鈴鹿サーキットホテルで2024シーズンの中部モータースポーツを総括する表彰式が開催
2025年2月14日

2024年に中部地区で公認された競技会で著しい活躍を遂げ、優秀な成績を収めた選手たちの栄誉を称える中部モータースポーツ表彰式が、モータースポーツの聖地として名高い三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットに隣接するホテルのホールで2月1日に開催された。
JMRC中部モータースポーツday2025
JAF中部地方選手権/JMRC中部シリーズ戦 2024年中部モータースポーツ表彰式
開催日:2025年2月1~2日
開催地:鈴鹿サーキットホテル サクラホール、鈴鹿サーキット西コース(三重県鈴鹿市)
主催:JAF中部本部、JMRC中部
年明け1月中旬から下旬にかけての開催が定番だった中部モータースポーツ表彰式だが、今回は2月1日に執り行われた。式典の会場は中部管内でお馴染みの鈴鹿サーキットホテルで、土曜日に表彰式と懇親会、日曜日にJMRC中部主催の走行会というスケジュールは変わらずだ。この2日間は「JMRC中部モータースポーツday2025」と銘打つひとつの行事となっている。
その表彰式に先駆けて午前中にミーティングルームで実施されたのはJMRC中部の理事会。続けて正午から理事・運営委員特別委員会へと移行し、13時30分から行われる第44回クラブ・団体代表者会議に向けて運営委員のメンバーが顔をそろえ、配布資料の内容や会議の進行について打ち合わせを行っていた。
そしてクラブ・団体が集まる代表者会議には、JAF中部本部の稗田浩司事務局長、JAF本部モータースポーツ部の村田浩一部長と箕輪幸子担当部長、JAF中部本部の石井千三事業部長、JMRC近畿の梅津祐実運営委員長、JMRC中部の武山策彌副理事長が出席。冒頭にJMRC中部の嶽下宗男運営委員長が挨拶し、各委員から活動報告や決算報告があり、規定や規約の改定などといった議案について、報告・討議が交わされた。




表彰式は15時30分開場、16時開宴というスケジュールだ。会場のロビーには受付開始前から多くの表彰対象者ならびに関係者が集い、久々の再会ということもあってか会話が弾んでいる様子が見受けられた。午前中から着々と進められていた式典の準備も整い、パンケットホールのハナミズキの扉が開いて中部モータースポーツ表彰式が幕を開けた。
招待者がひと通り着席したところで会場が暗くなり、2024年の中部モータースポーツを振り返るオープニング映像が前方のプロジェクターから映し出され、「ただ今よりJAF/JMRC中部モータースポーツ表彰式2024年を開会いたします」と司会進行の重田あさみ氏の発声でスタート。続いて主催者を代表してJAF中部本部の稗田事務局長とJMRC中部の嶽下運営委員長が挨拶を行った。
表彰はJAFジュニアカート選手権とJAF地方カート選手権 鈴鹿シリーズのカテゴリーから始まり、JAF中部ジムカーナ選手権/JMRC中部ジムカーナチャンピオンシリーズ、JAF中部ダートトライアル選手権/JMRC中部ダートトライアルチャンピオンシリーズ、JAF中部・近畿ラリー選手権/JMRC中部ラリーチャンピオンシリーズ、JAF鈴鹿・岡山スーパーFJ選手権の順に行われる。
またJMRC中部ラリーチャレンジシリーズのほか、JMRC中部ジムカーナ東海シリーズやJMRC中部ジムカーナ北陸シリーズでは各クラスのチャンピオンが一斉に登壇して表彰を受けた。それぞれ上位入賞者には賞典が授与され、ステージ上で行われたフォトセッションでは誇らしげな表情を見せていた。最後は会場にいる上位入賞者がステージに集まっての集合写真撮影で、時間通りに進行した表彰式となった。




