全日本ダートラが京都で開幕! N部門矢本裕之選手、地元コスモスパークで快心の勝利!!
2020年3月25日
全日本ダートトライアル選手権の2020シーズンが京都コスモスパークで開幕。主催者による新型肺炎感染拡大防止対策が徹底された本大会では、各クラスで僅差の逆転劇が繰り広げられた。
2020年JAF全日本ダートトライアル選手権
第1戦「FORTEC CUP 2020 in KYOTO」
開催日:2020年3月14~15日
開催地:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:TEAM FLEET
昨年のシリーズ10戦から、今シーズンは全8戦に落ち着いた2020年の全日本ダートトライアル選手権。その開幕戦が京都府京都市にある京都コスモスパークで行われた。
3月14~15日は、全日本ラリー選手権第2戦新城ラリーが愛知県新城市で行われ、鈴鹿サーキット国際南コースでは全日本カート選手権西地域開幕戦、岡山国際サーキットではスーパーGT公式テストが開催されるなど、イベントが各所で行われた週末でもあった。
新城ラリーや岡山テストと同様に、全日本ダートラも無観客で実施されることになったが、来場した参加者や関係者にはマスク着用を定め、厚生労働省が促す感染機会を減らす工夫を随所に取り入れた、徹底した感染防止策がなされた中での開幕戦となった。
今シーズンの全日本ダートラは、昨年まで実施されていたN部門のクラス区分が廃止され、N部門は事実上、旧N2を走っていた4駆ターボのみで戦うクラスとして新たなスタートを切った。また、SA部門についても登録番号標なしのSAX車両を含めた「SA・SAX」部門へと変更され、2輪駆動のSA・SAX1については、何と26台もの参加があった。
今回の京都ラウンドは、全日本単独開催は初となるチームフリートが主催。 新型肺炎拡大防止策はもちろん、選手を心地良く迎え入れるためにコース整備もかなり入念に行われた形跡があり、公開練習1本、決勝2本を走行した後でも、路面には大きな損傷がなく、各クラスで第2ヒートの大逆転劇が見られる、ダートラとしては理想的なコンディションが提供されていた。消息筋によれば、大会直前の5週に渡って路面を安定させるための地固めを実施していたそうで、参加選手等からは高い評価が挙がっていた。
N1がなくなったことで、開幕戦の出走はPN1~PN3、N、SA1~SA2、SC1~SC2、D部門という順番となったが、散水のタイミングは、今大会においてはN部門とSA1の間で実施された。しかし、前日に降った雨の影響や、季節外れの冬寒に見舞われたことから、第1ヒートは路面に霜が降りた状態からのスタート。それでも第1ヒート後半では砂埃が上がるまでに路面が回復し、第2ヒートの散水も適所を選んだ噴霧となったため、各クラスの第2ヒートでは、中盤以降では概ねドライコンディションでの戦いとなった。
そんな状況で第1ヒートから接戦を繰り広げたのは「N2」改め「N部門」。まだまだ滑りやすい路面状況で1分36秒台のベストタイム争奪戦が展開される中で、シードドライバーの矢本裕之選手が1分35秒666で暫定ベストをマーク。最終走者の北條倫史選手は矢本選手から僅かコンマ1秒遅れの2番手ということで、二人の勝負が予想された。
昨年は旧N2の直前に散水が行われたため、第2ヒートのN2ではタイム更新が難しい状況となっていたが、今大会では散水にもかなり配慮があったため、新生N部門では良好なドライ路面で第2ヒートに臨むことになった。
第2ヒートのN部門は1分33秒台の戦いになり、他のクラスと同様に仕切り直し。シード直前で1分32秒台を叩き出した福島の星盛政選手が暫定ベストをマークする展開となっていた。そしてシードゼッケン054を貼る矢本選手が出走すると、1分31秒485というスーパーベストタイムを計測してパルクフェルメに入ってきた。残り3台のゴールを待つ矢本選手は不安げな表情を見せていたが、同じく地元の西田裕一選手は1分32秒台で届かず2番手、岸山信之選手は1分33秒台で沈没した。
残すは最終走者のベテラン北條選手だったが、ゴールタイムは僅かに届かず1分31秒798。この結果、矢本選手が逃げ切って、昨年の第2戦恋の浦以来の優勝。意外なことに地元にも関わらず、京都コスモスパークの全日本戦では初となる嬉しい勝利となった。
パルクフェルメでは思わず感無量の男泣きを見せた矢本選手。実は、今回の地元ラウンドには並々ならぬ思いが詰まっていたという。
「2本目の路面は、アドバン的にはA036が正解なんですけど、自分はあえてドライタイヤで行きました。走ってみたら結構しんどかったんですが、地元でしたし、ダンロップ勢はDZ88Rを選択してた感じだったので、今回はドライタイヤにこだわって、ある意味、最初からドライ用のA053で行くと決めていたんです。その理由は、個人的に北條(倫史)さんとドライタイヤで勝負したいと思ってたんですよ」。
「北條さんはどんな状況でもまとめて来はる人です。そもそも自分は、DZ88RとA053の比較では、A053を使いこなせれば勝てる自信がありました。ドライタイヤ同士の戦いなら、運転が負けた方が負ける、こう思ってたんです。やっぱり路面としてはA036が適していて、無理やり曲げるような動作は多かったので、正直、手応えとしては北條さんには負けたかなと思いました。そういう意味では、”地の利”で勝てた感じですかね」。
「コスモスパークは自分の地元なんですけど、3年連続くらいでエンジントラブルが起きて成績を残せてなかったんですよ。だから今回こそは後悔したくなかった。北條さんとはドライタイヤで勝負ができたし、4年越しで完走することもできました(笑)。もう、ひたすら嬉しいです。やっぱりダートラは、タイヤじゃなくて運転なんだなってね!」。
今大会の路面は、出走序盤のクラスでは、ウェット路面用とドライ路面用タイヤ、そして中盤以降のクラスでは、ドライ路面用と超硬質ドライ路面用タイヤの選択肢があり、どちらにも一長一短がある状況だったため、スタート直前まで悩む状況だったようだ。しかし、路面コンディションが良好だったこともあり、先の路面状況と、事前に思い描いた自分の走りを信じてコーナーに突っ込むことができた選手に勝機が訪れていたようだ。
場内実況を担当した阿久津栄一アナが「ギャラリーにお見せできない状況がつくづく悲しい」と度々アナウンスしていたように、各クラスでは第2ヒートで激しい逆転劇が繰り広げられた。今シーズンの先行きは不透明ではあるが、昨年同様に、いや昨年にも増して、全日本ダートラの戦いは白熱しているということが明らかとなった開幕戦だった。
フォト/友田宏之、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部
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