GT500は劇的な優勝を遂げたRAYBRIG NSX-GTが、GT300はリアライズ日産自動車大学校GT-Rがチャンピオンを確定

レポート レース

2020年12月11日

最終戦となるスーパーGT第8戦は、11月28~29日に富士スピードウェイにおいて開催され、GT500クラスでは100号車RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)が最終周に大逆転で今季初優勝を飾り、2年ぶりにタイトルを獲得した。GT300クラスは52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組)が今季2勝目を挙げ、2位でゴールした56号車リアライズ日産自動車大学校GT-R(藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組)が初タイトルを獲得した。

2020 SUPER GT Round8 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE
開催日:2020年11月28~29日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C、GTA

 最終戦が富士で開催されるのは2008年以来12年ぶりで、最終戦のレース距離が300km(例年は250km)というのもそれ以来。最終戦ということでウェイトハンデも0kgとなった。今回は大勢のファンがサーキットに詰め掛けたが、エントラントや関係者とは距離を保つなど、従来どおりの徹底したコロナ対策が継続された。

 28日の公式予選、GT500クラスではポイントリーダーの37号車KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/山下健太組)が開幕戦以来のポールポジションを獲得。山下選手は昨年のタイ戦以来2回目のポールだった。2番手は39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一組)、3番手は36号車au TOM'S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)、4番手は38号車ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)と、スープラ勢がトップ4を占めた。

 29日の決勝レースは気温8℃と、この時期らしい気温で始まった。路面温度も13℃と低かったためフォーメーションラップを3周したことで、レース周回数は65周に短縮となった。素晴らしいスタートを決めたのは、予選6番手の23号車MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)のクインタレッリ選手。

 タイヤの暖まりが良く、次々に先行車をかわしダンロップコーナーでトップに躍り出た。しかし快走は長続きはせず、6周目に37号車スープラにトップを譲ると次第に順位を下げ、トップ争いから脱落してしまった。その37号車スープラの山下選手は20周目には2番手に15秒ものリードを広げていたが、その後方には100号車NSXの牧野選手が予選7番手から浮上していた。牧野選手は早めの22周でピットインして山本選手に交代。37号車スープラの山下選手も23周目にピットインして平川選手に交代した。

 27周ですべての車両がピット作業を終えると、トップは37号車スープラの平川選手で、31周目には2番手の100号車NSXの山本選手に15秒もの差をつけて独走状態だった。しかし45周を過ぎたあたりからこの2台の差がじわじわと詰まり、53周目には10秒差、56周目には5.6秒差に。終盤62周目にはついに2.0秒差となったが、ファイナルラップに入った時点では2.7秒差に広がり、平川選手が逃げ切りタイトル確定と思われた。

 しかしゴール目前の最終コーナーで、突然のスローダウン! そこを100号車NSXの山本選手が抜き去り、大逆転での優勝とチャンピオン確定となった。2位は惰性でゴールした37号車スープラ、3位は36号車スープラだった。100号車NSXのチーム国光と山本選手は2年ぶり、牧野選手は初のタイトル確定となった。

最終コーナーでまさかの大逆転劇! トップでチェッカーを受けたのはRAYBRIG NSX-GTの山本尚貴/牧野任祐組だった。
トップを快走していたものの、ゴール目前で失速してしまった平川亮/山下健太組のKeePer TOM'S GR Supraが悔しい2位。
関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組のau TOM'S GR Supraはトップ集団のポジションをキープして3位入賞。
NSXはゴール後にガス欠となり、牽引されてのウイニングラン。スローダウンしたスープラは惰性で何とかゴール。最終戦の勝敗を分けたのはギリギリの残燃料の差だった。
GT500クラスの表彰式。左から2位のKeePer TOM'S GR Supra(平川/山下組)、1位のRAYBRIG NSX-GT(山本/牧野組)、3位のau TOM'S GR Supra(関口/フェネストラズ組)。
ドライバーズランキング69ポイントを獲得した山本選手と牧野選手が2020年のシリーズチャンピオンを確定させた。
チームランキングはチーム国光がタイトルを確定。高橋国光総監督が表彰台に登壇してトロフィーを掲げた。
わずか2ポイント差でチャンピオンを逃してしまった平川選手はドライバーズランキング2位に。
ドライバーズランキング3位は、第2戦と第4戦で優勝したKEIHIN NSX-GTの塚越広大選手とベルトラン・バゲット選手。

