スーパーGT最終戦GT500は坪井翔/山下健太組が制し、坪井選手は三連覇達成!!!
2025年11月10日
2025シーズンのスーパーGTシリーズ最終戦となるRound 8は、10月31~11月2日にモビリティリゾートもてぎにおいて300kmレースとして開催。ノーサクセスウェートでGT500/GT300両クラスのチャンピオンが確定する大一番となった。GT500はランキングトップのau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)が逃げ切り坪井選手とTGR TEAM au TOM’Sが三連覇、山下選手は二連覇を確定。GT300もランキングトップのLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟組)が6位でフィニッシュして1ポイント差で逃げ切り、K2 R&D LEON RACINGと蒲生選手は2度目、菅波選手は初のチャンピオン確定となった。GT300の優勝はスーパーGT参戦22シーズン目で初優勝のTEAM MACH、マッハ車検エアバスターMC86マッハ号(塩津佑介/木村偉織組)が果たした。
2025 AUTOBACS SUPER GT Round 8
MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL
開催日:2025年10月31日~11月2日
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)
主催:ホンダモビリティランド(株)、M.O.S.C.、(株)GTアソシエイション
木々が秋色に染まってきたもてぎで10月31日午後から降り始めた雨は夜に本降りとなったが、公式練習と予選が行われた11月1日は早朝から晴天。路面はサポートレースの予選が行われる間にほぼドライコンディションになった。
今回の一戦では、Modulo CIVIC TYPE-R GTを駆る伊沢拓也選手とKeePer CERUMO GR Supraをドライブする石浦宏明選手がGT500で、リアライズコーポレーションADVAN Zを操る松田次生選手がスーパーGTでのラストレースとなった。松田選手は31日に引退会見を行い、Rd.6でGT500最多勝を更新する25勝目を挙げたことや、後進に道を譲ることなど引退を決断した経緯について語り、清々しい笑顔を見せた。
公式練習・予戦
12月1日、空にやや雲がかかった気温17℃、路面温度21℃の9時10分に公式練習を開始。このセッションのGT500はENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)がトップタイムをマークしたが各車両のタイムは接近、上位14台のタイムが1秒以内に収まる接戦だった。一方、GT300では搭載するEJ20型エンジンがラストレースとなるSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)が、2番手以下に約0.9秒差をつける圧倒的なタイムでトップを奪った。
予選は気温22℃、路面温度24℃の14時丁度に始まった。GT300では公式練習で速さを見せたSUBARU BRZが、2番手のMC86マッハ号に1秒以上の差をつけてポールポジションを獲得。ランキング6番手のGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)、同2番手の平手晃平選手が逆転チャンピオン確定を狙う、リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/平手組)、UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗組)が続いた。しかし、ランキングトップのLEON AMGは14番手、同3番手のCARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗組)は10番手と苦しいスターティンググリッドとなった。
GT500はKeePer Supra(石浦/大湯都史樹組)がPPを獲得。au Supraが2番手とチャンピオン確定に向け有利な位置につけ、3番手のMOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠組)を筆頭に日産ZニスモGT500の4台が6番手までの好位置を占めた。ホンダ・レーシング(HRC)のシビック タイプR-GT勢トップは7番手のSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐選手)だった。
GT500クラス決勝
航空自衛隊のF-2J戦闘機2機によるウェルカムフライトで、もてぎに集まった観客の興奮が高まった2日の午後。薄曇りで気温20℃、路面温度22℃の13時7分に最終戦の決勝はスタートを切った。4コーナーの立ち上がりでGT500ポールシッターのKeePer Supraの石浦選手が、au Supraの坪井選手とTRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)のバゲット選手に捕まり3番手に順位を落とした。
