良好路面の京都コスモスパークで全日本ダートトライアルが開幕! 新生「JD1クラス」はフィエスタの田口勝彦選手が2本ともベストの好発進!
2021年3月25日
2021年全日本ダートトライアル選手権が早くも開幕し、3月13~14日、京都府の京都コスモスパークで第1戦「FORTEC CUP 2021 in KYOTO」が開催された。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を徹底して、133名の選手が2021シーズンに挑んだ。
2021年JAF全日本ダートトライアル選手権第1戦
FORTEC CUP 2021 in KYOTO
開催日:2021年3月13~14日
開催地:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:TEAM FLEET
2021年の全日本ダートトライアル選手権と全日本ジムカーナ選手権では、今シーズンからクラス区分の名称と参加車両が変更され、全日本ダートトライアル選手権では「JD1」から「JD11」まで、合計11クラスでの戦いにリニューアルされた。気になる出走順については、新クラスがほぼ旧クラスの区分に対応していて、旧来のPN部門、N部門、SC部門、D部門といった区分を踏襲していることから、旧クラスではPN部門からD部門、新クラスで言えば、JD11(新設クラス)からJD1(旧Dクラス)という出走順となっていた。
また、話題のニューマシン・GRヤリスの本格デビューに伴い、数名のドライバーがマシンおよび参戦クラスを変更。13日(土)の公開練習はあいにくの雨となったが、アグレッシブな走りを披露しながら、ドライビングとセッティングの確認を実施していた。14日(日)の決勝日は一転して好天に恵まれ、第1ヒートはウェット路面からドライ路面、第2ヒートはドライ路面から超硬質ドライ路面へと変化。適度に強い風も吹き、ダートトライアルとしては絶好の路面コンディションが提供された。
今回の決勝コースレイアウトは、前半が外周路のストレートを生かした高速セクションで後半は中速コーナーを中心とした、比較的速度域の高いレイアウトを採用。路面コンディションがかなり良化したことから、第2ヒートでは各車が秒単位でタイムが上がったため、大きく変わった第2ヒートの路面状況とリズム変化への対応が求められる一戦となった。
各クラスで第1ヒートから激しいタイム争いが展開されるなか、最も注目を集めたのが、昨年までのDクラスから名称を変更した「JD1クラス」だろう。各ドライバーはD車両のモンスターマシンを武器に豪快な走りを披露したが、中でも幸先の良いスタートを切ったのが、シードゼッケンの04号車を駆る田口勝彦選手だった。
田口選手は昨シーズン、谷田川敏幸選手とシリーズポイントが同点で同順位(3位)となり、シードゼッケン制度を採用している全日本ダートトライアル選手権においては、今シーズンの出走順はどちらが先になるのかという話題があった。それに対して、今大会の主催者は「2021年シードゼッケンについて(中略)2020年選手権シリーズの内、開催時期の早い競技会で高い得点を獲得した順に付番を行いました」という見解を披露。クラス名称が変わっても旧クラスで獲得したシード権は維持されることも明らかとなった。
今季は谷田川選手の前に出走することになった田口選手だが、昨年から投入したフォード・フィエスタには大きなウイング形状のカナードが装着されてマシンの進化をアピール。「走り始めからクルマのフィーリングが良かったのでフルアタックができました」と語るように、第1ヒートは1分29秒000というキリのいいトップタイムをマークしてみせた。
第2ヒートでも田口選手は好調で「タイヤがグリップしていたのでタイムを更新できると思いました。気持ち良く走れましたね」と語るように、スーパーアタックを披露して1分28秒507を計測。このタイムを後続のシード選手たちも上回ることができずに、田口選手が開幕戦で勝利を獲得した。炭山裕矢選手が2位、河内渉選手が3位で表彰台を獲得した
PN1クラスを踏襲する「JD9クラス」では、ウェット路面が大半を占めるなか、工藤清美選手が唯一の1分47秒台を計測して第1ヒートをトップで折り返した。第2ヒートはドライのセクションが増えたことで、各ドライバーは大幅なタイムアップを達成。工藤選手も1分42秒129の好タイムをマークするも、濱口雅昭選手が1分42秒019、太田智喜選手が1分41秒650をマークするなど、シードゼッケン勢がベストタイムを更新して行った。
この白熱のJD9クラスを制したのが、最終出走でアタックに挑んだ上野倫広選手。クラス唯一の1分40秒台をマークして大逆転での開幕戦優勝を飾った。「昨年の京都も土曜が雨、日曜が晴れだったので、昨年と同じ走りができればイケるだろうと思っていました。土曜の公式練習でコースを飛び出したので、それを直してくれた仲間に感謝したいと思います。PN1クラスを含めた3連覇に向けていいスタートが切れました」と上野選手は語る。
昨年までのPN2クラスとなる「JD8クラス」では、第1ヒートでは、シードゼッケンの永田誠選手が1分48秒424のトップタイムを計測した。しかし、第2ヒートで主導権を握ったのは、昨年までDC5インテグラでSA1クラスを戦っていた谷尚樹選手で、ZC33Sスイフトスポーツに乗り換えて1分38秒877を叩き出し、一気にトップへ浮上した。
その後も誰一人としてそのタイムを更新することはなく、「SA車両のタイムを意識して走っていました。クルマを変えて6回目の走行だったので悩みながら走っていましたが、第2ヒートはスムーズに走れました。初優勝ですが、あまり実感がないですね」と語るように、新設JD8クラスでは、谷選手が参戦15年目にして全日本初優勝を獲得した。
