“ラリー銀座” 群馬で19か月ぶりにラリーが開催! JAF東日本ラリー選手権が開幕
2021年4月30日

4月17日、群馬県で「ネコステ山岳ラリー」が1DAYラリーとして開催され、今年のJAF東日本ラリー選手権のシリーズがスタートした。
2021年JAF東日本ラリー選手権第3戦
JMRC関東ラリーカップ群馬ラリーシリーズ第1戦
TRD Rally Cup by JBL Rd.2
ネコステ山岳ラリー2021
開催日:2021年4月17日
開催場所:群馬
主催:NECOSTE
今年のJAF東日本ラリー選手権は冬季に東北地区で2戦、ウインターラリーが組まれていたが、いずれも新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、中止を余儀なくされることになった。そのため、雪融けを待って開催された今回の第3戦「ネコステ山岳ラリー2021」が事実上の開幕戦となった。地区戦に加え伝統の群馬シリーズの開幕戦が併催されたほか、シリーズ2戦目を迎えたTRD Rally Cupも同日開催となった。
ネコステ山岳ラリーは昨年も4月に開催予定だったが、コロナ禍により中止の決定を下したため、約2年ぶりの開催。群馬県でラリーが開催されるのは2019年の群馬シリーズ第4戦以来で、実に19か月ぶりにラリー復活となった。開催されたエリアは群馬県西部に位置する神流村、南牧村、上野村の3町村で、SSは標高1,000mを超える高地を縫う林道に設定された。
高い人気を誇る群馬ラリーシリーズの一戦ということもあり、今回は併催のTRD Rally Cupも含め、総計73台ものエントリーを集めた。SSが設定されたのは「Yokura Toge」8.68kmと「Shionosawa Toge」5.65kmの2本。セクション1はYokura、Shionosawa、Yokuraの順で走り、リグルーブの後のセクション2ではShionosawa、Yokura、Shionosawaの順で再び3本を走る計6SSが用意されたが、最終のSS6 Shionosawaはキャンセルとされたため、5SS、計37.34kmによって競われた。なお今回は昨年の東日本選手権に倣って、サービスの設定はなく、ラリーのコンパクト化が図られている。
ネコステのラリーはここ数年、豪快なジャンピングスポットが設定されることで人気を集めてきた。そのスポットはYokuraステージの途中にあるジャンクションをクレストで直進する場所に設定されていたが、今回はジャンクションを直進せずに、鋭角に左にターンする設定が採られ、ジャンピングスポットの設定はなし。なお、この鋭角ターンから先の部分と、Shionosawaステージは、今回、初めて設定されたステージとなる。
Yokuraは前半は急な上り勾配が続くのに対して、Shionosawaは下りが中心のステージ。山の南面を上るYokuraは路面状態もよく、道幅もそれほどタイトではないが、北面を下る形となるShionosawaは、場所によっては狭い道の端に苔なども敷かれたリスキーなステージだ。当日は本降りとまでは行かなかったが、霧雨状の雨が終始、降り続いたこともあって路面はウェット。参加台数の1割を超える9台が残念ながらリタイヤとなった。
BC1&1クラスは、3番手でスタートした昨年の東日本チャンピオンである宇野学/原田直人組のランサー・エボリューションⅣがSS1でベストを奪って順調な滑り出しを見せる。SS2では一昨年のこのラリーで3位に入った17番ゼッケンのGDBインプレッサの庄司睦/貴志祐介組が宇野組を2.2秒凌いでベストをマークする。庄司組はSS1の再走となる続くSS3で宇野組を7.1秒凌いで、宇野組をジワリジワリと追い詰めると、SS4も獲って3連続ベストを奪取。遂に宇野組を捉えて1.1秒差の首位に立った。
「実は余裕でリードしていると思っていたので、SS5の直前に、庄司選手が速いと聞いて驚きました。2年前の彼のことは覚えていて、速いドライバーだということは分かっていたので、もう、行くしかない、と気合いを入れました」と宇野選手。一方の庄司選手は、「順位のこととかまったく分からなかったので、優勝争いに絡んでいることも、SS5を走る前までは、知らなかったんですよ。一瞬、ここは無理してでも勝ちを狙いに行こうかとも思いましたが、SS5のYokuraはSS1で道から落ちかけたりして自分にとってはリスキーな道だったので、絶対完走ペースに切り替えました」。結果は宇野組が1.3秒、庄司組を凌いで再逆転、何と0.2秒という僅差で庄司組を抑えて優勝を飾った。
東日本選手権はこれで昨年から年を跨いで3連勝、と今回も速さを見せた宇野選手は、「雨を想定してきた足回りが、特に滑りやすかったShionosawaでよく動いてくれたことと、いつも大事にしているSS1で狙い通りにベストが獲れたことが勝ちに繋がったという感じですけど、ラッキーだったというのが一番ですね。SS5は日暮れ時で微妙な時間帯だったので、庄司選手よりかなり前で走れた自分の方が絶対、有利だったし、優勝候補だった上原(利宏)さんもマシンが不調なようだったんで、それに助けられました。連勝記録の更新は狙いたいですけど、そんなに甘くはないと思うので、一戦一戦、これからも大事に戦っていきたいですね」と振り返った。
一方、参加20台と、BC3&3クラスと並んで最大の激戦区となったBC2&2クラスはDC2インテグラを駆った踏みッパ/もそ組が、SS1でベストを奪った後も首位の座を最後までキープして、東日本選手権初優勝を飾った。2番手には2度のShionosawaステージで圧巻のベストを叩き出した若手の小暮ひかる/田中直哉組が、全日本ドライバーの伊藤隆晃/大高徹也組を0.6秒差で抑えて入賞した。小暮組は、SS1のジャンピングスポットのジャンクションで2度、禁断のバックギアを使ったことが最後まで響き、踏みッパ組を脅かすまでには至らなかった。
「SS1のジャンクションはサイドターンがきれいに決まってくれました。5秒は稼げたと思います」と、踏みッパ選手は現在でも続けているというジムカーナの練習会での成果が効いた、とまずは勝因の一端を自己分析した。「雨ということもあって、SSをスタートするまではビビリが入ってたんですけど、SS1の1コーナーを抜けた時に、しっかりタイヤが喰ってくれたので、気持ち的にも乗れた感じですね。オフの間にメンテし直したら、クルマもしっかりと思うように動いてくれたので、楽しく走れました。“1位をキープできているだろうな”とは思ってましたが、最後まで無理のない範囲で攻め続けました」と快心の走りを振り返った。
BC3&3クラスは、SS1でライバルを圧倒するタイムを叩き出した田辺紘一/八巻慎太郎組のEP82スターレットと、藤田勝正/長田尚士組のNCP91ヴィッツが抜け出すが、SSを追う毎に藤田組を突き離した田辺組がトップの座を守り切って優勝を果たした。
学生時代にラリーのデビュー戦として参加した群馬シリーズでボロ負けし、以来秘かに群馬のラリーで名誉挽回を狙っていたという田辺選手は、「11年ぶりにリベンジできて感無量です」とまずはひとこと。「スターレットは車体が軽いので、下り向きのセッティングにしているので、SS2とSS4は狙い通りに行けましたが、上りのYokura線のSS3でタイムを出せたのが効いたと思います。2周目ということでラインから泥が掃けて、クルマの動きが良くなったので攻められました。SS5は霧が出たので安全圏で走りました」と振り返り、まずは群馬シリーズのチャンピオンを狙いたい、と今後に向けた抱負を語ってくれた。

















