レースの主役は全カテゴリー! 富士で開催されたワンメイクレースは熱きバトルが繰り広げられた

レポート レース カート

2021年5月14日

ゴールデンウィークの締めくくりとなる5月8~9日に、富士スピードウェイで「ザ・ワンメイクレース祭り2021富士」が開催された。両日ともに気温は20度を超す夏日となり、今シーズン初めてタフなレースがそれぞれ繰り広げられていた。

「ザ・ワンメイクレース祭り2021富士」
LOTUS CUP JAPAN 2021 第1戦
MINI CHALLENGE JAPAN. 2021 第1戦
N1500/N1400/N1000/デミオレース/Audi A1 Fun Cup
TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race 2021 第2大会
WAKO'Sスーパーカートカップシリーズ第3戦/WAKO'Sスーパーカート富士シリーズ第2戦

開催日:2021年5月8~9日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 今年は全4戦で富士、もてぎ、SUGOを舞台とするロータスカップ・ジャパンの第1戦には、クラス1が5台、クラス2が11台の参加となった。賞典外参加で常勝を誇る佐藤考洋選手をコンマ5秒差で抑えてポールポジションを獲得したのは、ヴィッツレースから移行し、今回が初レースとなる小林一景選手だった。

 「路面コンディションが良くないせいなのか、不安定な感じです。難しかったけれどうまくまとめることができました。決勝はいちばん前から出られるので、しっかりポジションを守っていきたいです」と小林選手。

 一方、クラス2では飯田敏雄選手が予選トップを獲得し、「昨年までクラス1で、またクラス2に。ちょっと前から練習し始めたんですが、V6のクラス1とはまるで違うのでちょっと難しかったです。下のクラスで気楽に行こうと思って、どうやってレースを楽しむかっていうのを目標にしています」とコメント。2番手には篠原祐二選手がコンマ04秒差でつけたが、ピットロードの速度超過で4グリッド降格のペナルティを受けていた。

 決勝では小林選手がスタートで出遅れるも、先行を許した佐藤選手もクラッチの不調で失速。結果、小林選手がトップで1コーナーに飛び込むこととなった。いったん4番手まで退いた佐藤選手は、5周目に2番手まで順位を戻すも、その時すでに小林選手は3秒先に。しかも必死に追いすがる清水友一選手への応戦一方となったことで、より差を広げられてしまう。

 見事デビューウィンを飾った小林選手ながら、「後ろで争ってくれたので今回は楽にできたんですけど、走っている中でミスもあり課題も見つかったので、次に向けてそこは改善していこうと思います」と向上心も欠かさなかった。清水選手に続く3位は、東浩平選手が獲得した。

 クラス2では序盤のうちに独走態勢に持ち込んだかと思われた飯田選手が、2周目に2番手に上がってきた篠原選手とその後の猛攻を繰り広げることとなった。5周目に篠原選手がトップに立った後も離れず食らいついていた飯田選手だったが、ラスト3周はそれもかなわなくなっていた。

 「シリーズに復帰して最初のレースで優勝しちゃうなんてできすぎです。8年ほどブランクがあって戻ってきたので勉強するつもりで出たんですけど、飯田さんが上手だからとにかくタイヤを残すことに専念していたのが最後に効いたんでしょう」と篠原選手。3位は長澤宏昭選手で、最後の最後にパパシュー選手をコンマ04秒差で振り切っていた。

クラス1優勝は小林一景選手(auto-moda EXIGE)。
クラス1の表彰式。左から2位の清水友一選手、1位の小林選手、3位の東浩平選手。
クラス2優勝は篠原祐二選手(クラブウィザム 4CR-EXIGE)。
クラス2の表彰式。左から2位の飯田敏雄選手、1位の篠原選手、3位の長澤宏昭選手。

