R5勢の逆襲! シュコダ・ファビアR5の福永修/齋田美早子組が今季初優勝!!

レポート ラリー

2021年4月14日

全日本ラリー選手権第3戦が、4月9~11日に佐賀県の唐津市周辺を舞台に開催された。昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により第3戦は11月末に開催されたが、約4ヶ月という短いインターバルでこの地で開催されることとなった。今回も昨年と同様、無観客ラリーとして行われた。

2021年JAF全日本ラリー選手権第3戦「ツール・ド・九州 2021 in 唐津」
開催日:2021年4月9日~11日
開催地:佐賀県内
主催:GRAVEL

 ラリースケジュールは9日金曜の午後にレッキを行い、10日土曜の午前中に車検、13時からLEG1がスタートする。そのLEG1は、UCHIURA(4.37km)と今大会最長ステージとなるSANPOU REVERSE(11.41km)を、サービスを挟まずに2ループするSS距離31.56kmを設定。そして7時からスタートするLEG2はストップ&ゴー的なコーナーが連続するSIRAKIKOBA(3.82km)とヒルクライムステージのHACHIMAN(6.05km)、ダウンヒルステージのBIZAN(7.82km)というそれぞれ特徴が異なる3か所のステージを、サービスを挟み2ループする35.38km、SS総距離66.94kmが設定された。

 また10日土曜の午前中にはJAF公認競技でのクルーのスキルアップを目的とした「2021年度第1回JAF公認競技におけるCOVID-19感染症等の対策を講じた救急活動セミナー」が開催され、今回のラリーに出場する各クルーから1名ずつの計50名が参加し、ビデオによるJAFが実施している救急活動セミナーの講習や感染対策のあり方の例、SSでの安全確保および緊急時の措置などについての講習が行われた。

大会医師団長を務める紙谷孝則氏のもと救急活動セミナーが開かれ、参加クルーのスキルアップが図られた。

JN1クラスは、第2戦・新城ラリーに登場した勝田範彦選手、眞貝知志選手、山本悠太選手のGRヤリス勢に加え、今シーズン体制を一新した奴田原文雄選手と、全日本ラリーには5年ぶりに出場となる牟田周平選手がGRヤリスで出場。一気にクラス最多出場車種となった。

ラリーはGRヤリスの奴田原文雄/東駿吾組がLEG1をリード。SSベストタイム1本を含み、各SSでコンスタントに好タイムをマーク。ファビアR5を駆る福永修/斎田美早子組に1.4秒の差をつけ、初日を折り返した。

「まだ暫定仕様ではあるけど、このクルマのポテンシャルの高さを感じました。徹夜で仕上げてくれたメカニックにも感謝ですね」と奴田原選手。だが2日目のLEG2に入ると、福永/齋田組と柳澤宏至/保井隆宏組のファビアR5勢が奴田原/東組に襲いかかる。

LEG2オープニングとなるSS5で福永/齋田組がベストタイムを奪い、トータルでも奴田原/東組を逆転してトップに浮上。その後もベストタイムを重ねた福永/齋田組は、全日本ラリー選手権としては初のFIA R車両による優勝を掴み取った。

「今回はスローパンクチャーしてしまったり、後半はタイヤの摩耗がキツかったりといろいろあったのですが、なんとか無事に帰ってくることができました。まだまだこのクルマについて知らない領域があるのですが、とにかく勝つことができてホッとしています」と福永選手。

 LEG1をトップから6.6秒差の4番手で折り返した柳澤/保井組もLEG2のSS9、SS10で連続ベストタイムをたたき出し、奴田原/東組を0.1秒差に抑えて2位でゴール。ファビアR5が1-2フィニッシュを飾った。

JN1クラス優勝は福永修/齋田美早子組(アサヒ☆カナックOSAMU555ファビア)。シュコダ・ファビアR5の快挙となった。
JN1クラスの表彰式。左から2位の柳澤宏至/保井隆宏組、1位の福永/齋田組、3位の奴田原文雄/東駿吾組。

