RC.NARAが毎年開催している「オートテストIN奈良」が、今年は大和郡山市の商業施設駐車場で開催された。今回はJAFウィメンインモータースポーツ作業部会がコラボレーションし、多くの女性ドライバーが挑戦した。
「オートテストIN奈良2019・JAFウィメンインモータースポーツオートテスト」
開催日:2019年10月20日(日)
開催地:アピタ大和郡山店特設会場(奈良県大和郡山市)
主催:RC.NARA
奈良県大和郡山市にある商業施設「アピタ大和郡山店」のF駐車場にて、奈良の老舗クラブRC.NARAが主催する「オートテストIN奈良」が開催された。今年は飯田裕子座長率いるJAFウィメンインモータースポーツ作業部会が協力し、大会名も「オートテストIN奈良2019・JAFウィメンインモータースポーツオートテスト」と題したイベントとなった。
RC.NARAでは、JAF奈良支部などとの協力により、モータースポーツ初心者を対象としたサーキット走行イベント「モータースポーツIN奈良」や、アクセスしやすい市街地でモータースポーツ未経験者でも楽しめる「オートテストIN奈良」を毎年開催してきた。今年は「オートテストIN奈良」を、昨年同様の会場を舞台に開催することになった。
今大会は、車型とトランスミッション形式で3クラスに分かれており、軽ワゴンのAT車両を対象としたAクラス、すべてのMT車両のBクラス、軽ワゴン車を除くAT&CVT車両のCクラスを設定。近畿エリアを中心に50台が参加し、午前1本、午後1本の合計2本の走行で、昼食時間を長めに確保した、ゆったりとしたスケジュールとなっていた。
また、大きな特徴として、女性の参加優先枠があることやすべての参加者の中から女性ドライバーを対象に特別表彰されることも告知されており、50台のうち18台を女性ドライバーが占めることになった。
当日は秋晴れに恵まれ、季節外れの汗ばむ陽気となった。会場には(株)スズキ自販奈良や奈良スバル自動車(株)やダイドードリンコ(株)などの協賛企業ブースが出店。特別講師には全日本ジムカーナの川脇一晃氏や久保真吾選手らが実際の競技車両で来場し、大会の実況MCを務めるとともに、参加者と密なコミュニケーションを図ってくれることになった。
コースレイアウトは昨年同様の設定で、左右に長い、他の大会に比べるとやや長めのコース。前半はスラロームを主体とした肩慣らしの簡単なレイアウトで、後半に行くにつれて難易度が高まっていくという二部構成で、そこに「ラインまたぎ」から90度後退でガレージに入る最終セクションが組み合わされていた。
スラローム後半まではリズミカルに走れる設定だったが、その次に設けられたタイトな連続S字セクションが今回の鬼門となった。それまでの勢いのままで進入すると回り切れずに行き詰まる設定で、多くの参加者が「禁断のバックギヤ」を使う罠に嵌っていた。
この連続S字セクションは、実況MCを務めた川脇氏と久保選手により『山本コーナー』と命名されていた。これは、今大会のコース作成者である山本智宏コース委員長の名前にちなんだもの。デモ走行を担当した両選手ですら苦労したセクションであることから、ここをスムーズに攻略できるかどうかが、今回の勝負の分かれ目となっていた。
そして、会場の一角にはJAFウィメンインモータースポーツのブースも設置され、会場を訪れた女性限定のテーブル&椅子付きの休憩&観戦スペースが用意された。ここでは飯田裕子座長や福島佳苗委員を始め、女性参加者たちが気軽に寄り合ってクルマ談義に華を咲かせていた。また、コースの目前にスペースが配置されたこともあり、他の参加者たちの良かった走りには拍手喝采。華やかで明るい雰囲気に包まれたまま大会は終了した。
今大会に組織委員長として関わった飯田座長は、大会終了後に以下のように総括した。
「まずはアクシデントがなかったことが良かったです。それと、皆さん色々なご意見をお持ちとは思いますが、多くの方々と話をさせてもらったり、終わって帰るときに見せてくださった皆様の笑顔から判断すると、今回はやって良かったなと感じております」。
「オートテストは参加のハードルが高くない分、色々な方がいらっしゃいます。勇気を出して一人で参加された方でも、その初体験をみんなで盛り上げてくれていましたし、もちろん、自分のスキルを上げるために参加された方もいらっしゃいましたから。今回は本当に色々な女性が来てくださって、オートテストっていいイベントだなと感じています」。
今回は主催関係者を始め、飯田座長らJAFウィメンインモータースポーツ作業部会メンバーらが検討した、女性が参加しやすい環境作りがなされていたが、今後もこういったイベントを各地で展開する予定だという。
「全国の主催クラブ、そしてJAFの各支部の方々にご理解をいただき、JAFウィメンインモータースポーツの協力という形でコラボレーションさせて頂いて、継続的にイベントを展開していければと考えております」。
「今回のような試みは、女性の参加比率が高まるきっかけになると思います。主催関係者の皆様にご理解頂き、女性が多く集まる状況が当たり前になって、男女が一緒になって楽しめるイベントにしていきたいですね」。
「また、女性だけではなくて、まだ運転免許を持っていない中高生のような方々に対しての働きかけをしていくことも考えております。これらが軌道に乗れば、そういった方面にも広がりがあるかなと思って期待しています」。
今大会では、孤独になりがちな女性参加者に寄り集まれる場所が提供されたことで、それぞれの不安が払拭できるきっかけとなっていた様子や、普段はストイックに自分との戦いに浸ってきた男性参加者にとっても、思わぬギャラリーが現れたことで気合が入り、それが逆に空回りに繋がったような、微笑ましい場面も見られた。
クルマの運転が好きな思いを共通項に、男女が同じフィールドで切磋琢磨する。そして、こういったグラスルーツモータースポーツでこそ、女性の参加が「当たり前」になって欲しい……。飯田座長率いるJAFウィメンインモータースポーツ作業部会の新たな試み。今後の展開に期待したい。