2位以上を獲得すれば自力でチャンピオンを確定できる坪井選手が、後続を引き離しにかかり独走態勢を築いた。そして、63周によるレースの約1/3を経過した22周目にバゲット選手と石浦選手がピットイン。しかし、23周目の90度コーナーで石浦選手から交代した大湯選手が、温まっていないタイヤに苦しみコースオフを喫した。
それと時を同じくして、坪井選手がピットに向かい山下選手に交代。STANLEY CIVICの山本選手もピットインして牧野選手に交代するが、GT500ではなかなか見られないタイヤ無交換作戦を採り、見事ピット作業を終えた車両のトップに立った。
しかしピットアウト直後は11秒あった、フレッシュタイヤを履く後続との差は見る間に縮まる。29周目には山下選手と平峰選手に抜かれて作戦は成功せず。最後までピットインを引っ張ったDeloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)は笹原選手が37周でピットイン。これで再びau Supraがトップに立ち、背後にTRS Zが迫った。更に46周目にはMOTUL Zの千代選手がトップ2に追いつき、三つ巴の戦いになった。
平峰選手は何度も山下選手に仕掛け、千代選手もまたその背後でチャンスを伺った。しかし、山下選手はトップの座を譲らず、平峰選手を0.254秒差で退けてチャンピオンを確定させた。また、千代選手は山下選手と1.269秒差の3位でフィニッシュ。しかし、決勝後の再車検でTRS Zに失格の裁定が下され、繰り上がってMOTUL Z が2位、STANLEY CIVICが3位となった。坪井選手と所属するTGR TEAM au TOM’SはスーパーGTの新記録となるシリーズ三連覇、JAF全日本ツーリングカー選手権とJAF全日本GT選手権を跨いで、影山正彦選手が1993~1995シーズンに達成した記録に並んだ。
2026シーズンのGT500は2024シーズン以来となる、開幕前の車両の空力開発が解禁される。またHRCはシビックに代えて「ホンダHRCプレリュードGT」を投入、今回の一戦ではアンベールとデモランを行い、もてぎに集ったファンの視線を釘付けにした。今季前半はGRスープラGT500勢が圧倒したが中盤からZ勢が接近、そしてシビックも1勝を挙げた。来季はどのような体制での戦いが見られるのか、4月12日に岡山国際サーキットでの開幕Round 1を楽しみに待ちたい。
GT300クラス決勝
GT300はホールショットを決めたSUBARU BRZの井口選手が、2周目には2番手以下に約1.8秒の差をつけて独走態勢をつくり始める。フロントロースタートのMC86マッハ号の塩津選手には、Green Brave Supra GTの野中選手とリアライズGT-Rの平手選手がピタリとつけ、12周目にGT500車両が追いつき始めると、野中選手と平手選手がGT500車両を巧みに使い、塩津選手をかわして前に出た。
決勝の約1/3を消化した19周で4番手まで下がった塩津選手は早めのピットイン。ここでタイヤ無交換作戦を採り、ピットでの滞在時間を大幅に短縮して木村選手に交代した。23〜27周でトップ3もピットインを済ませると、29周目にはピットインを済ませた中で木村選手がトップに浮上した。また、25周目でピットインしたLEON AMGはタイヤ2本交換でピット滞在時間を短縮し、ピット作業を済ませた車両の6番手まで順位を上げていた。
38周で全車両がピット作業を済ませるとトップに木村選手が立ち、4秒ほど後方にSUBARU BRZの山内選手、更に約4秒後方にGreen Brave Supra GTの吉田選手がつけた。そして、前戦で初優勝を遂げたseven×seven PORSCHE GT3R(ハリー・キング/藤波清斗組)のキング選手、リアライズGT-Rのオリベイラ選手、LEON AMGの蒲生選手の順で続いた。この順位のまま決勝が終わると、LEON AMGがチャンピオンを確定することになる。平手選手と所属するKONDO RACINGが逆転戴冠を確定するためには、オリベイラ選手は3位以上でフィニッシュしなければならない。
終盤を迎えた52周目、2番手争いは4台1パックになりオリベイラ選手にチャンスが訪れた。58周目に吉田選手が後続の2台にかわされるとオリベイラ選手は4位を奪取。更にキング選手をかわそうと、90度コーナーでは並びかけた。しかし、順位変動はなくレースは59周で終了。
6位で終えたLEON AMGが2018シーズン以来のチャンピオン奪回を確定させ、平手選手は僅か1ポイント差でランキング2位が確定した。Rd.8を制したのはスーパーGTに挑んで苦節22年、TEAM MACHのMC86マッハ号で、待望のシリーズ初優勝。塩津選手もチームと同じく嬉しい初優勝、木村選手は2022シーズンRd.8以来のGT300二勝目を果たした。
フォト/石原康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDO]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] レポート/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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