JAFジュニアカート選手権/JAF地方カート選手権 表彰




JAF中部ジムカーナ選手権・JMRC中部ジムカーナチャンピオンシリーズ













JAF中部ダートトライアル選手権・JMRC中部ダートトライアルチャンピオンシリーズ 表彰







JAF中部・近畿ラリー選手権・JMRC中部ラリーチャンピオンシリーズ 表彰









JAF鈴鹿・岡山スーパーFJ選手権 表彰


JMRC中部ラリーチャレンジシリーズ 表彰



JMRC中部ジムカーナ東海シリーズ 表彰

JMRC中部ジムカーナ北陸シリーズ 表彰

表彰式の後は少しインターバルがあり、18時から第2部の懇親パーティとなる。宴の挨拶はJMRC中部の福田淳三副運営委員長で、その後JAFモータースポーツ部の村田部長が乾杯の音頭を取った。会場中央に用意されたさまざまな料理をセルフで皿に取り分け、立食形式でビュッフェを楽しんでいた。またソフトドリンクやアルコールで喉の渇きを潤し、各テーブルからは談笑が聞こえるほど盛り上がっている様子がうかがえた。
このパーティでは表彰式の司会を務めた重田氏がマイクを握り、ステージ上の催しを進行させた。懇親の意味合いも兼ねた各競技のPRタイムでは、選手が登壇してマイクパフォーマンスを披露。2024シーズンの思い出やトピックスをスピーチして興味深い話が飛び出すなど、会場のいたるところから拍手が巻き起こっていた。
ほか、2024年JAF全日本ジムカーナ選手権BC3クラスにインプレッサで参戦した大橋渡選手が、関東、中部、近畿、中国地区から推薦を受けてJAFスピード競技ターマック部会の委員になることを報告。併せてJMRC中部運営委員にも就任し、その意気込みを語った。加えて奥伊吹モーターパークで開催される全日本ジムカーナ選手権の主催を務めることも改めて明かした。
1時間30分に渡る懇親パーティの最後は、JMRC中部の青木啓児副運営委員長が力強いメッセージを発信して締めた。こうして賑やかなひとときは終了し、表彰対象者にとって思い出に残る式典が閉幕。2025シーズンでは誰がタイトルを獲るのか、翌年の中部モータースポーツ表彰式に招待される選手の、これからの活躍に期待したい。








■2024年JAF中部地方選手権「初」チャンピオンインタビュー

「レースに負けた悔しさと、チャンピオンのうれしさと、さまざまな想いが交錯する1年でした」とシーズンを振り返る元田選手。2024年はジュニアカート選手権ジュニア部門にエントリーする傍ら、FIA KARTING ACADEMY TROPHYにも参戦を果たすなど、国内外問わずいろいろなレースで経験を積んできた。そして鈴鹿シリーズの地方選手権FS-125/X30にも挑戦、「立ち上がりとストレートの伸びが全然違いましたね」とマシンの違いに驚きつつ、高い順応性を発揮して見事にタイトルを獲得する。ジュニア部門と合わせて2冠達成だ。そんな元田選手は自信を持って2025シーズンの全日本カート選手権FS-125部門に挑戦する。「全日本では頭の良さとテクニックを兼ねそろえている年上のドライバーが多いですが、そんな環境で戦えるのが今から楽しみです」と目を輝かせたのが印象的だ。「だいぶ先の話になりますが、全日本OK部門、そしてフォーミュラへとステップアップをして、いつかはF1ドライバーになりたいです」と大きな目標を語った。

「2024シーズンは……70点くらいですかね」とPN1クラスのチャンピオンながら、辛口な自己採点をつけた長畑選手。中部ジムカーナ選手権は全8戦で、そのうち6戦で表彰台を獲得し、優勝は3回と安定した成績に見えるが「第1戦と第2戦は生タイムで負けているのと、ライバルのミスにより棚ぼたで優勝しているのがマイナス30点の理由です」と説明。「年初に地区戦のチャンピオンを獲ることを大きな目標として掲げていました。2024年は本当に激戦で、ギリギリ薄氷の上でのチャンピオンだったので、この結果はとてもうれしいです」と素直に喜んでた。ひとつ目標をクリアできたことで、長畑選手は地区戦を卒業して次のステップ、全日本ジムカーナ選手権に焦点を当てることを表明。「北海道以外はすべて出るつもりで考えています。2024年の成績(シリーズ4位)を上回ることが目標ですね。とはいえ優勝は難しいかもしれませんが、トップ2選手(朝山崇選手、斉藤邦夫選手)の間に入る順位は獲得したいところです」

