チームワークの勝利! D'station RacingがST-Xクラスで優勝
2020年11月6日

本来ならば最終戦として行われるはずだった岡山国際サーキットのスーパー耐久シリーズは、10月31日〜11月1日という日程をそのままに、第3戦として開催。開幕から2戦連続で雨に見舞われてきたが、今シーズン初めて終始ドライコンディションが保たれて、激しいバトルが繰り広げられた。
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦 スーパー耐久レースin岡山
開催日:2020年10月31日〜11月1日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC
決勝は第2戦に続いて2グループ開催の3時間レース。ST-4クラスとST-5クラスによるグループ2は土曜日の予選終了後から間もなく、すぐに決勝が行われた。ST-4クラスの予選トップでポールポジションを獲得したのは、GR Garage水戸インターGR86の久保凜太郎/細川慎弥/坪井翔組だった。
決勝では細川選手がスタートを担当。オープニングラップに林テレンプSHADE RACING 86の平中克幸選手の先行を許すも、遅れることなく続き、さらにENDLESS 86の松井孝允選手を加えて、いきなり激しいバトルを繰り広げる。
しかし、それも8周目まで。1コーナーで止まりきれなかった松井選手が細川選手に接触し、弾かれた細川選手がスタックしてしまったからだ。その後、松井選手は平中選手を追いかけるも逆転は許されず、42周目に宮田莉朋選手と交代。3周後に国本雄資選手と代わった林テレンプSHADE RACING 86はトップをキープする。その時点で7秒あった差は宮田選手が徐々に詰めていき、59周目のヘアピンで逆転に成功。
81周目から再び松井選手が乗り込みトップをキープしたENDLESS 86だったが、その直後に黄旗追い越しに対するドライビングスルーの指示が! ペナルティを消化した松井選手がコースに戻ると、その脇を林テレンプSHADE RACING 86の石川京侍選手がすり抜けていった。
そのまま逃げ切った平中/国本/HIRO HAYASHI/石川組は今季初優勝。「次から全部勝っていくつもりです。1回勝っただけじゃ喜んでいられないので頑張ります」と平中選手。GR Garage水戸インターGR86は苦難のレースを5位で終えていた。


ST-5クラスの予選トップは、odula AVANTECHロードスターの橋本陸/妹尾智充/貫戸幸星組が獲得。だが、決勝ではオープニングラップのうちに、妹尾選手は村上モータースMAZDAロードスターの谷川達也選手にトップを奪われてしまう。
それでも両者つかず離れずバトルを繰り広げていく。絶えず先手を打ったのはodula AVANTECHロードスターで、43周目に貫戸選手に、56周目に橋本選手に交代。これに対し、村上モータースMAZDAロードスターは47周目に中島保典選手に、そして60周目に村上博幸選手と交代する。
それでもポジションは変わらず、そのままバトルが最後まで続くかと思いきや、74周目の2コーナーで村上選手がステアリング系のトラブルによってクラッシュ。無念のリタイアとなる。odula AVANTECHロードスターが今季初優勝。「実はリアタイヤがかなり厳しくて、村上選手にあのまま追いかけられていたらやばかったので、運にも助けられました」と橋本選手。


グループ1の決勝は日曜日に行われた。ST-Xクラスでは序盤にアクシデントが発生。6周目のヘアピンでHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3を駆る高木真一選手が3番手走行中にクラッシュし、セーフティカーカーが導入されたのだ。後日、高木選手は腰椎と右手首の骨折が明らかになったが、大事に至らなかったのは不幸中の幸いだった。
総合優勝を飾ったのは、星野敏選手〜藤井誠暢選手〜近藤翼選手のリレーを完璧に決めた、D'station Vantage GT3。特にスタートを担当した星野選手が、プロを相手に大きな遅れを取らなかったことが、最大の勝因となった。「星野さんが初めてのポールからのスタートで、ちゃんと仕事をしてくれたので、僕と翼はクルマに合わせて走るだけでした」と藤井選手。


ST-Zクラスは、ここまで2連勝のENDLESS AMG GT3の内田優大/山内英輝/高橋翼組はウエイトハンデ50kgに苦しみ、本領発揮ならず3位に。代わって主役の座を射止めたのが、5ZIGEN AMG GT4の大塚隆一郎/青木孝行/下垣和也/坂本祐也組だった。
最終スティントを担当した大塚選手が、D'station Vantage GT4の織戸学選手に最後コンマ5秒差にまで詰め寄られたが、「あと1周あっても、たぶん大丈夫だったでしょう」と大塚選手は完璧なレース展開を、そう振り返っていた。


ST-TCRクラスをポールからスタートし、2連勝を狙ったF・Link Home CIVIC TCRの植松忠雄/井出有治/川端伸太朗組だったが、ハンドリングの悪化に苦しみ無念の2位に。開幕戦以来となる2勝目を、WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSのキズナ/千代勝正/安田裕信/大草りき組が獲得した。
「僕がスタートしたんですが、全部抜いて。早めに代わったんですけど、キズナ選手と大草選手がいいペースで走ってくれたので、安心して見ていられました」と安田選手。


ST-1クラスはROOKIE Racing GR SUPRAの蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑組、そしてADVICS muta Racing RC F TWSの堀田誠/阪口良平/堤優威組の一騎討ちとなった。蒲生選手が序盤に大量のリードを奪い、終盤に阪口選手が詰め、そして逆転という展開だったが、ラスト5周でマシントラブルが発生し、阪口選手はコースアウト。その脇を豊田選手がすり抜けていき、ROOKIE Racing GR SUPRAが開幕3連勝となった。
「ピットアウトの時にうまくエンジンがかからなくて大変だったんですが、自分のできる最大限のことをやったら、状況も変わって優勝できたんですけれども、嬉しいというよりホッとした気分です」と豊田選手。


ST-2クラスはROOKIE Racing GR YARISの井口卓人/佐々木雅弘/MORIZO組が予選トップ。決勝も序盤を佐々木選手がリードしたが、DAMD MOTUL ED WRX STIの石坂瑞基選手が遅れを取らず、続いてドライブした後藤比東至選手が逆転、最後は大澤学選手が逃げ切る展開に。
「こんな真剣にセッティングしたことがなかったくらい、強い意気込みでやりました。どっちが勝つかわからない状況でしたが、楽しめてやれています」と大澤選手。


ST-3クラスでは、エアーバスターWINMAX RC350 TWSの大島和也/冨林勇佑/石井宏尚組が初のポールから2連勝。最後のドライバー交代はまたもラスト10分で行うも、給油もせず素早くコースに戻り、埼玉トヨペットGreen Braveの服部尚貴選手を辛くも振り切っていた。
「作戦上、今回も引っ張ることになったんですが、ピットワークもすごくうまくいって、冨林くんがリードを築いてくれたので、最初のスタートも含めてしっかり仕事できたと思っています」と大島選手。


フォト/吉見幸夫 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部