ルーキー大挙のD1シーズン開幕!中堅の目桑宏次郎BMWが2連勝!

レポート ドリフト

2025年5月19日

今季からデビューした9名を含む38名の参戦で開幕した2025年日本ドリフト選手権 D1グランプリ。継続参加選手の中でマシンチェンジしたのは田野結希選手(Team TOYO TIRES DRIFT 2)のGR86だけで、完全に新規製作車両の登録はなかった。その反面、今年はクスコが本腰を入れたフルカラー3台、そしてRCドリフトパーツメーカーを母体としたBUZZBREAKなどが参戦し、現在中核となっているトーヨータイヤ、シバタイヤ、D-MAXなどのように「チーム戦」の様相が濃くなってきた。

2025年 日本ドリフト選手権
2025 D1グランプリシリーズ 第1戦 第2戦
奥伊吹大会

開催日:2025年5月10~11日
開催地:奥伊吹モーターパーク(滋賀県米原市)
主催:株式会社サンプロス

第1戦

単走部門

 雨が止んだばかりの予選では、濡れた路面でもウェット係数がないため、上位8名までが路面が完全に乾いた後半のC/D組となった。中村直樹選手(Team VALINO×N-STYLE)、横井昌志選手(TEAM D-MAX RACING)らチャンピオン経験者が走るD組の中で最高得点を出したのは最終走者の田中省己選手(SEIMI STYLE SHIBATIRE DRIFT)で、獲得点も総合1位。なお、田中選手は2023年の開幕戦奥伊吹でも単走優勝している。

 タイ王国から出場のLattapon Keawchin(ポップ)選手(NEXZTER drive to drift academy)は、松山北斗選手(Team TOYO TIRES DRIFT 2)と中村直樹選手を破りベスト4まで進出。自滅のクラッシュで4位に終わったが自身最上位を記録。翌日の満身創痍からの予選通過も含めて今年は台風の目になると思われる。

 なお、今年からデビューしたルーキー9名は全員が予選敗退。親子対決が注目された、チャンピオンの中村直樹選手の長男でルーキーの中村龍選手(TEAM MORI)も、ウェットのA組で苦戦し親子対決とはならなかった。

第1戦単走部門優勝は田中省己選手(SEIMI STYLE SHIBATIRE DRIFT)。
田中選手のマシンはD1ライツ時代から使い続けているため戦闘力が低く見られがちだが、実は2JZ3.6L搭載で、シーケンシャルミッションやクイックチェンジデフを組むD1グランプリ必勝仕様そのものだ。まだ追走優勝がない田中選手自身も「クルマで言い訳はできない」という。

2世ドライバー覚醒するか

今年からD1グランプリにステップアップした中村龍選手(TEAM MORI)とD1チャンピオンの中村直樹選手(Team VALINO×N-STYLE)。D1グランプリに親子で同時出場はこれが初だ。中村龍選手の初戦はウェット路面に苦しみ予選敗退となった。
レジェンドドライバーを父に持つ野村圭市選手(URAS RACING)は、デビューイヤーでほかのデビュー組から遅れをとっていた感があったが、2年目のスタートでようやく予選通過。中村直樹選手と対戦して惨敗したものの、「はじめての追走が強敵すぎて逆にいい勉強になった」と競技後も満足そうだった。

追走部門

 準決勝は村上満選手(Repair Create×Result Japan)対川畑真人選手(Team TOYO TIRES DRIFT 1)と、目桑宏次郎選手(VALINO TEAM G-Meister)対ポップ選手。

 川畑選手が対戦直前にパワステトラブルに見舞われてリタイアを余儀なくされ、村上選手が決勝に進出。すると、中村選手に勝って勢いに乗るポップ選手は目桑選手を倒すべく2本目の後追いで攻めすぎて自滅クラッシュ。

 波乱続きの展開の中、最後に勝ったのは目桑選手だった。後追い点フルマークの応酬にならなかった原因として、村上選手のGR86はベスト16の対戦で蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM)と接触した際に足まわりにダメージを負い、アライメントが狂っていた可能性がある。このサバイバルを生き残って最後に表彰台の真ん中に立った目桑選手は、2023年に180SXからE92に乗り換えてマシンメイクに苦戦し、2024年のシリーズランキングは17位。シーズンオフの調整でようやく納得できる状態になったと事前に語っていた通り、覚醒したかのような走りで2022年第4戦(エビス)に次いで2度目の優勝。D1グランプリにおけるBMWの初優勝も達成した。

