第2ヒートも激戦のPN1クラス! 箕輪雄介選手が名阪大会で今季2連勝を飾る!!
2020年10月22日
全日本ジムカーナ選手権としては今季3戦目となる第2戦「ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦」が10月17~18日、奈良県の名阪スポーツランドCコースで開催された。新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の4月から6か月遅れで開催された。
2020年JAF全日本ジムカーナ選手権第2戦
「ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦」
開催日:2020年10月17~18日
開催地:名阪スポーツランドCコース(奈良県山添村)
主催:LAZY W.S
今大会は、シーズン初の本州での開催ということもあり、シーズン最多となる計140台がエントリー。一般ギャラリーの受け入れは断念したものの、大会当日は、場内でのマスク着用や入場ゲートでの検温、健康状態の自認書の提出、各所でのアルコール消毒液の設置はもちろんのこと、オフィシャルのマスク、フェイスシールド、ニトリルゴム手袋の着用など徹底的な感染防止対策が実施された。
レースウィークは金曜の走行会と土曜の公開練習、日曜の決勝と例年通りのスケジュールだが、練習走行は晴/ドライ、公式練習は雨/ウエット、日曜の本番では晴/ドライと状況が目まぐるしく変わったことから、参加者には対応力が求められる一戦となった。
名阪スポーツランドのCコースは関西を代表するジムカーナの名所として知られ、いわゆるミニサーキットながら、アベレージ高めの設定が可能。観客席の前にはテクニカルなパイロン区間、コース外周にはハイスピード区間を設定した。パイロン区間の連続ターン攻略がポイントで、間隔狭めの設定がベテランでもミスを連発する設定となっていた。
前述の通り決勝日は好天に恵まれたが、午前中の第1ヒートは肌寒いコンディション。そのため、路面がクリーンになり、気温と路面温度が上昇する午後の第2ヒートで勝負が決すると予想されていたが、第2ヒートでも状況が大きくは変わらなかったことから、第1ヒートで勝負が決まったクラスが少なくない。そのなかで、第2ヒートで多くのドライバーがベストタイムを更新し、熾烈なバトルが展開されていたのがPN1クラスだった。
第1ヒートは1分20秒台の勝負となる中、前戦のスピードパーク恋の浦大会を制した箕輪雄介選手が1分20秒784をマークして第1ヒートのトップに立った。2番手は1分20秒868の小林規敏選手で、今季開幕となった第5戦オートスポーツランドスナガワ大会を制した斉藤邦夫選手は1分32秒台。「単純にコースを間違えちゃった」と語るように、何と18番手に沈んでいた。
第2ヒートでも箕輪選手は好調で「第1ヒートでいくつかミスをしていたので、その部分を修正しました。前走車がタイムアップしていたし、勝つためには1秒は上げないと思っていたのでうまくまとめることができました」と語るように1分19秒555をマークし、自らのタイムを1.2秒も更新し、暫定トップで後続のフィニッシュを待った。
続く小林規敏選手はタイムアップを果たせずに後退し、最終走者の斉藤選手に注目が集まったが、「第1ヒートは雨上がりの路面で砂が混じっていたので、第2ヒートでの勝負になると思っていました。第2ヒートはイメージ通りの走りができたし、タイムも想定通りだったけど、今日はそれ以上に箕輪選手が速かった」と語るように、斉藤選手は1分19秒723で2位と惜敗。
辛くも逃げ切った箕輪選手は「新型コロナウイルス感染症の影響もあって、今季最初のスナガワを欠場していたので、タイトル争いを意識せずに今大会に挑みました。前回の恋の浦は斉藤選手がペナルティを受けたおかげで勝てましたが、今回は”生タイム”で勝てたので嬉しいですね」と語り、PN1クラスで今季2連勝を達成した。
PN1クラスのタイトル争いは、斉藤選手、今回の勝利でシリーズ2位に上った箕輪選手、小林選手、福田大輔選手の順で4人による最終戦イオックスアローザでの勝負となる。