 GT300クラスの公式予選では6台がコースレコードを更新するハイスピードバトルとなり、52号車スープラの川合選手が初のポールポジションを獲得。61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)の山内選手が2番手、6号車 ADVICS muta MC86(阪口良平/小高一斗組)の小高選手が3番手につけた。ポイントリーダーの56号車GT-Rは7番手、シリーズ2番手の65号車LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅沼冬悟組)は5番手だった。

 オープニングラップで61号車BRZの山内選手がトップを奪うと、これに52号車スープラの川合選手が襲いかかる展開。9周目の1コーナーで川合選手がトップを奪い返すと、そこからは徐々に独走状態に持ち込んだ。逆転タイトルを狙う65号車メルセデスAMGと52号車スープラは、ピットインでタイヤ無交換作戦を実行。この結果、実質的なトップは52号車スープラの吉田選手で、65号車メルセデスAMGの蒲生選手、6号車MC86の小高選手、56号車GT-Rのオリベイラ選手の順となった。この順位でゴールすると65号車メルセデスAMGが戴冠となる。

 しかしここから56号車GT-Rのオリベイラ選手が猛追を見せた。26周目には15秒あった6号車MC86との差を詰めて52周目の13コーナーで逆転して3位に順位を上げると、これでタイトル獲得の権利をつかんだ。さらにオリベイラ選手は55周目の1コーナーで65号車メルセデスAMGをかわして2位へ上がり、61周で歓喜のチェッカー。チーム、両ドライバーとも初のタイトル確定を決めた。

 なお優勝は独走の52号車スープラで開幕戦以来の今季2勝目。3位には6号車MC86が入って今季2回目の表彰台を獲得した。

ポール・トゥ・ウィンで今シーズン2勝目をあげた埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田広樹/川合孝汰組。
7番手スタートから追い上げ、2位まで登り詰めた藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組のリアライズ日産自動車大学校GT-R。
3位のADVICS muta MC86の阪口良平/小高一斗組は堅実な走りで今シーズン2度目の表彰台を獲得した。
GT300クラスの表彰式。左から2位のリアライズ日産自動車大学校GT-R(藤波/オリベイラ組)、1位の埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田/川合組)、3位のADVICS muta MC86(阪口/小高組)。
シリーズランキングトップのまま最終戦を迎えた藤波選手とオリベイラ選手が2位となったことで初タイトル確定。
監督が不在となっている中、KONDO RACINGがチームランキングトップでチャンピオンを確定。
GT300クラス唯一のスープラを駆る吉田選手と川合選手がドライバーランキング2位。
ドライバーランキング3位は最後までタイトル獲得に望みをかけた蒲生尚弥選手と菅沼冬悟選手。
スーパーGTと併催となったFIA F4は第10~12戦が行われ、この第4大会がシリーズ最終戦となった。
連勝記録まっしぐらの平良響選手は3番グリッドからのスタートながら第10戦を制して9連勝。
FIA-F4第10戦の表彰式。左から2位の小川颯太選手、1位の平良選手、3位の澤龍之介選手。
今シーズン4勝目となるインディペンデントカップ優勝は佐藤セルゲイビッチ選手。
FIA-F4インディペンデントカップ第10戦の表彰式。左から2位の仲尾恵史選手、1位の佐藤選手、3位のIKARI選手。
他ドライバーを寄せ付けない走りで平良選手がポール・トゥ・ウィンを果たし第11戦も制した。
FIA-F4第11戦の表彰式。左から2位の平木玲次選手、1位の平良選手、3位の小川選手。
齋藤真紀雄選手が佐藤選手に一矢報いてインディペンデントカップ第11戦優勝を決めた。
FIA-F4インディペンデントカップ第11戦の表彰式。左から2位の佐藤選手、1位の齋藤選手、3位の仲尾選手。
平良選手の連勝記録更新を阻止したのは平木玲次選手で、第12戦を優勝で終えた。
FIA-F4第11戦の表彰式。左から2位の平良選手、1位の平木選手、3位の伊東黎明選手。
再び表彰台の頂に立ったのは佐藤選手。シリーズ5勝目をマークした。
FIA-F4インディペンデントカップ第12戦の表彰式。左から2位の齋藤選手、1位の佐藤選手、3位の大阪八郎選手。
シリーズチャンピオンを確定させたのは、圧倒的な勝利を収めた平良選手。2位は平木選手、3位は野中誠太選手。またチームアワードはTGR-DC Racing Schoolに。
平良選手にはスカラシップ奨学金として1000万円が贈られた。若き才能のこれからの活躍に注目したい。
佐藤選手が2年連続でインディペンデントカップのチャンピオンを確定させた。

フォト/石原康、©GTA レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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