富山県南砺市にあるイオックスアローザで華麗なサイドターンをするヴィッツを見て『これはなんだ!?』と衝撃を受けた島倉選手は、憧憬の念を抱いてジムカーナの世界に足を踏み入れたそうだ。モータースポーツは20歳から始めたものの、シリーズを追い始めたのは23歳、そして44歳で悲願の初戴冠を遂げた。「2023年にダンロップジムカーナレッスンを受講したのですが、その甲斐あって2024年は安定して走ることができたと思います。クルマのつくり方からタイヤの使い方まで見直して、徐々に調子が良くなっていった感じですね」と勝因を分析する。続けて「以前までは一度クルマをつくった後はほとんど変更ないまま走っていたんですけど、いろいろ触り始めてからタイムに反映されていったんです」とレッスンの成果が活きてきたことを説明。「本日チャンピオンとして表彰を受けましたが、若い選手が速いので負けないように頑張ろうと思います」と表彰式直後に心機一転、連覇に向けて気を引き締めていた。

「会社の先輩がジムカーナをやっていたのと、とにかく走ってみたいなと思ったのがきっかけでした。気づいたらそこから今までずっとジムカーナをやっています」と言う河田選手はジムカーナ歴19年の39歳だ。「2024シーズンを振り返ると、厳しかったなというのが正直なところです。常に0.1~0.2秒を3~4人で争っていたので、決してラクではありませんでした。チャンピオンが獲れるかどうかもギリギリ際どいなという感じです」と語るとおり、実際のところ最終戦終了時点でシリーズ2位の季羽英史選手とは同点で並んだ。結果的には有効ポイントで辛くも逃げ切り、タイトルを決めた状況となっている。「前日練習をしっかり行いながらライバルの得手不得手を把握し、前日のベストな走りを当日に再現することに努めました」と日々の努力を怠らず、その結果がわずかな差を生み出したと言える。「苦労してチャンピオンが獲れたぶん、とてもうれしいです」とはにかんだ表情で喜びのコメントを残した。

18歳で自動車運転免許を取得し、すぐにライセンスの発給を受け、63歳の現在までコツコツとモータースポーツを続けてきた服部選手。過去にはシリーズ2位の成績を残しているが、あと一歩届かず、約45年もの歳月の苦労が報われる日を迎えた。「長らくお世話になっていたショップが諸般の事情で2023年末に店を閉められ、競技車のメンテナンスやサポートを行う豊田市のMRSにお世話になり、細かいところまでクルマの面倒を見てもらってから調子が良くなってきました」と転機が訪れたことを明かした。加えて「3月末で定年退職となり、仕事のプレッシャーがなくなったことが成績に影響したのかもしれませんね」と笑う。2024年は2戦予定されていた門前が中止となるも、5戦中4戦で表彰台を獲得、また池之平では優勝を飾っている。「松原実選手を追い越すことを目標にやってきました。いなべとコスモスでは大きくタイム差をつけられ、まだまだ頑張らなければイカンなと痛感しています」という服部選手の挑戦に期待したい。

どんな道でも速く走れるようになれるのがラリーの魅力と言う伊藤選手、北海道大学の自動車部からラリーのキャリアをスタートさせた。ジュニア戦を経て地区戦へと移行し、2024年は大学の同期である廣嶋真選手と組んでシリーズを戦った。「廣嶋選手はドライバー視点があるコ・ドライバーでした。常に冷静だったので、どんな場面でも落ち着いて走ることができました」と信頼を寄せている。「シリーズ2位を獲得した2020年はずっとADVAN A052を使っていたんですが、2024年は勝負をかけるためにSタイヤを導入しました。A052と併用したことでコンパウンドの違いがあって難しいところもありましたけど、とくにウェットでは効果が大きかったと思います」とタイヤを変更したことが功を奏したと考えている様子だ。2025年について、今のクルマでは全日本ラリー選手権への参戦を想定していないとしつつ、「地区戦で2連覇を目指します。タイムが安定すればいずれ……」と新たな目標を打ち立てていた。

スズキ・カプチーノで地区戦を制した若手クルーが誕生した。その道程は険しいものだったとドライバーの福中選手は語る。「ラリー歴は3年になりますが、カプチーノは2年目で投入しました。自分自身がラリー慣れしていない状況の中、その年は2回の参戦で2回ともトラブルが発生したんです。コ・ドライバーからアドバイスをもらいながらクルマの不具合を次々に潰していき、迎えた2024シーズンはトラブルの起きないクルマに仕上がりました。最終的にリタイアなく全戦完走することができたことが、タイトルの大きな要因だと考えています」と分析した。「序盤の2戦は天気が悪くて路面コンディションに翻弄されました。FRなのでリアのトラクションが抜けるとコントロールしづらく、とにかく悪路に弱かったです。逆に後半はその悪路を経験したことでメンタルが強くなり、天気の良さも相まって走りが良くなりました」と振り返る。そんな福中選手、2025年は休止期間に入るそうで、2~3年後に復活するとのことだ。