PN2クラスで幸先の良い出だしを見せたのが、前戦の恋の浦を制した山野哲也選手で、1分18秒546をマークし、第1ヒートをトップでフィニッシュ。一方、第5戦スナガワを制した小俣洋平選手はコース前半でミスコースを喫したことから、タイヤ温存のために走行を抑えていた。
多くのドライバーが第2ヒートでも1分18秒台のカベを突破できずにいる中、山野選手に至っても、第2ヒートでは自己タイムの更新を果たせずにフィニッシュしてしまう。PN2クラスの勝負の行方は、最終走者の小俣選手が握ることになった。小俣選手は渾身のアタックを見せたものの、ゴールタイムは1分18秒910で2位に惜敗となった。
今年のタイトル獲得のためには名阪攻略がキモだと考えていた山野選手は「名阪での勝率が低いので今回も厳しい戦いになると思っていたけど、第1ヒートであのタイムを出せたことが大きかった。名阪で負ければタイトルを獲得できないと思っていたので本当に良かった」と語る山野選手が今季2勝目を獲得。小俣選手との最終戦イオックスアローザでの勝負に持ち込んだ。
PN3クラスでは、西野洋平選手が第1ヒートで1分19秒379のトップタイムを計測。第1ヒートで2番手につけていた川北忠選手は第2ヒートではタイムアップを果たせずフィニッシュした。西野選手も「何回かカウンターを当てているのでタイムロスしましたね」と語るように、第2ヒートでは唯一となる1分19秒台をマークしたもののタイムアップならずという状況に。
そして、第1ヒートでパイロンタッチを演じていた前戦恋の浦大会のウィナー、天満清選手も1分20秒793で7位に終わったことから、西野選手が今季初優勝を獲得した。「金曜、土曜にかけて6本連続でパイロンタッチをしていたので、パイロンに気を付けて走りました(笑)。名阪は相性がいいですし、今大会に合わせて練習してきたので、ここで勝ちたいという気持ちが強かった。勝てて良かったです」と西野選手は喜びを語った。
PN3クラスのタイトル争いは、今回の優勝で西野選手がポイントリーダーに立ち、以下、天満選手、松本悟選手、川北選手の順で、最終戦イオックスで勝負が決する予定だ。
PN4クラスは、前戦の恋の浦で九州の井上博保選手が全日本ジムカーナにGRヤリスをデビューさせたが、今回はPN2クラスでヴィッツGRMNを走らせていた片山誠司選手がGRヤリスでPN4クラスに参戦。雨の公開練習では好タイムをマークして大きな注目を集めていた。
ドライ路面となった日曜の決勝では、今季初参戦の茅野成樹選手が1分16秒932をマークして第1ヒートでップ浮上。そして、今季2連勝を果たしている最終走者の野島孝宏選手は1分16秒327を叩き出して茅野選手を逆転した。ランサー・エボⅩを駆るベテラン二人の一騎打ちが第2ヒートでも展開されると思われていた。
しかし、茅野選手が四輪脱輪でノータイムに終わるほか、野島選手もタイムアップを果たせず第2ヒートが終了。この結果、「金曜と土曜の練習走行で茅野選手に負けていたので、攻めて行かないと勝てないと思って第1ヒートから攻めました。今年は4戦しかないので、チャンピオンを意識せずに1戦ずつ楽しく走りたいと思っていました」と語る野島選手が今季3連勝を果たし、石原昌行選手も10位に沈んだことから、PN4クラスのチャンピオンを確定させた。
なお、注目を集めたGRヤリスは、恋の浦に引き続き井上選手が全日本ダートラNクラスの岸山信之とダブルエントリーで参戦。第1ヒートで1分18秒379をマークした片山選手が5位に入賞して存在感を示した。
SA・SAX1クラスでは、第5戦スナガワの勝者である一色健太郎選手が1分20秒093で5番手、前戦恋の浦大会のウィナーである小武拓矢選手が1分18秒384で2番手となる中、関東の改造車使いである山越義昌選手がEF8 CR-Xを持ち込んで気を吐いた。
「周りが中高温のコンパウンドを選んでましたが、僕は1本目が勝負だと思って低温のコンパウンドを選びました。いくつかミスした部分はあったけど、タイヤ選択が上手くいったと思います」と語るように、山越選手が唯一の1分18秒台を計測して第1ヒートをトップで折り返した。
