【カートコース探訪】“カートの神様”がいるエーワンサーキット
2021年1月6日
約40年以上の歴史を持つ福岡カートランドを前身に持ち、2007年の体制変更に合わせて現在の名称に改められた「エーワンサーキット」。まさに九州を代表する老舗カートコースと言えるこのサーキットを紹介していこう。

エーワンサーキット
所在地:福岡県筑紫野市大字原田1338
ホームページ:
https://rk-a1.com/
エーワンサーキットのロケーションは福岡県筑紫野市で、九州自動車道の筑紫野ICからクルマで約10分、基山パーキングエリアの隣。アクセスも長けていることから、博多はもとより九州圏の人々からも気軽にレンタルカートを楽しめるコースとして好評を博している。
その一方で、全長420mの同コースは中低速コーナーが連続する本格的なテクニカルなコースとなっていることから、同コースを舞台に開催されている「A-ONEシリーズ」にはトップカテゴリーを目指す小学生から、経験豊富なベテランドライバーまで幅広い顔ぶれがエントリー。各クラスで激しいバトルを展開していることも、エーワンサーキットならではの特徴と言えるだろう。
しかも、2007年より同コースの代表を務めているのは、1990年および1991年のジャパンカートグランプリで2連覇を果たした李好彦氏で、1990年代のカート界で猛威を発揮した“カートの神様”が運営を担当している。


「私は九州の人間ではないんですけど、ご縁があってこのコースを運営することになりました。もともと福岡カートランドの時代には地方選手権をやっていただけあって、コンパクトながらもテクニカルなコースがウリです。ここで中低速コーナーの攻略の仕方を学んで、大きなコースに行って欲しい」と語るように、ステップアップを目指すビギナーには持ってこいのコースレイアウトとなっている。
「今は全日本カート選手権のエントリー数が少ないから、エントラントを増やすためにも、まずは底辺カテゴリーの台数を増やしていきたいんです。僕がエーワンサーキットに関わるようになってからは子供たちのレースを増やすために、7~8年前からROTAX MAXのMicro MAXとMini MAXのレースを開催し始めました」と李氏が語る。
その言葉どおり、2020年12月27日に行われたA-ONEカートミーティング第6戦では、小学1年生から中学1年生までを対象にしたMicro MAXに計7台、そして小学4年生から中学2年生までを対象にしたMini MAXに計6台がエントリー。タイムトライアルから熱い走りを展開していた。
李氏によれば「このサーキットで小学生の子供たちが一生懸命カートをやっているので、これからA-ONEシリーズ出身のドライバーが、全日本/ジュニア選手権に参戦してくれればいいなと思います」とのことで、李氏が手掛けてきたキッズカーターの育成が着実に実を結びつつあるようだ。


ちなみに、数年前からA-ONEシリーズの上位入賞者もオートポリスのゴールドカップやラリー、ジムカーナ、ダートトライアルなどの各地方選手権と同様に九州モータースポーツ表彰式に招待され、フォーマルな会場で表彰されているが、この表彰式へのジョイントも李氏の改革のひとつ。
「コースでシリーズ表彰をされるより、200名以上の人が集まる華やかな会場で表彰された方が選手たちに喜んでもらえるんじゃないかなぁ……と思って、我々のシリーズもJAF/JMRC公認レースの申請を行い、JAF九州地方選手権/JMRC九州シリーズ戦表彰式に加えてもらいました」と語る。
「モータースポーツはお金がかかるし、周りに理解してもらえないとチャレンジできないけれど、楽しい世界だから、少しずつでも興味がある人ができるように力になりたいと思います」と李氏も語っているだけに、今後も九州の名門コース、エーワンサーキットの動向に注目したいものだ。


フォト/西野キヨシ、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部