第1戦はFAT FIVE RACING GRスープラが完全優勝! 第2戦は積年のライバル対決を横井選手が制す!!

レポート ドリフト

2021年5月6日

ドリフト競技の頂点であるD1グランプリの2021年シリーズが、滋賀県米原市の奥伊吹モーターパークで開幕となった。今シーズンは全10戦が開催される予定だ。そのすべてがデュアルファイナルズ、つまり1大会で2戦の連戦となる。

2020 D1グランプリシリーズ 第1戦/第2戦 奥伊吹大会
開催日:2021年4月22~25日
開催地:奥伊吹モーターパーク(滋賀県米原市)
主催:株式会社サンプロス、DODC

 今大会は29台がエントリーし、デビュー以来3年目のGRスープラは昨シーズンから2台増えて計5台がエントリー。ほか、インフィニティQ60やトヨタ86、E92 M3などが加わり、これまでシルビアやツアラーVが中核だったD1グランプリに新時代到来を予感させるシーズン開幕となった。

 第1戦の予選の単走、決勝の追走を制したのはともにGRスープラ。ベスト8で定番マシンのシルビア&ツアラーV系が全滅したことで、まさに新時代到来の予感は真実となり、ドライバーも20代の若手が台頭。創設以来21年目の今年のD1グランプリは、まさしく新展開と言える目の離せないスタートを切ったのであった。

2019年、2020年のD1ライツチャンピオン・目桑宏次郎選手が今年からD1グランプリに昇格。それまでのSR20改2.2Lから2JZ改3.5Lに変更した180SXを製作、ルーキーっぽさを感じさせない堂々たる走りで6位入賞(第2戦は4位入賞)を果たした。
昨年までのJZX100から、1GRエンジン搭載のE92 M3にチェンジした高橋和己選手。駆動系の破損が修復できず残念ながらリタイアとなってしまったが、第1戦4位、第2戦3位に入賞。29才とD1グランプリでは若い世代なので今後の活躍に期待だ。

 GRスープラでの参戦は2年目となる松山北斗選手(FAT FIVE RACING)が、昨シーズン第6戦(エビス西コース)に続く2度目の単走優勝を第1戦で果たす。進入区間の最高速は110km/hで、とくに3セクターから4セクターの速さとアクセル全開量が際立ち、白煙量も随一だった。

普段はトヨタ自動車に勤務し、開発部署でテストドライバーなどを務めている松山北斗選手が単走で優勝。

 追走は齋藤太吾選手(FAT FIVE RACING)と藤野秀之選手(Team TOYO TIRES DRIFT)の一騎打ちとなった。2JZ改3.4Lを搭載する齋藤GRスープラに対し、180SXから乗り換えた藤野86はVR38改4.3Lを搭載している。

 齋藤選手は先行のスタート直後にインカットで2ポイントの減点となったが、藤野選手の寄せを最小限に抑えた。入れ替えての後追いでは、完璧な接近度で逆転勝利。2位の藤野選手は急遽86に乗り換えてまだ数回しか試走させてない状況でいきなり決勝まで勝ち進み、幸先のいいスタートとなった。

齋藤太吾選手は今年から履くサイルンタイヤのマッチングが大正解だったようだ。
2018年にD1グランプリにGRスープラを投入した齋藤選手は、2017年ぶり17度目の優勝となった。
第1戦の優勝は齊藤選手、2位は藤野選手、3位は松山選手、4位は高橋和己選手、5位は末永正雄選手、6位は目桑宏次郎選手、7位は中村直樹選手、8位は末永直登選手、9位は北岡裕輔選手、10位は畑中真吾選手。

 第1戦の翌日に同レイアウトで開催された第2戦は、前年度チャンプ小橋正典選手(LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE)の連続予選落ちという衝撃的なスタートとなった。また、ベスト4のうち3台がシルビア系になったのも、第1戦とまるで違う結末だ。そして決勝戦に進出した2台は去シーズンに第一線で活躍したマシンを継続しており、熟成されたマシンと実力派ドライバーの組み合わせの強さを見せつけた。

 単走で2勝目を挙げた松山選手は「奥伊吹って今までいちばん走り込んでいる富士のドリフトコースの攻め方に似ていると思います。それと、自分は右コーナーより左コーナーのほうが得意で、それが3セクターから4セクターに合っていたのかもしれません。逆に右が苦手なので、1コーナーで頑張りすぎなかったところもよかったと思う」と勝因を分析。

GRスープラ勢はフロントに19インチタイヤを履く中、松山選手だけが18インチを履いていた。トーヨーのR888RDの265幅の19インチがないのが理由のようだ。

 追走は2018年と2019年のシリーズチャンピオンの横井昌志選手(NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX)、昨年の奥伊吹ラウンドで単走優勝した中村直樹選手(MUGEN PLUS team ALIVE VALINO)との戦いに。ともにD1ストリートリーガル(D1ライツの前身リーグ)時代のトップドライバーであり、ライバル同士だ。D1昇格後も特別に対抗意識を強く持っていることで、見応えのある追走となった。

 第1戦の追走1回戦でも対決したこのふたりが第2戦の決勝で対決。1本目に先行の横井選手は指定ゾーンをはずして減点があったものの、後追いの中村選手が寄せきれずアドバンテージは少。前後入れ替えると後追いの横井選手はすべてのセクターで後追いポイントを大きく獲得して優勝を手中に収めた。

優勝した横井昌志選手のマシンは昨シーズンからあまり変更点がなく、2JZ改3.4Lを今年も搭載。
「GPドライバーとしてライツから昇格したばかりのドライバーに負けちゃいかんと気合いが入りました」と表彰式でコメントした横井選手。
第2戦の優勝は横井選手、2位は中村選手、3位は高橋選手、4位は目桑選手、5位は末永正雄選手、6位は田中省己選手、7位は藤野選手、8位は齋藤選手、9位は松山選手、10位は川畑真人選手。
GRスープラが5台もエントリー。搭載エンジンは3台が2JZ改で2台が3UZ改。昨年の最終戦にデビューしたエヴァンゲリオンカラーには昨年のシリーズランキング17位の畑中選手が抜擢された。
D1グランプリではS15シルビアでのエントリーがもっとも台数が多く、エンジンのバリエーションも豊富だ。手前が波紫聖和選手のSR20改2.2L、中央が植尾勝浩選手でVR38改4.3L、奥が中村選手で2JZ改3.1Lを搭載している。
前年チャンピオンの小橋正典選手を擁するチームオレンンジは今年も2台体制。チームメイトの末永直登選手はマシンを大幅に改良しているが、小橋選手は前年とほぼ変わっていない。

フォト/SKILLD川﨑隆介 レポート/SKILLD川﨑隆介、JAFスポーツ編集部

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