第2ヒートでは一色選手や小武選手らもタイムアップを果たすものの、山越選手の第1ヒートのトップタイムを更新できず山越選手の勝利が確定。優勝は実に8年ぶりで、「2012年の旧モビリティおおむたでPN1クラスで勝って以来の優勝です。新型コロナウイルス感染症の影響で今年は参戦してませんでしたが、クルマのパフォーマンスを確認したくて参戦しました。今日、勝てたのは第1ヒートで勝負したことと運に恵まれた部分が大きいと思います」と喜びを語った。
SA・SAX1クラスのタイトル争いは一色選手、島田昌典選手、小武選手の順で、3人による最終戦イオックスでの戦いとなる予定だ。
SA・SAX2クラスで幸先の良いスタートを切ったのは、今季初参戦となる若林拳人選手だった。第1ヒートでは若林選手が唯一の1分18秒台9でトップフィニッシュ。第2ヒートでは駆動系トラブルで自己タイムの更新は果たせなかったが、これまで2連勝中の高江淳選手も僅かに届かずに2位に惜敗した。
「1本目はフロントタイヤがグリップしなかったけど、タイムは悪くありませんでした。2本目はリアの足を動くようにセッティング変更したんですけど、ドライブシャフトが終わりました。今回は高江選手の連勝を止めるために練習してきたので、それが達成できで良かったです」と語るように若林選手が今季初優勝を獲得した。
なお、高江選手が2位に入賞したことで、最終戦を待たずして、高江選手のSA・SAX2クラスチャンピオンが確定。全日本ジムカーナ”SA2”のタイトル3連覇を確定させた。
SA・SAX3クラスでは、これまで2連勝している久保真吾選手が唯一の1分18秒台となる1分18秒267をマークして暫定トップに立った。第2ヒートでは梅村伸一郎選手が1分18秒063で逆転したものの、最終走者の久保選手が1分18秒014でトップを奪い返す激戦となった。この結果、久保選手が今季3勝目を獲得すると同時に、SA・SAX3クラスのチャンピオンを確定させた。
「1本目は思ったよりグリップが良くなかったので、このままでは勝てないと思っていました。2本目で梅村選手にタイムを更新されたので攻めて走ったんですけどね。ミスも多かったので手応えはありませんでした。今年は短期決戦で一つも落とせない難しいシリーズなので、タイトル争いは最終戦までもつれ込むと思ってましたが、地元でタイトルを決められたので嬉しいです」と、2016年以来の全日本タイトル確定と、苦労を共にしたエキシージでの初タイトル獲得に、久保選手は安堵の表情と大きな喜びを見せた。
SA・SAX4クラスはスナガワ大会が不成立のため、今季は3戦で争われる状況となっている。そんな中で、菱井将文選手は岡山国際サーキットで同日開催された86/BRZレース参戦のために名阪大会を欠場してしまう。そこで、この名阪大会では、実質的な開幕戦となった恋の浦大会を制した津川信次選手が圧倒的な速さを披露していた。
ライバル勢が1分17秒台で推移する中、第1ヒートで唯一の1分14秒台をマーク。第2ヒートでもそのタイムは破られず津川選手が優勝。「1本目はグリップが薄くて我慢しながら走ったことがタイムに繋がりました。2本目は攻めた結果にパイロンタッチしてしまった。今回は菱井選手がいなかったので、SCクラスをターゲットにしました」と語るようにオーバーオールでもトップタイムを計測。SA・SAX4のタイトル争いは、飯坂忠司選手との最終戦勝負となった。
SCクラスでは、第5戦スナガワを制した西原正樹選手が第1ヒートで唯一の1分15秒台をマークし、第1ヒートをトップで折り返した。第2ヒートでは前戦恋の浦大会を制した高橋和浩選手が1分15秒262で迫るものの、西原選手の第1ヒートのタイムには届かなかった。「1本目は路温が低くて前半は厳しかったけれど、中盤以降は良かったのでタイムを残せた」と語る西原選手が今季2勝目を獲得。タイトル争いは西原選手、高橋選手、大橋渡選手の三つ巴となった。
フォト/谷内寿隆、廣本泉 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部
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