GT500ファイナルラップの逆転劇でリアライズコーポレーション ADVAN Zが9年ぶりに優勝し松田次生選手が25勝目!
2025年9月26日

スーパーGTシリーズの第6戦は、9月19~21日にスポーツランドSUGOにおいて300kmレースとして開催。レース終盤に、最終コーナーからホームストレートにかけて複数台が絡むアクシデントが発生して赤旗中断となった。再開後の20数分は激しいトップ争いとなり、ファイナルラップで逆転したリアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平組)がチーム9年ぶりの優勝を挙げ、松田選手は最多優勝記録を25まで伸ばした。またGT300クラスでは、GT300はSyntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑組)が逃げ切りチーム4年ぶりとなる優勝を遂げた。
2025 SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE
開催日:2025年9月19~21日
開催地:スポ-ツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SRSC、株式会社GTアソシエイション
予選
前夜の雨は上がり20日の公式予選は曇りで路面はドライコンディションとなった。気温21度、路面温度25度と秋らしい涼しさとなった14時5分にQ1がスタート。コース幅が狭く混雑するためSUGOラウンドでは、GT300クラスは2組に分けてのQ1が行われ、参加計28台のうちA、B組各上位9台ずつの18台がQ2に進出した。
Q2でポールを獲得したのは前戦で優勝したCARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗組)の小林選手。2番手フロントローには前回2位フィニッシュしながら車重不足のために失格となったSyntium LMcorsa LC500 GTが並び、3番手以下は昨年チャンピオンのVENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)、シリーズ4番手のグッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)、シリーズ3番手のHYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/平良響組)、apr LC500h GT(オリバー・ラスムッセン/小山美姫組)という順となった。
GT500クラスはQ1で58kgのサクセスウェイトを積んだDENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ組)の関口選手が1分9秒365のコースレコードをマークしてトップタイムとなった。Q1の上位10台によるQ2では、ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮組)の佐藤選手が早めのアタックで1分9秒122と関口選手のレコードタイムを更新してトップにつけた。
その後にこのタイムを更新する車両はなく、佐藤選手が前戦に続き2戦連続でポールポジションを獲得。フロントローにはDENSO KOBELCO SARD GR Supraが並び、Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞組)、4番手には何と100kgのサクセスウェイトを積むポイントリーダーのau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)がつけ、リアライズコーポレーション ADVAN Z、前戦優勝のMOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠組)と軽量なZ勢が上位に並んだ。


決勝
GT500クラス
21日は曇り時々晴れという天候。気温24度、路面温度32度というレース観戦にはまずまずの天候となった。13時45分、300km(84周)の決勝レースがスタート。大きな混乱はなく序盤から激しいバトルが展開。6周目にDENSO KOBELCO SARD GR Supraの関口選手がARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16の大津選手を捕らえてトップに立った。また5グリッドからスタートしたリアライズコーポレーション ADVAN Zの松田選手が4周目、9周目、そしてGT300クラスをラップ遅れにしてコース上が混雑していた14周目と1台ずつライバルをオーバーテイクして2番手まで順位を上げた。
松田選手はトップを走る関口選手にも迫り23周目には逆転トップに躍り出た。しかし関口選手も26周目の4コーナー先で再逆転しトップを取り戻し、さらには松田選手との差を7.3秒差まで広げ独走状態に持ち込んだ。松田選手は40周目にピットインして名取選手に交代。しかしタイヤの暖まっていないアウトラップでAstemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻組)、さらにはModulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき組)にもかわされてしまったが、タイヤが暖まるとModulo CIVIC TYPE R-GTを抜き返し、45周で全車がルーティーンピットを終わらせると3番手になった。関口選手は43周目にピットインして、フェネストラズ選手へと交代。47周を終えてフェネストラズ選手は2番手の塚越選手に10.1秒差をつけて独走。塚越選手の1.3秒後方には名取選手がつけていた。
48周目、最終コーナーからホームストレートにかけて4台が絡むアクシデントが発生。4番手を走行中のModulo CIVIC TYPE R-GTは、GT300車両との接触を避けきれずピットレーンのコンクリートウォールに激しくヒットして3台の車両が大破。ドライバーに大きなケガがなかったのは不幸中の幸いだった。レースはセーフティカー(SC)導入から赤旗が掲出され中断となった。
約1時間の中断を挟んでレースは16時にSC先導で再開。レースは規則により16時30分で終了となる。トップを走るフェネストラズ選手の10秒以上のマージンはなくなり、後方には塚越選手、名取選手がピタリとつけていた。残り23分を切ってSCが隊列から離れバトル再開。しかし直後にGT300車両のアクシデントがありフルコースイエロー(FCY)が導入。残り15分でFCYが解除となると60周目の1コーナーで名取選手が塚越選手をオーバーテイクし2番手へ順位を上げ、さらにフェネストラズ選手に迫った。65周目の1~2コーナーで名取選手はコースからはみ出して2台の差は2.3秒差となったが、またすぐに名取選手は追いつき2台はテール・トゥ・ノーズの超接近戦へ。そしてファイナルラップになった70周目の馬の背コーナーで名取選手がアウト側から並びかけSPコーナーのインで2台は軽く接触。そこでインに入った名取選手がトップに立ちそのままトップチェッカーを受けた。
KONDO RACINGのGT500クラス優勝は、2019年11月のもてぎ以来6年ぶり。松田選手は自己の持つGT500最多優勝数を25に伸ばし、名取選手はうれしい初優勝となった。2位はサクセスウェイトを積み苦しい中フェアなレースを展開したDENSO KOBELCO SARD GR Supra、3位はAstemo CIVIC TYPE R-GTで、3メーカーが表彰台を分け合った。