2戦目を迎えたTRD Rally Cupは開幕戦のウィナーが連勝
3月に九州で開幕したTRD Rally Cupは今回、シリーズ第2戦を迎え、東日本選手権、群馬シリーズと同様の距離を走り、計5本のSSで勝敗が競われた。まずトヨタ・ヴィッツを対象としたCUP1クラスは、NCP91ヴィッツとNCP131ヴィッツがそれぞれ2台参加し、計4台による戦いとなった。
SS1では開幕戦を制している徳島の桒村浩之/ミキスケ組がベストタイムを奪取し、ピエール北川/漆戸あゆみ組が2番手に続いた。桒村組はSS2、SS3でも連続ベストをマークするが、北川組も2ループ目に入るとペースアップ。SS4では桒村組に4秒差まで詰め寄るセカンドベストを叩き出すが、SS5でリタイヤとなってしまった。
「1ループ目でマージンを作って、2ループ目からはペースをキープする、という作戦通りのラリーができました」と振り返った桒村組は、終わってみれば全SSを制する速さを見せて優勝。見事に開幕2連勝を飾った。ヴィッツの新旧対決は、「雨は好きじゃないけど、苦手でもないんです。過去、勝率は100%です」という旧型勢の桒村組が制した形だが、桒村選手はNCP131へのマシンチェンジも検討中とのこと。今後の動向が注目される。
なおCUP2クラスは岩田晃知/増田好洋組の86が1台のみの出走となったが、完走を果たし、こちらも開幕2連勝を飾っている(クラスは成立)。TRD Rally Cupは昨年同様、JAF地方選手権と併催の形で行われ、今年は8月の丹後半島ラリーまで全5戦のシリーズが組まれている。次戦は7月に三重・滋賀両県を舞台に今回同様のターマックラリーが予定されているが、続く第4戦は四国のグラベルラリーとして知られる、てっぺんラリーが控える。シリーズの行方が大いに注目されるところだ。




フォト&レポート/JAFスポーツ編集部
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