「カプチーノが良いクルマだったことに尽きます」とコメントするのは、福中選手のコ・ドライバーを務めた中島選手だ。コンビを組む福中選手とほぼ同年齢ながら2年ほどモータースポーツ歴が長く、福中選手からはベテランと評されている。「スポーツカーとしてつくられたクルマをベースに、福中選手がコンプリートエンジン並みに仕上げてくれ、さらにドライバーの実力も合わさって結果が出たのかなと思います」と勝因を挙げた。また「全日本ラリー選手権に参戦した際に収集した情報をフィードバックしまして、実は前半と後半でノートが違っているんです。ノートに入れるべき情報がたくさんあるということに気づかされました。それでドライバーがノートを信じて走ってくれたことで、スピードが乗って良いタイムが出せたのではないでしょうか」とコ・ドライバー目線でコメント。「2年間、2人でやってきて本当に楽しかったです。でもあの狭いカプチーノにはもう乗りたくはないですかね(笑)」

デンソー自動車部に所属する松原選手は“メカニックをやって会場の雰囲気をつかむ、コ・ドライバーをやって現場の雰囲気をつかむ、そしてドライバーになる”という通例に従い、さまざまなポジションでラリーに携わり、もともと志望していたドライバーとなった。「ずっとラリーチャレンジに参戦していたので、地区戦は初参戦だったんですけど、慣れない道が多かったので手こずっていました。ですがチームの監督から『ラリーは短距離走ではなく持久走だから、無事に帰ってくることが大事』と教えられ、そのおかげでだんだん伸びてきたと思います」と語る。また自分の苦手を攻めるのではなく、得意を攻めつつ苦手をプラスマイナスゼロにするというアドバイスも効果があったそうだ。そして「コ・ドライバーのHARU選手はハキハキと言うタイプでした。ドライバーに対してビシッと言うところも、客観的な意見が素直に耳に入ってくるんです。とても相性が良かったですね」とHARU選手はシリーズ2位だったが、感謝を述べていた。

表彰の舞台は初めての経験ということでやや緊張した面持ちの市橋選手だが、式典会場内ではさまざまな選手と交流を深めて雰囲気を楽しんでいた。「競技を始めたばかりでモータースポーツ歴は1年ちょっとです。2023年に開催された新城ラリーで初めてオフィシャルとして携わり、間近でラリーを見て面白そうだなと思って興味を持ちました」とラリーを始めたきっかけを語った。「ドライバーは難しそうだけど、コ・ドライバーならできるかな?」とよく分からない状態で気軽に挑戦、だが実際にやってみてコ・ドライバーの大変さを感じたそうだ。それでもドライバーの横山慎太郎選手と二人三脚で試行錯誤、シロキヤラリーでの優勝を含めたシリーズ4回の表彰台を獲得してタイトルをつかんだ。「私なんかが獲っていいのかな? と思っています(笑)。地区戦はラリーチャレンジより距離が長く、緊張ばかりしていましたが、チャンピオンが獲れたのは横山選手、サービスに来てくださったMASCの方々の応援のおかげですね」
JMRC中部 鈴鹿サーキット西コース走行会

中部モータースポーツ表彰式の興奮と感動が冷めやらぬ2月2日、鈴鹿サーキット西コースではJMRC中部の走行会が開催された。これはJMRC中部のクラブ員ならびにその家族を対象とし、競技車やマイカーで気軽にモータースポーツを楽しんでもらうという趣旨で行われるものだ。全ラップをトランスポンダーで計測するスポーツ走行と、リーディングカー(先導車両)つけたファミリー走行の2つが用意された。
スポーツ走行はABCDの4グループに分かれ、それぞれ約25分の走行が2本行われる。ファミリー走行は1グループのみで平均時速約60km/hで3周の走行だ。当日は小雨が降ったり止んだりとあいにくの天気だったが、この走行会を心待ちにしていた参加者は笑顔だった。




フォト/今村壮希、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部