PN3クラスを踏襲した「JD7クラス」で幸先の良いスタートを切ったのは、シードゼッケンの和泉泰至選手で、1分49秒235をマークして第1ヒートをトップで折り返していた。しかし、第2ヒートでは、昨年の京都コスモスウィナーの矢野淳一郎選手が1分41秒494で逆転。その後も和泉選手、昨年のPN3王者・山崎利博選手らがアタックを繰り広げるものの、矢野選手のタイムは破られなかった。
その結果、「第1ヒートではラインを外しまくったし、第2ヒートはドライ路面になっていたので、セッティングを変えた結果、うまく走れました。新型コロナの影響であまり練習ができなかったので不安だったんですけど、勝てたのでめちゃくちゃうれしいですね」と語るように、矢野選手がJD7クラスの初戦を制覇した。
昨年までのNクラスにあたる「JD6クラス」では、話題のニューマシン「GRヤリス」のN車両が登場。昨年はZC33SスイフトスポーツでPN2タイトルを獲得した宝田ケンシロー選手や、86でPN3クラスを戦った河田富美男選手が持ち込んだ。また、これまでAPRCを始めとした海外ラリーで活躍してきた増村淳選手がGRヤリスで参戦。しかも、今季は全日本ダートトライアル選手権にシリーズ参戦するとあって、注目を浴びていた。
GRヤリス勢に代わってJD6の主導権を握ったのは、熟成を極めたランサー・エボⅩを駆る2020年のNクラス王者・北條倫史選手。1分38秒587をマークして第1ヒートをリードした。第2ヒートでも北條選手の強さは変わらず、1分32秒153を叩き出して、自らベストタイムを更新した。「京都はいつも第2ヒートで勝負が決まるんですけど、イメージ通り走れました。地元の矢本裕之選手が速いだけに勝てて嬉しいです」と語る北條選手がJD6クラスを制した。2位は矢本選手で、GRヤリス勢の最上位は宝田選手の12位に留まった。
昨年までのSA・SAX1クラスを踏襲した「JD5クラス」では、2020年のSA・SAX1クラスチャンピオン、SW20 MR2を駆る葛西キャサリン伸彦選手が、後輪駆動車を丁寧に走らせて唯一となる1分44秒台で第1ヒートをトップフィニッシュした。第2ヒートでは多くのドライバーが1分40秒の壁を突破する中、目の覚めるアタックを披露したのが細木智矢選手だった。昨年まではPN車両のZC33Sスイフトスポーツでタイトル争いを展開していたが、今季はSA車両に変更してJD5に参戦。1分37秒475をマークしてトップへ浮上した。
その後も十数台のチャレンジャーが細木選手のタイムに挑むものの、タイム更新を果たせない状況。その結果、クラス変更初戦で細木選手がJD5クラスを制した。「ずっとPN2で戦ってきたので、出走順的に路面がどう変わるのか、まったく予想ができなかったですけど、かなり路面が良くなっていたのでガンガン走れました。路面が良くなって逆転されると思ってましたが勝てました。嬉しいですね!」とは細木選手のコメント。
SA・SAX2クラスは「JD4クラス」へと移行し、JD6クラスと同様にニューモデルのGRヤリスが登場した。SA・SAX2クラスの常連である黒木陽介選手がランサー・エボⅨからGRヤリスに乗り換え、昨年の全日本ジムカーナ選手権でGRヤリスをいち早く全日本デビューに導いた井上博保選手が自分のマシンを仕立てて参戦してきた。しかし、GRヤリス勢の最上位は黒木選手の11位となり、主導権を握ったのは、こちらもランサー勢となった。
JD4クラスの第1ヒートを制したのは、唯一の1分33秒台をマークしたマイケルティー選手で、第2ヒートでもベストタイムを更新。しかし、第2ヒートで主役となったのは第1ヒートで4番手と出遅れていた北村和浩選手で、1分31秒547のスーパーベストを叩き出して暫定トップに浮上した。林軍市選手はそのタイムに迫るものの僅かに届かず2番手となり、北村選手が初戦を制した。「1本目から勝負をかけたけど気合が空回りしたのか、タイムが出なかったね。2本目は、1本目で悪かったところをうまく修正できたことが結果に繋がったね。今年は幸先の良いスタートを切れたので良かったです」とは北村選手。
SC1クラスから移行した「JD3クラス」では、セリカの則信重雄選手が1分40秒326をマークして第1ヒートをトップで折り返した。しかし、第2ヒートではインプレッサの佐藤史彦選手が1分37秒007をマークして暫定首位に浮上。その後も昨年の上位ランカーたちがアタックするものの、そのタイムに届かず、佐藤選手が待望のキャリア初優勝を獲得した。
「第1ヒートでは丁寧に行きすぎてスタートで出遅れていたので、第2ヒートでは集中して思いっきり行きました。また、マシン的にはショックアブソーバーを変えたこと、あとはライバル車両にトラブルが出る中で、自分はノントラブルで走れたことが勝因だと思います。全日本ダートラにはもう15年くらい出ていますがこれが初優勝。まったく実感がありません(笑)」と、JD3ウィナーの佐藤選手は笑顔で振り返った。
昨年までのSC2クラスにあたる「JD2クラス」では、上村智也選手がクラス唯一の1分31秒台となるベストタイムを叩き出し、第1ヒートをトップで折り返していた。その勢いは衰えることなく、第2ヒートでは1分30秒台の争いとなるなか、再び上村選手は渾身のアタックで1分30秒001のトップタイムを計測した。「第1ヒートはミスがあったのでもう少し上手く走れたかなぁ……と思います。第2ヒートも失敗していたのでダメかなぁと思っていたんですけど1位だったのでホッとしました」と語る上村選手がJD2クラスを制した。
※掲載内容に誤りがあったため、修正して再公開しました。
フォト/廣本泉、山口貴利、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部
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