富士のスプリント戦でGT500はスープラが上位を独占、GT300はD’station Vantage GT3が2レース制覇
2025年8月8日

2025年スーパーGTシリーズ第4戦は、8月1~3日に富士スピードウェイで開催。シーズン中のノーウェイトによる変則スプリント戦として三つのレースが実施され、2日のGT500/300混走のRace1は、GT500クラスではチャンピオンau TOM’S GR Supra(坪井翔選手)、GT300クラスではD’station Vantage GT3(チャーリー・ファグ選手)が優勝。3日のクラス別のRace2は、GT300クラスではD’station Vantage GT3(藤井誠暢選手)、GT500クラスではENEOS X PRIME GR Supra(福住仁嶺選手)がそれぞれ優勝した。
2025 SUPER GT Round 4 FUJI GT SPRINT RACE
開催日:2025年8月1~3日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C、株式会社GTアソシエイション
Race1 予選
今回大会はシーズン途中ながらノーウェイト、ドライバー交代なし、給油のためのピットインなしという変則的なスプリントレースとして開催。まず2日はGT500/300両クラスの混走による35周のレースで、朝の公式練習後に公式予選が行われた。
気温33度、路面温度54度という猛暑の11時40分から行われたGT300クラス予選は、エントリーした28台全車が出走。HYPER WATER INGING GR86 GT(平良響選手)がポールポジションを獲得し、これにSUBARU BRZ R&D SPORT(山内英輝選手)、CARGUY FERRARI 296 GT3(小林利徠斗選手)、D’station Vantage GT3(ファグ選手)、グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也選手)、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(ロベルト・メリ・ムンタン選手)が続いた。
12時10分から行われたGT500クラス予選では、WedsSport ADVAN GR Supra(阪口晴南選手)がポールポジションを獲得し、au TOM’S GR Supra(坪井選手)、KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹選手)と7連勝中のトヨタ勢がトップ3を独占。これにNiterra MOTUL Z(佐々木大樹選手)、DENSO KOBELCO SARD GR Supra(サッシャ・フェネストラズ選手)、リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生選手)が続いた。

Race1 決勝
GT500クラス
Race1は35周(約160km)と通常のレースの半分ほどの走行距離。天候は曇りながら気温は34度、路面温度は57度と猛暑が続く15時22分にレースはスタートしたが、直後のコカ・コーラコーナー先でENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也選手)がクラッシュし、セーフティカー(SC)が導入された。5周完了でリスタートし、コカ・コーラコーナーでau TOM’S GR SupraがWedsSport ADVAN GR Supraをかわしトップを奪った。さらにADVANコーナー入口でKeePer CERUMO GR Supraも2番手に順位を上げた。au TOM’S GR Supraは8周目に2番手に1秒差をつけると20周目にはその差を約3秒にまで広げて独走状態となった。18周目辺りから雨が降り始めワイパーを動かす車両が目立ち始めたが、路面温度が高くコースはほぼドライコンディションのまま。
終盤まで3番手を守っていたWedsSport ADVAN GR Supraは26周目に5番手へ順位を落とし、3番手はDENSO KOBELCO SARD GR Supra、4番手はDeloitte TOM’S GR Supra(笹原右京選手)。しかしDENSO KOBELCO SARD GR Supraは序盤に走路外での追い越しがあり決勝結果に+5秒のタイムペナルティが与えられることになった。
レースはau TOM’S GR Supraの坪井選手がそのまま独走優勝。2位はKeePer CERUMO GR Supraの大湯選手、3位でチェッカーを受けたDENSO KOBELCO SARD GR Supraのフェネストラズ選手は5位となった。繰り上がって3位はDeloitte TOM’S GR Supraの笹原選手、4位はWedsSport ADVAN GR Supraの阪口選手とトヨタ勢が5位までを独占した。
日産勢のトップは6位でフィニッシュしたTRS IMPUL with SDG Z(ベルトラン・バゲット選手)、ホンダ勢のトップは7位のSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(牧野任祐選手)だった。



GT300クラス
スタートをうまく決めたのが予選3番手のD’station Vantage GT3(ファグ選手)と4番手のグッドスマイル 初音ミク AMG(片岡選手)で、CARGUY FERRARI 296 GT3(小林選手)をかわしそれぞれ順位をひとつ上げた。GT500車両のアクシデントでいきなりSC導入となったが、リスタートすると7周目にUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(ムンタン選手)が4番手へ、10周目にはD’station Vantage GT3がSUBARU BRZ R&D SPORTをかわして2番手に順位を上げた。
トップのHYPER WATER INGING GR86 GTは13周目に2番手との差を約1秒に広げるも、ここからD’station Vantage GT3がじわじわとその差を削り取り、さらに中盤の17周目辺りから雨が落ち始めると3番手のグッドスマイル 初音ミク AMGもここに追いついた。21周目の1コーナーでD’station Vantage GT3のファグ選手がトップを奪う。さらにグッドスマイル 初音ミク AMGもADVANコーナーで2番手へポジションアップ。HYPER WATER INGING GR86 GTは雨の影響もありこのラップでCARGUY FERRARI 296 GT3とLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥選手)にもかわされ5番手まで順位を落とすことになった。
22周目にLEON PYRAMID AMGが3番手に順位を上げるとトップ3台は接近。さらに終盤の31周目にはCARGUY FERRARI 296 GT3も追いつき4台が縦一列となったが、最後までD’station Vantage GT3のファグ選手がトップを守り優勝を遂げた。2位はグッドスマイル 初音ミク AMGの片岡選手、3位はLEON PYRAMID AMGの蒲生選手で、タイヤブランドはダンロップ、ヨコハマ、ブリヂストンが表彰台を分け合う形となった。



