GR 86/BRZレースが北の大地で激戦を繰り広げたクラブマンカップレース
2020年10月21日

十勝インターナショナルスピードウェイを舞台とする「北海道クラブマンカップレース」も、新型コロナウイルスの影響によりシリーズ第1戦と第2戦が中止。そして第4戦とは銘打たれているものの、9月26~27日に行われたレースが実質2戦目の開催となった。
2020 北海道クラブマンカップレース第4戦
開催日:2020年9月26~27日
開催地:十勝インターナショナルスピードウェイ(北海道更別村)
主催:MSF株式会社、TOSC
今回の北海道クラブマンカップレースでは、全国各地で盛況なGR 86/BRZレースも開催されたため、パドックは久々の賑わいを見せた。一方で、同レースと併せて行われていたファンミーティングが中止になったのは、ご時勢としてやむを得まい。
十勝ではいまだ健在のザウルスジュニア。このレースに2011年、2台が加わったVITA-01だったが、今や立場は完全に逆転。ザウルスジュニア4台に対し、VITA-01は17台がエントリーするまでとなった。
その予選は、土曜日に降った雨が路面にほとんど残っていなかったものの、コースサイドの濡れた土がコースアウトする車両が現れるたびに泥となって路面を汚す、極めて厄介な状況になっていた。
そんな中でもラスト1周にピークを合わせた古井戸竜一選手が、前回のウィナー坂野研選手を従えて、2戦連続でポールポジションを獲得する。「ミスはあったんですけど、なんとか坂野選手を抑えられたので、決勝も楽しみです」と古井戸選手。
だが決勝ではふたりの直接対決はならず。坂野選手がスタート直後のシフトミスで、平中繁延選手の先行を許したからだ。それでも先頭の古井戸選手、平中選手、そして坂野選手が着かず離れず、熾烈なトップ争いを中盤まで繰り広げていた。
やがて坂野選手の平中選手へのチャージがより激しくなったのとは対照的に、古井戸選手が徐々に逃げ始める。その2番手争いは10周目の2コーナーで、平中選手がスピンを喫して決着。古井戸選手を追いかけたい坂野選手ではあったが、その時すでに3秒の差があり、ラスト2周でわずかに詰めるに留まった。「後ろでバトルしてくれたので、最後はなんとか逃げ切ることができました」と古井戸選手。
混走のザウルスジュニアは、第1戦もポール・トゥ・ウィンの岡島勇樹選手が予選で総合でも9番手につけ、決勝ではひとつ順位を落としたものの、同じクラスのライバルをまったく寄せつけなかった。「前だけ見て走って、VITAはストレートが速いけれど、コーナーではこっちに分があるので、意地で少しは詰めていきました」と岡島選手。




十勝のオリジナルカテゴリーである、N1-1000には8台がエントリー。SCP10ヴィッツのN1ワンメイクで、スポーツラジアルを装着するのと、1位から3位まで20kg、15kg、10kgのウエイトハンデ制度が設けられているのが特徴だ。
前回の優勝で、その20kgを積んでなお三浦稔呂選手が連続ポール。「ウエイトを積んで重いのと、路面が泥だらけで自分が思っているより1秒遅いので……」と、2番手以下を1秒以上離しても三浦選手は納得がいかぬよう。背後に続く、中村高幸選手となかむらりょうこ選手は夫婦で参戦するドライバーだ。
決勝では三浦選手がスタートから逃げて、そのままひとり旅状態。そして、りょうこ選手を高幸選手がスタートでかわし、中盤以降はそれぞれ単独での走行となっていた。「最初のうちは食らいついてきてくれたので、その成長ぶりが嬉しかったです」と高幸選手。
連勝の三浦選手は、「いつもより重いのと、コンディションが悪かったんですが、何もプレッシャーなく楽しませてもらいました。もう1戦ありますので、まだまだ頑張ります」と語っていた。


