名阪Cで小俣洋平の5連勝を止めた! 小林規敏、ロードスターでPN1初勝利!!
2019年6月7日
全日本ジムカーナ選手権第5戦は、奈良県の名阪スポーツランドCコースで開催され、昨年からロードスターでPN1に挑む小林規敏が、開幕4連勝している強者・小俣洋平を抑えて、第2ヒートで逆転勝利した。
2019年JAF全日本ジムカーナ選手権第5戦「ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦」
開催日:2019年6月1~2日
開催地:名阪スポーツランドCコース(奈良県山辺郡山添村)
主催:LAZY W.S
全日本ジムカーナ選手権の近畿ラウンドとして定着している「ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦」が、今年は6月1~2日の日程で奈良県の名阪スポーツランドCコースで開催された。ここは山岳地にあるため天候が読めないコースとしても知られており、金曜に開催された練習会でも、予想外の大雨が降り出す状況となっていた。
土曜には公開練習が行われたが、この日は初夏の訪れを感じさせる暑さに見舞われ路面温度も上昇した。しかし、日曜の決勝では、天気予報どおりの曇り空となり、勝負の第2ヒートでは中盤のSA1辺りから雨が降り出し、結局その雨はSC部門まで続いたため、SA部門とSC部門については”1本目勝負”となった。
名阪スポーツランドCコースは、近畿エリアの老舗ミニサーキットとして知られているが、ジムカーナ競技においても歴史が深く、幾度も開催された全日本選手権では数々の名勝負が生まれてきた。今大会のエントリーはPN3が最多の25名、続いてPN2が24名を集め、選手権対象外のB1及びB2を合わせて144名の参加者が近畿の名門ジムカーナコースに挑んだ。
決勝コースレイアウトは、ギャラリースタンド目前のテクニカルセクションを皮切りに、コース外周を駆け抜けるハイスピードセクションを組み合わせた2本立て。近年ではジムカーナらしいフリーターンを設置して名物となっていたが、今大会では、前半のコース上に置かれた4本パイロンを何度も通過するテクニカルセクションが勝負のキモとなり、スタート直後から多くの選手がその”罠”にハマっていた。
今年からPN1へとクラスを変更したSA3チャンピオンの小俣洋平(ダンロップitzzロードスター)は、開幕戦から怒涛の4連勝を飾って、今シーズンは敵なし状態を誇っていた。昨年までタイトル争いを演じていた福田大輔(DLレイズT2Wmロードスター)や、昨年の名阪ウィナーでもある深川敬暢(DLエナペBRIG ロードスター)も今季は未勝利で、表彰台の高みは小俣が独占してきていた。
しかし、第2戦もてぎ南でコンマ差の戦いを演じた小林規敏(itzzBSエナGロードスター)が今大会では台頭することになった。
小林は一昨年からPN1をロードスターで戦う中堅ドライバー。今年からサポート体制が変わって、今大会と似たような路面状況だったもてぎ南では、小俣と僅差の2位表彰台を獲得していた。
二人は昨年までは同じタイヤメーカーを選択する僚友だったが、今年の小林は異なるメーカーをチョイスした。そのため、今年から同じ車種で同じクラスを戦うライバルとなったが、マシンのカラーリングも同じデザインとなったことも加わり、両者がそれぞれの「使命」を背負った、見えない激闘を続けていた。
今大会は、第2戦もてぎ南と似たような路面温度が低い状況となった。そのため、第1ヒートから低温路面に強いドライバーの台頭を予想した小俣は、気の抜けないトライとなっていた。
それでも、第1ヒートで暫定ベストを叩き出したのは小俣で、1分20秒230という後続の深川に約コンマ6秒差を付けて引き離してみせた。3番手は高屋隆一(BSぢっぷすWmNロードスター)、4番手は福田で、ここまでは小俣から1秒以内に近付いており、公開練習から調子の上がらない小林は、小俣に約1.5秒離された5番手に留まっていた。
勝負の第2ヒート。天気予報通りに曇天模様は覆らず、時折強い風が吹き始める悪条件でスタートした。第1ヒートでは珍しくミスコースを喫した斉藤邦夫や小林キュウテンらは1分21秒台がやっと。第3戦エビス西と第4戦タマダで連続入賞している高屋が1分20秒台に入れてきたものの、小俣のタイムには届かない。
そして小林のスタート。中間計時では自己タイムは更新したものの、小俣の第1ヒートのタイムは上回れなかった。しかし、後半で大きく巻き返して1分20秒212の暫定トップタイムを叩き出して小俣を逆転した。後続の深川はタイムダウン、続く福田は自己タイムを更新したが1分21秒台止まり。残すはPN1最終走者の小俣となった。
小俣は前半テクニカルセクションの序盤で自己タイムを落としてしまう。それでも遅れを取り戻しながら後半の高速セクションに入るも、再び僅かな遅れが生じる展開。ゴールタイムは1分20秒298。小俣の第2ヒートはタイムダウンに終わってしまった。
この結果、小俣の第1ヒートのタイムを、第2ヒートでコンマ018秒逆転した小林が、PN1にクラスを変更してから初勝利、そして2016年の第7戦恋の浦以来、自身2度目の全日本優勝を飾った。
「名阪スポーツランドは好きなコースですし、インテグラ時代にタイムが出ていたこともあったんですが、なかなか勝てませんでした。今年から体制を変更して、ここまで良さそうな雰囲気が出ていたので、第4戦タマダから気合が入ってました。今回の1本目はかなりリズムが悪かったので、2本目で小俣さんのタイムは抜けるだろうとは思ってました」
「でも、2本目は気付かないうちに力が入っちゃったみたいで、いろいろミスしちゃいました(笑)。自分はどうしても、うまく力が抜けなくて自分の走りができないことが多いので課題ですね。タイヤの感触も掴めてきましたし、結果だけ見れば良かったですが、自分の理想の走りには程遠い感じでした」
と、勝って兜の緒を締めた小林。一発の速さを持つことで知られる小林は、小俣がかなり警戒しているドライバー。開幕5連勝を実現できなかった小俣は再び一強状態に持ち込めるのか、それとも並み居るライバルが反撃を開始するのか? 路面温度が高まる夏の時期を前に、PN1のタイトル争いは転換点を迎えた。
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