Race2 予選
Race2はGT500/300両クラスの混走ではなく、Race1を担当しなかったドライバーがクラス別でレースを行う。11時から始まったGT300クラスの予選ではRace1で優勝したD’station Vantage GT3(藤井選手)がポールポジションを獲得し、2位だったグッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝選手)、HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威選手)、CARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン選手)、SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人選手)、マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(木村偉織選手)の順でグリッドが確定した。
続いて行われたGT500クラスの予選では、前日クラッシュを喫したENEOS X PRIME GR Supra(福住選手)がポールポジションを獲得。Race1で優勝したau TOM’S GR Supra(山下健太選手)、KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明選手)、WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資選手)、DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛選手)とトヨタ勢がトップ5までを独占。6番手にModulo CIVIC TYPE R-GT(大草りき選手)が食い込んだ。

Race2 決勝
GT300クラス
雲が空を覆ったこともあり気温32度、路面温度42度と前日ほどの暑さではない富士。14時20分に50分のタイムレースはスタートした。ここでスタートを決めたのは予選3番手のHYPER WATER INGING GR86 GTの堤選手で、前を走るトップのD’station Vantage GT3を追った。5周目のコカ・コーラコーナー先で5番手のSUBARU BRZ R&D SPORTがスローダウンしてコース脇にストップとなった。
トップを走るD’station Vantage GT3は2番手のHYPER WATER INGING GR86 GTとの距離を1秒ほどに保ち、この2台が延々と優勝争いを展開することになった。3番手はグッドスマイル 初音ミク AMGの谷口選手がトップ2台の2秒ほど後方で単独走行をしていたが、18周目には8番手からスタートしたLEON PYRAMID AMG(菅波冬悟選手)が追いつき22周目の1コーナーで逆転、3番手へ順位を上げた。さらに6番手スタートから2周目のGRコーナー飛び出し9番手まで順位を落としていたマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号が着実に順位を挽回し、26周目のコカ・コーラコーナー進入でグッドスマイル 初音ミク AMGをかわして4番手へポジションを上げた。
50分が経過した31周でレースはチェッカー。D’station Vantage GT3がRace1とRace 2の両方で優勝しシリーズ2番手へ順位を上げた。2位はHYPER WATER INGING GR86 GT、3位はLEON PYRAMID AMGが表彰台を獲得。4~6位はマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号、グッドスマイル 初音ミク AMG、Green Brave GR Supra GT(野中誠太選手)の順だった。



GT500クラス
2日間で5万2300人のファンを集めたイベントの最終レースは、GT500クラスだけの50分間のタイムレースで、気温28度、路面温度37度とやや下がった16時55分にスタートした。オープニングラップでDENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口選手)が、2周目の1~2コーナーで7番手スタートのTRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴選手)がWedsSport ADVAN GR Supra(国本選手)をかわしそれぞれ順位を上げた。WedsSport ADVAN GR SupraはTRS IMPUL with SDG Zに押し出される形で8番手へ順位を落とし、TRS IMPUL with SDG Zに対してはレース結果に+10秒のタイムペナルティが与えられた。
中盤はトップを走るENEOS X PRIME GR Supraが安定した走りで快走を続けた。しかし残り5分を切ると2番手のau TOM’S GR Supra(山下選手)が2秒ほどあった差を縮め1秒を切る位置までENEOS X PRIME GR Supraを追い詰めていった。しかし、ENEOS X PRIME GR Supraも最後までミスなく走り切り、au TOM'S GR Supraを0.728秒差で優勝を遂げた。3位は単独走となったKeePer CERUMO GR Supra、4位はTRS IMPUL with SDG Z を抑え込んだDENSO KOBELCO SARD GR Supraで、このレースでもスープラがトップ4を占めた。
日産勢の最上位は5位のTRS IMPUL with SDG Z、ホンダの最上位は8位のModulo CIVIC TYPE R-GT。次の鈴鹿ラウンドでは通常のレースとなり、サクセスウェイトも復活する。日産勢とホンダ勢の奮起に期待したい。



フォト/石原康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] レポート/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]