GT300クラス
スタートからフロントロー、CARGUY FERRARI 296 GT3のオサリバン選手とSyntium LMcorsa LC500 GTの吉本選手が抜け出し、7周目の1コーナーで吉本選手がトップを奪った。7番手からスタートしたリアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手晃平組)の平手選手が、オープニングラップで順位をひとつ上げると、7~8周目に2台をかわし4番手へ。トップを奪われたオサリバン選手は10周目に4番手まで順位を落とすことになった。
14周目に8台による6番手争いが激化し、15周目の3コーナー先でその集団にいたポイントリーダーのLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組)がPONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/篠原拓朗組)と接触してスピン。その後方にいたHYPER WATER INGING GR86 GTが、急ブレーキをかけた直前の車両に追突しラジエターを壊しSPコーナーでストップ。これでFCY導入となった。4分後に解除されるとグッドスマイル 初音ミク AMGの片岡選手がトップの吉本選手に迫り、さらにここに3番手の平手選手までが追いついた。
まずは28周目に吉本選手がピットインして河野選手に交代。2番手に順位を上げた平手選手も35周目にピットインしオリベイラ選手へ、片岡選手は37周目にピットインして谷口選手へそれぞれ交代した。40周目に1台の車両がピットロード出口でスロー走行となり、このタイミングで暫定トップの車両がピットインしたが、2番手を走行していたSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)はタイミングを逸してしまったように見えた。
45周目の最終コーナーで5番手争いをしていたD’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)とapr LC500h GTが接触。スピンした藤井選手とシェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎組)が接触して平中選手はコース右側へ弾かれたが、そこへGT500車両が絡んで多重クラッシュとなりレースは赤旗中断となった。これで打ち切り終了となれば、まだルーティーンピットを終えておらずトップにいたSUBARU BRZ R&D SPORTがラッキーな優勝となるはずだった。
しかし約1時間をかけてガードレールなどの修復が終了。16時30分がタイムアップということで16時にレースは再開となった。SUBARU BRZ R&D SPORTはやむなくピットインしてドライバー交代。トップはSyntium LMcorsa LC500 GTの河野選手で、直後にリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rのオリベイラ選手、やや距離を置いて予選9番手から追い上げたseven × seven PORSCHE GT3R(近藤翼/ハリー・キング組)が3位という展開になった。ファイナルラップはトップ2台の一騎打ちとなったが、河野選手はオリベイラ選手の猛追を0.660秒差で振り切ってトップチェッカー。前回のレースで失格となった鬱憤をここで晴らした形となった。チームの優勝は2021年11月の富士以来約4年ぶりだった。




PHOTO/石原康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] REPORT/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]