沖縄に新たなモータースポーツの旋風! モータースポーツマルチフィールド沖縄がついに落成!!

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2021年5月10日

沖縄県のモータースポーツシーンに新たな歴史が誕生した。2021年4月26日、沖縄本島中部に位置する沖縄市に、モータースポーツ用の多目的コース「モータースポーツマルチフィールド沖縄」が新設され、晴天の空の下、その落成式が行われた。

モータースポーツマルチフィールド沖縄落成記念式典
開催日:2021年4月26日
開催地:モータースポーツマルチフィールド沖縄(沖縄県沖縄市)

 今回、沖縄県沖縄市に新設された「モータースポーツマルチフィールド沖縄」を語る上で真っ先にクローズアップされるポイントが、沖縄市の公共施設というところにあるだろう。そして数あるJAFの登録クラブ・団体の中でも、現在唯一の行政が加盟団体として登録されたことも挙げておく。

 そもそも本格サーキットの建設に向けて「(仮称)沖縄サーキット整備事業」に取り組んでいる沖縄市では、県内でのモータースポーツの認知度の向上を目的に、2015年より「コザモータースポーツフェスティバル」をはじめとする独自の振興イベントを実施してきた。

 そして、ジムカーナやレーシングカート、ドリフト、ミニバイク、バイクジムカーナ、エクストリームバイク等の各競技団体によって結成されている一般社団法人チームオキナワの協力のもと、イベントを通じてモータースポーツの魅力を発信してきた。その結果、コザモータースポーツフェスティバルは開催を重ねるごとに来場者数および参加企業数が増加の一途をたどる。

 “滞在型観光の推進・産業振興に伴う雇用創出を実現するモータースポーツの聖地”をコンセプトに掲げている沖縄市は、コザモータースポーツフェスティバルでの手ごたえを確信し、サーキットの実現に向けて一歩前進。モータースポーツの受容性の検証を図る施設として「モータースポーツマルチフィールド沖縄」をこのたび新設した。

沖縄県那覇市の旧倉浜ごみ処理施設跡地につくられたモータースポーツマルチフィールド沖縄。高い防音壁に囲まれている。
敷地面積は19,398㎡、フィールド部面積は約8,600㎡と、モータースポーツをはじめとしたマルチに使える広大な施設だ。
JAFの加盟団体として“沖縄市”で登録されている。またJAFスピード競技コースとしてはジムカーナコースの常設1級の公認を取得。
全国のさまざまなサーキットを参考に、計算しつくされた施設となっている。施設全体の充実ぶりも特筆しておきたい。

「モータースポーツマルチフィールド沖縄」の名のとおり、同施設はモータースポーツに特化した多目的コースとなっており、県内のモータースポーツニーズに対応すべく、ジムカーナやドリフト、レーシングカート、ミニバイクなどの競技ができるようになっている。

 所在地は沖縄県沖縄市倉敷で、沖縄自動車道・沖縄北ICよりクルマで約8分。県内のどこからでもアクセスしやすい場所にある。ごみ処理場の跡地につくられたフィールドは約8,600㎡と広く、パイロンやテックプロを使用することで、ジムカーナおよびレーシングカートにおいて、中低速を中心としたレイアウトから高速コースまで自由なコース設定が可能だ。

 さらに屋根付きのパドック棟では、四輪なら10台の作業が行えるほか、管理棟には競技時に管制室および計時室として使用する2つの会議室、救護室、更衣室に加えて、ブリーフィングが行える多目的ルームを設置するなど、付帯設備も充実している。多目的ルームにはドライビングシミュレーターが設置されているだけに、レーシングスクールなどの開催にも最適だろう。

 また、113台が収容できる駐車場を常設しているほか、ベンチや芝生が敷かれた観戦エリアも約615㎡と広く設定されていることから、多くの観客を動員できるビッグイベントも開催可能である。そのほか、地元の警察による交通安全の普及・啓蒙や、沖縄の伝統芸能“エイサー”の練習など、地域振興にも活用していくとのことで、まさに沖縄市の“多目的広場”としてさまざまなシーンで活用される予定だ。

