女性ラリーストの祭典、WOMEN'S RALLYが今年も岐阜・恵那を舞台に開催
2020年12月29日
女性ラリードライバーが一堂に会して戦うWOMEN’S RALLY in 恵那2020が、12月5~6日、岐阜県恵那市を拠点として開催された。
WOMEN’S RALLY in 恵那2020
開催日: 2020年12月5~6日
開催場所: 岐阜
主催: MASC、CMSC岐阜、LUCK SPORT、LOVE DRIVE
今回のWOMEN’S RALLYに参加したのは27台。この内、ドライバー、コ・ドライバーともに女性の参加クルーは7組と、全体の約1/4を占めた。コ・ドライバーを務めた男性選手の中には、1週間前に行われた全日本ラリー選手権で初のナビゲーターチャンピオンを獲得した小坂典嵩選手をはじめ、全日本ラリー経験者の姿も散見され、ドライバーとコ・ドライバーのコンビネーションがどう勝敗に結び付くかという点でも、興味津々のラリーとなった。
ラリーは総距離154.30kmの中に3つのステージによる8本のSSが設定された。『根の上』は、このラリーではお馴染みのステージで片側1車線の道のアップヒルを4.56km走る。『望郷の森』は今回、新設定のステージでタイトなコーナーが続く林道が3.82km設定された。この『望郷の森』のゴール直後には0.49kmのショートステージである『笠置山モーターパーク』が置かれ、パイロンで作られたコースをアタックする。
ラリーは『根の上』→『望郷の森』→『笠置山モーターパーク』→『望郷の森』の順で、サービスを挟んで2ループ、アタックする設定。クルーは5日にレッキを行った後に、6日のLEG1で計8本のSSを一気にアタックする形だ。クラスはL1-1クラス<気筒容積が1,500ccを超えるMT,AT車両>、L1-2クラス<気筒容積が1,500cc以下のMT車両>、L1-3クラス<気筒容積が1,500cc以下のATおよびAE車両>、OPENクラスの4クラスが設定された。
参加12台と今回最多のエントリーを数えたL1-1クラスは、石川紗織/川名賢組86と中島紀子/山田訓義組ランサーがマッチレースを展開した。SS1根の上でベストを奪ったのは石川組。しかしSS2の望郷の森では、中島組が石川組を7.3秒差で下す圧巻のベストを叩き出してトップに立つ。だが続く笠置山のジムカーナSSでは石川組がこの日、2度目のベストを奪い、大きくタイムを落とした中島組からトップを奪回。石川組は2度目の望郷の森となるSS4でも中島組を下して、5.3秒のリードを作ってサービスに戻ってきた。
一方の中島組はSS5根の上から反撃を開始。ここで石川組を4.7秒差で下すと、続くSS6望郷の森では再び1.2秒差で石川組を下し、遂に0.6秒差でトップに立つ。残すSSは2本。しかし中島組は、SS7の笠置山でまたも苦戦を強いられてタイムを上げられず、石川組に首位を譲り渡してしまう。石川組は最後のSS8も0.1秒、中島組を上回り、この日5度目のベストタイムでラリーを締め括って優勝を決めた。
石川選手はラリーはまだ4度目と経験が浅いが、ドリフトの世界では海外のシリーズを追ったこともある女性ドリフターの草分け的存在の一人。今回は、コ・ドライバーに元全日本ラリーチャンピオンの川名賢選手を招き、マシンについても、全日本ダートラチャンピオンの炭山裕矢選手が、父親の炭山義昭選手とともに営むショップ(ZEAL by ts-sumiyama)でメンテナンスし、レンタル用に用意している86で参戦と、必勝態勢で臨んできた。
「経験不足をラリーを戦いながら補えた一日でした」と振り返った石川選手は、「リエゾンやサービスで川名さんが改善点をアドバイスしてくれたので、それを身に着けることでペースを上げられた感じですね。裕矢さんからクルマやドライビングについて色々と教えてもらったことも活かせたと思います」と、ラリーの“師匠”達に感謝しきり。「今回、一番良かったのは、走りにメリハリをつけるということですね。ドリフトではあまりそういうのはないので、ドライバーとしても、新しい発見がありました。ジムカーナSSは滑らせたくなりましたが、必死にガマンしました(笑)」と、ラリー初優勝の味を噛み締めていた。
またL1-2クラスも、L1-1クラスに劣らない激戦が展開された。SS1を制したのはレーシングドライバーのみなぴよ/小坂典嵩組で、道幅の広い高速SSで“本業”の強みを見せたが、林道に入ると苦戦。トップから10秒以上も遅れて後退してしまう。前半の4本を終えてのトップはヴィッツの石垣晴恵/砂川里美組が獲るが、1.0秒差でスイフトスポーツの湯澤美幸/河西晴雄組がつけ、勝負は4本のSSが待つ後半に持ち込まれた。
SS5では石垣組が湯澤組を1.8秒差で下してリードを広げるが、湯澤組は前半の2本も制した望郷の森のSS6でみたびベスト。石垣組を6.3秒上回って、一気にトップに立った。しかしながら湯澤組にこの日、鬼門となったのは笠置山のジムカーナSS。続くSS7では、ダートラドライバーでもある石垣選手が“小技”を駆使してセカンドベストでまとめたのに対して、湯澤組は7.4秒という致命的な遅れを喫して首位から陥落してしまう。勢いに乗った石垣組は最終のSS8もベストで上がり、トータル4.2秒差で優勝を飾った。
「ラリータイヤ以外のタイヤを履いて走る初めてのラリーだったので、最初は様子見でした。でも、前半はリードはしましたが、ベストが獲れなかったので、もう後がないつもりで2ループ目はプッシュしました。厳しい勝負の中でも、最後まで集中力をキープできたのが勝因だと思います」と、こちらもラリー初優勝を飾った石垣選手。「私の中ではJAFカップダートトライアルに次ぐビッグタイトルなので2冠が獲れた気持ちで凄く嬉しいです。チーム(チームきれいどころ)にとっても第1回大会以来の優勝なので、チームを代表して参加したドライバーとして、役割を果たせてホッとしています」と最後は安堵の表情で振り返っていた。
フォト/山口貴利、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部
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