 JN2クラスは、第2戦・新城ラリーを制した中平勝也/石田裕一組と石井宏尚/竹下紀子組、上原淳/漆戸あゆみ組がLEG1から拮抗。その中、LEG1を中平選手に2.0秒差のトップで折り返した石井選手が、LEG2でもSS5からSS8まで4連続ベストタイムをマーク。「後半はかなりタイヤがきつかったんですけど、LEG2前半で頑張った甲斐がありました!」という石井/竹下組が、全日本初優勝を飾った。

JN2クラス優勝は石井宏尚/竹下紀子組(CUSCO DL LEXUS F)。
JN2クラスの表彰式。左から2位の上原淳/漆戸あゆみ組、1位の石井/竹下組、3位の中平勝也/石田裕一組。

 JN3クラスは、序盤から全日本ラリー5戦めとなる若手の大竹直生/藤田めぐみ組がラリーをリード。LEG2は後続とのタイム差をコントロールしながらトップをキープしたままフィニッシュし、20歳9か月という若さで全日本ラリー初優勝を飾った。

 「新城ラリーでは不甲斐ない走りだったので、ブレーキングを中心に走り方を見直し、このラリーに挑みました」と大竹選手。全日本ラリーに、またひとりヒーローが誕生した。

JN3クラス優勝は大竹直生/藤田めぐみ組(ADVAN KTMS ヌタハラRS86)。
JN3クラスの表彰式。左から2位の鈴木尚/山岸典将組、1位の大竹/藤田組、3位の曽根崇仁/竹原静香組。

 JN4クラスは、LEG1のSS4で西川真太郎/本橋貴司組をベテランの岡田孝一/河本拓哉組が逆転、トップで折り返すものの、LEG2に入ると西川選手が逆襲。第2戦・新城ラリーに続き2連勝を飾った。

 「LEG1の最終SSでショックが折れてしまい、もうダメかと思いました。サービスでしっかり直してくれたメカニックさんたちのおかげ」と西川選手。2位にはLEG2でペースを上げてきた鮫島大湖/船木佐知子組が入賞した。

JN4クラス優勝は西川真太郎/本橋貴司組(スマッシュDLモンスターitzzスイフト)。
JN4クラスの表彰式。左から2位の鮫島大湖/船木佐知子組、1位の西川/本橋組、3位の岡田孝一/河本拓哉組。

 JN5クラスは、LEG1で優勝候補の大倉聡/豊田耕司組、内藤学武/小藤桂一組が次々と脱落。全日本ラリー連覇記録を重ねる天野智之/井上裕紀子組が、LEG2はタイヤを温存させるためにペースコントロールしながら今季初優勝を飾った。

 「シリーズで考えるとLEG得点3点も欲しかったのですが、今回のようなオールドライの路面はやはりタイヤに厳しかったようです。タイヤへの攻撃性が高い路面でしたね。そういった意味では、タイヤの選び方や路面の変化に対しての対応など、大きな収穫がありました」と天野選手。盤石のラリーを展開した。

JN5クラス優勝は天野智之/井上裕紀子組(豊田自動織機・DL・ヴィッツ)。
JN5クラスの表彰式。左から2位の小川剛/梶山剛組、1位の天野/井上組、3位の鎌野賢志/蔭山恵組。

 JN6クラスは、第2戦・新城ラリーで全日本ラリーデビューウィンを遂げた吉原將大/佐野元秀組が今回も好調だ。SS3でトップを奪い返すと、その後はトップの座を一度も譲ることなくフィニッシュ。第2戦に続き2連勝を決めた。

 「第2戦は大雨という特殊な条件のなかでの優勝でしたが、今回は走りで勝つことができたので本当にうれしいです。もちろん、そんなに甘い世界ではないということは知っているので、次もしっかり勝てるように腕を磨いていきたいです」と吉原選手。JN3クラス優勝の大竹選手とともに、20代のドライバーが活躍を見せた。

JN6クラス優勝は吉原將大/佐野元秀組(KYB DL アップガレージ Yaris)。
JN6クラスの表彰式。左から2位の明治慎太郎/立久井大輝組、1位の吉原/佐野組、3位の水原亜利沙/美野友紀組。

フォト/中島正義、山口貴利、CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