第1戦追走部門優勝は目桑宏次郎選手(VALINO TEAM G-Meister)。
トロフィーを受け取るVALINO TEAM G-Meisterの山口孝二監督。山口監督は昨年まで目桑選手とE92の2台体制で参加していた。今年からチーム運営に集中すべく参戦を休止している。
シルビア系を得意とする目桑選手は「もう乗り換えたい」と思うほど何度も挫折を味わいBMWのセットアップに苦労してきた。シーズンオフではトラクション確保のためリヤウイングの形状を多数試してようやく思うような効果が出てきたそうだ。マシンメイクに苦労した末、「BMWの初優勝」という記録も手にしたのだった。
第1戦の優勝は目桑選手、2位は村上満選手、3位は川畑真人選手、4位はLattapon Keawchin選手、5位は田中選手、6位は中村直樹選手、7位は横井昌志選手、8位は日比野哲也選手、9位は田野結希選手、10位は松山北斗選手、11位は蕎麦切広大選手、12位は藤野秀之選手、13位は松井有紀夫選手、14位は山中真生選手、15位は野村選手、16位はDaychapon Toyingcharoen選手。

第2戦

単走部門

 ポップ選手はタイの国内大会では5本に指に入るテクニシャンとして知られている。自身最上位となる第1戦のベスト4で激しくクラッシュしたものの、現地で修復して一晩で奇跡の復活。あり合わせ&他のエントラントからの借り物でセッティングもままならない中、なんと単走初優勝を遂げ周囲を驚かせた。

第2戦単走部門優勝はLattapon Keawchin(ポップ)選手(NEXZTER drive to drift academy)。
前日の大クラッシュから見事復活したポップ選手。F22型BMW M2は昨年から投入した。VR38改4.3Lを搭載。戦闘力はD1グランプリマシンの中でもトップレベルに仕上がってきた。エンジンルームのシングルターボ配管のシンメトリー具合も美しい。
今年のルーキーの中から早くも3名が予選を通過して追走進出。稲岡拓也選手(VEHIQL RACING × VALINO、写真左:先行180SX)と和田賢志郎選手(TEAM D-MAX RACING、写真右:後追いS14シルビア)は、追走で1勝してベスト8に進出する大活躍だった。

追走部門

 決勝戦は横井選手と目桑選手の対決。角度と距離に多少のブレがあった横井選手に対し、目桑選手は終始ビタビタ。横井選手に明らかなミスがあった訳ではないが、結果発表の前に目桑選手は自身の勝利を確信するほどの走りだった。

 準決勝の蕎麦切選手との対戦では、お互い後追い点10以上の追走でサドンデスまでもつれこむ。勝利した目桑選手は完全に波に乗っており、E92の完成度はここにきて納得できる仕上がりになっていることが明らかとなった。

第2戦追走部門優勝は目桑選手。
藤野秀之選手(Team TOYO TIRES DRIFT 1)は多田康治選手(CUSCO Racing)、山中真生選手(ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ! レーシング)と二人の若手を倒して準決勝に進出した。一方で、敗れたものの山中選手の後追いはフルマークの15点で、チャンピオン経験者を脅かすほど。結果、第1戦は14位、第2戦が5位でランキング9位となり、2年目ドライバーの中ではトップで開幕ラウンドを終えた。
第2戦の優勝は目桑選手、2位は横井選手、3位は藤野選手、4位は蕎麦切選手、5位は山中選手、6位は和田賢志郎選手、7位は稲岡拓也選手、8位は川畑選手、9位はKeawchin選手、10位は村上選手、11位は上野高広選手、12位は石川隼也選手、13位は松川和也選手、14位は岩井照宜選手、15位は多田選手、16位は田野選手。

今季の注目ルーキー

今季デビュー組の中で紅一点は玉城詩菜選手(Team TOYO TIRES DRIFT 3)。D1ライツ時代に乗っていた2JZ搭載180SXに比べてD1グランプリ用に用意されたVR38改を搭載した86のパワーは「アクセル全開にしたら離陸しそう!」とてこずっていたようだ。
CUSCO RacingはD1ライツからD1グランプリにステップアップしたふたりのドライバーを擁して参戦。多田選手(右)がGR86を、星涼樹選手(左)がGRカローラを与えられデビュー。第1戦はともに予選を通過できなかったが、多田選手が第2戦で予選を通過した。
昨年から三好隼人選手(左)を擁してD1グランプリに参戦したTEAM BUZZBREAK DRIFTには、今年から粂哲也選手(右)とD1ライツからステップアップしてきた石井亮選手(中央)が参加。今ラウンドは予選通過とはならなかったが、今後台風の目になりそうだ。

PHOTO/SKILLD REPORT/SKILLD、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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