野尻智紀選手がポール・トゥ・フィニッシュでスーパーフォーミュラ開幕戦を制する

レポート レース

2021年4月9日

2021年全日本スーパーフォーミュラ選手権が富士スピードウェイで開幕。制限はかかりながらも徹底したコロナ対策のもとで2DAY開催が復活し、開催期間に1万9000人のファンが国内最高峰の戦いを間近で堪能した。レースは予選でポールポジションを獲得した野尻智紀選手(TEAM MUGEN)がポール・トゥ・フィニッシュで今季1勝目を飾った。

2021年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1戦
開催日:2021年4月3~4日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦は、2009年以来12年ぶりとなる富士スピードウェイが舞台となる。3月に鈴鹿サーキットと富士スピードウェイでそれぞれ行われた公式テストでは、昨年最後まで激しいチャンピオン争いを繰り広げた平川亮選手(carenex TEAM IMPUL)と山本尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)に注目が集まったが、どのテストでも安定した速さを披露した平川選手に対し、山本選手は原因不明の不調に悩まされ、明暗が分かれた形で開幕に臨むこととなった。

 迎えた公式予選では、昨年の最終戦で驚くべきタイムを記録してレコードホルダーとなった野尻選手がQ1からQ3まですべてのセッションでトップタイムをたたき出し堂々のポールポジションを獲得。2番手には大湯都史樹選手(TCS NAKAJIMA RACING)、3番手には療養中の牧野任祐選手に代わって出場した笹原右京選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。

 さらに福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が4番手に続き、ホンダエンジンユーザーがトップ4を占めた。一方、平川選手はQ3でシフトトラブルに見舞われ7番手。山本選手はテストの不調から復活できず、まさかの16番手となった。

ディフェンディングチャンピオンとして2021シーズンに臨む山本尚貴選手。Q1ノックアウトで16番手スタートとなったが、決勝では6位フィニッシュで挽回した。

 決勝レースは雨の予報も出ており、上空は分厚い雲に覆われていたが、スタート進行中はまだ降雨はなくドライコンディションで41周の決勝レースが始まった。好スタートを切ったのはフロントローの大湯選手で、1コーナーで野尻選手をパス。2列目も順位が入れ替わり、大湯選手、野尻選手、福住選手、笹原選手の順でオープニングラップを終了した。

 スタートで先頭に立った大湯選手は野尻選手に対して2周目までに2秒以上の差をつけたが、野尻選手はファステストラップを塗り替えながらその差を削っていくと、10周目のダンロップコーナーで大湯選手をパス。再びトップに返り咲くと、大湯選手との差を次第に広げていった。

 大湯選手は福住選手、笹原選手にもかわされ、25周終了でピットイン。コース復帰後は前後にマシンのいないクリアスペースでプッシュを重ねた。福住選手と笹原選手は大湯選手のアンダーカットを阻止すべく28周、29周終了時点でピットに向かうが、アウトラップの相手を大湯選手が次々とオーバーテイクし実質2番手を取り戻した。

 トップの野尻選手はレースが残り2周というところまでピットインを引っ張り、大湯選手に対して十分なマージンを築いてタイヤ交換。最終ラップは1.5秒差まで詰め寄られたが、冷静に最終コーナーまでクリアしてトップチェッカー。開幕戦をポール・トゥ・フィニッシュで制し、上々のシーズンスタートを切った。

 2位の大湯選手は昨年から3戦連続での表彰台登壇。3位には福住選手が入り、ホンダエンジンユーザーが表彰台を独占した。平川選手は表彰台まであと一歩の4位。山本選手はオープニングラップで大きくポジションアップし、最終的には6位入賞を果たした。

スタートでは順位を落としたものの、落ち着いた判断でトップを奪還。ピットインを引っ張る作戦も功を奏してトップチェッカーを受けた野尻智紀選手。
第1戦の表彰式。左から2位の大湯都史樹選手、1位の野尻選手、3位の福住仁嶺選手が登壇した。

フォト/石原康、吉見幸夫 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部

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