 ミニチャレンジ・ジャパンは富士、鈴鹿、岡山、SUGOを舞台に、全5大会・10戦で争われ、今回がその皮切りとなる。ナンバーなしのJCWクラスで第1戦のポールポジションを奪ったのは、「1年半ぶりぐらいのポールです。去年一度もチャンピオンの松本(武士)選手に勝てなかったので。彼がいるつもりで自分の目標をきっちり決めてやりたいと思います」と語る後藤比東至選手。

 そして、ナンバーつきのCPSクラスでは古田聡選手がトップながら、「富士なんでやっぱりスリップストリームが効くところにいられると、ちょっとどうなるか分からないですよね」と、楽な展開にはならないことを予想した。

 第1戦決勝レースはJCWクラスの後藤選手がポール・トゥ・ウィンを達成。実に19秒もの大差をつけた後藤選手は、「ちゃんとスタートできるか心配でしたが、そこから先は最後までアクセル抜かずに、それやっちゃうと失礼なので、集中して最後まで走りました」と語った。

 CPSクラスは「スタートがストール気味」という、谷岡力選手の先行を許していた古田選手だったが、4周目の1コーナーで逆転してからは、これまた後続を引き離して優勝を飾った。

 第2戦決勝レースのグリッドは、参加台数の60%がリバースグリッドになる特別規則により、第1戦の結果に基づいてJCWクラスは平田雅士選手が後藤選手とグリッドを入れ替えてポールにつけ、CPSクラスは古田選手が4番手からのスタートとなった。

 その平田選手のトップは1周だけで、ストレートで後藤選手にかわされてしまう。そして古田選手も2周目には2番手に上がり、3周目の1コーナーでトップを奪還。それぞれ2連勝を飾ることとなった。

 「このいい流れを(併せて出場する)富士24時間に持っていきたいですね」と後藤選手。そして古田選手は「最後は研究しながら走っていました」と、それぞれ余裕さえ見せていた。

第1戦JCWクラス優勝は後藤比東至選手(EX-FORM F56JCW)。続く第2戦も勝利した。
第1戦JCWクラスの表彰式。左から2位の平田雅士選手、1位の後藤選手、3位の鈴木建自選手。
第2戦JCWクラスの表彰式。左から2位の平田選手、1位の後藤選手、3位の阿部良太選手。
第1戦CPSクラス優勝は古田聡選手(ガレージピットハウスF56CPS)。続く第2戦も勝利した。
第1戦CPSクラスの表彰式。左から2位の谷岡力選手、1位の古田選手、3位の奥村浩一選手。
第2戦CPSクラスの表彰式。左から2位の谷岡選手、1位の古田選手、3位の石井一輝選手。

 N1500とデミオのエントリーがなく、N1400とN1000、そしてAudi A1 Fun Cupによる3クラス混走レースは、最速がN1400。連覇を狙う高橋ノボル選手が、「あんまりタイムが出ていなかったのでダメかと思いました」と語りながらもポールポジションを獲得した。

 最多エントリーのAudi A1 Fun Cupでは並木重和選手が予選トップで、「このレースは今年から2戦目です。いつもよりタイム出なかったんで『こりゃダメだ〜』って思っていたんですが、みんなも出ていなくてよかったです(笑)。決勝は(2番手の)イシカワヨシオ選手とバトルになると思うし、バトルになると強いからね、あの人。なんとか逃げたいと思っています」と並木選手。

 そしてN1000では今回レースデビューの半田健一郎選手が予選トップで、「何度もチャンピオンを獲っているクルマなのでちょっと緊張しました。このクルマのポテンシャルをもうちょっと引き出せるように頑張りたいですね」と正直な胸の内を語っていた。

 N1400の決勝は、高橋選手と王座奪還を狙う大竹直選手の一騎討ちとなった。スタートを決めた高橋選手がオープニングラップのうちに後続を1秒6も引き離したが、3台での混戦を抜け出してきた大竹選手が間もなく急接近。5周目のGRスープラコーナーで前に出るも、高橋選手を引き離すまでには至らず。それどころかゴール間際のストレートで、大竹選手は1000分の6秒差で逆転を許す。