ネッツカップヴィッツ北海道シリーズ第3戦は2レース制で、予選のベストタイムでレース1、セカンドベストタイムでレース2のグリッドを決定。いずれもトップは大分から遠征の三浦康司選手が獲得し、「丁寧に、丁寧に走ることを心がけて、最後にうまく決まったので、いい予選だったと思います」と語り、これに赤堀康裕選手が続くこととなった。
6周で争われるレース1は、三浦選手と赤堀選手の一騎討ち。終始、赤堀選手を背後に置いたが、「リアの内圧が合わなくてちょっと苦戦しましたが、逆に無理せずタイヤをいたわって走りました」と三浦選手がコンマ2秒差ながらも逃げ切り成功。その後方では、地元の猛者たちをしっかり抑えきった、みなぴよ選手が久々の表彰台へ。
12周で争われるレース2も、トップ争いはやはり一騎討ち。同じように最後まで、三浦選手が赤堀選手を抑えきった。「タイトル争いに影響を及ぼさない感じで終われて良かったです。いい間隔を保てたので、計算どおりということで。楽しいレースになりました」と三浦選手。そして今回の連続2位と、第1戦の優勝で赤堀選手が2連覇を達成した。
「三浦さんと当たって、どこか飛んでいくのはダメだと思って、ちゃんとゴールすることを考えて走っていました。でも、行けるかなと思って何回か仕掛けましたが、ダメでした。ディフェンディングって言葉がのしかかってきて、ちょっとプレッシャーだったんですが、なんとか獲れて良かったです」と赤堀選手。



GR 86/BRZレースは2ヒート制での開催。コンディションが極端に違って、誰も完全制覇を許されなかった。クラブマンシリーズOPENクラスは、「初の十勝、初のウェットで、初のポールとなったからには、初の優勝も目指します」とは佐藤純一選手のコメントだ。
ヒート1では西澤嗣哲選手を背後に置く展開だったが、辛くも逃げ切り成功。ヒート2も同様の展開となるも、8周目の最終コーナーでのわずかな失速を見逃さなかった西澤選手が、続く1コーナーで逆転を果たし、2戦ぶりの優勝を飾ることとなった。
「スタートを失敗したので『今日は終わりかな』と思っていたけど、プレッシャーはずっとかけていて。そしたら最終コーナーで、佐藤くんはミスしたのかな? 今までにないぐらい着けて、1コーナーで並んで。引いてくれたのかな。でも、抜いた後、自分のペースになったら崩れちゃって。まだまだ修行が足りないですね」と西澤選手。



クラブマンシリーズEXPERTクラスは、「今週、初めての雨だったんですが、去年、雨で練習した経験を活かせました。前回はすごく運が悪かったので、今週は逆に運が良かったです」と語る鶴賀義幸選手がポールポジションを獲得し、菱井将文選手を従えた。
ヒート1はスタートから鶴賀選手が逃げ出し、そのまま大差での勝利に。ヒート2も鶴賀選手が一時は4秒近く離していたが、じわじわと差を詰めてきたのが5番手スタートだった冨林勇佑選手だった。「僕の方がタイヤに余裕があったので、追いついたら一発で仕留めようと思って」と、12周目の2コーナーで鶴賀選手を逆転、嬉しい初優勝を飾ることとなった。
一方、2位には甘んじたものの、「無理したら抑えられたかもしれないんですが、ランキングのトップになれたので、次もちゃんと稼げるように頑張ります」と、鶴賀選手は納得の様子だった。



プロフェッショナルシリーズでは「予選中ずっと抜き続けていて、『俺、けっこう速いなぁ』と思っていました」と語る久保凜太郎選手がポールポジションを獲得。ヒート1も2番手につけた井口卓人選手を最後まで寄せつけず、「やっと! 6年越しです。自分の速さもあったし、クルマのスピードとタイヤにも助けられました」と、久保選手は初のトップチェッカーを大いに喜んでいた。
だが、ヒート2では表情が一転する。絶妙のスタートを井口選手が決めて、久保選手をかわしてトップに浮上。その後、コースアウトした車両の回収にセーフティカーが入り、2周後のリスタートで久保選手は最終コーナーでダートに足を落としてしまい失速。これでついた差が致命傷となった。
徐々に差を詰めていった久保選手ではあったが、最後はコンマ5秒及ばず。井口選手が4年ぶりの優勝を飾った。「リスタートで凜太郎がミスしていて、一気に離れたので、その分の差をなんとか維持できました。最後、タイヤがきつかったので、なんとか耐えられて良かったです」と井口選手。3位は蒲生尚弥選手が獲得した。



フォト/加藤和由 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部