JAF東北ダートトライアル選手権が、青森切谷内からスタート!

レポート ダートトライアル

2021年5月21日

昨年、コロナ禍により、全戦中止を余儀なくされた東北地区のJAF地方ダートトライアル選手権が、5月、無事に今シーズンの開幕戦を迎えた。

2021年JAF東北ダートトライアル選手権第1戦
2021年JMRC東北ダートトライアルチャンピオンシリーズ第1戦
2021年JMRC全国オールスターダートトライアル選抜戦第1戦
2021スーパートライアルin切谷内

開催日: 2021年5月2日
開催場所: サーキットパーク切谷内(青森県五戸町)
主催: MSCはちのへ

 東北地区のJAF地方ダートトライアル選手権は、昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全戦が中止となったため、今回の大会は一昨年の9月末に行われた最終戦以来、約19か月ぶりの地区戦復活を告げる一戦となった。今年のシリーズは9月12日の最終戦まで全6戦が組まれており、切谷内が4戦、エビスサーキットが2戦という構成になっており、全戦、JMRC東北ダートトライアルチャンピオンシリーズとのダブルタイトル戦となっている。

 切谷内は全日本選手権も開催される東北有数のグラベルサーキットで、九州のスピードパーク恋の浦とともに、アップダウンに富んだコースとして全国に知られている。コース下部に位置するストレートから高速で駆け上がるギャラリーコーナーが一番の名物コーナーだが、その後に控える外周のS字コーナーはマシンの挙動が不安定となりやすく、スリリングなセクションだ。また外周とはグリップが違う内周のテクニカルセクションでは、ドライビングの切り替えが求められ、ドライビングの総合力が問われるコースとなっている。

 久し振りの地区戦復活ということもあって、今回の一戦ではコースの主要セクションをほぼ走り尽くす設定が用意され、2WDの選手達には2分を超えるというロングコースとなった。ただ天候は残念ながら終始、雨が続いて路面はウェットのまま。クラスによっては1本目のタイムで勝負が決まる形となった。

ストレートから一気に高速で左に上りながら飛び込むギャラリーコーナーを設定するのが切谷内の定番レイアウト。逆走になる下りの右コーナーも迫力の走りが楽しめる。
ギャラリーコーナーを眼下に望む観客席は屋根付きのため、雨でも快適な観戦が可能。観客席の後ろには子供向けの遊具などもあり、家族連れで訪れても楽しめるコースとなっている。
観客席の対角線上にあるコース最上部から、コースを見下ろすと、こんな感じになる。写真では分かりづらいが、かなりの高低差を持ったコースだ。
当日のコース図。切谷内の代表的なセクションはほぼ走り抜ける設定となっている。
表彰台の上には手指消毒剤が置かれるなど、新型コロナウイルス感染対策が徹底された大会となった。

 AE車両とPN車両、1,500cc以下の2WDのN/SA/SAX車両を対象としたS0クラスは、参加した6台がすべて違う車種というバラエティに富んだクラスとなった。注目は1週間前、栃木の丸和オートランド那須で開催の全日本選手権PN1クラスをZC32Sスイフトで制した川島靖史選手が関東から遠征してきたことだったが、第1ヒートのトップタイムを奪ったのは地元東北が誇るFFスペシャリストの竹村由彦選手だった。

 一昨年のJAFカップダートトライアルを制したEG6シビックから、今回、PN仕様のZC33Sスイフトに乗り換えた竹村選手は、「今日がシェイクダウン」と言いながらも、第1ヒートでは2番手を5秒も凌ぐ2分5秒フラットの圧巻のベストタイムをマーク。第2ヒートでは各選手、タイムを落とす中、川島選手がタイムを上げてくるが、この暫定ベストには遠く及ばない。結果、竹村選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。

 この2台のスイフト、全日本ではクラスが別になり、マシンのポテンシャルで勝るZC33Sスイフトを駆る竹村選手の優勝は当然と言えば当然ではあるが、この日が事実上の初ドライブだったことを考えれば、やはり切谷内を知り尽くすスペシャリストでもある竹村選手の速さが遺憾なく発揮された一戦となったようだ。

S0クラスは竹村由彦選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、初戦を制した。
S0クラス優勝の竹村選手。「ダートを走ったのがJAFカップ以来なので、クルマもドライバーもぶっつけ本番でした(笑)。スイフトはなかなか難しいクルマですね。譲ってくれた人の仕様のままなので、全然、コンロールできなかった。今日はウェットだったのでターボの良さとかも引き出せなかったので、次はドライで性能を確認したいですね」。
S0クラス2位には全日本ドライバーの川島靖史選手が入った。
S0クラス表彰の各選手。
S1クラスでは全日本戦のセッティングテストも兼ねてスポット参戦した稲葉幸嗣選手が優勝を飾った。
S1クラス優勝の稲葉選手。「1週間前の全日本からは切谷内用にダンパーとリアの仕様をちょっとだけ変えて走りました。久しぶりに切谷内を走った割には、そこそこ走れたと思います」と振り返った。
S1クラス2位には、第1ヒート5番手だった武蔵真生人選手が第2ヒートでタイムを上げて入賞。
S1クラス表彰の各選手。

 一方、参加17台と今回最多の激戦区となったS2クラスは地元東北勢によるバトルが盛り上がった。第1ヒートでは、もはや旧車と呼んでもいいGC8インプレッサを駆った秋田の加藤琢選手がただ一人、1分57秒の壁を破る1分56秒999をマークしてトップに立ち、0.5秒遅れた青森の柿本拓自選手のCT9Aランサーが2番手で折り返した。

 注目の第2ヒートに入ると、やはりこのクラスもタイムダウン傾向となり、加藤選手も1分57秒台のタイムに終わり、タイム更新は果たせず。ラス前の柿本選手も前半、シフトミスで失速。第1ヒートの自らの中間タイムに1秒遅れてしまい、勝負あったかと思われたが、「何とか後半はノーミスでまとめられた」という走りで挽回。1分56秒66を叩き出して、土壇場で見事な打っちゃりを見せる。

 さらに最終ゼッケンの岩手の遠藤誠選手が、中間を第2ヒートの総合ベストとなるタイムで通過し、大逆転に期待がかかったが、ゴールした遠藤選手のインプレッサは、1分57秒の壁を破れず。結果、柿本選手が優勝を飾り、シリーズ制覇に向けて、幸先の良いスタートを切った。

S2クラスは、第2ヒートでミスをしながらもタイムを詰めた柿本拓自選手が逆転勝ちを収めた。
S2クラス優勝の柿本選手。「大会がなかった間は、走ってなかったので1本目は感覚が戻らず、スピードに合わせられなかったですね。2本目はグリップの差はあまり感じられなかったので、1本目、ミスった所を修正できればタイムを上げられると思いましたが、それは皆、一緒ですから(笑)。何とか勝てて良かったです」。
S2クラス2位には、一発の速さには定評のある加藤琢選手が入ったが、逆転を許しただけに悔しさの残る一戦となった。
S2クラス表彰の各選手。
S3クラスは、青森から全日本に参戦する須藤正人選手が優勝を飾った。
S3クラスを制した須藤選手。「難しいコースだったけど、楽しめました」と今回の一戦を振り返った。
S3クラス2位には四戸岳也選手が入賞した。
S3クラス表彰の各選手。
EP82スターレット対決となったCL1クラスでは甲田勇選手が優勝。
CL1クラス表彰の各選手。
CL2クラスは好タイムを叩き出した五十嵐俊弘選手が優勝した。
CL2クラス優勝の五十嵐選手。

フォト&レポート/JAFスポーツ編集部

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