GT500スープラの連勝を止めたのはMOTUL AUTECH Z! GT300はCARGUY FERRARI 296 GT3が逆転で初優勝
2025年9月3日

8月23〜24日、スーパーGTシリーズ第5戦は鈴鹿サーキットにて300kmレースとして開催された。GT500クラスではMOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠組)が逃げ切り優勝。開幕戦から第4戦のRace2まで5連勝していたスープラの連勝を止めた。また、GT300クラスでは今季より新規参戦したCARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗組)が、逆転で初優勝を遂げた。
2025 SUPER GT Round5 SUZUKA GT 300km RACE
開催日:2025年8月22~24日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KSCC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社
予選
23日は朝早くから気温も30度を超え、15時15分時点で気温34度、路面温度47度という猛暑の中、公式予選がスタートした。GT500クラスでは、早めにアタックに入ったARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮組)の佐藤選手が、残り2分を切った時点で1分45秒377のトップタイムをマーク。その後これを上回る車両はなく、佐藤選手が初のポールポジションを獲得した。
これにMOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠組)、Niterra MOTUL Z(佐々木大樹/三宅淳詞組)、リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平組)、TRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)と4台のZが連なり、連勝中であるトヨタ勢は67kgのサクセスウェイトを積んだENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)の7番手が最高位だった。
GT300クラスは、残り3分を切ってSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)の山内選手が1分56秒869でトップに立つと、こちらもこれを上回る車両はなく、山内選手がGT300新記録となる自身15回目のポールポジションを獲得。
続いてCARGUY FERRARI 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗組)、マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(塩津佑介/木村偉織組)、Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑組)、富士で連勝したD’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)の順に。

決勝
GT500クラス
その日のピークは過ぎたとはいえ、気温35度、路面温度52度という暑さの中、15時37分に300kmの決勝レースがスタートした。3周目も終わろうかというアステモシケインで、Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/小出峻組)とリアライズコーポレーション ADVAN Zが接触し、小出選手がクラッシュ。スタート早々にセーフティカー(SC)導入となった。
9周完了でリスタートすると、逆バンクでENEOS X PRIME GR Supraが5番手に順位を上げる。そして11周目に入ると、ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16とMOTUL AUTECH Zのトップ2台が、後続との差を広げて2台によるマッチレースへと展開していく。
早めの18周でARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16、MOTUL AUTECH Z、4番手のTRS IMPUL with SDG Zがピットイン。ここでNISMOのメカニックが素晴らしいピットワークを見せ、交代した千代選手を30.9秒で送り出すと、32.7秒を要したARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16の佐藤選手の前でコースに戻る。次周にピットインしたNiterra MOTUL Zの三宅選手は佐藤選手の前、さらに次周にピットインしたENEOS X PRIME GR Supraの大嶋選手は三宅選手の前でコースへ。
32周で全車のピットインが終わるとトップは千代選手で、その1.5秒後方に大嶋選手、さらに9秒を置いて三宅選手、佐藤選手、TRS IMPUL with SDG Zの平峰選手という順になっていた。千代選手は快調かつ慎重に走り危なげなくトップを堅守。
終盤の43周目、大嶋選手が千代選手との差を約1秒まで縮めるも、そこから千代選手が大嶋選手との差を約5.7秒まで広げ、今季初優勝を遂げスープラの連勝を5で止めた。この千代選手と高星選手のコンビの優勝は2023年第4戦富士以来2年ぶり。3位はNiterra MOTUL Zで、NISMOは2台そろって表彰台を獲得。ホンダ勢の最上位は4位のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16だった。



GT300クラス
GT300クラスはポールスタートのSUBARU BRZ R&D SPORTの井口選手にCARGUY FERRARI 296 GT3のオサリバン選手が食らいつき、3番手以下を引き離していった。マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号の塩津選手は単独走行となり、その後ろではSyntium LMcorsa LC500 GTの河野選手とD’station Vantage GT3のファグ選手が4番手争いを展開。
18周でオサリバン選手、19周で塩津選手、20周で河野選手、22周でファグ選手、そして23周で井口選手がピットイン。各車がコースに戻ると、Syntium LMcorsa LC500 GTの吉本選手、CARGUY FERRARI 296 GT3の小林選手、マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号の木村選手の順に。
燃費が悪く給油に時間を要したSUBARU BRZ R&D SPORTはその後ろで、ランキング2番手で今回から給油リストリクターを使用することになったD’station Vantage GT3は7番手となり、さらにタイヤトラブルのために大きく順位を落とした。
26周目から小林選手が吉本選手の背後につけると、追い抜きの態勢となったが、吉本選手もなかなか隙を見せず巧みなブロックで抜かせない。34周で全車がピット作業のためにピットインすると、35周目のスプーンで小林選手が吉本選手のインを突いてついにトップへ順位を上げる。
2番手となった吉本選手に今度は木村選手が追いつき、1秒以内の差での接近戦となる。さらにそこへSUBARU BRZ R&D SPORTの山内選手も追いついていた。終盤の44周目、5番手を走行していた車両のタイヤがバーストし、コース上に散乱したことでフルコースイエロー(FCY)に。
46周目のリスタート時に山内選手がターボパワーを見せつけて木村選手をパス。49周、小林選手、吉本選手、山内選手、木村選手の順でチェッカーとなった。CARGUY FERRARI 296 GT3は参戦5戦目にして初優勝。もちろんオサリバン選手と小林選手も初優勝を手にした。小林選手は無線のトラブルのために、自分が何位でゴールしたのかパルクフェルメに帰って来るまで分からなかったという。
表彰式後の再車検で2番手のSyntium LMcorsa LC500 GTの車重が不足しているということで失格に。3番手以下が繰り上がる結果となった。




PHOTO/石原康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、吉見幸夫[Yukio YOSHIMI] REPORT/皆越和也[Kazuya MINAKOSHI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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