12年ぶり開催のセパンではDeloitte TOM’S GR Supraが今季初優勝、UPGARAGE AMG GT3がポール・トゥ・ウィン
2025年7月7日

12年ぶりにマレーシアのセパンで開催されたスーパーGTシリーズ第3戦は6月26〜28日、土曜決勝で300kmレースが行われた。GT500クラスではDeloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)が今季初優勝。これでスープラはシリーズ7連勝となった。GT300はUPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗組)がポール・トゥ・フィニッシュで新体制での初勝利を挙げた。
2025 SUPER GT Round3 SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL 2025
開催日:2025年6月26~28日
開催地:セパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア)
主催:Persatuan Sukan Bermotor Wilayah Persekutuan Kuala Lumpur
セパンでのスーパーGTレース開催は2013年以来で12年ぶり。今回は土曜夕方に決勝レースが行われることになり、26日夕方と27日朝にフリープラクティスが行われた。なおGT500クラスは例年1月にこのセパンでウィンターテストを行っているが、GT300クラスは全くデータがない状態だ。
GT500クラスはレギュラーの15台全車がエントリー。GT300クラスはAシード権利を持つ17台に、現地枠であるワイルドカードの2台を加えた19台が参加した。公式予選は27日の16時30分、天候は曇りながら気温は33度、路面温度は40度で、湿度が高く非常に蒸し暑いコンディションで始まった。


予選
GT500クラスでは、Q1で全車がコースレコードを更新する中、WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)の国本選手が1分50秒856でトップに立つと、トップ10台で争われたQ2でも上位6台がその新しいレコードを上回り、1分49秒748でWedsSport ADVAN GR Supraの阪口選手がポールポジションを獲得。これにARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治組)、Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき組)が続き、トップ3をヨコハマ、ブリヂストン、ダンロップが分け合う形に。
4番手はDeloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)、5番手はNiterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞組)、6番手はTRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)。ポイントリーダーのau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)は70kgのサクセスウェイトを搭載しながらも8番手につける。
GT300クラスでは、Q1でワイルドカードのEBM GIGA 911 GT3(Adrian D Silva/Dorian Boccolacci組)のBoccolacci選手が2分3秒107のトップタイムをマークしてみせた。10台で争われたQ2は上位5台がコースレコードを更新。UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗組)の野村選手が2分2秒110でポールポジションを獲得した。野村選手は前週に岡山国際サーキットで開催されたスーパーフォーミュラ・ライツ選手権で初優勝を含む3連勝を飾った19歳で、もちろん本人初のポールポジション獲得だ。
2番手はGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)で、3〜4番手にVENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)、METALIVE S Lamborghini GT3(松浦孝亮/坂口夏月組)とランボルギーニ・ウラカンが2列目につける。これにSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)、HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響組)が続いた。

決勝
GT500クラス
気温33度、路面温度42度という曇りのコンディションで、16時30分にフォーメーションラップがスタート。しかし13番グリッドのリアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平組)は数メートル動いたところで駆動系のトラブルでストップしてしまう。55周のレースは、スタート直後の2コーナーでau TOM’S GR SupraがDENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)に接触され、スピンを喫して最後尾へ順位を落とした。
ポールスタートのWedsSport ADVAN GR Supraの国本選手は5周目に2番手との差を2秒まで広げるも、ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8の松下選手がその差を縮めて9周目のT9でトップを奪い、20周目には2番手との差を4.9秒にまで広げた。4番グリッドスタートのDeloitte TOM’S GR Supraの笹原選手は7周目に3番手、そして20周目には2番手へ順位を上げる。またその背後には6番手スタートのTRS IMPUL with SDG Zのバゲット選手が迫っていた。
折り返し点より早めの21周でトップのARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8、23周でTRS IMPUL with SDG Zがピットインするも、Deloitte TOM’S GR Supraは走行を続けて24周目には2番手に15秒以上のリードをつけて独走状態となった。そしてしっかりタイヤマネジメントをしてきた笹原選手が32周目にようやくピットイン。ここでアレジ選手に交代すると同時に少なめの給油で時間を短縮し、トップを守ったままコースへ戻る。
アレジ選手はアウトラップでフレッシュタイヤをしっかり暖め、2番手のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8に逆転を許さず。その後は徐々に後続を引き離し、19秒の大差をつけて圧勝。昨年のSUGOラウンド以来の優勝を遂げ、これでスープラの連勝は昨年から7連勝となった。2位はARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8だった。
11番手スタートのSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐組)が3番手でゴールしたが、レース中盤での危険な走行のために10秒加算のペナルティが科されており、6位へ降格。無理をせず4番手でチェッカーを受けたTRS IMPUL with SDG Zが3位となり、4戦ぶりに3メーカーが表彰台を分ける形となった。4位はAstemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻組)、5位はWedsSport ADVAN GR Supra。ポイントリーダーのau TOM’S GR Supraは最後尾から追い上げ、7位フィニッシュして4ポイントを加算している。



GT300クラス
19台が争ったGT300クラスでは、ポールスタートのUPGARAGE AMG GT3の野村選手がトップを守って1コーナーへ。しかし予選2番手のGreen Brave GR Supra GTの野中選手がオープニングラップの最終コーナーでトップを奪う。
3番手のVENTENY Lamborghini GT3、4番手のMETALIVE S Lamborghini GT3は順位をキープしたが、HYPER WATER INGING GR86 GTの平良選手が5番手、D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)が6番手へ順位を上げ、SUBARU BRZ R&D SPORTは7番手となった。また8番手にはリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(平手晃平/金丸ユウ組)の金丸選手がポジションアップしていた。
Green Brave GR Supra GTの野中選手は、19周目にはUPGARAGE AMG GT3の野村選手に10秒もの大差をつけトップ独走となった。トップ2台の差が9秒を切った中盤の25周で野中選手がピットイン。順調に作業をこなしていたが、左フロントのホイールナットがピットロードに転がり、10秒以上をタイムロスすることとなった。
翌26周目にUPGARAGE AMG GT3の野村選手がピットイン。ここで小林選手に交代してピット作業もミスなくこなし、逆にGreen Brave GR Supra GTに10秒近い差をつけてトップに浮上する。3番手はVENTENY Lamborghini GT3の小暮選手で、4番手には今回レギュラーメンバーがスパ24時間参戦のためにドライバー体制を変更して予選8番手から順位を上げていたグッドスマイル 初音ミク AMG(中山友貴/奥本隼士組)だった。
終盤に差し掛かった38周目に3番手争いの2台は急接近。ここからテール・トゥ・ノーズの表彰台争いが始まった。スーパー耐久ではメルセデスをドライブする奥本選手は、今回がGTデビュー戦。何度もチャンスをうかがっていた奥本選手は47周目の2コーナーで3番手の座を奪うと、その後は小暮選手との差を広げていった。
レース終盤、トップのUPGARAGE AMG GT3の小林選手をGreen Brave GR Supra GTの吉田選手が猛追したが、小林選手が吉田選手を0.933秒差で振り切って優勝。チームとしては一昨年第5戦の鈴鹿以来、車両をメルセデスに替え、野村選手を迎えた新体制での初優勝となった。
2位はGreen Brave GR Supra GT、3位はグッドスマイル 初音ミク AMG、4位はVENTENY Lamborghini GT3、5位はHYPER WATER INGING GR86 GT、6位はD’station Vantage GT3。ポイントリーダーのLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組)はサクセスウェイト72kg(ウェイト50kg+給油リストリクター制限)に苦しみながらも8位でゴールし、ポイントリーダーの座を守っている。



PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU] REPORT/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]