 高橋選手は「最後まで諦めずにいました。大竹選手のタイヤがだいぶ厳しそうだったから、あの一瞬に賭けました」と、まさに狙い的中ということとなった。

 Audi A1 Fun Cupでは「いつも失敗するスタートを今日は練習したんですよ。そしたらうまくいって(笑)」と語るイシカワ選手に、並木選手と阿野雅樹選手がピタリと食らいつく格好から決勝が開始。しばらく緊張感の漂うトップ争いが繰り広げられたが、9周目に阿野選手が並木選手に襲い掛かったタイミングでイシカワ選手はスパートをかけ、逃げ切りを果たすこととなった。

 N1000は出場した3台で三つ巴のトップ争いとなった。2番手からスタートを決めた中村直樹選手がまずはトップに立ち、大石進哉選手、半田選手が続く。8周目に半田選手がトップに立つも、中村選手が1周で逆転。そして最終ラップのGRスープラコーナーで半田選手と大石選手に接触があり、これで中村選手の勝負あり。中村選手は「ギリギリまで粘って勝ったような感じです。去年から始めて3戦目の初優勝で、すごく良かったです」とコメントした。

N1000優勝は中村直樹選手(ALPHA IDIヴィッツ)。
N1000の表彰式。左から2位の半田健一郎選手、1位の中村選手。
N1400優勝は高橋ノボル選手(アレスQSグローバルμ82)。
N1400の表彰式。左から2位の大竹直選手、1位の高橋選手。
Audi A1 Fun Cup優勝はイシカワヨシオ選手(東京IRC Audi A1)。
Audi A1 Fun Cupの表彰式。左から2位の並木重和選手、1位のイシカワ選手、3位の阿野雅樹選手。

 第2戦となるTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZレースのプロフェッショナルシリーズで、ポールポジションを獲得したのは坪井翔選手。わずか1秒の間に18人が並ぶ状況において、2番手の水谷大介選手に対してコンマ3秒もの差をつけた。

 「僕もこんな差をつけられるとは思っていなくて。でも練習から割と調子が良くて、トップを狙える速さはありました。昨日まで履いていたタイヤから今日は違うタイヤにスイッチして不安もプレッシャーもあったんですが、しっかりチームにわがまま言った分、結果で応えられたので良かったです」と坪井選手。

 しかし、坪井選手は逃げる展開を許されなかったばかりか、スタートから間もなくミッション不調を抱えて順位を落としてしまう。代わってトップに立ったのが水谷選手で、オープニングの1周だけで1秒2の差をつけた。だが、2周目に提示された黄旗に対し、しっかりペースを落としたのが裏目に。

 「抑えずペナルティを受けたら元も子もないので」という水谷選手に後続は容赦なく迫ったことで、上位陣は一気に団子状態となる。そんな状況の中で、一人抜け出したのが菅波冬悟選手だった。

 予選7番手ながら、徐々に順位を上げて3周目には2番手に。そして4周目のダンロップコーナーでトップに浮上。そこから先は、なおも続いた後続の激しいバトルを尻目に逃げていき、最後は7秒差の圧勝に。

 「いろいろ試行錯誤してクルマのパフォーマンスはすごく高い状態にあったんですけど、予選のコンディション変化に合わせきれず悔しくて……。でも、決勝を自信持って行った結果、状況にも恵まれて優勝できて良かったです、終わり良ければすべて良しで。何よりチームとして優勝が初めてなんです。TN滋賀さんには2年前に僕が移籍してから頑張っていただいていたので、『おめでとうございます』と言いたいです」と菅波選手。

 2位は近藤翼選手で、ランキングトップにも浮上。3位は昨年1年間活動を休止していた青木孝行選手が復活を印象づけることに成功。一方、水谷選手は22位、坪井選手は終盤に受けた追突もあってチェッカーを受けることを許されず、ともに無念の結果に終わっている。