四輪が10台格納できる屋根付きパドック棟があり、2Fにはコースが見渡せる観覧スペースも設けられている。
男女別にキレイなトイレがあることもポイント。特に女性の施設利用者にはうれしい設備だ。
管理棟は1Fに受付と救護室を、2Fに多目的室や会議室、シャワー付き更衣室を完備した。
多目的室にはシミュレーターが導入されていた。ドライバー育成環境としての一翼も担っている。

 このモータースポーツマルチフィールド沖縄の管理受託者を務めているのが、コザモータースポーツフェスティバルなど沖縄市とタッグを組んでモータースポーツの普及活動を行ってきた一般社団法人チームオキナワだ。代表理事を務めるのはジムカーナを中心に活動する、JAF加盟クラブ・OKINAWA MOTORSPORT CLUB MABUIの代表・當間秀文氏。

「せっかくのJAF公認コースなので、公認競技をどんどんやっていきたいですね。そのためにも、まずはクローズド競技をやりながら。並行してオフィシャルの育成を行っていきたいです」とのことだ。

 一方、JAF加盟カートクラブ・スクーデリア沖縄を組織するほか、ククル読谷サーキットを運営するなど、主にカートシーンにおいて活動を行ってきた翁長達也氏が施設事務局長を担当する。

「読谷サーキットでシリーズ戦を行ってきましたが、今後はマルチフィールドと交互にシリーズ戦を行いたいですね。読谷サーキットはスクールを主体にして、ゆくゆくはこのマルチフィールドを“甲子園”のように憧れの舞台にしていきたいです」と翁長氏は語る。

JAF加盟クラブ・OKINAWA MOTORSPORT CLUB MABUIの當間秀文氏が、代表理事を務める。
JAF加盟カートクラブ・スクーデリア沖縄の翁長達也氏は施設事務局長に就任。

 4月29日のオープンを目前に控えて4月26日に行われた落成式典には150名の関係者が出席した。ジムカーナやレーシングカート、ドリフト、エクストリームバイクに加えて、白バイ隊によるデモ走行も行われた。

 そして桑江朝千夫沖縄市長を助手席に乗せ、モータースポーツマルチフィールド沖縄のデモカーで華麗なドライビングを披露しながら登場したのは、沖縄出身ドライバーの平良響選手。

 現在、スーパーフォーミュラ・ライツで活躍する平良選手は、この施設について「自分が沖縄で走っていた時は、小さなコースしかありませんしたが、これだけ大きなコースなら本土と遜色のないトレーニングが行えると思います」と期待を寄せる。

 さらに沖縄市の桑江市長も「行政として取り組む事業としては馴染みがなく課題もありましたが、この沖縄市に新たな施設をつくることができました。モータースポーツ振興の拠点としながら、交通安全の普及や啓発活動の地域振興にも使えるマルチな活用が可能で、沖縄市の新たな魅力として認識されることを期待しています。自動車関連企業はもちろん、県内モータースポーツの聖地として、いろんな方に利用してもらい」と式典で挨拶を行った。

 中長期ビジョンとして本格的なサーキットの整備を目指す沖縄市にとって、まさにモータースポーツマルチフィールド沖縄は大きな一歩となるだけに、沖縄モータースポーツの聖地としてこれから注目したい。

デモカーのトヨタ・86を駆ってデモランを行う平良響選手。その助手席には桑江朝千夫沖縄市長が乗り、サプライズで登場した。
式典の冒頭で開口一番、平良選手の激しいドライビングに酔ったという桑江市長は、笑顔で挨拶した。
前日まで鈴鹿サーキットでスーパーフォーミュラ・ライツに参戦していた平良選手がゲストとして会場に駆けつけた。
JAFモータースポーツ部からは、村田浩一部長の代わりに脇田康平課長が祝辞を述べた。
テープカットが行われ、大盛況のうちに式典は閉会。これからの発展に期待したい。

フォト/廣本泉、JAFスポーツ編集部 レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部

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