丹後半島決戦再び! JAF中部近畿ラリー選手権第3ラウンドが開催
2020年9月25日
1カ月前、酷暑の中、全日本ラリー選手権の戦いが繰り広げられた京都丹後半島の地で、JAF中部近畿ラリー選手権が開催された。今回は併催のTRD RALLY CUPも最終戦を迎えるなど、どのクラスも最後まで目が離せないバトルが展開された。
2020年JAF中部近畿ラリー選手権第4戦
2020年JMRC近畿SSラリーシリーズ第2戦
TRD RALLY CUP by JBL第4戦 丹後半島ラリー2020
開催日:2020年9月5〜6日
開催場所:京都
主催:FERIAS
今年のJAF中部近畿ラリー選手権はこれまで、3月の「新城ラリー」と8月の「ラリー丹後」が全日本選手権と併催の形で2戦、消化された。そして今回、9月5〜6日に、「丹後半島ラリー」が事実上の今季第3戦として開催された。
今回も全日本選手権同様の新型コロナ感染防止対策が実施され、選手はもちろん、オフィシャルや関係者も2週間前からの検温と問診票の提出が義務付けられ、それを踏まえて大会当日に、ドクターより、参加許可が出る形が採られた。受付でも、消毒用のアルコールはもちろん、ビニールシート等による飛沫感染防止策が実施された。
今回のラリーは3本のSSを2ループするルートで行われた。スタート、フィニッシュは全日本戦のラリー丹後とは違い、丹後半島のほぼ真ん中に位置するスイス村に設けられたものの、3つのステージの内2本は、1カ月前に開催された全日本戦でも使用されており、出場した選手には記憶に新しいSSである。
もう1本は2011年に使用されて以来、地方選手権では使用されていなかったSSが用意された。しかし、このSSは距離が短いため、勝負所はラリー丹後で使用された「NARIAI」ステージと予想された。夜半に降った雨の影響で、路面状況が読めず、タイヤ選択が重要となったからだ。
DE-1クラスは前回、好タイムをマークしながら、ドライブシャフトのトラブルからリタイヤとなった、関東から遠征の嶋村徳之/伊東太壱組が今回の大本命と予想された。しかし、SS1では予想に反して「このSSは苦手」という大江毅/田中大貴組がスピンを喫しながらもベストタイムを叩き出し、SS2では嶋村組に18秒もの差を付け、ラリーを大きくリードした。
SS3では嶋村組が挽回するが、序盤で広がったタイム差は大きく、結局2位でラリーを終えた。「前回がリタイヤだったので、今回は勝つつもりで来たんです。SS2では路面がウエットだったんで抑えていったんですが、抑えすぎたんでしょうね。取り返せませんでした」と嶋村選手は反省の弁だ。
一方、優勝した大江選手は「SS2は得意なコースなので、あそこで大きくリードできたのは良かったと思います。足回りも、前回より跳ねないように調整したのも当たりました。最後のSSはリストリクター無し勢にやられましたが、勝ててうれしいです」と前回に続く連勝を喜んでいた。
DE-2クラスは目下のところ廣嶋真/廣嶋浩組の親子が2連勝しており、3連勝を目指していた。立ちはだかるのは全日本チャンピオンの経験もある明治愼太郎/立久井大輝組だ。しかし明治組がベストタイムを獲れたのはSS2のみで、廣嶋組が残り5本のSSでベストタイムを奪い、あっさりと3連勝を決めた。
「今回は雨に助けられました。使っているタイヤが、暑くなると苦しくなるタイヤなので良かったです。前回より足のセッティングは変えずに、空気圧に気をつけながら走って、逃げ切れました」とドライバーの廣嶋真選手。これで、地区戦とダブルタイトルとなるJMRC近畿SSラリーシリーズでは、昨年は父が、今年は息子が、ドライバーチャンピオンになるのが、ほぼ間違いない状況となってきた。
敗れた明治選手は「(今回ドライブした86は)普段から乗っているわけではないので、目がついていかなかった。後半になって、やっと思い出しながら走れた感じです。ただ今回の目的は、初出場のコ・ドライバーのOJT(実践トレーニング)だったので、その部分はうまくできたと思います」と語った。
また、今回のラリーでは注目の選手がこのクラスから誕生した。ラリーが初参戦となった山口航平選手だ。山口選手はまだ現役の大学生だが、終わってみれば明治選手に遅れること僅かコンマ8秒の3位に入った。その山口選手は「今回は古いタイヤで行ったので、次は新品のタイヤを使います」と、好成績に満足そうな表情を浮かべていた。
DE-5クラスは前戦の覇者である田中潤/北田稔組と、福田卓也/中根秀之組の一騎打ちとなった。両者は一進一退を繰り返したが、最終SSで6秒速かった福田組が優勝し、今季2勝目を飾った。「前回は中古タイヤでしたが、今回は新品だったので運転の仕方を変えてみたのが良かったようです。SS5をそこそこ走れて、ベストで挽回できたのが最後の逆転に繋がりました。リベンジできて良かったです」と福田選手は、してやったりの表情。
敗れた田中選手は、「昔から上りが苦手で・・・。エイヤーで行くからダメなんですよね」と反省しきり。年イチでラリーに出場の大西史朗/横川紀仁組が、3番手を走っていた笹岡亮佑/加藤昭文組のマシントラブルリタイヤにより、表彰台の一角に入った。「タナボタの入賞です。年イチの結果としては上出来です」と大西選手は笑顔を見せていた。DE-6クラスは、前回逆転負けを喫した田中裕二/仲野篤組がリベンジの優勝を果たした。
また今回はTRD RALLY CUP by JBLが併催された。こちらは全5戦が予定されていたが、コロナの関係で2戦が中止となり、今回が最終戦となった。CUP-2クラスでは、2連勝中の吉原將大/佐野元秀組が今橋彩佳/保井隆宏組を破って3連勝し、チャンピオンを決めた。
「今年は色々なラッキーがあっての3連勝だと思ってます。今回は完走を大前提に、最後までペースをコントロールしながらの走りができましたが、このシリーズを経験したことで、もっとうまくなれそうな感じがしてきました(笑)。来年は少しでも高いところでやりたいです。できれば全日本にも出られたら良いのですが…」と吉原選手は最高の成績を残した一年を振り返った。
CUP-1クラスは前戦で優勝している桒村浩之/古本舞桜組がSS2で側溝にはまる波乱の展開。このままリタイヤすると自身のチャンピオンの目がなくなるため、何とか自力で脱出したのが幸いした。2位狙いに切り替えて仕切り直しだったが、ベストタイムを1本でも獲るとポイントが与えられ、チャンピオンが確定するという状況で、2本ベストタイムを奪って王座を決めた。
「コ・ドライバーのアドバイスを聞いて、突っ込みすぎず、きっちりブレーキを踏んだ地味な走りを心掛けたことが、SS4とSS6でのベストに繋がりました。コ・ドラ様様です」と桒村選手は古本選手に感謝しきりだった。
優勝したのは高木充/安藤裕一組。「1ステで良い走りができたので、先行逃げ切りができました。開幕戦はぶっつけ本番だったのでヴィッツに慣れるだけで精一杯でしたが、今回は速く走らせることができたと思います。ダンパーの減衰をTRDの推奨値より締めて走ったのが良かったです。6本のタイヤマネジメントもしっかりできました。本当に勝てて良かったです」と高木選手は初優勝を喜んでいた。
フォト/中島正義、山口貴利 レポート/山口貴利
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