奴田原文雄ランサー・エボX、6年ぶりに新城を制す!

レポート ラリー

2020年3月23日

3月13~15日、2020年全日本ラリー選手権第2戦「新城ラリー2020」が愛知県内で行われ、JN1クラスでは初日のLEG1から首位に立った奴田原文雄/佐藤忠宜組のランサーエボリューションXが、最後までリードをキープして優勝を飾った。

2020年JAF全日本ラリー選手権第2戦
2020年JAF中部・近畿ラリー選手権第1戦
2020年JMRC中部ラリーチャンピオンシリーズ第1戦

新城ラリー2020 Supported by AICELLO
開催日:2020年3月13~15日
開催地:愛知
主催:MASC

 今年の全日本ラリー選手権は当初、2月上旬に群馬県で開幕戦「ラリーオブ嬬恋」が組まれていたが、開催エリアとして中心的な役割を担う嬬恋地区が昨年、台風により、甚大な被害を受けたため、大会関係者はラリーの開催は困難と判断、中止が決定された。

 このため、第2戦である今回の新城ラリーが2020シーズンの実質的な開幕戦となった。ただし昨年に続いて早春の開催となった今回の新城ラリーは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、無観客開催を決めた。シリーズ中屈指の観客動員数を誇るラリーだけに、メイン会場である新城総合公園は、一抹の寂しさに包まれたが、来季こそ、昨年までの賑わいの再現を祈りたいところだ。

 今回の一戦も新城名物のステージが多数、用意され、「鬼久保」は4本、「ほうらいせん一念不動」、「雁峰(がんぽう)西」がそれぞれ2本、そして新設定の「舟着」が2本と、2日間で計10本のSSが用意された。SSのトータル距離は87.24km。勝負どころは、やはり日曜のLEG2に2本設定された16.26kmの「雁峰西」だ。

 天候はLEG1は昼過ぎまで雨が断続的に降り続いたため、終日、路面はウェット。午後の鬼久保のステージは深い霧に包まれた。LEG2は朝から快晴となったものの、深い森の中を走る雁峰西は日光が遮られるためにセミウェット状態の中、ステージは始まった。

 JN1クラスは優勝候補の勝田範彦/石田裕一組WRXがSS1で駆動系トラブルでリタイヤする波乱のスタートとなる。LEG1前半の3SSをすべてベストタイムで上がって首位に立ったのは、昨年、勝田組と最後までデッドヒートを演じた奴田原文雄/佐藤忠宜組のランサー・エボリューションX。しかしLEG1後半に入ると新井敏弘/田中直哉組がSS5でベストを奪い、反撃開始。奴田原組との差を4.6秒まで挽回して折り返した。

 明けたLEG2。最初のステージとなったSS7雁峰西は奴田原組が新井敏弘組を3.8秒差で下してベストタイム。奴田原組は続くSS8鬼久保でも新井敏弘組を抑えて、その差を10秒以上に広げ、LEG2後半の2本もベストで上がり、この日の4SSを完全制圧。勝負どころを制した奴田原組が幸先の良い1勝をあげた。

 JN2クラスはV2を狙う眞貝知志/安藤裕一組のヴィッツGRMNが快勝。JN3クラスは、竹内源樹/木村悟士組のBRZが、雁峰西でスーパーベストを叩き出した鈴木尚/山岸典将組に一旦はかわされるも、最終のSS10鬼久保で再逆転を果たして優勝した。

 JN4クラスは若手の内藤学武/小藤桂一組のスイフトスポーツが、総合でも2WD勢最上位の5位に入る速さを見せて逃げ切り、JN5クラスでも天野智之/井上裕紀子組ヴィッツが、昨年のJN6王者、大倉聡/豊田耕司組のヴィッツCVTとの激闘を制して優勝をさらっている。JN6クラスでは全日本でもFFマイスターとして知られる明治慎太郎/里中謙太組が、初ドライブとなったヴィッツCVTを巧みに操って、クラスデビューウィンを果たした。

JN1クラスは、昨年の新城でも速さを見せた奴田原文雄/佐藤忠宜組が優勝。あと一歩のところで涙を呑んだ2019年のリベンジを達成した。
JN5クラスは眞貝知志/安藤裕一組のヴィッツGRMNがライバルを圧する速さを見せて優勝した。
今年はディフェンディングチャンプとしして臨む眞貝選手。シーズン初戦ということもあり、チームへのフィードバックにも勤しんでいた。
JN3クラスは、竹内源樹選手が、チャンピオンを獲得した2014年以来となる勝利を飾った。
JN4クラスでは内藤学武/小藤桂一組が一昨年の第9戦以来となる通算3度目の優勝をさらった。
ZC33Sスイフトでは初の1勝をあげた内藤選手。グラベルの速さも兼ね備えたドライバーだけに、今年の活躍が注目される。
チャンピオン対決が注目されたJN5クラスは、勝負どころの雁峰で大倉聡組を突き離した天野智之/井上裕紀子組がまず勝利をさらった。
昨年はチャンピオン確定後にチームを統括する立場に退いた井上裕紀子選手が今年は初戦から復帰。11年連続のナビゲータータータイトルを狙う。
JN6クラスは2016年にシリーズチャンピオンを獲得した明治慎太郎選手がヴィッツCVTで参戦。前評判通りの速さを見せて優勝した。
OPEN1クラスでは大谷皇就/木村裕介組が優勝(左)。OPEN2クラスでは氣谷忍/氣谷寛子組が優勝した(右)。
併催のJAF中部・近畿ラリー選手権では、廣嶋真/廣嶋浩組がDE-2クラスで優勝(左)。DE-5クラスは福田卓也/中根秀之組が優勝した(右)。
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