するレイアウトと、平坦で良好なグラベル路面が実現。後輪駆動でも楽しめる路面ということで、僅差のバトルが期待された。
第1ヒート、いきなり1分42秒前半の好タイムを叩き出したのは、PN2時代に優勝経験を持つ道産子ドライバー和泉。後輪駆動に乗り換えたばかりの山崎が後に続き、これまで後輪駆動でダートラを続けてきたベテラン矢野もコンマ差で続いた。
期待の竹本は1分42秒台には入れたものの上位3台からはやや離され、岡や河田は1分43秒台、熊久保もコスモスパーク初体験という状況もあって、1分44秒台に留まった。
第1ヒートが終わっても、路面の荒れはかなり抑えられていた。そのため、走行ラインがFF勢や4WD勢よりシビアな後輪駆動勢にとっても、十分に逆転を狙える状況となった。
勝負の第2ヒートでは、暫定トップの和泉が自己タイムを約1.5秒更新して、いきなりベストタイムをマークした。続く山崎は1分41秒台の2番手タイムに終わったが、若手の岡と竹本は1分40秒台に入れたものの、和泉のベストには届かなかった。
そして矢野が約コンマ2秒遅れのタイムで2番手に上がってきたが、続く熊久保が、何とコスモスパーク走行2本目にして1分40秒608をマーク。しかし、そのタイムも和泉の暫定ベストには届かず、最終走者の河田86も1分42秒台に終わってしまった。
PN3の第2ヒートは、何と上位5台のタイムがコンマ5秒の間に入り込むデッドヒート。この結果、2本ともベストタイムを叩き出した和泉がPN3初優勝を獲得した。
これまで和泉は2016年の第3戦と2017年第4戦で2度優勝しているが、いずれも地元である北海道のオートスポーツランドスナガワでの勝利。ということで、この勝利は北海道以外の大会における全日本初勝利ということで、和泉にとって嬉しい一勝となった。
「2本目は、PN1やPN2のタイムがあまり上がらなくて、やや不安はあったのですが、タイヤも路面もすごく感触が良くて、2本目には、コーナーを2つぐらい回った辺りから『これならイケる』と思えましたね。
後輪駆動でタイムを出そうとすると、どうしても『セコい走り』になりがちなんですが(笑)、今回は1本目からすごく気持ち良く、後輪駆動らしい楽しい走りができました。
自分も後輪駆動は5年乗っているので、ドリフトみたいな走りがいいのか、グリップ重視がいいのか、あれこれ試してきました。でも、自分は前期の86なので、ファイナルギヤの影響で、基本的にはエンジンの回転を落としたくないんですよね。
ということで、最近ではコーナーの形状や路面状況に合わせた走らせ方のいい組み合わせが、ようやく見えてきた感触がありますね」とは優勝した和泉。
今シーズンの活動に弾みが付く『道外全日本初勝利』を得た和泉。熊久保や河田に続く3人目のウィナーが誕生したことで、経験値も世代も異なる幅広い層のドライバーが集結した新設PN3は、誰が勝つか分からない混戦模様に突入することになった。
PN1は地元の上野倫広(DL田中Lub BRGスイフト)、PN2は細木智矢(MJT DL SWK WMスイフト)が共に第2ヒートで自己タイムを更新して2本ともベストの完全勝利の連勝を挙げた。N1は地元の恋の浦で全日本初勝利を挙げた濱口雅昭(DLタクミ三和インテグラ)が、こちらも2本ともベストの完全勝利で2連勝を獲得。
N2は散水タイミングの影響で「1本目勝負」となってしまったが、第1ヒートのタイムで北條倫史(DL itzz NUTECランサー)が逃げ切りの今季初勝利を挙げた。
SA1は第1ヒートでミスを喫した浦上真(DL☆VT☆MSPインテグラ)が「無欲の走り」で逆転の2連勝。SA2では第1ヒートは北村和浩(MJトレーHKサーDLランサー)が奪取したものの、公開練習不出走で決勝にかけた黒木陽介(MJT Gulf五組DLランサー)が約コンマ4秒差で逃げ切って今季初勝利。
SC1は山崎迅人(YHゲンシンMAXミラージュ)が圧倒的なタイムで連勝。SC2は第2ヒートの再出走に助けられた梶岡悟(DL・レイズ・ingsランサー)が3連勝を挙げた。
鎌田卓麻が全日本ラリー参戦のため不参加となったDは、第1ヒートから好走した川崎勝己(MJトレーディングYHランサー)が2ヒートともベストで今季初勝利を挙げている。