 クラブマンシリーズEXPERTクラスでは、開幕戦を制した地頭所光選手を僅差で抑えて、呉良亮選手がポールポジションを獲得。その呉選手は「(計測)1周目で決めてきました。実はコカコーラコーナーで少しアンダー出しちゃって、これはタイム出るか微妙だなと思っていたんですが、帰ってきてみればトップだったので良かったです」と語った。

 だが、決勝では地頭所選手ばかりか、神谷裕幸選手がスタートからピタリと食らいついて離れず。呉選手に何度も仕掛けるが、そのつどガードを固められた地頭所選手は最終ラップの最終コーナーでインを刺した後、呉選手を押し出す格好となる。結果、トップでチェッカーを受けた地頭所選手ながら、ペナルティを受けて21位に降格。繰り上がって優勝を神谷選手が獲得することに!

 「レース自体は前を見ていて、何かあるだろうと思って様子見ていて正解でした」と神谷選手。2位には菱井将文選手が、そして呉選手が3位となった。

 クラブマンシリーズOPENクラスは、ディフェンディングチャンピオンの岡田整選手がポール・トゥ・ウィンを達成。序盤には西澤嗣哲選手、中盤からは五賀貴男選手を常に背後に置く状態ながら、まったくプレッシャーに屈せず。

 「途中、挙動がおかしくて壊れたかと思っていたら、ヘアピンでオイルが出ていたという(苦笑)。今までの僕だったら崩れていたかもしれませんが、そこは落ち着いて走れたと思います」と岡田選手。

第2戦プロフェッショナルシリーズ優勝は菅波冬悟選手(OTG TN滋賀86)。
第2戦プロフェッショナルシリーズの表彰式。左から2位の近藤翼選手、1位の菅波選手、3位の青木孝行選手。
第2戦クラブマンシリーズEXPERTクラス優勝は神谷裕幸選手(N中部GRGミッドレス86)。
第2戦クラブマンシリーズEXPERTクラスの表彰式。左から暫定2位の神谷選手は1位に、暫定1位の地頭所光選手はペナルティで降格、暫定3位の菱井将文選手は2位に。3位は呉良亮選手が繰り上がった。
第2戦クラブマンシリーズOPENクラス優勝は岡田整選手(ADVAN MAX ORIDO 86)。
第2戦クラブマンシリーズOPENクラスの表彰式。左から2位の五賀貴男選手、1位の岡田選手、3位の西澤嗣哲選手。

 WAKO'Sスーパーカートカップ第3戦はまさにサバイバル戦となっていた。序盤は5台でトップが争われ、そのうち1台が脱落、そして最終ラップの1コーナーでは、レースの大半を支配していたYUUKA選手が追突されてリタイア。漁夫の利を得る形で優勝したのは、保立翔選手。

 チームメイトの松崎春雄選手が続き、「ワンツーなんて何年ぶりだろう?」と喜びを分かち合っていた。総合3位はSK4クラス優勝の桜井晋吾選手で、予選13番手からしっかり順位を上げていた。そしてSK2クラスでは藤木章二選手が、鳥川莉駆選手との死闘を制して優勝を飾っている。

SK1クラス優勝は保立翔選手(カシマYZモノコレ/新かしま会)。
SK1クラスの表彰式。左から2位の松崎春雄選手、1位の保立選手、3位の坂井佐代子選手。
SK2クラス優勝は藤木章二選手(ガレージ茶畑)。
SK2クラスの表彰式。左から2位の鳥川莉駆選手、1位の藤木選手、3位の岩崎浩二選手。
SK4クラス優勝は桜井晋吾選手(ガレージ茶畑)。
SK4クラスの表彰式。左から2位の広田秀幸選手、1位の桜井選手、3位の里山勉選手。

フォト/石原康 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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